議会での質問・討論(詳細)
2021年10月15日

■港湾局(北谷まり)10月15日(金曜日)

◆北谷委員 日本共産党北谷まりです。どうぞよろしくお願いいたします。
 副委員長、スライドの使用許可をお願いいたします。
○長谷川[琢]副委員長 どうぞ。
◆北谷委員 まず、クルーズ客船受入れについてです。
 2016年3月に明日の日本を支える観光ビジョンで政府が掲げたのは、訪日クルーズ旅客を2020年に500万人という目標でした。この目標の実現に向けて国から示されたことがあったのかどうか、あるとすれば何だったのか、伺います。
◎中野港湾局長 500万人の目標に向けて、国から例えば割当てでありますとかノルマのような具体的に示されたものはございませんが、公民連携によるクルーズ船受入れ施設整備のための港湾法の改正、あるいはトイレ改修や空調施設の設置等の上屋の改修、屋根付通路・テント購入等を対象とする受入れ環境整備に関する補助制度の創設がございました。
◆北谷委員 国の目標実現のための施策である短期間で効果的な国際クルーズ拠点の形成を図るための国際旅客船拠点形成港湾に横浜市は手を挙げました。2017年7月に指定を受け、12月に策定した横浜港国際旅客船拠点形成計画を基に本市は施設整備等を進めてきました。
 横浜市が国に提出した横浜港国際旅客船拠点形成計画で定めた目標を伺います。
◎中野港湾局長 国際旅客船拠点形成港湾とは、公民連携によるクルーズ船受入れ施設整備のための制度でございます。拠点形成計画はその制度への申請書の一部でございまして、その中で客船寄港回数の目標値を記載することとなっておりまして、目標値として2019年の客船寄港回数を200回としております。
◆北谷委員 その目標は達成できたのでしょうか。
◎中野港湾局長 2019年の客船寄港回数は188回でございました。これは横浜港における過去最高の寄港回数でしたが、東京湾周辺に記録的な高波や暴風雨をもたらして被害をもたらした台風15号、19号の影響がございまして、残念ながら目標達成には至りませんでした。
◆北谷委員 スライドを御覧ください。(資料を表示)2017年のクルーズ船による外国人入国者数約250万人、右側のグラフです。2020年に500万人という国の目標は3年間で倍増させるということになりますが、2018年、2019年と連続して減っています。また、国内クルーズ人口もそれほど増えていません。左側のグラフです。国の目標も、それに合わせて定められた市の目標も、コロナ禍による打撃などを考慮したとしても妥当だったのか、大いに疑問です。これまで日本共産党横浜市会議員団は大型施設整備に対して過大投資であり、国と一体となった巨大な箱物ありきの施策に突き進むことは地方自治の主体性を放棄し問題だと指摘してきました。検証が必要だと思います。
 2020年度本市は、東アジアのクルーズ客船発着拠点としてワールドクラスのクルーズポートを目指し、クルーズ客船の受入れ強化、受入れ機能強化を進めるとしてきました。ところが、2020年1月20日に横浜港を出港し香港、ベトナム、台湾などを巡って横浜に戻ってきたダイヤモンド・プリンセス号で起きた新型コロナウイルスの集団感染、その後のパンデミックによって状況は一変し、2020年の訪日クルーズ旅客数は約12万6000人でした。
 そこでまず、ダイヤモンド・プリンセス号の対応を踏まえた教訓とその教訓を生かしたクルーズ船の感染症対策について伺います。
◎中野港湾局長 教訓でございますが、大きく3つございまして、1つ目はクルーズ船内で感染者を出さないこと、2つ目は感染が判明したら隔離を徹底すること、そして3つ目は早期に感染者を特定することなどでございます。これらを踏まえた本市の受入れ条件としましては、1つ目は乗船前にPCR検査を実施するということ、2つ目は感染者発生時の隔離及び他の乗客の自室待機、3つ目は船内で検査できる体制の整備としてございます。
◆北谷委員 ダイヤモンド・プリンセス号は英国船籍で、船会社は米企業、国際法上感染症対応に関する責任の所在については曖昧であったことが指摘されています。
 次のスライドを御覧ください。今年3月、専門家から外務省に観光旅客船内における感染症の拡大の予防及び感染症が拡大した際の国際的な対応の在り方に関する調査研究業務報告書が提出されました。この中では信頼できる港湾、信頼できる船舶が述べられています。
 国際クルーズ再開への課題認識と本市の取組を伺います。
◎中野港湾局長 国際クルーズの再開に当たりましてまず1番は、検疫の体制、検疫方法の明確化。そして2つ目が、先ほどこちらにもございますとおり、船会社の国籍、それから船籍国、寄港する港の国、それぞれの感染症発生時の対応ですとか責任のルールづくりも必要だと思います。さらに、国の国際クルーズ受入れガイドラインの策定も課題でございます。本市としましては、現在、国際クルーズの早期再開に向けまして港湾管理者の立場で国や船会社等と協議を行っているところでございます。
◆北谷委員 市民が安心して客船の寄港を受け止められるようにしっかりと役割を果たしていただきたいと思います。
 現在、クルーズ船の運航が少しずつ再開されているとのことですが、本市受入れの現状と特徴、また今後の予約状況、見込みはどうなっているのか、伺います。
◎中野港湾局長 現在は、国内のクルーズ会社が感染症対策を十分に行った上で、船内の感染症発生を防ぐため万全を期しまして3泊4日程度にとどめたショートクルーズを運航しております。予約につきましては、国内だけではなく海外の船会社からも多数いただいておりまして、現時点では仮のものも含めて2022年で約280件の予約をいただいているところでございます。
◆北谷委員 まだ確定はなかなか難しいと思います。引き合いといいましょうか問合せの件数だと思いますけれども、2025年、先ほどの計画で230回の目標ということを出しておられますけれども、これに関してどう考えておられるのか、伺います。
◎中野港湾局長 このまま緊急事態宣言も解かれて、それから諸外国のようにワクチンパスポートでありますとか検査の証明書があって本格的に国際クルーズが再開すれば十分、もう今でもそういう回数を予約いただいているものですから、いけるのではないかと考えております。
◆北谷委員 楽観的に見たいのですけれども、現状も将来の見込みも決して楽観できる状況ではないということは言えると思います。
 さて、次のスライドを御覧ください。記者発表が昨年ございました。2020年度から横浜港は7隻同時着岸を可能とし、5月6日には6隻同時着岸を予定していました。また、過去最高となる約270回の寄港と経済波及効果約284億円を見込んでいました。
 そこで、直接経済効果と経済波及効果の算出方法を伺います。
◎中野港湾局長 まず、直接の収入としましては、岸壁の使用料が船の大きさは1トン当たり10.05円、それから入港料は1トン2.7円となっています。これを船の大きさに掛けて直接の収入を計算する形になります。それから1隻当たりの経済効果は、日本客船の国内クルーズで1隻1回当たり約6200万円、外国客船による平均的なアジアクルーズで約1.2億円と推計しております。
◆北谷委員 それでは、2020年度の寄港実績、直接経済効果の額、経済波及効果の額、伺います。
◎中野港湾局長 2020年の寄港実績は39回でございます。コロナの関係もありまして、それにとどまっております。直接収入であります入港料及び岸壁使用料は約600万円でございます。経済波及効果につきましては、全て日本客船でございますので、39回の寄港ですと約24億円と推計しております。
◆北谷委員 2014年から新港9号客船バース等整備事業が始まりまして、2019年に供用開始となりました。周辺施設の整備も行われましたけれども、事業費の総額と財源を伺います。
◎中野港湾局長 新港9号岸壁は、客船の受入れだけではなく、災害時に都心部における緊急物資の受入れ拠点とするため耐震強化岸壁として整備してございます。整備費は総額で約50億円でございまして、そのうち国費が約24億円、残りが市費でございます。
◆北谷委員 それでは、大黒ふ頭、大さん橋ふ頭、その他の整備費の総額と財源を伺います。
◎中野港湾局長 大黒ふ頭客船ターミナルの整備費は約10億円でございまして、そのうち国費が約3億円でございます。また、客船ターミナルに加えてもう1隻の超大型客船を受け入れるために物流上屋の改修を行っておりまして、空調等の設置費として約1億5000万円、そのうち国費が約4000万円でございます。平成14年に完成をいたしました大さん橋国際客船ターミナルの整備に係る事業費は約250億円でございまして、そのうち国費は約22億円となっております。
◆北谷委員 7隻同時着岸可能とするために必要だったことが何だったのか、伺います。
◎中野港湾局長 7隻同時着岸には大さん橋、新港ふ頭、大黒ふ頭のほか、山下ふ頭及び本牧ふ頭の既存の貨物岸壁や上屋を活用するため、テントなどの購入を行いました。また、埠頭を利用する港湾関係者や税関、出入国管理局、それから検疫所、海上保安庁等の関係機関との調整を行いました。
◆北谷委員 大変な投資、それから人と時間等をかけてきたわけですけれども、今やはりこういう状況の中で、インバウンド頼みの観光、それからクルーズ振興策、仕切り直しが求められています。私は国際観光の世界に約10年おりましたけれども、世界のどこかで何かが起これば真っ先に影響を受け、回復は最後という、本当にシビアな世界です。しっかりとした調査を行って、横浜市が主体となって着実な施策を展開すべきであるという点を指摘しておきます。
 次は、山下ふ頭再開発についてです。
 山下ふ頭再整備事業は2015年策定の基本計画に基づき2016年から始まりましたが、現況を伺います。
◎中野港湾局長 まず土地につきましては、全体の約47ヘクタールのうち、民有地が約0.5ヘクタール、それから国有地が約1.5ヘクタール、残りが市有地となっております。建物につきましては、民間倉庫、事務所等が8棟、市有の上屋が7棟、その他荷さばき地で荷役等の作業が現在も行われております。それから、暫定利用につきましては、現在、山下公園側の約1ヘクタールの土地に連節バスベイサイドブルーなどが発着する交通広場として活用しておりまして、それに加えて海沿いの約1ヘクタールの土地では動くガンダムが公開をされております。
◆北谷委員 これまで実施してきた事業の内容、事業費と財源構成を伺います。
◎中野港湾局長 物流施設の移転など開発用地の造成に要する費用は、特別会計で市債を発行して経理をしておりまして、議決いただきました債務負担分を含めて約340億円を執行しております。また、暫定利用の事業費は、交通広場の整備に係る舗装、フェンス等の工事費、それから待合施設の、これはプレハブのリースになっていまして、リース料、それから警備費を一般会計で約2億円執行してございます。
◆北谷委員 移転補償に要する費用について伺います。
◎中野港湾局長 既に執行をした額を含み、山下ふ頭全体で約470億円を見込んでおります。
◆北谷委員 執行額はどのぐらいなのでしょうか。また、令和2年度についてもお願いします。
◎中野港湾局長 執行額は340億円でございます。令和2年度は決算ベースで5.4億円でございます。
◆北谷委員 これまで、民間事業者による開発が可能な環境を整えるため倉庫等の移転補償等を着実に進めます、また、埠頭全体で移転協議を促進するため未調整の倉庫等について建物調査を実施しますとしてきました。IR誘致撤回となり新たな計画を策定することになった今、移転などの事業は凍結すべきと考えますが、見解を伺います。
◎中野港湾局長 今後、山下ふ頭の権利者、それから市民の皆様、有識者、民間事業者等様々な方々から幅広く御意見を伺いながら新たな事業計画を策定してまいりますが、その中で残った倉庫等の移転スケジュールにつきましても整理をしていきたいと考えております。
◆北谷委員 スライドを御覧ください。(資料を表示)日本共産党横浜市会議員団は6月にカジノなしの山下ふ頭再開発と題したオンラインシンポジウムを開催しました。元横浜国大教授で神奈川区に事務所を構えておられる建築家の山本理顕氏は、世界の歴史的な観光地は全て住民自らの経済活動によって生み出されたもので、住民たちがつくり上げた魅力的な環境が多くの観光客を引き寄せていると指摘し、横浜の中心部にある山下ふ頭を2万人が住み、働く上下2層の空中都市にしていくことを提案されました。また、中区在住の横浜港ハーバーリゾート協会水上裕之氏は、山下ふ頭の再開発はそこで働く人や市民の意見を酌み取り、夢、希望、楽しさを託せるものでなくてはならない、物流の観点から見て山下ふ頭は重要な拠点、物流の拠点にしつつ住宅も造っていく、水素ステーションや給食センターなど市民が求めているものを造ろうと提案されました。また港湾で働く方、市民の皆さんからは、横浜港の歴史と未来へ向けて魅力が詰まった開発をとの声や、防災施設、海洋公園、医療施設、スポーツグラウンドなど、市民の憩いの場など、たくさんの意見、提案が寄せられました。市民の声に応えてより丁寧に市民の声を聞き、透明性を担保した上で検討を進めていただくよう改めて要望いたします。
 最後は、働きやすい環境に向けた取組についてです。
 ジェンダー平等の観点からです。従来男性ばかりだった分野に女性が進出することは歓迎され、推進には環境整備が求められています。港湾で働く女性も増えており、働く方々から出されていた女性専用トイレ設置の要望については、日本共産党横浜市会議員団としても長年にわたって当局に働きかけをしてきました。
 まず、これまでの設置の実績を伺います。
◎中野港湾局長 埠頭で働く方々の声を伺いながら、男女共用トイレやトレーラーの待機所の付近に、令和2年度に17か所、それから令和3年度に3か所、合計20か所の設置を行いました。
◆北谷委員 女性専用トイレの設置完了ということでよろしいのでしょうか、伺います。
◎中野港湾局長 令和2年3月に予算特別委員会の局別審査で御指摘をいただいた際に、この問題は早急に解決しなければならないと考えまして、設置スペースの有無、あるいは利便性、荷役機械やトレーラーの動線への影響ですとか、それから埠頭で働く方々の御意見を伺いながら対応をしてまいりました。その結果、要望をいただいた箇所の女性専用トイレの設置につきましては全て完了しております。
◆北谷委員 スライドを御覧ください。(資料を表示)先日、私も現地に行ってまいりました。環境が整って本当によかったと思います。とてもポジティブな気持ちで仕事ができるのではないかと感じました。
 次は、バス路線の拡充など通勤環境の改善の要望も出されておりまして、これも日本共産党横浜市会議員団としても働きかけをしてまいりました。
 通勤環境の改善に向けた取組の実績を伺います。
◎中野港湾局長 こちらも埠頭で働く方々、皆さんの御意見を伺いながら、交通局と連携をし、順次通勤環境の改善に取り組んでおります。平成30年度に大黒ふ頭におきまして、御要望の多かったバスの最終便の運行時刻の延長を実施いたしました。また、令和元年度に本牧ふ頭におきまして、D1コンテナターミナルの供用開始に合わせて、管理棟へ直接乗り入れるバス路線の新設を行いました。それから、今年3年7月には、さらに本牧ふ頭におきまして、夕方の通勤時間のピーク時間に合わせてダイヤの見直しを行っております。
◆北谷委員 横浜駅から大黒ふ頭へのバス路線ですけれども、到着するまで40分程度かかることから、朝の通勤時間帯では始発の横浜駅で座席が埋まった時点で次の便を待つ方が多いため、定員の半分程度で出発しており、埠頭で働く方々から増便の要望が寄せられています。日本共産党横浜市会議員団は今年の予算特別委員会でも取り上げておりますけれども、その後の大黒ふ頭行きの市営バス路線の改善について伺います。
◎中野港湾局長 このことにつきましても、大黒ふ頭の連絡協議会などの皆さんの声をお伺いいたしまして、交通局と調整した結果、10月1日から路線バスと比べて座席数の多い観光バスタイプの車両を導入いたしまして、さらに高速道路を利用した運行を開始いたしました。現在のところ好評で、順調に運行していると伺っております。
◆北谷委員 私も先日、109号乗り場、横浜駅東口のバス停に行ってまいりましたが、本当にたくさんの方が行列をつくっておられて、交通局の職員の方も整理に当たっておられるというところを拝見いたしました。本牧ふ頭A突堤には新たにロジスティクス拠点が整備されると聞いているのですが、ここには公共交通機関がありません。A突堤ロジスティクス拠点整備に伴う通勤対策について伺います。
◎中野港湾局長 本牧ふ頭のA突堤ロジスティクス拠点は、約13ヘクタールの土地に今後10棟以上の新たな倉庫が順次建設をされまして、500人以上の新たな就労者も見込まれます。現状ではA突堤へのバス路線がない、これは御指摘のとおりなのですけれども、そのため同地区に進出を考える倉庫事業者等からバス路線開設の要望が多く上がっております。現在、新規バス路線の早期導入に向けまして、交通局とともに検討を進めているところでございます。
◆北谷委員 大黒ふ頭、本牧ふ頭には今、これまでお話もいただきましたが、路線バスの対応がされているということですが、十分とは言えません。今後の埠頭における通勤対策について伺います。
◎中野港湾局長 埠頭は、埋立てにより沖合に展開してきた経緯がございまして、公共交通機関がない場所が多くなっております。横浜港においては、埠頭内の複数の事業者により、通勤用のマイクロバスを共同で運行している事例もございます。交通局による新規バス路線の開設に加えまして、このような共同運行バスによる通勤対策の支援についても行っているところでございます。
◆北谷委員 働きやすい港湾の環境整備に向けて引き続きよろしくお願いいたします。
 終わります。


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