2024年6月27日
横浜市教育委員会
教育長 下田康晴 様
日本共産党横浜市会議員団
団長 古谷やすひこ
今年の夏は、中学校及び義務教育学校後期課程、南高等学校付属中学校及び横浜サイエンスフロンティア高等学校付属中学校において2025年度から2028年度に使用する教科書などが採択されます。
本市の教科書採択の基本方針には、「教科書は、教育課程の構成に応じて教育内容が組織配列された教科の主たる教材として、学校において使用が義務付けられており、学校教育において極めて重要な役割を果たしている」とあります。ですから、その教科書を採択するにあたっては、一部の専門家や有識者によってのみ採択されるものではなく、教科書を使う第一の当事者である現場の教員の声ができるだけ反映される方法、またできるだけ広い知見で多くの市民の声、当事者である子どもたちの声も聞く必要があり、その手立てを尽くして教科書の採択は行われるべきと考えます。
また、採択にあたっては教科書を使用する教員や生徒に、その教科書が採択された理由も含めて説明責任が果たせるよう透明性・公開性が求められます。今年3月29日に発せられた文科省通知「教科書採択における公正確保の徹底などについて」に、「綿密な調査研究 を踏まえた上で、公正性・透明性に疑念を生じさせることのないよう適切に行われることが必要であることはもとより、採択権者である教育委員会や学校長は、採択結果やその理由について、保護者や地域住民等に対して説明責任を果たすことが重要となります」としています。
そこで、本年行われる採択に当たり、以下申し入れます。
記
Ⅰ.当事者の声を反映する教科書採択の仕組みづくりを
1.教科書の調査・研究をより綿密におこなうために、学校現場の意向を聴取する仕組みを導入すること。また、実際に使用する教員が検定教科書を学校で見ることができる環境も整えること。
2. 学校ごとに教科書採択に当たっての意見を提出する手続きを整えること。
3.地域の実情に合わせた教科書採択にするために2009年まで行っていた18区ごとの採択地区に戻すこと。
Ⅱ.教科書採択における公開性・透明性を高め、説明責任を果す改善を
4.教科書採択の方法について、教育委員各人の挙手ないしは記名投票とすること。またその論議では委員個々人の意見表明に当たって、その教科書を選んだ理由を明らかにして記録に残し、後から検証できるようにすること。
5.教科用図書選定審議会の委員または調査員の選任においては、教科用図書の採択に直接の利害関係者に当たらないことを調査の上、市教委は選任すること。
6.採択会場は、ネットでは配信を行われるようになったことは評価しますが、より市民に開かれた教育行政とするためにも、直接傍聴にできるだけ多くの方が参加できるよう広い会場を確保すること。また、採択議論で使用している審議会答申などの資料は、直接傍聴者にも配布すること。同様にネット配信の視聴者にも提供すること。
7.教科書展示会でのアンケートについて、「教科書に関するご意見ご感想をお書きください。なお、本市の教育委員は、いただいたご意見も参考にさせていただき採択するべき教科書を選定していきます」など、アンケートの取り扱いについて、丁寧に記載すること。
8.市民に対して開かれた教育行政を進めるために、教科書展示会や教科書採択にいたるすべての情報を市民に分かりやすく情報提供すること。
以上