2023 年1月27日
横浜市2023年度予算案の発表にあたっての団長声明
日本共産党横浜市会議員団
団長 あらき由美子
山中竹春市長が、昨年12月市会が議決した横浜市中期計画2022~2025に基づき編成した2023年度横浜市予算案が本日発表されました。
山中市長が市長選で重点公約として掲げた「3つのゼロ」と全員制の中学校給食がどうなったかまず見てみましょう。
中期計画では中学3年生までの小児医療費助成制度の拡充として所得制限と一部負担金の撤廃を23年度内に実施するとしていましたが、予算案では8月からと定めました。出産費用ゼロについては、国が現行42万円の出産育児一時金を50万円に引き上げます。横浜市は50万円では実際の費用は賄えないことを認めていて、費用の実態を調査するために1500万円を計上しました。敬老パスは、事業費として127億円、交付数42万5千枚を見込み、自己負担は現行通りです。敬老パスIC化による利用状況を分析し、自己負担額を含め制度の在り方を検討します。敬老パスの75才以上の無償化について中期計画では「計画期間中の財政見通し」のなかで事業費80億円を見込んでいます。中学校給食の全員制実施にむけて市会の議決を得たとして、中学校での配膳室整備に取り掛かります。配膳室は親子方式やセンター方式に切り替えた場合は転用可能です。デリバリー方式唯一論打破にむけたたたかいが求められています。党市議団に課せられた新たな重要課題として真剣勝負に打って出ます。
予算案全体は山中市長が中期計画で戦略1に位置付けた「すべての子どもたちの未来を創るまちづくり」を具体的に推進する政策・施策・事業に力点が置かれていることに最大の特徴があります。子育て世代の支援策として重点公約に加えて産後母子ケア事業、子育て応援サイト構築、保育所保留児解消策、一時保育拡充、地域療育センター機能強化など新規及び拡充するメニューは多岐にわたり、市民に寄り添おうという市長の意思が読み取れます。前市長時代との違いは明らかですが、人口減少社会、深刻な少子化傾向など大都市のあり方が鋭く問われている中で、これで十分かどうか精査します。戦略2とした「誰もが生き生きと生涯活躍できるまちづくり」にかかわる予算も特養ホーム増設、住宅セーフティネット構築、引きこもり対策など積極面もありますがやはり検証が必要です。党市議団には、置かれた市民の実相と現状を掌に載せ、解決と改善をはかる建設的提案で市政を前に進める責任があると自覚しています。
予算案で懸念することは、施設等整備費を前年度並みに1985億円見込み、都心部・臨海部開発巨費投入は変わらず、上瀬谷エリアでの開発事業に傾斜していることです。花博関連の支出に加えて、テーマパーク誘致のための周辺道路の新設・拡幅、新たなインターチェンジなど市費負担は増えるばかりです。こうした大型開発偏重政策は国の悪政押し付けとともに自民党市議団の影響が透けて見えます。横浜市への財政負荷が過大にならないようチェックする役回りが日本共産党市議団にはあります。
一昨年は自民党、公明党から、「中学校給食は現制度が最善」、「3つのゼロは財源がない」、「公約は無責任」などと市長批判の大合唱が起こりました。昨年は、両党は年間予算案をはじめ、全員制の中学校給食実施、中3までの小児医療費ゼロを盛り込んだ中期計画原案など市長提案の議案すべてに賛成しました。しかし、中期計画原案の採決では、賛成討論には立ちませんでした。神奈川新聞は「(自民会派)は、様子見が続くが統一選後に対決姿勢を強める可能性もはらむ」と報じていますが、両党が市長の市政運営のブレーキ役となっていることは否定できません。
党市議団は、2月2日に、予算議会にむけて市民要望をヒアリングする市政懇談会をオンラインで開催します。地域では各議員が市政報告会を実施しています。市民参加が広がるほど市政は発展するのではないでしょうか。視聴と参加を呼びかけます。
今国政では、大変なことが起きています。岸田自公政権による維新、国民両党の容認のもとでの敵基地攻撃能力の保有と大軍拡の「暴走」です。日本国憲法9条の完全無視です。日米軍事同盟強化が加速し、横浜では瑞穂ふ頭/横浜ノース・ドックに米軍揚陸艇部隊の配備が画策されています。こういう時だからこそ、国の悪政の防波堤となる地方自治体の役割発揮が大事だと思います。
予算議会では、緊張感をもって市民運動と結んで道理ある論戦に臨まねばと心しています。その勢いで統一地方選挙に突入します。市政前進にはもっと力が必要です。市民の皆さんのご支援よろしくお願いします。