議会での質問・討論(詳細)
2022年2月25日

文化観光局【北谷まり】 2月25日(金)

◆北谷委員 日本共産党、北谷まりです。よろしくお願いいたします。
質問の前に一言述べさせていただきたいと思います。ロシアによるウクライナ侵略に断固抗議し、直ちに軍事作戦を中止することを求めます。
それでは、質問に入ります。
本市の文化芸術施策には、文化芸術を通じた国際交流機会の創出など国境を越える事業と、市民の文化芸術活動の支援など地域、市民生活に密着した事業があります。行政には、表現の自由、市民の自主性を尊重し文化芸術の本質的価値を大事にして誰もが文化を創り楽しむ権利を支えることが求められていると思います。横浜市民ギャラリーはその一つとして市民に利用されています。関内駅前の旧教育文化センターから西区宮崎町に移転した当初、利用者が減り、また駅から遠くなったことで送迎車が運行されていましたが、アンケートで座席数が少ない、本数を増やしてほしいとの意見が出されていました。2015年の決算特別委員会で私はこの点について改善を求め、その後改善が図られたと伺いました。
そこで、運行スケジュールと車両の改善状況について伺います。

◎野田文化芸術創造都市推進部長 送迎車サービスは平成26年10月より桜木町駅から横浜市民ギャラリーまでの運行を開始いたしました。当初は平日が30分間隔、土日祝日は20分間隔で運行しておりましたが、平成28年5月から運行間隔の改善を図りまして、毎日20分間隔で運行をしております。また同時に、車両を車椅子1台分を含む7人乗りから車椅子乗降用のアーム格納式リフターつきの10人乗りへと更新いたしました。

◆北谷委員 2015年度の来館者に占める送迎バス利用者の割合は8%でしたが、その後の推移を伺います。

◎野田文化芸術創造都市推進部長 平成27年度は委員がおっしゃいましたとおり8%でございましたが、改善後の平成28年度は12%、平成29年度は14%、平成30年度は16%、令和元年度は17%、令和2年度は15%と改善の効果が出ているものと考えております。

◆北谷委員 また、展示室が市民にさらに利用されるよう改善も求めておりましたが、どのような取組がされているのか、伺います。

◎野田文化芸術創造都市推進部長 利用月の1年前の抽せんで利用団体を決定した後の空き枠につきましては、利用促進のためホームページで空き状況を紹介したり、これまでに利用実績のある団体に御連絡をしているというような運用をしております。さらに、展示室の利用は原則としては10名以上のグループとしているところを、平成30年度からは利用日まで半年を切った空き枠につきましては10人よりも少ない少人数の団体や個人でも利用できるという運用になっております。

◆北谷委員 2015年度から令和元年度までの稼働率は平均すると約95%とのことで、コロナ終息後には再び多くの市民の皆さんに利用していただけるようお願いいたします。
また、市民ギャラリーは横浜市立学校文化祭でも利用され、児童生徒の書写展、図画工作、美術作品展などが行われています。学校が利用する場合の予約と利用料金の仕組みなど利用方法を伺います。

◎野田文化芸術創造都市推進部長 学校を含む横浜市が主催する事業の場合には、公益性の観点から、利用を希望する年度の前々年度に利用予約を受け付けることが可能でございます。また、利用料金につきましても5割が減免されます。

◆北谷委員 教育現場からは、旧教育文化センターでの市民ギャラリーに比べて子供たちの作品を限定して展示せざるを得ず、発表の機会が限られているとの声があると聞いています。児童生徒の発表が十分できるよう、また学校利用が制限されることのないようお願いしたいのですが、学校利用を促進するための取組について伺います。

◎神部文化観光局長 市立学校の御利用は先ほど御説明いたしましたように一般の方々よりも前に申込みをいただけるようになっておりまして、学校の希望する日程で御利用いただきやすくなっております。委員御指摘のとおり大変人気の施設ではございますが、学校からの御希望があった場合には教育委員会と連携して利用予約の仕組みなどを丁寧に御説明してまいります。

◆北谷委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
次は、創造界隈拠点の地域再生まちづくりについてです。
初黄・日ノ出町地区はアートによるまちづくりが行われてきました。アーティストが一定期間ある土地に滞在し、常時とは異なる文化環境で作品制作やリサーチ活動を行うアーティスト・イン・レジデンスが実施され、目的として、優れたアーティストの創作、生活支援、地域文化の振興、異なる文化を持つ国や地域とアーティストとの交流、情報や人的ネットワークの促進などが挙げられています。私は、文化芸術による異文化交流、アーティストの育成支援、まちづくりが一体となったこの事業を大切に思っております。創造界隈におけるアーティスト・イン・レジデンスの取組内容と特徴を伺います。

◎野田文化芸術創造都市推進部長 創造界隈拠点の一つでございます初黄・日ノ出町地区に関しましては70室程度の施設で長期、短期での滞在を受け入れておりまして、国内でも有数の規模となっております。地域内に居住、滞在し、防犯パトロールやお祭りに参加するなど地域の方と交流できることが特徴となっております。

◆北谷委員 コロナ禍で人の往来が制限される中での黄金町アーティスト・イン・レジデンスの施設利用やアーティスト採用決定者の状況など現状を伺います。

◎野田文化芸術創造都市推進部長 初黄・日ノ出町地区では、現在コロナ前から長期滞在していた5組の外国人アーティストを含む47組が活動を行っております。コロナ禍にあっても海外から横浜でのレジデンスを希望するアーティストが多く、フランス、ドイツ、中国など12の国と地域、14組のアーティストの採用が既に決定し、渡航制限解除を待って来日予定でございます。

◆北谷委員 世界中から応募があるようですけれども、アーティストの誘致、広報、選考はどのように行われているのか、それぞれについて伺います。

◎野田文化芸術創造都市推進部長 初黄・日ノ出町地区では年に数回アーティストの公募を行っており、公募情報は国内外のウェブサイトやアート団体を通じた広報、アーティスト同士のネットワーク等により海外にも広く発信しております。また、選考につきましては、書類審査のほかアートの専門家と地域の代表による面接を行っております。アーティスト同士や地域との交流を重視するためコミュニケーション力やまちづくりへの関心度についても選考のポイントとしております。

◆北谷委員 滞在しているアーティストの作品の発表はどのように行われるのか、また、これまでに滞在されたアーティストのその後の活躍の状況について伺います。

◎野田文化芸術創造都市推進部長 まず成果の発表機会でございますが、滞在制作のプロセス及び成果を発表するオープンスタジオや個展、多くの来場者が見込める黄金町バザールなど様々な発表機会を提供することで市民の皆様にも気楽に御鑑賞いただく場となっております。また、レジデンスアーティストのその後の活躍でございますが、例えば2009年にレジデンスを行っておりました現代アーティストの淺井裕介さんは、その後国内外のアートプロジェクトに多数参加しているほか、東京都現代美術館をはじめ多くの美術館で作品のコレクションがされるようになっております。レジデンスを経験した数多くのアーティストが様々な賞を受賞するなど活躍の幅を広げているところでございます。

◆北谷委員 アーティスト・イン・レジデンスを行う意義をどのように考えておられるのか、伺います。

◎神部文化観光局長 アーティスト・イン・レジデンスは地域の方が日常的に創造的な活動やアーティストと触れ合える貴重な機会でございます。また、創造界隈拠点でのレジデンスで育ったアーティストが活躍することによりまして、国内外から横浜でぜひ滞在を希望するというアーティストが増えるという好循環も生まれております。未来の創造活動の担い手を育むアーティスト・イン・レジデンスを通じて今後も文化芸術創造都市横浜のプレゼンスを向上させてまいりたいと考えております。

◆北谷委員 文化芸術基本法の前文では「文化芸術は、人々の創造性をはぐくみ、その表現力を高めるとともに、人々の心のつながりや相互に理解し尊重し合う土壌を提供し、多様性を受け入れることができる心豊かな社会を形成するものであり、世界の平和に寄与するものである。」とありまして、本事業は大きな役割を果たしていると思います。引き続き期待をしております。
次は、文化観光施策についてです。
2020年度から20街区MICE施設整備運営事業費約33億円が20年間にわたり必要となりました。同年度、本市が表明したIRの誘致等、今後の環境の変化を見据え横浜市が目指す観光MICEの姿や方向性を示す戦略を策定することとし、それに資する調査を実施しました。前市長のIR誘致表明によって横浜市観光MICE戦略を策定することになったと言えます。パシフィコ横浜は2019年度まで市の支援を受けながらも連続18期黒字決算を達成していましたが、2020年度約23億円の赤字決算となり、運営権対価の支払い繰延べや土地貸付料の据置きなど本市はさらなる経営支援を行っており、観光MICEを取り巻く環境の変化は明らかです。IR誘致からIR撤回への大きな方針転換、現在も続くコロナパンデミックが及ぼす影響などこれらの変化、そして予断を許さない国際情勢をどう受け止めているのか、伺います。

◎神部文化観光局長 まず、長引くコロナ禍でありますけれども、先ほど来るる申し上げておりますが、観光MICEを取り巻く状況は大変厳しい状況にあると考えております。まずはその回復に向けて観光キャンペーンなどによって観光MICE事業者の皆様をしっかりと支えていきたいと考えております。また、IR誘致は中止となりましたが、今後の人口減少社会を踏まえますと、交流人口を拡大して観光MICEの振興を横浜の経済成長につなげていくということは極めて重要なミッションだと考えております。また、コロナ後には観光の都市間競争が激化するということも予想しております。そのため中長期的な視点を持ちながら関係事業者の皆様と議論を重ねて国内外から選ばれる観光MICE都市を目指してまいりたいと考えております。

◆北谷委員 2022年度、局予算約226億円のうち20街区MICE施設整備運営事業の約33億円、予算の約15%を占めておりまして、20年間にわたる総額約370億円の負担は大きいと思います。横浜市観光MICE戦略の策定に向けた調査報告書では、MICE誘致に成功したとしてもその経済波及効果が他地域に流出する産業構造になっていることなどの現状分析がされています。それらを課題として捉えれば市内事業者の育成や人材の育成など取り組まなければならないことが数多くあり、これらの点を踏まえてパシフィコノースの活用を考える必要があると思いますが、今後の活用について伺います。

◎神部文化観光局長 ノース開業時から本市のMICEはコロナ禍の打撃を受けまして、令和3年の市内MICE開催件数はコロナ禍前の約6割にとどまっておりまして大変厳しい状況でございます。まず令和4年度は安全安心なMICE開催支援助成によってコロナ禍でも開催を目指す主催者の皆様を引き続きしっかりと支援するとともに、より多くの参加者の来訪を促して市内経済の活性化につなげたいと考えております。また、国内最大規模の多目的ホールというノースの強みも生かしまして新たな需要を取り込みながら、それをどうやって市内の事業により多く落としていただくかということも検討しながらしっかりと稼働につなげてまいります。

◆北谷委員 2021年12月20日開催の横浜観光MICE戦略ミーティングでは観光MICE戦略は経済政策であるという確認がされたようですけれども、私はそれだけではないと思います。本市国際戦略には重点的な取組として国際交流、国際協力、多文化共生を通じた国際平和への貢献があり、観光MICEはそれを具現するものであると考えます。
そこで、おおむね10年後に目指す観光MICEの姿や方向性を示す横浜市観光MICE戦略に国際平和の推進に寄与するという理念を明確に位置づけて策定するべきだと考えますが、見解を伺います。

◎神部文化観光局長 観光MICEの推進は多様な文化的背景を持つ人々がその土地を訪れて国際的な交流を図るということで相互理解にもつながるものだというふうに考えております。また、国連世界観光機関が提唱いたします持続可能な観光では、経済的な発展に加えまして環境保全や多様性、相互理解などの社会に与える影響を考慮することなども求められております。こうした観光の理念は本市が定めます国際平和の推進に関する条例の趣旨にも合致するものだと考えておりますので、戦略に織り込みながら検討を進めます。

◆北谷委員 ありがとうございます。国連は1967年国を国際観光年として、観光は平和へのパスポートと掲げたこと、また観光立国推進基本法の前文には「観光は、国際平和と国民生活の安定を象徴するものであって、その持続的な発展は、恒久の平和と国際社会の相互理解の増進を念願し、健康で文化的な生活を享受しようとする我らの理想とするところである。」とあります。国際都市横浜としての高邁な精神を表しているのが横浜市国際平和の推進に関する条例だと思います。本市のような条例がある自治体はほとんどありません。重要な戦略だからこそ盛り込んでいただくことを要望いたします。
観光MICEはもちろんですが、文化芸術創造都市施策においても国際交流を通じた国際平和への貢献につながる施策があり、その好事例が日中韓都市間文化交流です。2020年度の予算特別委員会で私も質問をしたのですけれども、前局長は、文化芸術を通じてこれまで培ってきた両都市との友好関係、信頼関係を今後もしっかりと継続していくことに注力していくと言われました。2020年度の交流事業の内容について伺います。

◎松元文化プログラム推進部長 令和4年度は音祭りの開催年であることから横浜では音楽をテーマにした青少年を中心にした交流を実施する方向で考えてございます。一方、中国では今年開催予定の海上シルクロード国際芸術祭での交流、そして韓国では昨年、令和3年度になりますが、オンラインで開催した声楽オーディションの入賞者によるリアルなコンサートを検討しているので、こちらでの交流をやりたいということで聞いております。なお、渡航制限の状況に応じて、これまでここ数年オンラインの活用などをやってまいりましたので、これまでの経験やノウハウを生かしながら着実に交流事業を実施してまいりたいと考えております。

◆北谷委員 引き続きよろしくお願いいたします。文化観光局の施策は全て国際交流、国際平和につながるものであることから、国際平和の推進に寄与するという理念を局の施策に位置づけるべきと考えますけれども、見解を伺います。

◎神部文化観光局長 文化芸術、観光MICEは、国際的な交流や言葉を超えた感動の共有によりまして相互理解の促進に寄与するものだと考えております。また、当局の施策の共通理念といたしまして、人種や国籍を問わず誰もが対等に関わり合える社会の実現を掲げております。この考え方は横浜市国際平和の推進に関する条例の趣旨にも合致するものと考えております。今後もこの理念を大切にしながら施策を進めて世界から選ばれる都市横浜を目指してまいります。

◆北谷委員 市の施策を通じた国際平和の貢献を目に見える形にすることが都市ブランドの向上につながると思います。選ばれる国際都市横浜に向けて、何度も言っておりますけれども、条例、そして1991年に国連ピースメッセンジャー都市会議が横浜で開催されたわけですから、ピースメッセンジャー都市であることを国際局と同様に掲げていただくことを要望いたします。
以上です。


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