◆宇佐美委員 日本共産党を代表し質問します。よろしくお願いいたします。
まず質問の前に、残念ながら3月3日に地下鉄ブルーラインの事故が起き、始発から15時まで一部運休するということが起きてしまいました。事故の検証を今行っていると思いますが、しっかり行い再発防止に努めていただきたいと要望します。
さきの政策局の審査でも取り上げたのですけれども、ジェンダー平等の視点に立って全ての職員が生き生きと働くことができる職場づくりについて伺いたいと思います。
私は、全ての職員が生き生きと活躍できる市営交通を実現するために、社会的な性別、いわゆるジェンダーの違いによる日本古来の社会的な役割分担に縛られることなく一人一人が自分の能力を生かすことができる職場にしていくことが必要だと考えています。ジェンダー平等を求める観点から、まず市バス、地下鉄の現場における女性職員の職種別人数と割合について伺います。
◎三村交通局長 まずは、3月3日に始発から長時間にわたりましてブルーラインの一部区間で運転を見合わせましたことで大変多くのお客様に御迷惑をおかけいたしましたことをおわび申し上げます。大変申し訳ございませんでした。
それでは、御答弁申し上げます。
女性職員の職種別人数と割合でございますが、令和4年1月1日時点で、バスの乗務員は全1099名のうち16名で1.5%、バスの整備員は83名全員が男性でゼロ%、地下鉄運輸職員は全489名のうち26名で5.3%、地下鉄保守技術員は全155名のうち1名で0.7%となっております。
◆宇佐美委員 交通局全職員2428人中女性が今言っていただいた合計が108人、割合として4.5%ということで、いかに女性が少ないかというのがよく分かります。責任職に至っては199人中10人しかおられない。どおりで予算概要説明でも今日の審査でも男性が多いというような気がしています。
バス整備員は、先ほど言っていただいたように1人もおられない、現場がほぼ外で重いものを運ぶですとか重労働だということが想像できるので仕方がないかとも思うのですけれども、なかなか課題がたくさんあるように思います。私はほぼほぼ毎日、今日もお世話になったのですが、市営バスにお世話になっております。私が乗る路線では全く女性の乗務員をお見かけしたことがありません。時々相鉄にもお世話になるのですが、相鉄では女性の乗務員を時々お見かけします。このことから想像するに、女性にとって交通局は働きやすい職場環境になっているのか、なっていないのではないかということが気になりました。女性職員が働きやすい環境になっているかどうか、伺います。
◎吉川副局長兼総務部長 これまで職場の大半が男性職員で構成されていたことから、女性職員が働く上で必要となる女性専用の休養室や更衣室、シャワールームなどの施設が一部の事業所に整備できておりません。このため女性職員を配属できる職場が限られてしまうなどの課題がございます。
◆宇佐美委員 今おっしゃったように職場環境の改善に向けた取組をされているのか、伺います。
◎吉川副局長兼総務部長 老朽化した事業所の改修工事に合わせまして女性専用施設の整備を順次進めてまいりましたが、厳しい経営状況を踏まえ、令和4年度に予定していた改修工事につきましては経営改善の取組として一旦先送りとさせていただきました。しかしながら、安全で確実な輸送サービスを安定的に提供し続けるためには、職員にとって働きやすい職場環境を整えることが重要と考えております。今後、経営改善の進捗に応じまして職場環境の改善を順次進めてまいります。
◆宇佐美委員 コロナ禍が続いて収益が上がらないという状況の中で、当初の計画では改修をしようという努力をしていたということですが、箇所数などを減らしていくことをしていくというのが今回の予算に盛り込まれたと。この状況でも努力しているということを評価します。現状では建物の改修などが必要なことから、今女性がいる営業所にしか配属できない状況ということが分かりました。女性職員の皆さんからの御意見を聞いて少しでも使いやすい施設にしていただきたいと思います。
そして、施設も大事な要素ですが、家事、育児、介護などの労働をしながらの勤務は相当な苦労があるということは想像できます。仕事と家事の両立に向けた制度があると聞きました。その制度の内容と利用状況を伺います。
◎吉川副局長兼総務部長 両立支援に関する制度の利用状況でございますが、令和2年度実績で育児休業につきましては男性職員20名、対象者の約4割が取得したほか、介護休暇につきましても男性職員36名が取得するなど年々制度の利用が進んできております。こうした家庭と仕事の両立のしやすさ、休暇等の取りやすさといった点につきましては、職員の採用活動におきましても、新卒者、転職者ともに非常に関心が高い部分となっておりますので一層の利用促進に努めてまいりたいと考えております。
◆宇佐美委員 育児や介護をしている職員が育児ですと20名、男性ですけれども、介護ですと36名おられる、これも男性ということです。全ての職員が仕事とプライベートを両立できる制度と環境を整えることで今関心が多くなっているということですけれども、誰もが生き生きと働くことができる職場になると思いますが、見解を伺います。
◎三村交通局長 バスや地下鉄を動かし、安全にお客様をお運びするためにはまずは私たち交通局の職員が心身の健康を保ち、日々の業務に従事できることが大切だと思います。そのためにも、育児や介護だけでなく職員それぞれで様々な状況がある中でも安心して働ける職場づくりが重要であると考えております。引き続きハード、ソフト両面から取組を進めてまいります。
◆宇佐美委員 いい制度があるので、せっかくですので皆さんに使ってもらえるようにしていただきたいと思います。そして、自分らしく働ける職場となるように環境と制度をさらにいいものにしていただきたいと要望し、次の質問に移ります。
交通局が郊外部で果たしていく役割について伺います。
四十数年前から始まった横浜市のまちづくりの中では市内に団地などが次々と建設され、当時は朝夕の通勤通学の乗客でにぎわったものの、今となっては高齢化で朝夕の時間もそれほど混雑もなく、乗降客が減ってしまったことから減便や廃止の路線が続出しています。このことから高齢者の移動支援が難しくなっていると感じています。一方で、昨年4月、港南区の野庭団地の敷地を走る188系を新設したそうですが、現状について伺います。
◎原田自動車本部長 188系統でございますけれども、朝の7時台から夜の22時台まで、1時間に1便程度運行しております。1便当たりおおむね30名のお客様に御利用いただいております。特に10時から13時までの時間帯におきましては、朝夕のラッシュ時間帯よりも多くのお客様に御利用いただいておりまして、上永谷駅周辺の病院や商業施設に行かれる方の需要で、1便当たりおおむね50名の御利用がございます。
◆宇佐美委員 10時から13時が一番多い、病院に行かれる高齢者という想像がつきますけれども、野庭団地の188系統の現状を踏まえた所感を伺います。
◎原田自動車本部長 188系統が運行する前は、団地の周囲を運行しております45系統などを御利用いただいておりましたので、御自宅からバス停まで遠い方ですと500メートルほど歩いていただく必要がございました。188系統の新設に伴いまして御自宅のより近くにバス停を設置することができました。このことで特に日中時間帯の御利用が増えておりまして、地域のニーズに応じて気軽に外出をしていただけるようにバス利用の環境を改善できたと考えております。
◆宇佐美委員 交通局が長引くコロナ禍で収益が落ち込んでいることは承知しています。市内で高齢化が極端に進んでいる地域も多く、今すぐにでも同じように団地内を走る路線が欲しいという声が出てくることも明らかです。今後、野庭団地以外に展開する際の課題は何か、伺います。
◎原田自動車本部長 高齢化が進む住宅地や団地にバス路線を新設するなどの場合につきましては、事業の採算性が最大の課題になると考えております。野庭団地の場合につきましては、45系統の乗車人員が令和2年度には10年前の平成23年度に比べまして1日当たり約2000人、約21%減少したことから、45系統の運行便数を減らすことで188系統の原資を捻出いたしました。このようにコストを抑制することによってお客様の利便性を極力維持しながら、新たな取組として実施できたものでございます。他の地域にバスサービスを新たに展開する場合には、その地域のバス路線の状況やお客様のニーズに合わせて交通局の乗務員や車両などの資源を有効に活用できる方策を検討していく必要があると考えております。
◆宇佐美委員 野庭団地の例は大きく路線を変えるということではなく、そして新たにバスを用意したということでもなく、少し通るルートを変えたということで工夫したと、地元の方の声に応えることができた。このようなことができるのはやはり交通局の強みだと思います。庁内では政策局や道路局、都市整備局などが中心となり、本市の地域交通課題の検討を行っているということを聞きました。交通局はどのように関わっていくのか、伺います。
◎三村交通局長 庁内で発足をいたしました今後の地域交通に関する考え方や進め方を協議するプロジェクトに交通局も参画をしておりまして、地域交通の現状と今後の課題について関係の区局と共有をし連携をしてまいります。
◆宇佐美委員 さきの政策局の予算概要に「持続可能な地域交通の実現を図るために、公共交通の根幹となるバスネットワークの維持や、きめ細かな地域内の移動手段の確保に向け、総合的な検討」とあり、多様なニーズに対応するサービスの創出に向けてモデル地域での実証実験を行うとのことですが、都市整備局や道路局とともに地域の総合的な移動サービスの在り方検討に交通局も積極的に関わり、事業者として持っているノウハウを共有していただきたいと思いますがいかがですか、伺います。
◎三村交通局長 私ども交通局は昭和3年の市営バスの開業以来累計で約100億人のお客様に御利用いただいてまいりました市内では最大のバス事業者でございます。長年多くの市民の足を支える中で培ってまいりましたバス事業者としてのノウハウを各局との検討の中で生かしてまいりたいと考えております。
◆宇佐美委員 同じ横浜市内でも区によって状況が違いますし、同じ区内でも状況がまた違います。多岐にわたる課題をすぐに解決できるすべは、それぞれの局が今までばらばらに取り組んできたものを組み合わせればうまくいくかもしれないと思っています。各局と連携してそれぞれの強みを生かして、市民の移動手段の確保と創出に力を入れていただきたいと要望し、次に移ります。
最後に、バス乗務員の休息期間について伺います。
バスは始発の電車に間に合うように早朝から終電、最終電車に乗ってきた方でも最寄りのバス停まで送るために深夜まで走っています。乗務員の皆さんの勤務計画は、乗務員の労働時間の改善を図るため厚生労働大臣が自動車運転者の労働時間等の改善のための基準を設けています。一般的には改善基準告示と言われていますが、この改善基準告示における休息期間、いわゆるインターバルの基準もここで定められています。この中で定められている休息期間の基準について伺います。
◎原田自動車本部長 現行の改善基準告示では、休息期間につきましては、その日の勤務終了から翌日の勤務開始までの間に8時間以上の時間を確保することとされておりまして、交通局ではそれに基づいて勤務計画を作成しております。
◆宇佐美委員 休息期間が8時間。8時間となると、人間は食事もしますし、お風呂で一日の汚れを取り、疲れを取る、家族やペットと過ごすことで気持ちを落ち着かせる。それまでに2時間を要したとして、翌朝1時間かけて、身支度と食事をして30分かけて営業所へ行くとなると、この方の睡眠時間は4時間30分ということになります。8時間しかないというとやはり短い気がしてしまいます。想像しづらいと思うのですけれども、21時まで乗務をし、翌朝5時からでも乗務ができてしまうような運行表をつくることが可能ということです。改善基準告示について働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律の国の附帯決議事項で過労死防止の観点から見直しが求められていますが、休息期間を含めた改善基準告示に対する現時点での国の動きはどうなっているのか、伺います。
◎原田自動車本部長 今委員に御紹介をいただきました国会の附帯決議に基づきまして、バス運転者の改善基準告示につきましては、令和4年、今年の12月に改正、公布し、令和6年4月に施行するということで調整が進められていると聞いております。現在、厚生労働省の労働政策審議会労働条件分科会自動車運転者労働時間等専門委員会バス作業部会のほうで議論されており、休息期間につきましては、当初原則11時間とされておりましたが、その後9時間を下回らないとする案が示されております。また、休息期間のほか、1か月の拘束時間の限度や一日の最大拘束時間等についても議論されていると聞いております。
◆宇佐美委員 今御紹介いただいたように厚生労働省が提案したのは9時間以内と。9時間案を受け入れるというような方向性で行っているような気がしますが、現時点での交通局における休息期間の確保状況を伺います。
◎原田自動車本部長 交通局では、乗務員の勤務作成の際に改善基準を遵守しております。その上で可能な限り休息期間を長く取れるよう努力をしているところでございます。その結果、営業所全体で見ますと、休息期間が9時間以上である場合が約98%、11時間以上である場合が約82%となっております。
◆宇佐美委員 実態としてある程度11時間以上の休息期間が確保できているというのであれば、休息期間を11時間確保するためにさらに必要な課題は何か、伺います。
◎原田自動車本部長 バス事業は、主に朝の通勤通学や夜の帰宅の需要に輸送力を合わせておりますので、その時間帯の仕事量が増えてまいります。また特に比較的朝早くから夜遅くまで運行している郊外部の営業所ほど休息期間の確保は難しくなります。その中で全ての休息期間を11時間以上とした場合、乗務員の勤務形態を大きく変えることになり、現状の運行便数を維持するには乗務員を増員する必要が出てまいります。人材確保が厳しい状況の中で必要人員を確保していくことができるのかが課題となってまいります。また、休息期間を長く取ることになれば1人当たりの労働時間が短くなります。その結果、現在の1か月の所定労働時間を割り込むことも考えられ、給料への影響も考慮する必要がございます。
◆宇佐美委員 どこの企業でも長時間過密労働で朝から晩まで働いていることでバスの運転手さんたちにもそういう負担がいっていると思います。睡眠時間が短いことで心臓麻痺や脳疾患のリスクが高まっていることから、厚生労働省は6時間程度の睡眠が必要と判断しています。そして、通勤や食事の時間も当然考慮し最低11時間の休息期間は確保することと昨年まとめています。欧州連合や国際労働機関ILOの勧告も11時間としています。公が人間らしく働けるルールを率先して実行することは当然の責務と考えます。バス乗務員の休息期間を11時間以上確保することが望ましいと考えますが、見解を改めて伺います。
◎三村交通局長 バスの乗務員が健康な状態で乗務できることは、私どもバス事業者にとって何より大切なことだと認識をしています。そのため私どもバス事業者は、国の定めるルールにのっとって事業を運営しております。改善基準告示が改正された場合には、その内容を遵守していく必要がございます。他方、今回の改正で仮に休息期間が10時間以上ということになりますと、先ほど自動車本部長が御答弁申し上げましたような様々な課題への対応も必要になりますことから、引き続き国の動向を注視していきたいと考えております。
◆宇佐美委員 10時間以上となった場合でも対応できるようなやはり人員確保は必要だと思います。そして改めて、これから国において改善基準告示の改正内容が示されます。やはり民間のお手本となるのが公の仕事でもありますので、率先して実施していただきたいと改めて要望します。
乗務員の皆さんが退職された後も元気に長生きしていただきたいという思いもあります。休息期間の11時間確保のためにできることから始めていただきたいと改めて思いますが、ここは国の動向でもありますので、副市長、改善基準告示を改めて11時間にしていただきたいと思いますが、いかがですか。
◎城副市長 改善基準告示は今は8時間以上ということになっておりまして、それはマストとして今交通局は守っております。その上で11時間以上も82%ということになっておりまして、この先、改善基準告示が変わるということであれば、休息時間の新たな基準が示された場合には、当然バス事業者は改正の内容について従うべきものというふうに認識をしております。コロナ禍でどのバス事業者も非常に厳しい経営環境に置かれておりますが、様々な課題がある中で最大限努力をしていくということになります。
◆宇佐美委員 そこまでいっているのだったらあと一息なのではないかというふうに思います。改めて、本当に働く人たちの命と暮らしを守るという観点でもしっかり基準告示に注意して一緒に取り組んでいきたいと思いますので、よろしくお願いします。
ありがとうございました。
議会での質問・討論(詳細)
2022年3月7日