あらき議員:日本共産党を代表して市長に質問します。
日本共産党を代表して市長に質問します。
今年度予算案に対する山中市長の考え方
今年度の予算は前市長の施策が色濃く残り、新聞等では3つのゼロの実現や中学校給食など市長が掲げた政策が盛り込まれていなかったことから、山中カラーが見えずという報道がなされ、山中市長を応援した市民からも不安と心配の声がわが党に寄せられていました。
この1年をかけて、市長は公約に掲げている施策実現のために中期計画を策定し、それを基に今回の予算を提案しています。新年度の予算案の特徴として、「中期計画の実質的スタート。次世代を育み、明日を開く横浜に向けた好循環を生み出す最初の一歩へ」とし、中期計画では基本戦略に 子育てしたいまち 次世代と共に育むまちヨコハマを掲げ、5つのテーマと38の政策を示し、その38の政策の中でも特に子育て支援策の充実に力を入れていることについては大いに評価しています。各会計規模での比較では、総額5485億円を中期計画の基本戦略にあて、そのうちの半分余の52.9%2903億円をテーマ1の小児医療費無料化など子育て支援への直接支援にあて、今年度予算との比較で200億円増額するなど、数字上からでも市長の子育て支援に対する意気込みは読み取れます。またテーマ3にある生産年齢人口流入による経済活性化 住居・交通・仕事において便利で選ばれるまち にも力を入れるなど、市民がこの街に住み続けていけるように考えた点は、大事な視点だと考えます。
そこで、まず市長の新年度予算案に対する基本方針についての考え方について伺います。
山中市長:新年度予算案に対する基本的な考え方ですが、中期計画には子育て支援につながる取り組みをしっかり盛り込み、五年度予算案は中期計画の実現に向けた第一歩となる取り組みを意識して編成を行いました。
あらき議員:今回の予算案には、市長の子育て支援に対する支援策をはじめ、教育分野では教科分担制の拡大、児童支援専任教諭の全校常勤化などでの教員の加配、不登校児童生徒支援として校内ハートフル事業の拡大、夜間中学の生徒への就学援助の実施、高等学校生徒への奨学金の成績要件の緩和など。こども関連では、地域療育センターの機能強化、ひきこもり等困難を抱える若者に対するSNS相談、ひとり親家庭等自立支援事業の拡大など、わが党も市民要望懇談会などで聞き取りをし、議会でも求めてきた施策が盛り込まれ、公約との関係でも前進していることがわかります。
しかし、このほかにも市長が公約に掲げた第2子以降の保育料の負担軽減、介護職員の待遇改善、新たな図書館の整備、コロナ禍で困窮する世帯・大学生への奨学金制度創設などの実現については今回の予算案には反映されていませんが、今後これらの施策についてはどう実現していくのか、市長の決意を伺います。
山中市長:公約に掲げた政策の実現に向けた決意ですが、公約は市民の皆様との大切なお約束ですその実現に向けまして引き続き力を尽くしてまいります。
無計画・不十分な国の子育て支援策について
あらき議員:日本は、人口減少社会に突入し最大の困難に直面しています。それは、この横浜に限らず、日本全体として取り組まなければ解決しない問題です。国会でも子育て支援策についての議論がされていますが、政府の人口減少対策として打ち出しているのは、異次元の子育て支援策といいながら、全国の90%以上の自治体で取り組んでいる小児医療費無料化には全く触れようともせず、憲法26条で謳われている義務教育無償化でも、学校給食費無償化の世論と運動が全国的に広がりつつあるのに、取り組もうとしていません。政府のこのような具体策を示さない子育て施策の考え方について、市長の見解を伺います。
山中市長:子育て支援に対する政府の政策についてですが、国において児童手当や出産育児一時金の拡充について議論が進んでいることは承知しており歓迎すべきであると考えております。一方、小児医療費助成など国の責任において、全国一律に取り組むべき子育て支援策もありますので、それらの財源措置については引き続き国に要望してまいります。
あらき議員:政府の子育て支援策が不十分なことには到底納得はいきません。本市が独自に行っている小児医療・ひとり親家庭・重度障害者などへ医療費助成を行っていることに対し、本市の国民健康保険の事業費会計に2021年度では15億3600万円も国庫負担を減額するというペナルティーを政府が行っていることは言語道断です。本市が指定都市市長会で毎年政府に対しこの減額措置を廃止することと、小児医療費助成に対する統一的な国の医療費助成制度を創設することを求めていますが、実現するまで引き続き強く要望することを求めておきます。
市長が新年度予算案で、子育て支援策に取り組むことは地方自治法にも謳われている住民福祉の増進という観点からも大変意義があり重要だと考えます。横浜に住み続けたいという市民の思いを大事にするために、都市づくりや街づくりの視点からも子育て支援策に重点を置いて予算を組むことが必要だと考えますが、市長は都市づくり街づくりでは、子育て支援で5つの無料化など市民本位の施策展開で市民の安心と人口増でにぎわいにつなげ税収増という好循環を実現している明石市のようなイメージを描いてこの予算を考えたのか見解を伺います。
山中市長:市民の思いやまちづくりの視点からも、子育て支援策に重点を置いた予算が必要とのことですが、五年度予算案では子育てしたい街の実現に向けて、子育て世代の直接支援はもちろんのこと、地域コミュニティや、経済の活性化、まちづくり等の様々な事業を計上しております。あらゆる施策を連携させることで、市民の皆様に子育てしたい街を実感していただけるよう、今後も取り組みを推進していきます。
あらき議員:今回の予算案の特徴として、次の横浜をつくる着実な準備として、多様化するニーズに対応し、速やかに事業につなげていくための着手と持続可能な市政へのシフトを推進するために、令和6年度以降を見据えた調査・検討・戦略等策定と明記しています。 市民の要望にこたえつつ持続可能とするためには、そのための財源確保も重要ですが、次の横浜をつくる着実な準備としている調査・検討・戦略等策定などの考え方について伺います。
山中市長:次の横浜を作る着実な準備の考え方ですが、多様化する市民ニーズに六年度以降も的確に対応し、持続可能なまちづくりを推進していくという考え方のもと、出産費用や放課後施策など子育て世帯への直接支援に向けた調査に加えまして都市づくり戦略などの策定に取り組んでまいります。
大型開発・大企業への大盤振る舞い事業は見直しを
あらき議員:これまでの市政運営は、成長と活力を生み出すとして、体力のある大企業に喜ばれる事業を重点的に推進してきました。その中で、市民の合意を得ずに進めようとしたIR誘致は、山中市長の誕生で中止になりましたが、2020東京オリンピックに間に合わせるとして新市庁舎や高速道路北西線を建設したために市債を増やし、財政調整基金を取り崩してきた結果、市財政を困難にしていることは明白な事実です。また、成長と活力を生み出すとして都心・臨海部のまちづくりとして、横浜駅きた西口鶴屋地区の国家戦略住宅をはじめ、東高島駅北地区開発事業の埋立など民間マンション事業者や大手デベロッパーなどに多額の助成を行うなど、市民の暮らしに直接寄与しない施策に力を入れてきました。このような大企業への大判振る舞いとなる公共事業を見直すことなしには、市長が掲げている次の横浜をつくる着実な政策実現の予算は見いだせず、実現しないと考えますが見解を伺います。
山中市長:次の横浜を作る政策の実現のため、市民の暮らしに直接寄与しない事業を見直すべきとのことですが、横浜の成長につながる取り組みについては引き続き着実に進めてまいります。また歳出改革にしっかり取り組み、子育て世代の転入促進や戦略的な街づくり等による税財源基盤の強化など、財源充実策も実践してまいります。
小児医療費助成は中3から、高3までに引き上げよ
あらき議員:次に、市民の誰からも喜ばれる子育て支援策の考え方について伺います。
まず、小児医療費についてです。わが党が昨年行った市民アンケートでも3つのゼロのうち、一番期待の大きかった小児医療費無料化については、所得制限なし、一部負担金なしの窓口負担ゼロを8月実施としたことは大きな前進です。子育て世帯の方たちからは、できれば、8月より前に早く実施できないのかという声がありますが、この点についての見解を伺います。
現在親子3人で暮らしている方からの私に寄せられた切実な要望を紹介します。「現在中2の息子は、喘息・アトピー・アレルギーがあり、都度500円払って年一万円を超えています。家族で昨年の医療費は30万円を超え、生活が大変です。今後息子が高校生になっても、現在と同じくらい通院するため薬代の負担は大きく、また高校進学の費用もかかるため、18歳まで助成をお願いします」とのことです。相模原市では2024年から18歳まで助成を拡大すると発表しました。神奈川県も小児医療費助成を現行の6歳から12歳まで引き上げる予算案を組んだことから、前向きに検討してほしいと考えますが、市長の見解を伺います。
山中市長:小児医療費助成の制度拡充の早期実施を求める声に対してですが、私自身もできるだけ早く実施したいと考えシステムの改修や新たに対象となる方の申請手続きなどのスケジュールを精査した結果、最も早く始められる8月からの実施といたしました。
18歳までの助成を求める声に対してですが、令和五年度予算でも様々な子育て支援に、支援策を打ち出しました。引き続き、市民の皆様のニーズを的確に把握をしながら、施策を推進していきたいと考えております。子育てしたいまち、次世代を共に育むまちの実現に向けて様々な子育て支援策の検討を進めてまいります。
出産費用ゼロの公約への展望は
あらき議員:次に出産費用についてです。今回1500万円の出産費用研究事業費を計上し、産院や妊産婦などを対象に実態を把握し、その結果をもとに出産費用の無償化を検討するとしています。この出産費用については市長の公約にあるように、出産費用ゼロを実現するためにこの調査を実施すると発信することが必要だと考えますが、市長の決意を改めて伺います。
山中市長:出産費用の無償化を前提に調査する、発信すべき、との事ですがまずはこの調査におきまして、出産費用の実態や子育て世帯が抱えるご負担・支援ニーズなどをしっかり把握したいと考えております。調査結果を踏まえまして、市民の皆様の経済的な負担感や必要とされる支援、サービスおよび政策の効果について総合的に分析を進めてまいります。
その上で令和六年度以降の新たな支援施策の展開に向けて、検討を行ってまいります。
あらき議員:政府は、この出産一時金については、今年の4月から現在の42万円を50万円に引き上げるとしていますが、2024年度4月からは、その費用の一部を75歳以上が加入する後期高齢者医療保険制度からまわすとしています。この法案の内容は、保険料を7%に引き上げるとし、年収400万円の方は年2万5600円の値上げとなります。防衛費をはじめ米軍への思いやり予算などの無駄遣いこそやめれば、その財源を捻出することは可能です。年金生活で日々の生活費や医療費の負担だけでも大変な多くの高齢者に、さらなる負担を押しつける政府のやり方は言語道断だと、この際申し上げておきます。
分娩に係る費用だけでなく、出産するまでの妊婦検診の公費負担は現在82700円となっています。妊婦さんの状況によって検診を受ける回数などは違っており、現在では妊婦検診はすべて無料にはなっていません。市長の公約には出産、不妊・不育治療への支援強化とあります。安心して出産をするために、妊婦検診の窓口負担ゼロを検討することも求めておきます。
デリバリー方式の中学校給食に固執せず、自校調理方式も視野に
あらき議員:次に中学校給食についてです。
2026年度の開始を見込んでデリバリー方式での給食を実施するために、新年度予算では、配膳室の整備を進めるとしています。市長は全員で食べる給食をできるだけ早く実現するために、デリバリー方式が最適と言っています。しかし、デリバリー方式で実施した大阪市ではできたての給食が食べたいとの生徒の要望を聞いて学校調理方式に切り替えています。その要因は、デリバリー方式では残食が多く、温かい給食を実現できないことがはっきりしたからで、5か年で自校と親子などの組あわせで学校調理方式に切り替えたという実例があります。今配布されている2月号の広報よこはまで、どうして横浜市はデリバリー方式なのという問いに すべての中学生においしい給食をできるだけ早く提供できる方式だからです。なお、校内に給食室を新設にするには、校舎の建て替えなど抜本的な対策が必要な学校が多いため、全員給食の実現までに30年以上かかります と記述しています。
しかし、わが党が何度も提案しているように、親子方式の組み合わせなどを検討すれば、30年はかからないはずです。実際に教育委員会の調査でも145校の中学校のうち72校で親子方式等を含む学校調理方式は可能であり、2校の小学校から1中学校の方式を検討すれば87校で可能となり、大阪市のように検討すれば30年はかからないはずです。また、あたたかさについてもよりあたたかい給食の提供をめざします、と書いてありますが、具体的な提案は書かれていません。これらの記述は市民に対し、ミスリードしていると考えますが市長の見解を伺います。
山中市長:広報よこはま、2月号の記載内容についてですが、令和八年度からの全員給食に向けた実施方式の検証結果や、新しい横浜の中学校給食の実現に向けた方向性など本市の考え方を正しく、お伝えすることを目的に作成をしたものであります。紙面の関係上さらに詳しい内容については、ホームページに掲載をしております。市民の皆様に正しい情報を的確にお伝えしていくことが、行政の責務であると考えておりますので一層の情報発信に努めてまいります。
あらき議員:市長のめざす方向 子育てしたいまち 選ばれるまち を実現するならば、温かい給食を実現することこそ市民が求める中学校給食の姿です。学校調理方式も視野に入れ、生徒も保護者も喜ぶ給食にすることを改めて提案しますが、市長の見解を伺います。
山中市長:温かい給食を実現するために、学校調理方式も視野に入れるべきとのことですが、デリバリー方式は政令市最多となる、83000人分の生徒・教職員に対して、早期に同時期に同じ内容で、提供できる唯一の方式となります。
全員給食について、中期計画で定めた目標に向かって、全員分の供給体制を確保してまいります。生徒の声を丁寧に聴きながら、生徒や保護者の皆様に満足してもらえるよう更なる発展に向けて改善に取り組んでまいります。
企業立地優遇の助成をなくし、市民生活を支えるための財源確保にふりむけよ
あらき議員:次に、市民生活を支えるための支援と財源確保についてです。
現在の物価高騰は電気・ガスのほか、食料品・日用品などにも拡大し連続値上げが止まりません。現役世代の賃金もあがらず、年金生活者や所得の低い市民は日々の生活をするだけでも大変な事態になっています。今こそ、市民の暮らしを支える施策が必要な時です。
しかし、新年度予算案では、企業立地促進のための予算は今年度の24億円から42億円と18億円も増えています。この助成を受けている企業は、新年度で村田製作所5億円、資生堂4億7千万円、積水ハウス4億円、鹿島建設3億2千万、京浜急行1億9千万円など、ここ数年コロナ禍であっても内部留保は膨らむ一方の大企業に助成する額を増やすために、国民健康保険料への一般会計からの繰入4億円を削減したと考えられます。しかも国民健康保険料はH30年度からの広域化により、一般財源からの繰入額を抑えるという政府方針のもとで、6年連続値上げが続いています。
もともと体力があり、内部留保をため込める大企業に42億円もの助成をするのではなく、市民の暮らしを支えることを優先するのが、自治体の本来の在り方だと考えます。どう考えても大企業が年数億円の助成金欲しさに横浜に立地を決めるとは思えません。この助成額捻出のために国民健康保険料のような市民向け施策の予算を削減し、市民負担増を強いることは本末転倒と言わざるを得ません。企業立地促進条例は、この際、廃止を視野に入れ見直すべきと考えますが、市長の見解を伺います。
山中市長:企業立地促進条例は、廃止を視野に入れ見直すべきとのことですが、本条例のインセンティブは企業の立地場所の選択に大きな役割を果たしており、条例制定以来18年間で158件が立地をし、約705億円の税収と4万人を超える雇用を創出して横浜経済の活性化に寄与してまいりました。当該条例は、来年度末が期限となっております。適応区域・対象、支援の内容について検討し市会にお諮りしていきたいと考えております。
上瀬谷の開発事業は規模の見直しを
あらき議員:今回の予算案には、郊外部の新たな活性化拠点の形成として、旧上瀬谷通信基地整備事業の予算が組まれています。この上瀬谷エリアでの開発事業に多額の財源を使うことで、市費負担は増大します。新たな交通対策事業として、八王子街道や瀬谷地内線の整備および環状4号線周辺道路整備事業や新たなインターチェンジ検討事業で約21億円としています。そのうち市債は8億8千万円です。今後もこの事業費は令和6年度で40億円、令和7年度も40億円としています。市債もその事業に連動して発行することになっています。そもそも2020年3月にこの土地の利用基本計画が示された中で将来的には年間1500万人訪れるとして進めてきていますが、1500万人が訪れるという計画そのものは無謀であり、無理があると、わが党は一貫して指摘しています。道路の拡幅やインターチェンジなどの計画そのものは、今の市の現状を見据えた計画であるのか、慎重に検討すべきです。これらの事業により、後年度負担を増やすことにもなり、負担を軽減する方向にこそ、知恵を出すべきです。1500万人の巨大テーマパーク構想と、これらの事業の規模を見直しすることは必至だと考えますが、市長の見解を伺います。
山中市長:上瀬谷の事業規模の見直しが必要とのことですが、周辺道路は本市西部の道路ネットワークの強化に必要となる、都市計画に定めた重要な路線であり、園芸博覧会も視野に入れながら着実に整備を進めます。また周辺の交通負荷軽減等の広域的な効果も見込まれる新たなインターチェンジなどについては、需要見通しを立てた上で国費の積極的な導入や民間事業者の負担などにより、今後の市費負担を抑えられるよう取り組んでいきます。
新たな地域交通施策の拡充を
あらき議員:次に地域交通施策についてです。
市民が横浜に住み続け、住んで良かったと思ってもらうためには、地域交通施策の拡充はまったなしです。都市整備局が主体となってこれから新たな交通施策に取り組むとしていることは、現実にこの政策を進めていくための大きな一歩だと受け止めています。現在市営600系統の実証実験などがはじまっていますが、この実験でも採算をとるために一日の乗車人数などは予定の人数に達していないと聞いています。地域特性に合わせた地域交通を進めていくためには、区や地域住民と連携しながら、持続可能な仕組みを作ることが必要不可欠です。そして実現のための一番の要素としては公費負担なしにはできないと考えますが、市長の見解を伺います。
山中市長:新たな地域交通政策について、持続可能な仕組みを作るために公費負担が必要とのことですが、これまでも自立運行を基本とする地域交通サポート事業に取り組み、17地区で本格運行されております。持続可能な交通を実現するには、まずは地域をはじめ多様な主体と連携をし、最適な事業手法の確立や採算性を確保することが重要だと考えております。今後、実証実験等を行ないながら横浜に適した制度を検討していきます。
ノース・ドックの機能強化は許されない
あらき議員:最後はノース・ドックの機能強化と米軍基地返還についてです。
1月12日 横浜港にあるノース・ドックに米軍小型揚陸艇部隊280人の常設配備が、日米両政府により勝手に決められました。小型揚陸艇と言っていますが、実際は長さ58メートル、幅13メートルあり、M1戦車5台も詰める大きな船です。これは、平時を想定しているのではなく、東シナ海・南シナ海での米軍の対中国封じ込めの軍事作戦を想定しています。「有事」となれば横浜港が攻撃目標になると考えられます。市民から「知らない間に街の在り方が変わってしまうのは怖い」という不安の声が寄せられています。わが党としては、この基地機能強化については、16日に防衛省に計画の撤回を求め、今回の日米両政府による一方的な米軍配備については抗議をしています。
市長は、基地の機能強化に「遺憾」を表明し、市民生活の安心・安全を強く求める要望を1月20日に防衛大臣へ提出するなど機敏に対応していることは評価しています。そこで、防衛大臣へ要望した3項目について国からの回答が来たのかどうか、また基地機能強化になることが明白であることから、市として今後政府に対しどういう対応を求めるのか伺います。
伊地知副市長:ノース・ドックの機能強化と市内米軍施設の返還についてご質問頂きました。要請に対する国からの回答、および今後市が国に求める対応についてですが、早期に回答するよう継続的に求めているところですがまだ回答は頂いておりません。引き続き国には、適時・適切な情報提供と市民生活の安心・安心への万全の対策を講じるように強く求めてまいります。根岸住宅地区の残置物件の処分費用を国に求めるべきとのことですが、米軍が使用した施設については国が撤去を行ないますが一方で、フェンスや排水施設など土地の維持管理に必要な物件については、残置するとの説明がありました。残地する物件は具体的に示されておりませんが、その処分費用については国に求めてまいります。以上ご答弁申し上げました。
あらき議員:今回の米軍による部隊が配備されることで瑞穂ふ頭・ノースドックの返還が遠のくことがあってはならないと考えます。早期返還を求めてきた市として、今後どう政府に求めていくのか、見解を伺います。
山中市長: ノース・ドックの機能強化と市内米軍施設の返還についてご質問をいただきました。部隊新編後の国への、返還に向けた取り組みについてですが市内米軍施設の全面返還は長年にわたり、市政の重要課題として市民・市会・行政が一体となって取り組んでまいりました。瑞穂ふ頭・横浜ノース・ドックに部隊が新編されたとしても、この姿勢に決して変わりはありません。今後もあらゆる機会を捉え、国に対して粘り強く早期の全面返還を求めていきます。
あらき議員:今回の配備によって、根岸住宅返還がさらに遅れることがあってはならないと考えます。この点についても政府に強く働きかけることが必要だと考えますがどうでしょうか。
また、根岸住宅については、現在、防衛省により住宅の解体工事が進み現状回復作業中ですが、防衛省が土壌調査をした際に、国有地と民有地から基準値を超えた土壌汚染の箇所が判明しました。鉛については、最大で基準値の133倍に達したところもあると報告されています。その結果報告を受けた地域住民からは不安の声が寄せられています。特に基準値を超えている土壌汚染の箇所数が多い国有地については、現在防衛省はその対策については手を付けないと聞いていますが、そのままの返還は到底市民の納得を得られものではありません。また、フェンスやゲートなどもそのまま返還されるのは、市がその処分をするのも大変な負担となります。これらの点について、本来は米軍に請求すべきですが、せめて本市の負担にならないように、しっかりと防衛省に求めるべきと考えるがどうか伺います。
山中市長:根岸住宅地区の返還についてですが、国からは今回の新編は根岸住宅地区の返還時期と関係はないとの説明を受けております。また根岸住宅地区の返還時期は現在行われている現状回復作業の進捗に応じ、日米間で協議するとされており、現在その協議を行っていると聞いております。そうした状況を注視するとともに、引き続き早期の返還に向けて国に働きかけを行ってまいります。
あらき議員:終わりに、岸田・自公政権は維新・国民両党の容認のもと、五カ年で防衛予算をGDP比2%に倍化し、総額43兆円にするとしています。日本共産党は軍備拡張では、平和は守れない。今こそ東南アジア諸国連合と力を合わせ、米中を含む18カ国が参加する東アジアサミットという平和の枠組みを発展させ、東アジアを戦争のない分断なき地域にすることを提案しています。憲法九条を持つ日本こそ対話を重視し、国も横浜市も戦争させない立場を強く貫くことを求め、私の質問といたします。