横浜市会では12日、7件の追加議案の質疑が行われました。日本共産党からは白井まさ子副団長が登壇し、障害児・者と高齢福祉施設に関わる3つの議案について山中竹春市長や副市長に質問しました。
地域療育センターについては、センター内で実施してきたリハビリなどを行う医療型児童発達支援が、今回の条例改正で位置づけが弱くなることがないようにすることを求め、放課後等デイサービスについては、学校と個別支援計画などを十分に共有してほしいという保護者の声を代弁しました。
また、障害者入居施設の地域移行(グループホームや一人暮らし)の推進は、国の施設削減計画ありきで進められる側面があり、入居施設を希望する当事者の意向を尊重できるよう環境整備を求め、またグループホームについては、障害種別に作る計画がないことから、計画をもって推進をするよう求めました。
新たに創設される就労選択支援事業に関わって、この機に、一般企業などの就労につなげている就労支援センターの先進的な実践を市民に伝え、本市として障害者の就労支援全体の方針を策定すべきと提案しました。
また、介護付き有料老人ホームで、見守りセンサー等を複数設置することで人員配置基準を引き下げる改定については、人材不足の解消につながるものではなく、逆に現場で働く人の労働強化となる恐れがあると指摘。他にもケアマネージャーの負担増加が見込まれる改定もあることから、介護分野の人手不足に拍車がかかる市として、市として介護人材確保に向けた特別の体制を組み、期限をきめた確保計画を立てることを提案しました。
山中市長は、地域療育センターの一元化に伴う影響について、「現在の人員配置やサービスの内容に変更はない」、放課後等デイについては「事業者と学校相互のさらなる情報共有を促し連携を推進しいく」、障害者入居施設については「これまで以上に意思や希望を丁寧に把握し、ご本人が望む暮らしの実現に向けて取り組んでいく」、グループホームについては「多くの方が希望するホームに入居がでるよう支援をしていく」、就労支援の方針については「一般就労の促進と定着支援の充実・幅広い仕事や工賃の向上・就労に対する理解の促進、この3つの方向性を掲げ施策を展開している。今後も取り組みを充実させ支援を進めていく」と答えました。
また、介護付き有料老人ホームの人員配置基準引き下げについては「人員配置基準の特例が認められるのはICT機器の活用や職員間の適切な役割分担の取り組み等により、介護サービスの質の確保及び、職員の負担軽減が行われている場合に限定されている。このため介護職員の荷重負担にはつながらないものと考えている」と述べ、ケアマネージャーの負担増については「ケアマネージャー1人あたりのケアプラン取り扱い件数の上限が引き上げられたことにより、負担増となる可能性がある。一方で介護報酬が増えることで、ケアマネージャーの処遇の改善につながることが期待される。本市としては、事業所へのICT導入の促進や好事例の横展開、そして国に対する処遇改善の拡充等の要望などの取り組みを通じて、ケアマネージャーの確保や定着に向けてしっかりと取り組んでいく」と答弁しました。
人材確保については「新たに介護職経験者の復職支援や、外国人人材の確保、介護現場の生産性向上などに取り組むとともに、国が示す介護人材の必要数も参考に中長期的な見通しを立てながら進めていく」と答弁しました。
発言と答弁の全文はこちらです。
【参考】
地域療育センター:市内に9か所あり、0歳から小学校期までの障害児の療育に関する相談・診療・指導等を行っている。医師、看護師、ソーシャルワーカー、保育士などの専門職員が配置。
放課後等デイサービス:6歳から18歳までの障害を持つ子どもに対して、日常生活上の支援や訓練、学習指導、地域交流の場などを提供する支援・療育施設。
就労選択支援事業:働く意思と能力を有する障害者が自身の希望や適性に合った職業を選択できるように促進する制度。事業所の支援員らと就労希望の障害者が面談し、自治体の福祉担当と情報共有を行い、ハローワークや就労新事業所とマッチング調整などを行う。(産経新聞解説より)