◆河治委員 日本共産党の河治民夫です。よろしくお願いします。
委員長、スライドの使用許可をお願いします。
○遊佐委員長 はい、どうぞ。
◆河治委員 最初は、山下ふ頭再整備についてです。
47ヘクタールある山下ふ頭は、これまで横浜市山下ふ頭開発基本計画に基づき再整備が進められています。2019年、前市長がIRカジノ誘致を決めるも、市民の大きな反対運動により山中市長の誕生でIRカジノ誘致撤回となり、本当によかったと思います。これからの再開発整備は、横浜の貴重な財産として市民の期待に応えられるように進めてほしいと思います。そこで、これまでの事業を確認していきたいと思います。
山下ふ頭の再整備について、倉庫移転など事業進捗について伺います。
◎新保山下ふ頭再開発調整室長 土地につきましては、約47ヘクタールのうち、民有地が約0.5ヘクタール、国有地が約1.5ヘクタール、残りが市有地となっております。また、建物につきましては、民間倉庫、事務所などが8棟、市有上屋が7棟、その他荷さばき地で荷役等の作業が行われています。
◆河治委員 移転も相当進んでいるのだと思うのですけれども、進捗状況を具体的に教えてください。
◎新保山下ふ頭再開発調整室長 進捗状況は、今の答弁に加えまして、民間倉庫で移転等をいただきまして既に取り壊されて更地になったのが10棟ございます。現在取壊し中の倉庫が2棟ということでございます。
◆河治委員 これまでの事業費の総額や推移、またかかった費用はどうなったか、また事業費はどのように回収するのか、伺います。
◎新保山下ふ頭再開発調整室長 物流施設の移転など開発用地の造成に要する費用は、特別会計で市債を発行して経理しており、平成28年度から債務負担分を含め約340億円を執行しています。また、既に執行した額を含み、山下ふ頭全体で約470億円を見込んでいます。なお、市債の償還については、土地の貸付料収入または売却収入を財源と考えており、事業化後、令和27年度までに償還を完了する予定です。
◆河治委員 発行された市債の償還はまだ全然始まっていないのですか。
◎新保山下ふ頭再開発調整室長 まだ始まってございません。
◆河治委員 令和3年12月23日から令和4年6月30日までの期間に市民意見募集が始まりました。募集アンケートは、市民意見募集と事業者提案が同時進行です。
市民意見はどのように担保されるのか、伺います。
◎新保山下ふ頭再開発調整室長 2つの募集を並行して進めることで、募集後に開催する地元団体の代表者、有識者等で構成する委員会において、市民意見を反映させた、かつ事業成立性の高い新たな事業計画案の策定が可能となります。また、事業計画案については改めて意見募集を行うなど、市民の皆様の御意見を反映させた事業計画となるよう取り組んでいきます。事業の実施に向けては、その計画に基づき開発事業者の募集を行います。
◆河治委員 スライドを御覧ください。(資料を表示)意見募集アンケートのパンフレットに示された都心臨海部の配置とみなと交流軸、結節点の配置イメージです。次は山下ふ頭マスタープランです。今表示のスライドは、アンケートパンフレットにも示されている山下ふ頭マスタープランです。これは2015年、平成27年9月に策定された山下ふ頭開発基本計画に記載されているものと同じものです。実は、このスライドの写真の下には次のように書かれています。このマスタープランは、今後まちづくりを進めていく上での羅針盤となるものですとあるわけですけれども、これでは意見があってもマスタープランに示された範囲内でしか意見が言えないことになりませんか。
◎新保山下ふ頭再開発調整室長 今回、このマスタープランを基本に考えていきますが、市民の皆様から様々な御意見をいただいた上で、必要に応じて計画の見直しなども検討していきたいと考えております。
◆河治委員 こういった文言があると、なかなか意見も出しにくくなるのではないかと私は思います。開発事業提案者の登録資格要件として、1つは純資産10億円以上かつ設立後5年を経過していること、2つは過去10年間に敷地面積1ヘクタールかつ延べ床面積3万平方メートル以上の複合開発に携わった業者、実績を有することとあり、このいずれかの要件をおおむね満たすこととあります。令和4年1月27日付で横浜港ハーバーリゾート協会から市長宛てに山下ふ頭開発開始に際しての要請がありましたが、どのような内容だったのか、また、どのように対応されたのか、伺います。
◎新保山下ふ頭再開発調整室長 1月27日にいただいた市民意見募集等の白紙撤回、社会情勢を踏まえた事業の推進、新たな事業計画の検討手順などの各要請について、2月4日に市民の皆様の御意見をしっかり受け止めていくため、今回の意見募集を続けていくこと、社会情勢に十分配慮すること、市民、地元団体の意見を反映し取り入れて検討していくことを回答させていただきました。
◆河治委員 もっと詳しく丁寧に説明してください。
◎新保山下ふ頭再開発調整室長 いただいた要請はトータルで7項目あるのですが、ハーバーリゾート協会様からまず私が先ほど申し上げました3項目についての回答をということをいただきましたので、それについて回答させていただいたというところでございます。
◆河治委員 要請書は突然の開発意見募集に対しての抗議とも感じられるものでした。こうしたことに対してもハーバーリゾート協会は納得されたのでしょうか。
◎新保山下ふ頭再開発調整室長 引き続き丁寧に御説明をしていきたいと考えております。
◆河治委員 ということは、納得されていないということですね。
◎新保山下ふ頭再開発調整室長 納得いただけるように引き続き丁寧に対応していきたいと考えております。
◆河治委員 スライドを御覧ください。アンケートに示された今後のスケジュールです。市民意見や事業者意見を募集し、結果取りまとめ、公表を行い、2030年頃の共用開始となっていますが、あまりにも拙速過ぎるのではないかと思いますが、どうでしょうか。
◎新保山下ふ頭再開発調整室長 市民意見や事業者提案の募集に当たっては、一定のスケジュール感をお示しすることが必要です。そのため、事業化までおおむね5年程度、事業化後の整備期間を踏まえ2030年ごろの供用を目標といたしました。市民の皆様に御理解、御納得いただけるような再開発を実現することが重要と考えており、事業スケジュールは今後の検討の中で設定していきます。
◆河治委員 次のスライドを御覧ください。(資料を表示)埋立事業会計の基本的な考え方を説明してください。
また、埋立事業会計の廃止についても説明してください。
◎中野港湾局長 埋立事業会計で行う臨海部土地造成事業でございますけれども、港湾計画などで定めた土地利用計画に基づきまして、主に公営企業債の発行により事業資金を調達いたしまして、海面の埋立てにより臨海部に土地を造成する事業でございます。道路、上下水道等の基盤整備を行った上で民間企業に分譲するものでございます。
◆河治委員 そのスライド、埋立事業会計は事業廃止になるわけですけれども、会計内の赤字が579億円と示されています。その内容を説明していただけますか。
◎中野港湾局長 これは現地に入りまして、大水深のため護岸建設費が計画以上に多額になったこと、それから南本牧ふ頭に廃棄物処分場がございますが、こちらの延命化を2ブロック処分場から5ブロック処分場に移すまでの間のタイムラグをなくすための延長ですとか、公共建設発生土の減少に伴いまして事業期間が長期化いたしまして公債費が増加したということ、それから、地価の大幅な下落によりまして土地の売却収入が減少した、そういったことが原因でございます。
◆河治委員 赤字579億円のうちこれまで一般会計で補填した金額は幾らでしょうか、また、残りは幾らか、伺います。
◎中野港湾局長 補填はまだでございますけれども、今後、このうち半分程度を緑地、八景島ですとか臨港パーク、それから日本丸メモリアルパークといった土地を有償所管換えいたしまして、そのうちの一部は所管換えをしておりますけれども、残りは現金で補填していただくということになっております。
◆河治委員 南本牧事業の赤字が一番大きいわけですけれども、南本牧事業において事業費が予定額を増大したのか、それとも事業収入が不足だったのか、その原因は何だったのか、教えてください。
◎中野港湾局長 これは、先ほど申し上げましたとおり両方でございまして、事業費がかかったこと、公債費がかかったこと、それと併せて、売却収入が当初の見込みよりも土地の下落によりまして大分減ってしまったということでございます。
◆河治委員 次のスライドを御覧ください。これは南本牧です。南本牧ふ頭の整備方針はどうだったのか、岸壁整備分、埋立事業会計、廃棄物処理に関わる会計、一般会計との関連を説明していただけますか。
◎中野港湾局長 南本牧ふ頭は、大水深高規格コンテナターミナルの整備、そして総合物流拠点の形成、市民生活から発生する一般廃棄物、公共建設発生土等の長期的、安定的受入れを目標として整備を行ってきたものでございます。そして、埋立事業会計と一般会計の区分けでございますけれども、真ん中の点線に書いてありますとおり、左側が一般会計、コンテナターミナルなどは一般会計で整備しております。また、右側の部分につきましては埋立事業会計で整備しておりますけれども、第2ブロック、それから5-2ブロックは、廃棄物処分場の建設に必要な部分のみ一般会計に負担していただいている状況でございます。
◆河治委員 前のスライドに戻ります。南本牧では1306億円の赤字になり、埋立事業会計全体で最終的には579億円の赤字になります。市民の税金を投入することになるということなのですけれども、財政が厳しいということが繰り返されています。こうした中で大きな赤字をつくることになります。局長の見解を伺います。
◎中野港湾局長 社会情勢の影響を受けたとはいえ、一般会計から579億円という多額の支援をいただくことになってしまったということについては十分に認識しなければならないと思いまして、これはきちんと、港湾局として今後の事業にもこういったことを十分認識して進めていきたいと思っております。(「過大な見積りだったんだよ、もともと」と呼ぶ者あり)
◆河治委員 令和4年度決算では、市長の公約3つのゼロについては公約実現の方向性も予算計上もできなかった最大の理由が財源がないことと認識しています。こうした中で、このような大穴は一体誰がつくったのか、(「そうだ」と呼ぶ者あり)応援した人たちも問われると思います。(「そうだ」と呼ぶ者あり)副市長、市民も含めて見解を伺います。
◎平原副市長 港の各埠頭でございますけれども、物流施設等々、港湾機能として必要だということで今まで事業を進めてまいりました。先ほど局長から説明したような事情によって目論見が少しずれたところはございますけれども、(「少しじゃない」と呼ぶ者あり)港湾機能としての必要性は今後も続くと思いますので、今回の埋立事業会計の原因についてはよく分析した上で今後の事業に生かしていきたいと考えております。
◆河治委員 後ろから、盛んに過大見積りだと、エールというか激励というか(私語する者あり)--ということで、次は、新本牧ふ頭整備についてです。
スライドを御覧ください。(資料を表示)新本牧ふ頭の計画概要と配置です。赤い第1地区は施工主体が横浜市で約40ヘクタール、第2地区は国の直轄事業で約100ヘクタールとなっています。この新本牧ふ頭の整備方針について説明してください。
◎中野港湾局長 赤い色の第1期地区につきましては本市が約40ヘクタールの埋立てを行いまして、高度な流通加工機能を有する高機能な倉庫の集積によるロジスティクス拠点を形成いたします。第2期地区は国が50ヘクタールの埋立てを行い、水深18メートル以上、岸壁延長1000メートルの大水深高規格コンテナターミナルを整備するものでございます。
◆河治委員 次のスライドを御覧ください。これは、現行の港湾計画、平成30年代後半における取扱貨物量を示したものです。現港湾計画の目標と実績、これは事前通告しているわけですから、スライドの内容を説明してください。
また、横浜港統計年報では、取扱いされている海上出入貨物量もコンテナ取扱量も実績が目標を大きく下回っていることが示されています。取扱貨物量が少ない理由についても説明してください。
◎中野港湾局長 この表は平成26年に改定いたしました港湾計画の平成30年代後半を目標年次といたしますコンテナの取扱量でございまして、いろいろ数字が書いておりますけれども、目標としては520万TEU、520万個を目標としているところでございます。最近の令和2年の実績では、266万TEUにとどまっている状況がございます。
実績が伸び悩んでいる理由でございますけれども、平成20年代後半からは中国経済の減速などの影響を受けておりましたけれども、平成30年頃には回復の兆しもございました。しかしながら、令和2年の新型コロナウイルス感染症拡大による世界的な景気の低迷による影響を受けまして、そこが非常に大きくて、今後、取扱貨物量の増加に向けて集荷、創貨、競争力強化の国際コンテナ戦略港湾施策の取組を進めていきたいと思っております。
◆河治委員 次のスライドを御覧ください。先ほど述べました横浜港統計年報の海上出入貨物の推移です。先ほどお話のあった港湾計画で示された目標は、赤い破線で示しています。目標は全く届かず、逆に取扱量は後退しています。このスライドはコンテナ取扱個数の推移です。これも目標を赤い破線で示しています。コンテナ取扱量の目標ははるかかなたという状況です。2020年8月物流業界ニュースでは、日本を含め世界中にコロナ禍が広がった、生産・消費活動は低迷し企業は新業態でのビジネスモデルの転換を余儀なくされ、物流もその波に巻き込まれているとあります。
そこで、コロナ後の物流動向の状況と認識について伺います。
◎中野港湾局長 国際通貨基金IMFの経済見通しによりますと、令和5年の実質GDPの成長率は、中国で5.2%、東南アジア諸国では6%など、高い伸び率が予測されておりまして、中国や東南アジア諸国の貿易の活況が見込まれております。これらの国や地域は横浜港の貨物取扱主要国でもあることから、今後の貨物量も大幅な増加が期待できます。今回、コロナが一旦収まったときにも米中のコンテナの流通が多くて、コンテナの箱不足が非常に問題になりましたけれども、コロナが一旦落ち着いてくればかなり増えていくのではないかと思っております。ただ一方で、ウクライナ情勢に伴う世界経済の影響については注視していく必要があると思っております。
◆河治委員 気候変動危機打開のためCO2を削減するための地産地消の強化や、コロナ禍による経済の後退でさらに物流が後退する、そのように私は感じます。こうした中、これまでコンテナ船が大型化している、貨物量を増やす、取扱量を増やすには船主に港を選んでもらわなければならないとのことで、南本牧ふ頭などが整備されてきました。しかし、実態はそうではありません。先ほどもグラフのことでお示しいたしました南本牧MC-1の供用開始は平成13年4月、フルオープンは令和3年4月です。そこで、伺いますが、大型港湾施設の整備で貨物量が増えたと言えるのでしょうか、丁寧に説明してください。(「そうだ」と呼ぶ者あり)
◎中野港湾局長 令和2年7月に、我が国最大の水深18メートル岸壁を備える南本牧ふ頭MC-4コンテナターミナルが完成いたしました。また、令和3年4月にはMC-1から4、4つのコンテナターミナルの一体運用により、多方面の航路の船舶が船型やスケジュールなどに応じて施設全体を柔軟に利用できる画期的な運用が実現しております。その結果、全面供用前と比較いたしまして、北米との基幹航路が1航路、10万トン以上の超大型船着岸数が約2割、コンテナ取扱個数が約4割、国際積替え貨物が約5割増加しております。
◆河治委員 全体としては、そこに示すように、コンテナ貨物は目標からはるかかなたにしか見えないのです。新本牧ふ頭においては、1期地区想定事業費は900億円、うち本市負担分は200億円、2期地区想定事業費は2300億円、うち本市負担800億円、合わせて本市の負担割合は31%を超えることになります。国策に沿い国直轄事業で整備する大型港湾施設が横浜市の財政を圧迫しているように思うのですが、局長の見解を伺います。(「そうだ」と呼ぶ者あり)
◎中野港湾局長 まず、第1期地区の本市が整備するロジスティクス拠点の部分でございますが、臨海部の倉庫需要というのは非常に多く起きてございまして、先ほどお話もありましたが、リニア中央新幹線の工事において首都圏区間のトンネル掘削土砂を埋立てに活用するということで、受益者である東海旅客鉄道株式会社から600億円を負担していただいております。また、土地の埋立ては建設発生土の受入れ料金で賄ってまいります。また、コンテナターミナルを国で整備を行う第2期地区ですが、これについては港湾法で本市が負担する直轄負担金がございますけれども、これはコンテナターミナルの国有化に伴う土地の売却収入を充てるとともに、直轄負担金の軽減につきまして引き続き国に要望してまいりたいと考えております。(「国策としても間違っているときはやめるんだよ」と呼ぶ者あり)
◆河治委員 先ほども話がありましたが、本市が国に対し国直轄事業に対する地方負担の軽減を要望していることは承知しています。負担割合についてももっと減らすよう求めることが必要ではないでしょうか。再度、見解を伺います。
◎中野港湾局長 ずっと昔から要望はしておりまして、岸壁の部分につきましては3分の1から10分の3に若干減ったというところもありますが、引き続き、これは強く、根気よく要望していきたいと思っております。
◆河治委員 国策で京浜地区の拠点港湾に位置づけられたものであっても港湾管理者の横浜市が整備について同意しなければ事業化できないわけで、財政を大きく圧迫させ、貨物量も目標から大きくかけ離れている現状においては横浜市のさらなる負担を抑制するためにも方針を変更し、事業の見直しを強く求めて、質問を終わります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)
議会での質問・討論(詳細)
2022年3月4日