申し入れ等
2007年11月14日

後期高齢者医療制度についての申し入れ

2007年11月14日

神奈川県後期高齢者医療広域連合長 石 渡 徳 一 殿

日本共産党神奈川県委員会
日本共産党神奈川県地方議員団

 

後期高齢者医療制度についての申し入れ

 

 昨年、自民・公明政権が強行した「医療改革法」により導入された後期高齢者医療制度が、来年4月から実施されようとしています。
 75歳以上のお年寄りを「後期高齢者」として、他の世代から切り離し、際限のない負担増とまともな医療を受けられなくするこの制度にたいし、いま多くの不安と怒りの声が上がっています。

 第1に、保険料について、政府はこれまで「全国平均は年74,400円(月額6,200円)」と説明してきましたが、今回の県広域連合の条例案では、県内の平均年金収入額224万円の方で保険料は年92,750円(月額7,730円)となり、年18,000円以上の大幅アップとなります。新保険料が現行の国保料を大幅にこえる人は相当数にのぼります。また、東京都、千葉県と比較して、神奈川県の場合、均等割額、所得割率とも高い水準になっています。
 しかも、保険料額は2年ごとに改定され、今後、医療給付費の増加に応じて値上げが確実となっているばかりか、いままで扶養家族だった高齢者をふくめ月額15,000円以上の年金を受給している人すべてについて年金から天引きするという情け容赦ない方法がとられます。

 第2に、従来、75歳以上の高齢者は、障害者、被爆者とならんで「短期証、資格証を発行してはならない」とされてきたものを、昨年の法改定で、高齢者にかかわる条文が削除され、保険証のとりあげが可能とされたことです。ひとつふたつの病気はさけられない高齢者で低年金、無年金の人からも保険証をとりあげるなど、命にかかわる問題です。

 第3に、新制度では後期高齢者と74歳以下では診療報酬が別建てとなり、後期高齢者の診療報酬は「包括払い(定額制)」が検討され、保険が使える医療に上限を設けようとしていることです。そうなればその範囲内でしか保険がきかなくなり、診療回数や薬の量も制限され、医療内容の差別、制限がまかりとおることになります。
 高齢者を別建ての医療保険とする例は世界になく、新制度について元厚生労働省老人保健局長(堤修三大阪大学教授)が「姥(うば)捨て山」というように、後期高齢者医療制度は高齢者をじゃま者あつかいし、その命まで削る最悪の制度といわざるを得ません。

 よって、貴職におかれては、制度の当否をふくめて全面的に議論をやり直すために、後期高齢者医療制度の実施を中止し、国にたいして当制度の撤回・廃止を求めるとともに、高齢者が安心してかかれる医療を実現されるよう、以下申し入れます。

1. 後期高齢者医療制度の来年4月からの実施を中止し、国にたいし制度の撤回・廃止を求めること。

2. 高齢者の医療については、以下の点の実現をはかること。
(1) 保険料負担を軽減する
 県広域連合の条例案で保険料が高くなっている要因のひとつに、国が出す調整交付金が2008年度、2009年度の2年間で合計322億円、年平均161億円、40%相当が減額され、このため保険料が約2万2千円上昇を余儀なくされていることがある。これについて、9月12日、1都3県の広域連合長が国にたいし、調整交付金を減額することなく、広域連合間の所得格差を調整する「調整交付金」は別枠で確保することを緊急要望されたように、国の医療給付に対する定率交付は4/12を確保することを求め続けられたい。
 それが実現するまでの間、東京都広域連合が実施しようとしている特別対策のように、[1]葬祭事業、[2]審査支払手数料、[3]財政安定化基金拠出金、[4]収納率による保険料上乗せ分、の4つについては県、市町村が一般財源で補填するよう、神奈川県と市町村にたいし、「補助金」等の投入を求めること。

(2) 保険料の独自減免の実現
 条例案では、法定減免のほかに独自減免も盛り込まれたが、生活困窮者を対象にするなど実態に合わせてさらに拡充すること。
 財源は、保険料負担に求めるのではなく、国からの調整交付金の確保、県、市町村からの「補助金」等を求めること。

(3) 高齢者からの保険証のとりあげは行わない
 資格証明書、短期保険証の発行を行わないことを広域連合として明確にすること。滞納の事由については十分配慮し、滞納を理由とした財産等の差し押さえは行わないこと。

(4) 健康診断を公費負担で
 広域連合では一定の保健事業、健康診査を予定されているが、この拡充のためには国、県、市町村からの財政支援を確保するなど、保健事業が保険料の増加にならない措置を講じること。 

(5) 差別医療を行わない
 国にたいし、高齢者に必要で十分な医療が提供される診療報酬とするよう求めること。「包括払い」など導入せず、「出来高払い」を維持すること。

(6) 広域連合議員の定数の改善と運営協議会に県民の公募
 全市町村の意見を直接議会に反映する構成となるよう、議員定数の改善、発言時間の十分な確保をはかること。市町村長で構成されている運営協議会に県民からの公募枠をつくるなど、県民の意見を聞く機構を設けること。

以上


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