議会での質問・討論(詳細)
2024年3月12日

■追加議案関連質問 白井まさ子 2024. 3.12

一元化によって、地域療育センターの医療型支援の位置づけが弱まらないように

白井議員:日本共産党を代表して、3件の議案について市長及び副市長に質問します。
初めに、 市第158号議案、横浜市児童福祉施設の設備及び運営の基準に関する条例等の一部改正は、児童福祉法改正に伴う、内閣府令の基準に合わせた、関係条例の一部改正です。

これには、医療型児童発達支援及び児童発達支援の規定が含まれます。本市では全国でも先進的な取り組みがされてきた地域療育センターで、診療と主に未就学児の通園が行われており、医療型児童発達支援として、肢体不自由のお子さんが医師の管理の下でリハビリを行うクラスと、児童発達支援としてのクラスがあります。今回の改正で医療型児童発達支援と児童発達支援の一元化が行われます。児童発達支援に一元化されることで、リハビリを行うクラスの位置づけが弱くなることがあってはなりませんが、本市の地域療育センターが担ってきた役割・機能・位置付けはどう担保するのか伺います。

山中市長:一元化に伴う地域療育センターの役割・機能及び位置付けの担保についてですが、児童福祉法改正等により福祉型と医療型に分かれていた児童発達支援センターを、一元化するとともに地域における障害児支援の中核的役割を担うことが明確化されました。本市では、従前から地域療育センターに児童発達支援センターを設置し、地域の中核機関の役割を担っております。また医療型児童発達支援の統合後も、現在の人員配置やサービスの内容に変更はございません。

放課後等デイサービスは、事業所と学校で十分な個別計画の共有を

白井議員:また、今回の改正では、障害児支援の放課後等デイサービスについての規定もあります。放課後等デイサービスは小中学生が授業の終了後や休業日に通いで必要な訓練を行う事業で、今回の改正では、放課後等デイサービスの事業者などに、自己評価などを保護者にも示すことを求めるなど、質の高い発達支援を推進するとしています。保護者は学校と放課後等デイサービスとで子どもの発達について必要な情報共有を願いますが、保護者から、必要な情報共有が行われていないと聞くことがあります。横浜市版放課後等デイサービスガイドラインには、放課後等デイサービス事業所は、保護者の同意を得た上で学校における個別の教育支援計画等と連動する個別支援計画を作成し、情報共有に努めるとされていますが、情報共有が実際にどのように行われているか、現状認識を伺います。また、ガイドライン通り情報共有されるよう、どのような手立てを打つのか伺います。

大久保副市長:放課後等デイサービスと学校での個別支援計画などの情報共有、および支援策についてですが、条例では、放課後等デイサービスを作成するときに、障害児の置かれている環境等の評価を通じてアセスメントを行うと規定をしております。また、本市独自のガイドラインで事業者と学校相互の支援方針等の共有を求めているところでございます。今月中には全ての事業者を対象に、対面での説明会を開催する予定としておりまして、この場において条例の趣旨やガイドラインの内容を丁寧に周知するなど、事業者と学校相互のさらなる情報共有を促し、連携を推進してまいります。

入居施設削減ありきで進める地域移行ではなく本人の意思尊重を

白井議員:続いて、市第159号議案、 横浜市指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備、運営等の基準に関する条例等の一部改正は、国の基準省令等で示された内容についての条例改正です。

改正する内容には、障害者が希望する地域生活を実現・継続するための支援の充実として障害者入所施設における地域移行の推進がありますが、移行後の支援体制はまだまだ不十分で、また、国の入所施設削減ありきで、地域移行が進められている側面があります。国は、2023年度までの4年間の第6期障害福祉計画で、施設入所者数を1.6%以上削減し、地域移行者数を6%以上とする目標です。本市の第4期障害者プランには、アパートでの一人暮らしやグループホーム、入所施設での暮らしなど、障害のある人も自分が住みたい場所で暮らせるようにしますとありますから、施設に入れる状況を作り出すべきです。身近なところに入所施設を望む障害当事者の意向の尊重はどう考えるのか、伺います。

山中市長:障害者入所施設からの地域移行は、定員削減ありきではなく、障害者本人の意思を尊重して進めるべきとのことですが、障害者入所施設は、ご本人の暮らしを支えつつ地域で自立した生活を送ることができるよう支援に取り組んでおります。今回の条例の改正では、障害のある方の意思決定支援を推進することとしており、地域移行にあたりましては、これまで以上に意思や希望を丁寧に把握し、ご本人が望む暮らしの実現に向けて取り組んでまいります。

障害種別のグループホームの装備計画を

白井議員:住みたい場所としてグループホームを選ぶにあたっては、障害特性や日中活動に通える距離にあることも含めて、本人の意向に合う候補先として数が足りていることが必要です。本市は障害者グループホームを毎年200件ずつ増やしていますが、精神障害、知的障害など障害種別の増設計画はないことから、本人の意向に合うだけの数には足りておらず、選択肢は限られていると声を聞いています。グループホームの数についてどう認識しているのか伺います。

山中市長:本人の希望に合う障害者グループホームの数がなく見つからないとのことですが、本市では現在、障害者プランに沿って毎年40ホーム200名分の整備を進めております。入居に当たりましては、支援者がご本人の希望を丁寧に伺い、体験等によるマッチングを行っております。
また、昨年12月から既存のホームの空き室情報を関係機関に提供し、迅速な入居につなげております。引き続き、これらの取り組みを推進し、一人でも多くの方が希望するホームに入居ができますよう支援をしてまいります。

障害者就労支援全体の方針策定を

白井議員:また、今回、福祉的就労へつなげる取り組みとして、就労選択支援事業が新たに創設され、2025年から就労継続支援B型事業所・A型事業所等での作業体験の支援が想定されています。これを機に、本市の関連する事業を強化する必要があります。市役所、区役所などでのショップや地区センターなどでのカフェ、またパンの販売など、福祉的就労に接する機会があり、市民に向けた啓発が行われていますが、一方、企業など一般就労につなげる、全国でも先進的な取り組みをしている9か所の就労支援センターがあることは、まだまだ市民に知られていないように思います。就労支援センターの実践を市民に知らせること、また、就労選択支援事業所の創設を機に、就労支援センター・特別支援学校卒業時の就労支援など含めた、本市としての就労支援全体の方針を策定すべきと考えますが、見解を伺います。

山中市長:就労支援センターの実践を市民の皆様に知らせ、就労支援の方針の策定を行うべきとのことですが、就労支援センターの取り組みは、障害者就労に関するシンポジウムや企業への出前講座等を通じて紹介しており、今後もさらなる周知を図ってまいります。また、就労支援の方針として障害者プランにおきまして、一般就労の促進と定着支援の充実・幅広い仕事や工賃の向上・就労に対する理解の促進、この3つの方向性を掲げ、施策を展開しております。今後も取り組みを充実させ支援を進めてまいります。

ケアマネージャーの負担増やす改定をすべきではない

白井議員:次に、市第160号議案は、 横浜市指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営の基準等に関する条例等の一部改正で、介護保険法、老人福祉法、社会福祉法の規定に基づく基準省令で示された内容についてのものです。

内容には「地域包括ケアシステムの深化・推進」として、ケアマネージャーが働く居宅介護支援事業所の人員配置が含まれています。ケアマネージャーはケアプランを作成し定期的な状況の確認を行う業務で、要支援1・2の人のケアプラン作成などは、これまで本市の地域包括支援センターで行われていましたが、2024年度から居宅介護支援事業所が直接実施することができるようになること、報酬単価が増額されることなどの改定に加えて、ケアマネージャー一人が扱うケース数の上限が拡大されます。これまで35件でしたが、最大50件未満となり、3分の1と換算する要支援の件数を含めれば実際にはもっと増えます。ケアマネージャーは5年ごとの資格更新が求められ、医療連携の必要なケースや困難ケースも多く、今回、一人の持ち件数が増えれば、ケアマネージャー一人の負担が過重となる場合が想定されます。これでは、なり手が減り、ケアマネージャー不足につながるのではないかと考えますが、どうか伺います。

山中市長:ケアマネージャーの負担が荷重となり、ケアマネージャー不足につながるのではないかとのことですが、ケアマネージャー1人あたりのケアプラン取り扱い件数の上限が引き上げられたことにより、負担増となる可能性がございます。一方で介護報酬が増えることで、ケアマネージャーの処遇の改善につながることが期待されます。本市としては、事業所へのICT導入の促進や好事例の横展開、そして国に対する処遇改善の拡充等の要望などの取り組みを通じまして、ケアマネージャーの確保や定着に向けてしっかりと取り組んでまいります。

介護付き有料老人ホームの人員配置基準の引き下げは、人材確保と逆行する

白井議員:また、今回、介護付き有料老人ホームでの人員配置基準の引き下げが行われます。通常、利用者3人に職員1人のところ、見守りセンサー等を複数設置するなどで認められれば、職員0.9人でよいとされます。これは経営者側にたったものであり、労働者側にたったものではありません。人材不足の中での改定であり、すでに、特別養護老人ホームで見守りセンサー等の設置で夜間の職員数の引き下げが行われてきましたが、人材不足が解消されたわけではありません。私たちは、介護現場での機器の活用を否定するものではありません。見守りセンサー等の機器を活用して、現場で働く職員の方の多重労働を少しでも補助するものであれば、どんどん活用すべきだと思います。しかし、機器の活用で配置基準を減らすということは、この人員不足に拍車をかけることになるのではないでしょうか。今回の職員数の引き下げも、人材不足の解消にはつながりません。個々の介護職員等にとっては、過重負担になると考えますが、見解をうかがいます。

山中市長:介護付き有料老人ホームの人員配置基準の引き下げが、職員の荷重負担になるのではないかとのことですが、人員配置基準の特例が認められるのはICT機器の活用や、職員間の適切な役割分担の取り組み等により介護サービスの質の確保及び職員の負担軽減が行われている場合に限定されております。このため介護職員の荷重負担にはつながらないものと考えております。

介護人材確保に向け、市独自に特別の体制を組み、具体的な立てを

白井議員:また、特別養護老人ホームの経営状況が、全国で初の赤字となり、本市でも同様で、働き手不足、入所希望者不足で、安定稼働できないことが要因と聞いています。高齢者実態調査での回答では、施設・事業所職員の不足状況について、特養・老健では、不足が、約7割と大半を占めています。在宅介護サービスでも全国でホームヘルパー不足の中、国は、訪問介護事業所が他の介護サービスより高い利益率を上げているとの厚労省2023年度介護事業経営実態調査を根拠に、訪問介護の基本報酬を2.3%引き下げる予定ですが、訪問介護事業所の4割が赤字であることが、同調査からわかっています。今回の人員配置基準の引き下げは、さらなる人材不足を招く懸念があります。

本市調査では、施設・事業所を運営する上での課題を聞いたところ、「良質な人材の確保が難しい」は特養・老健・居住系・訪問・通所系で最も多くなっており、次いで「今の介護報酬では、人材の確保・定着のために十分な賃金を払えない」となっています。

全ての対象施設・事業所で人材の確保に関連する課題が上位となっている実態を直視すれば、不足する介護人材をどう確保していくのかが、本市が責任をもってすすめるべきことです。厚労省の2020年度の介護人材の確保・資質の向上に向けた市町村の取り組み促進に関する調査研究事業では、対策協議会を設置している新潟市、確保すべき介護人材数について推計・公表したことで、関係者間で問題意識が共有され、前進につながった武蔵野市や堺市が紹介されています。本市も市民と問題意識を共有することです。そこで、本市独自に介護人材の不足数を推計し、対策を打つ特別な体制を組み、期限を決めた確保計画を持つ必要があると考えますが、見解をうかがって、終わります。

山中市長:市独自の介護人材確保計画を持つ必要があるとのことですが、4月から始まる第9期高齢者保健福祉計画において、介護人材の確保を重要課題として取り組みを進めます。新たに介護職経験者の復職支援や、外国人人材の確保、介護現場の生産性向上などに取り組むとともに、国が示す介護人材の必要数も参考に中長期的な見通しを立てながら進めてまいります。以上、白井議員のご質問にご答弁を申し上げました。


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