議会での質問・討論(詳細)
2023年10月19日

■決算討論 宇佐美さやか 2023年10月19日

日本共産党を代表し令和4年度横浜市一般会計歳入歳出決算に賛成、港湾整備事業費会計、市街地開発事業費会計など5つの特別会計に反対の立場から討論を行います。

一般会計決算に賛成子育て支援等が着実に前進

党市議団では、事業一つ一つをしっかり審査し、市民のための施策においては、応援する立場で賛成をし、市民のためにならない施策には、反対を貫いてきました。2022年度の一般会計では、子育て世帯への直接支援策として、中学校3年生までの医療費完全無償化に向けたシステム改修の設計を着実に実施したことや、保育所等の整備などにより1,322人分の受け入れ枠を確保し、保育士への市独自賃金の上乗せを行い、保育士不足の解消に取組んだこと、虐待対応の専任化などを行ったことは、市民の要望にかなったもので評価します。

抜本的な見直しが必要な事業も

しかし、残念なことに、一つ一つの事業では看過できない問題があることは、指摘せざるを得ません。
本市は、盛んに『大都市制度』の啓発事業を行っていますが、果たして今本当に貴重な税金を使ってやるべきことなのか、今一度立ち止まる必要があると考えます。そして、必要性に乏しいみなとみらい歩行者デッキ、住民合意のないまま進められた高速道路環状南線、多くの子育て世帯が望む学校調理方式ではなくデリバリー方式による全員制の中学校給食などは、決して賛成できるものではないことから引き続き事業の見直しと改善を求めます。

自衛隊への個人情報提供問題では、除外を求める市民からの申請すら受け付けないという異常な姿勢から、除外申請を受け付けるという方向転換をしましたが、名簿の提供は継続されるということで、残念です。安保法制・戦争法の強行によって、自衛隊の任務がかわり、アメリカの起こす戦争に肩を並べて参加するというこれまでにない危険な任務が加わった今、未来を担う横浜の若者の名簿を自衛隊に渡すことをやめるよう強く要望します。

また、約100億円が投じられたレシ活事業については、本来のコロナ臨時交付金の使い方として大きな問題があったと言わざるを得ません。事業者に支払った公費のうち市民に還元された実際の金額の全容が把握できていないどころか、ポイント失効分の金額についての事業者から、市民への返還に対して確実な担保がないこと、契約内容、契約の結び方、事業運営への関わり方なども含めてあまりにずさんな事業であったことが浮き彫りになりました。8月から9月にかけて、副市長をリーダーとした事業の振り返りを行ったものの、どういった内容の振り返りがなされたのか明らかにされていません。あらためて、今回のレシ活事業の総点検を行い、どこに問題点があったのかを洗い出し、責任の所在を明らかにすること。市の財政に大穴を開けないための徹底的な対策をし、公費の使い方として適切であったのかなどの反省を行い、市民には、説明責任を果たし、再発防止に努め、しっかりと対応していくことを強く求めます。

5つの特別会計決算に反対

次に5つの事業費会計についてです。
港湾整備事業費会計、市街地開発事業費会計、みどり保全創造事業費会計、埋立事業会計、国民健康保険事業費会計の5会計については、3年以上続いたコロナ禍と2年に及ぶ物価高騰で苦しむ市民のくらしを支え、困難に寄り添うという地方自治体の役割とは、かけ離れた税金の使われ方で、認める訳にはいきません。
特に、旧上瀬谷通信施設の開発については、抜本的な見直しが必要です。当該区域では、巨大テーマパーク立地に向けた巨額の公費を投入する土地区画整理事業は、年間1,500万人を集客するという過大な目標のもと、その集客の命綱となる新たな交通の内容も、本市の財政負担も採算リスクも明らかにされないまま基盤整備事業が始まっています。将来世代への負の遺産とならない確かな保障、見通しがないなかでこのまま事業を進めることを認めることはできません。そもそも、当該区域の土地利用は、本来であれば「首都圏全体を見据えた防災と環境再生の一大拠点」として位置づけられた2006年の「米軍施設返還跡地利用指針」に沿ったものであるべきです。全ての事業を巨大化させる要因となっている年間1,500万人集客という目標人数を現実的なものとすることを強く求めます。

国民健康保険事業費会計については、毎年黒字になっているにも関わらず、保険料を値上げしていることに対して、党市議団は、値上げずるのではなく、値下げすることを求めています。

コンテナ貨物量の増える見通しがないなかで新本牧ふ頭整備を進めた港湾整備事業費会計、民間タワーマンション建設への法外な補助金投入など、大型開発事業等の市街地開発事業費会計、多額の赤字が発生した埋立事業会計、みどり税を別途徴取しているにもかかわらず、貴重な緑は減り続け、守ることができていないという残念なみどり保全創造事業費会計など、「厳しい財政状況」と言いながら、国や大手企業に言われるがまま大事な税金を湯水のように投入していることに対しては、改めて中止や見直しなどの改善を求めます。

ふるさと納税は、制度の見直しを国に求めよう

そして、本市の税収を減らしている原因となっている『ふるさと納税』についてです。2022年度のふるさと納税の税収影響額は、マイナス222億円です。
ふるさと納税は、故郷を応援する、被災地支援などの気持ちで寄付をする行為であり、納税ではありません。住民税などの地方税は、自治体が行うサービスの費用を住民が負担し合う仕組みですが、寄付であるふるさと納税を利用すると、寄付額の多くが住民税などから控除されることから、住んでいる自治体のサービスを受けているのに、そのサービスの原資となる住民税が十分に支払われないという事態が起きています。市民のなかには、善意で行っているふるさと納税が、自分が住んでいる自治体の税収を減らしていることにつながっていることを知らない方も居るかも知れません。
200億円という税収入があれば何ができるか、例えば、80億円で市内小学校の給食費の無償化が可能となります。山中市長が市長選公約で掲げた、出産費用や敬老パスの負担軽減のための予算措置など抜本的に拡充させることも可能となります。市民が求める「住み続けたいまち」としていくためのサービスの向上が図れます。

この間の政府主導の構造改革・規制緩和の路線によって、故郷を壊して、地方を疲弊させてきたことに対する基本的な反省もないまま、その穴埋めを自治体間で調整させようというものがふるさと納税で、国自らの責任を曖昧にしようというものです。今、必要なのは、地方間の財政格差を是正という地方交付金の本来の機能を回復させ、充実させていくことが必要です。さらに、返礼品競争の過熱化も問題となっていますし、富裕層優遇にも一役買っているのが、ふるさと納税です。日本共産党は、返礼品競争の過熱化防止や富裕層優遇とならないように仕組みを見直すことを求めています。本市としても、国に制度の見直しを求めるよう要望します。

さて、振り返れば、昨年度も、新型コロナと物価高騰対策に振り回された1年でした。新型コロナウイルス感染症対策経費の決算額は2,220億7,000万円、原油価格・物価高騰対策経費は、650億100万円となっています。この間、児童福祉施設・社会福祉施設等に対する光熱費や食材費の高騰に対する支援などに48億円など、必要な手立てをうってきたことは評価します。しかし、新型コロナと物価高騰の影響を受けている現場をしっかり支えるには、まだまだ質的・量的にも支援が足りていません。今後、コロナと季節性インフルエンザの同時流行が危惧されます。新型コロナの5類引き下げによって、医療機関や福祉施設への様々な公的支援が打ち切られるなかで、疲弊しきった現場の方々が倒れない様に支え、医療機関の倒産などが起きないように必要な支援を続けていただくことを国に求めいただきたいですし、本市独自の手立てを講じていただくよう要望します。

高校生の就学支援強化を

残念ながら、支援のメニューがあるにもかかわらず、予算が足りずに必要としている方々へ支援を行き渡らせることができなかった施策があります。それは、横浜市高等教育奨学制度です。2022年度の定数は830人で、それに対して946人の応募がありました。最終的に採用されたのは851人だったので、95人の生徒は制度を利用することができませんでした。党市議団は、支援を必要としている生徒が利用できるよう成績要件の撤廃など要件緩和を求めてきました。今年度からは、成績要件が緩和され、支援対象が広がったことは一歩前進ですが、利用者の拡充ははかられず、定数900人としました。しかし1,318人の生徒からの応募があり、最終的には、定数にわずか6人プラスしただけで、残りの416人は、支援を受けることができませんでした。要件を満たしていたにも関わらずです。経済的に苦しいけど学びたいという生徒全員が制度を利用できるように、募集人数の定数を増やすなどの対策を実施することを求めます。

また、教育現場で問題となっているのが、子どもたちの学習権の保障が危ぶまれる教員の未配置が深刻になっています。原因は、年度当初から欠員臨任頼みとした採用枠の仕組みにあります。党市議団は、再際にわたり「正規の教員を当初から多く採用する」ことを求めてきました。早急の改善が求められます。来年度は、しっかりと教員採用のための予算確保を要望します。

あらためて、市長選公約であった3つのゼロなどの重点公約を実現させるため、市長が目指す「子育ていたいまちヨコハマ」 「住み続けたいまちヨコハマ」のため、旧上瀬谷通信施設での巨費を投じてのテーマパーク立地や、民間デベロッパーを利するだけの補助金は見直しや中止をし、地方自治体の本来の役割である「住民の福祉の向上」のために大事な税金を使う本来の税金の使い方に変え、市民に寄り添った市政への転換を行うことを求めます。そのために、歴代市長によって国策で進められた、大型公共事業にメスを入れ、歳入歳出の改革を行うことを強く要望します。

パレスチナに平和を

最後に、パレスチナのイスラム組織ハマスによるイスラエルへの大規模な攻撃と、イスラエルの報復攻撃よって、16日までに850人以上の子どもたちが殺害され、紛争の拡大が強く憂慮される深刻な事態となっていると報道されています。ハマスの無差別攻撃と民間人の連行は、国際人道法の明白な違反であり、いかなる理由があっても決して許されず、強く非難します。これに対し、イスラエルのネタニヤフ首相は、「長期の厳しい戦争」を明言し、ガザ地区を大規模に破壊しつくす構えで、同地区への電力、食料、燃料などの一切の遮断措置も発表しました。おびただしい犠牲を生む無差別の攻撃は、占領下にあって保護されるべき人々に対する集団的懲罰であり、正当化できません。暴力の応酬の悪循環を止めるため、双方は最大限の自制をすべきです。
暴力の連鎖と紛争の拡大は、パレスチナ国家の実現とイスラエルとの平和共存につながる交渉を通じてのみ終わらせることができます。事態を打開し、国際的な合意を踏まえた中東平和への道を拓くためにも、日本共産党は、関係各国と国際機関が今、あらゆる外交努力を行うよう強く呼びかけます。
本市としてもピースメッセンジャー都市として、抗議の声をあげることを要望し、討論を終わります。

本会議の発言全文


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