議会での質問・討論(詳細)
2022年2月24日

建築局 【岩崎ひろし】2月24日(木)

◆岩崎委員 委員長、スライドの許可をお願いします。
○高橋[の]副委員長 はい、許可します。
◆岩崎委員 それでは、伺っていきます。
 中外製薬戸塚町開発計画の開発許可と防災対策について伺います。
 スライドを使います。(資料を表示)現場は完成に向けて工事が急ピッチで進み、2メートルの盛土が間もなく積み上がります。盛土はこれまであった遊水池状になっているところを埋めてしまいます。そして、水の流れをせき止めます。地元は浸水被害が床下から床上になると心配を募らせています。2018年度予算審査で当時の副市長は、周辺住民から御意見や御要望があればしっかりと受け止め、安心できるよう指導や要請に努める旨の答弁をしています。この答弁に間違いがないか伺います。
◎畠宅地審査部長 渡辺副市長の答弁については、そのとおりの内容と確認をしております。
◆岩崎委員 それでは、2018年度予算審査で総務局長、2017年度予算審査では副市長から、災害対策は最優先順位、横浜市防災計画は上位計画と考えている旨の答弁がありました。この答弁に間違いはないか確認します。
◎畠宅地審査部長 開発許可は、都市計画法に定める開発許可基準により審査を行います。当該基準は宅地に一定の水準を確保させるものであり、当該基準に適合していることを審査、検査することにより防災減災の趣旨に沿ったものになると考えておりまして、上位計画という答弁についても内容は確認をしております。
◆岩崎委員 それでは、浸水想定区域内に高さ2メートルの盛土造成を許可した根拠は何ですか。
◎畠宅地審査部長 浸水想定区域内であることは承知しておりますが、都市計画法に定める開発許可基準には盛土の抑制に関する規定はありません。本件については、開発許可基準に適合しているため許可したものでございます。
◆岩崎委員 18日の予算代表質疑で市長から、戸塚駅周辺における浸水対策の強化として、下水道の整備水準を60ミリ対応に引き上げる旨の答弁がありました。この事業は大変有効なものと評価はしますが、この対策は浸水被害の増大防止対策としては役に立ちません。なぜならば、60ミリの大雨が降れば、浸水が始まるからです。また、整備に時間がかかります。着工から順調にいっても10年以上供用できません。最近は大雨がいつでもあります。供用するまで役に立たない事業であります。
 そこで、確認ですが、60ミリを超える大雨のときは戸塚町地域は浸水の可能性が高まると考えますが、確認をお願いします。
◎畠宅地審査部長 雨の振り方は、空間的、時間的な遍在性があり、降雨時間やピーク雨量も雨によって様々であることなどから、一概に判断することは困難です。戸塚町周辺について整備水準を超える降雨があった場合については、一概には言えませんが、浸水する可能性はあると考えております。
◆岩崎委員 最近の災害の激甚化を踏まえ、国は水害対策の考え方を流域全体で浸水に対策する、このように変えています。治水を管理する道路局はそれを踏まえ、総合治水の考え方として、盛土の抑制や高床式の建物を推奨しています。市として盛土の抑制や高床式建築を事業者に指導、要請したのか、伺います。
◎畠宅地審査部長 開発許可基準におきましては盛土の抑制みたいなものはございませんので、そのような事前の指導はしておりません。
◆岩崎委員 事前だけではなくて、事後も含めてやったかやらないかを聞いています。
◎畠宅地審査部長 横浜市の行政指導として実施はしておりません。
◆岩崎委員 スライドを使います。現場周辺の柏尾川両岸は浸水想定区域に指定されています。この区域には、プロムナード矢部、コンフォール上倉田の大きな団地があります。このどちらも内水氾濫の際に水の流れを妨げないように敷地は盛土せず、団地内道路は周辺道路と同じ高さです。水が上流、北側から、下流、南側に流れるようにしています。また、戸塚区役所ですが、1階は、御覧のように、一般車の一時駐車スペースになっています。旧区役所庁舎は玄関が2階にあります。柏尾川沿いの大きなマンションですが、1階はちょっとよく見えませんが、駐車場と玄関ロビーなどで、居住スペースは造っていません。このように、どの建物も実質的に高床式になっています。さらに、地域にはピロティー方式の個人住宅もあります。
 今紹介した団地内道路と周辺道路との高低差、団地全体の盛土の有無及び新旧区役所、そして、マンションなどの1階部分の形状、用途はどうだったか、伺います。
◎畠宅地審査部長 現場の状況は確認をしております。敷地の造成計画や建築計画は、敷地の有効利用、周囲の状況、建築物の用途に応じた機能、利便性、あるいは、事業採算性などを総合的に勘案して事業者が決めるものでございます。このため、委員が例として挙げた施設につきまして、本市の公共施設は別としまして、どのような意図をもって企画、設計されたものであるか本市は把握しておりません。なお、幾つかの共同住宅について、私も現地を回りましたけれども、1階が居室になっている住宅も幾つかあったと記憶しております。
◆岩崎委員 答弁はややニュアンスが違う面もありますけれども、全体としては写真に写っているとおりのことを現場で見てきてもらったようです。したがって、この地域では、民法第214条の承水義務が守られたまち並みになっています。一方、中外製薬の現場はどうかというと、全面が盛土、敷地内道路はその上に造られます。中外製薬だけが浸水被害を免れるという身勝手な姿になっています。
 そこで、伺いますが、承水義務は民法第214条に定められています。条文の紹介とその説明を求めます。
◎畠宅地審査部長 民法第214条は「土地の所有者は、隣地から水が自然に流れて来るのを妨げてはならない。」と規定されています。これは、隣の土地から自然に流れてくる雨水、地下水などの流れを妨げてはならないことを定めたものと理解されています。本件開発につきましては、周辺が道路等の公共施設に隣接しており、道路には側溝あるいは公共下水道が設けられております。
◆岩崎委員 聞いていないことまで答えなくていいと思うのだけれども、市の開発許可審査の中で、承水義務は全く無視されていると言っていいと思います。さらに、市の審査の中で問題になるのをちょっと言っておきますと、開発許可に先立つアセスメント手続で、環境創造局は何と最も重要な評価項目である浸水項目を除外したと私の質問に対する答弁ではっきり答えています。浸水想定区域で浸水項目を外すなどというアセスメントがあっていいわけがないではないですか。出発点から審査のやり方が本当に間違っていると思います。
 以上見てきたように、本件の開発許可審査は--先ほど説明のあった開発許可基準はほぼ全国共通のものです。災害などというものは、その土地で状況が違うではないですか。そういうことを考えない単なる物差しを当てているだけの審査のやり方が通用すると思っているのですか。開発許可基準に適合かどうかの審査しかしていないと見ざるを得ないのです。防災対策や民法、それから、地元の体験に基づく意見です。こういうものを全く聞かない。常識的、基本的な視点が全くないと言えます。これでは、今回の開発許可審査は全く不十分だったと言わざるを得ません。
 次に、昨年12月、地元から浸水増大防止を求める陳情が提出されました。当局は、開発許可は適法、事業者は基準に基づき雨水対策をしていると冷たい回答をしています。地元の皆さんが、床下浸水が床上に上がってくる、皆さん、この気持ちが分かりますか。地元の皆さんの心情が全然分かっていないではないですか。この点を厳しく指摘しておきたいと思います。そういう点で、今回の審査は市民のほうを向いていない、住民のことを見ていないということを指摘しておきたいと思います。
 そこで、冒頭で確認した指導や要請に努める、防災対策は最優先と考える等の答弁は地元への約束でもあるわけです。これが現在に至るも果たされていません。工事はまだ完了していません。指導や要請を行う時間は残っています。約束を守るため、市は答弁したとおりどう行動するのかお答えください。
◎鈴木建築局長 これまで今日も何度も御答弁させていただいているように、市民の皆様の安全安心を確保していくというのは、我々建築局に課せられた大きなミッションだと受け止めておりますし、そのような認識を持って業務に当たっております。本件で言いますと、そういうことを踏まえてこれまで何度も御答弁しているとおり、指導、協議の結果、雨水調整池等の浸水対策を事業者にやってもらってきているという経緯がございます。
 また、先ほど紹介のあった渡辺副市長の答弁等々は私も全部確認いたしました。先ほど御紹介いただいた答弁の続きがございまして、基本的には行政としてそのことを踏まえて対応しますが、それぞれの法律の個別の規定がございますのでそれに沿って適正に進めていくという答弁もさせていただいているところでございますので、開発許可という制度の中では、最終的には法律の規定に沿って進めていくというのが原則でございます。今後、我々の行動といたしましては、許可した内容が適正に現場で実行されるかどうかを審査、検査していくことでございます。
◆岩崎委員 何度も答弁しているとおっしゃいますが、何遍答弁してもらってもちゃんと市民の安全が守れないから私は何回も同じことをやっているではないですか。十何回もやっているのです。これでは地元の安全が守れないのです。それをどうするかと聞いているのです。これは答えてください。
◎鈴木建築局長 私の認識と今後の行動につきましては、ただいま発言したとおりでございます。
◆岩崎委員 建築局は防災のこともちゃんと考えて行動しないといけないというのは今確認したではないですか。全然考慮されていないでしょう。
 建築局長とやっていても切りがつかないので、副市長にお願いします。副市長は、庁内全体を総合的、俯瞰的に見て各部署を指導しています。特に平原副市長はこの問題は最初から関わってこられた副市長だと思っています。副市長はどう考えておられますか。
◎平原副市長 今建築局長から御答弁申し上げましたとおり、横浜市としては、市民の皆様の安心安全を守ることは最も大事なことだと私も認識しております。横浜市防災計画が上位計画かというお問合せもございましたけれども、あらゆる点で防災のことを意識しながら私どもは取り組んでいかなければいけないと思っておりますが、開発許可基準につきましても一定の防災の角度からの基準は入っているわけでございまして、その基準に沿った形で我々は審査をし許可を下ろしているということでございます。今後、現場のほうはしっかりと許可したとおりにできているのかどうか確認していきたいと思います。また、この開発とは別の話になりますけれども、先ほど雨水幹線の整備の話もございましたが、ほかの公共施設の役割の中で、戸塚駅周辺の浸水対策は着実に進めていきたいと考えております。
◆岩崎委員 何回聞いても副市長も同じことしか言わないです。開発基準だけ当てにして市民の命が守れるのだったらいいですけれども、それは全国共通の基準でしかないのです。
 そこで、副市長に引き続き聞きます。本市や大企業である中外製薬は民法や社会的常識を守らなくてもよいと市は考えているのですか、ちゃんと答えてください。
◎平原副市長 そんな極端なことは言っておりません。
◆岩崎委員 言っていないではなくて、どういうふうに思っているのですか。
◎平原副市長 横浜市も当然、市民の安全を守らなければいけないということは、先ほどから申し上げてきております。また、中外製薬という企業も自分たちの企業の活動の中でしっかり社会の役割を果たしていくという使命はあるものと考えております。
◆岩崎委員 副市長は今回の開発許可審査の全経過を振り返って、改善点、反省点は何か感じることがあるのですか、ないのですか。
◎平原副市長 基準に沿って適正に処理されていると考えております。(「ひどいね」と呼ぶ者あり)
◆岩崎委員 盛土工事はまだ完了していません。現状地盤維持に代わる方策を考える時間はまだ十分あります。今からでも遅くありません。事業者側に指導、要請すべきと思いますが、その意思はどうですか。
◎平原副市長 先ほど申し上げましたけれども、私どもの基準の中に沿った計画になってございますので、私どものほうからここを直せというところは今の段階では特にございません。
◆岩崎委員 このまま工事が完了すれば、地元は救われません。そういう状態をつくったのです。市として、浸水被害増大の防止のために最善の努力をするのは当然だと思います。このことを求めて、終わります。


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