2月6日、日本共産党横浜市議団(5人)は、「三ツ沢公園の再整備基本構想(案)を白紙に戻し、市民が緑を身近に感じ、スポーツを楽しむことができる公園として存続を」求める申し入れを山中竹春横浜市長に行いました。
環境創造局公園緑地課の渡辺良晋担当課長ら2人が対応しました。
申し入れ文は、再整備構想案への党市議団の評価と、三ッ沢公園のあるべき姿をまとめたものです。
渡辺課長は、基本構想案は検討中のもので、スケジュールやテンポも含めて決まっていない。いただいたご意見も踏まえて検討を進めていくと答えました。また、事業者へのサウンディング調査については、現在集計中であり、まとまった段階で公表すると述べました。
申し入れの全文は下記の通りです。
三ツ沢公園の再整備基本構想(案)を白紙に戻し、市民が緑を身近に感じ、スポーツを楽しむことができる公園として存続を
2024年2月6日
横浜市長 山中竹春 様
日本共産党横浜市会議員団
団長 古谷やすひこ
横浜市が示している「三ツ沢公園 再整備基本構想(案)」について、日本共産党横浜市議団の考え方と三ツ沢公園の今後のあるべき姿についてお伝えします。
三ツ沢公園は、サッカーだけでなく、陸上競技やテニスも楽しめる公園で、ランニングコースもあり、市民にとって気軽にスポーツに触れることができる施設です。公園内には小さい滝や小川が流れ、自由広場のそばには毎年カルガモが子育てをする池があります。丘陵地を活かした公園で、起伏があり、中を通る道の脇には多くの木々が植えられ、心地良い風が流れて都会の喧騒を忘れさせてくれる、市民に愛されている公園です。
しかし、「三ツ沢公園 再整備基本構想(案)」に先立って作成した「三ツ沢公園球技場を含む公園の再整備に向けた基本的な考え方(案)」では、公園内にあるニッパツ三ツ沢球技場について、「築58年と老朽化が進み、バリアフリー化も不十分であることに加え、観客席に屋根が無いなど、Jリーグのスタジアム基準を満たしていない状況にもある」として「新たな球技場の建設について検討を進めます」と明記し、公園内に新たに球技場建設を行う配置イメージを示しています。そして「三ツ沢公園 再整備基本構想(案)」では新たな球技場の整備効果を誇(ほこ)り、建設に邁進しようとしています。
この新たな球技場建設予定地とされている所には、青少年野外活動センター、自由広場、などがあり、これらの市民利用施設が廃止されることになります。また、予定地にかかる補助陸上競技場がなくなれば、陸上競技場の本来の機能が損なわれてしまいます。代替施設となれば、公園敷地内では敷地が限られ縮小されての設置となることが予想できます。テニスコートは面数が減ることになります。
また、予定地に一部がかかる桜山は小高い丘となっており、花見の名所となっています。この桜の存続も危ぶまれています。既存樹木は、移植とありますが、樹齢を重ねた巨木も多く容易ではありません。多くの緑を犠牲にしなければ建設が不可能なことから、自然破壊と緑の喪失につながることは必至です。
このように当該エリアでの球技場建設は、市が三ツ沢公園の再整備の『目的』に掲げる「スポーツのできる公園の充実」「花と緑の充実による公園の魅力向上」に明らかに反していると考えます。
また、新球技場にどういうニーズがどれくらいあるのかデータが全く示されていません。これでは新球技場建設についての是非を論じることができません。
建築の専門家は、既存のニッパツ球技場に屋根をつけるなど建て替え工事は、時間と費用がかかるが、技術的には可能だとする見解を示しており、貴重な緑と、多くの市民に人気の施設を壊してまで新球技場を建設する必要性は感じません。
既存球技場の建て替え工事期間中のスポーツイベントについては、公園内の既存グランドである程度の代替は可能だと考えます。
昨年12月に完成した広島市中央公園のサッカースタジアムは、スタジアム建設を求める署名が約37万筆集まるなどの市民要望の高まりを背景に、財界も動き、お金を集め、市民やサポーターも寄付を行い、個人の寄付額は6億円に上ったと報道されています。候補地についても、交通問題や景観、建設地の地元負担などの問題を議論し、3回変更して現在の場所に決まった経過があります。横浜の新球技場建設も市民とプロスポーツファンの熱い支持と共感が必要になるはずです。しかし、2022年8月10日から9月8日にかけて、市が行った「三ツ沢公園球技場を含む公園の再整備に向けた基本的な考え方(案)」についての市民意見募集では、新たな球技場の内容に関する意⾒(5,748件のうち1,648件)の主なものに「現在の球技場に屋根を付けて改修する、⼜は現在の位置で建て替えるべきではないか」「三ツ沢公園以外のエリアも候補にできないのか」などの声が上がっています。また、財源や公⺠連携の取組に関する意⾒ (493件)では、「税⾦の無駄遣いはやめて欲しい。今ある施設の改修で⼗分ではないか」との率直な指摘もありました。このような結果を見ても、広島のサッカースタジアム建設に至ったような息吹を感じることはできません。
また、2021年6月に策定された横浜市のスポーツ推進計画(第3期横浜市スポーツ推進計画)の中に、三ツ沢公園の新球技場構想案は示されておらず、「市民が幸せで豊かな生活を送るうえで重要な施策」と位置付けられている市のスポーツ施策から離れたところで進められている事業だと考えます。
こうした状況の中で、三ツ沢公園 再整備基本構想(案)の通り進めることは市民の理解は得られないと考えます。
上記のことから、以下を求めます。
記
一、「三ツ沢公園再整備基本構想(案)」は、市民意見を受け止めて白紙に戻し、既存施設の老朽化対策などを進める計画に見直すこと。