2024年6月25日
横浜市長 山中 竹春 様
日本共産党横浜市会議員団
団長 古谷やすひこ
横浜市では、2021年度から自衛官募集の対象となる市民の個人情報(氏名・住所)を宛名シールで自衛隊に提供しています。2020年度までは自衛隊が来庁し個人情報を閲覧する形式でしたが、宛名シール提供に変更しました。しかしこの変更は、市民に全く知らされないで進められました。党議員団として自衛隊への名簿提供をやめるよう議会でも主張してきましたが、今年、除外申請があった62名以外の18歳になる市民の個人情報「氏名・住所」を宛名シールに印刷し、5月30日に自衛隊に提出してしまいました。
市は個人情報の提供を希望しない市民が‶除外申請″できることについて、広報よこはま3月1日号に申請受付のお知らせ記事を1度だけ掲載しました。また、市のホームページには「自衛官募集事務における自衛官等募集対象者情報の提供について」との表題で知らせていますが、これで「私には自衛官募集情報を送らないでほしい」と意思表示できるものだとの判断ができるでしょうか。そもそも、自衛隊への名簿提供のために集められたものでもない市民の個人情報を、本人の承諾もなく別組織に渡すことは、行政の信頼性が揺らぐものです。
現在、政府の大軍拡政策の下で防衛省は「次期戦闘機は日本の防衛に必要不可欠な航空優勢を将来にわたって担保する」などとして本格配備に向かっていますが、そのための自衛隊員の募集は思うように進んでいません。北海道ではこども食堂を利用する小学生が「体験学習」として自衛隊基地を見学した、中学生以上の子どもと保護者を対象に「自衛隊で勤務するための紹介パンフレット」を渡したいとの依頼を行ったことも明らかとなっており、これらは自衛隊による異常な募集活動ではないでしょうか。防衛省は「中学校在校生に対する自衛隊生徒の採用試験に関する募集広報要領等について」とする陸上幕僚長の通達を出しています。そこには「中学生に対する募集広報については、当該中学生の保護者又は当該中学生が就学する中学校の進路指導担当者を通じて行う場合に限るものとする」としていることからも、募集に焦って幕僚長通達まで踏みにじり、さらには子どもの権利条約の38条に抵触する疑いもあります。
自衛隊からのどのような働きかけがあろうとも地方自治体が外部の組織に対して、住民の名簿を提供することは、住民基本台帳法に反するものです。住民のプライバシー権を侵害するものであり、到底地方自治体がするべきことではありません。横浜市は、自衛隊への名簿提供は国からの「法定受託事務」としますが、あくまでも国からの「依頼」にすぎません。国の通知でも‶技術的助言である″と明らかにしています。ですから、防衛大臣に対して行う報告や資料提供を行う判断の中で、最も尊重しなければならないことは、個人(住民)のプライバシー権です。現在、奈良市では当事者から、神戸市では住民からの訴えが起こされています。
私たちは、4月4日にも同様の申し入れを行っていますが、予算編成に当たり改めて、下記の対応に改めることを要望します。
記
一.自衛隊への名簿提供は行わないこと。
一.2021年度から個人情報を提供してきたことを「広報よこはま」と市HPなどに掲載すること。
一.個人情報の提供を希望しない市民が‶除外申請″できることについて、「広報よこはま」に繰り返し掲載することと併せて、HPには「自衛隊へ個人情報の提供を希望しない除外申請ができる」ことが明確に分かるような表現とすること。
一.除外申請書に記入する個人情報は氏名・住所で十分であり、電話番号など不必要な個人情報の取得はやめること。