2011年1月28日
日本共産党横浜市会議員団
団 長 大貫 憲夫
林文子市長は昨日、2011年度横浜市予算案を発表しました。
一般会計は1兆3,899億円(前年度比2.2%増)で、特別会計と企業会計を合わせた総額は、3兆2,380億円(同4.5%)(純計2兆4,523億円)です。市税収入は6,999億円と、対前年度比で1.9%増となっています。市債発行は、前年度と同額の1,274億円計上。
いま、市民の暮らし向きは、好転するどころか、いよいよ厳しくなっています。また、国の政治も現状打開と将来不安の解消を求める国民の期待に応えるものになっていません。こういうときだからこそ、地方自治体は、住民のくらしと福祉をまもる仕事に全力をつくすことが必要です。予算編成もその視点が貫かれなくてはなりません。
林市長の二回目となる今回の予算案が、それにこたえた内容となっているかどうかというと、保育所待機児童解消、エアコン設置による教育環境整備、児童虐待施策拡充など子育て支援での前進と扶助費の増加はあるものの、景気対策や経済対策では従前の域にとどまり、十分とはいえません。生活関連公共事業を圧縮して国際ハブ港湾、高速道路の大型公共事業予算の大幅増額は、市内経済活性化に逆行し、税の使い方としても旧来型への回帰です。
子育て支援では、保育所待機児童を2013年度までに解消するとして、予算を前年度比で倍増させ、2012年度当初の受け入れ枠を4,005人拡大しています。そのうち、認可保育所新設等による定員増は2,510人で、すし詰め保育解消や参入法人の運営能力チェックなど保育の質を担保することがいよいよ重要となっています。各区に配置される保育相談専門員(保育コンシェルジュ)が、受身ではなく、わが党が要望していた待機児童世帯の日常的な実態把握と定員空き情報など親身な対応をすることが急務となっています。児童虐待対策では、乳幼児健診未受診者への対応強化、スクールソ-シャルワーカーの配置、児童相談所体制強化などで、予算額を同様に倍増させています。施策拡充内容は、港北区で発生した幼児虐待死事件をうけて、議会でわが党が提案した内容にそっており、前進です。小児医療無料化制度は、子育て支援策として有効な施策で、県内でも年齢引き上げが広がっています。就学前という県内最低水準から少なくとも小学校卒業まで踏み切るよう求めていきます。困難をかかえる若者の職業的自立支援事業拡充には、昨年の9月議会でのわが党の提案が反映しています。
教育では、エアコン設置事業が本格化し、補正予算での今夏58校設置に続き、2012年度の140校設置にむけて、設計費等が計上されています。また、いじめ、不登校などに対応する「児童支援専任教諭」配置小学校を70校から140校にします。横浜市大への運営交付金が、5%、3億6千万円減額されています。大学の教育・研究条件へのしわ寄せが危惧され、見直しが必要です。中学校給食と市独自の少人数学級の実施については、市長の決断にかかっていますが、関連請願を否決する会派が多数を占める議会への働きかけも不可欠です。
高齢者福祉では、特別養護老人ホームの新規建設400床は、前年度(390床)並みで、待機者数からみて抜本的な増設を求めていきます。国民健康保険事業の会計健全化として、8億円余を一般会計から繰り出します。子宮頸がん等3ワクチン接種全額助成に78億円計上。
元気な横浜経済にする分野では、中小企業や商店街対策は、従来の域をとどまっており、雇用対策でも国事業依存です。MM21地区等への誘致企業への助成金は約24億円です。
施設等整備費として1,667億円を計上。道路整備では、市内業者向け事業の駅まで15分道路整備事業が前年度比で48%減少。特別養護老人ホーム建設(前年度比37%減)、市営住宅(同23%減)、学校営繕(同9%減)、公園と河川整備(同5%減)などの市民生活密着型公共事業も縮小しています。
その一方で、横浜駅周辺大改造、高速横浜環状道路整備、国際コンテナ戦略港湾推進の3つの大型開発事業には、前年度152億円から208億円へと大幅な増額です。
日本共産党市議団は、本日スタートした予算議会において、不要不急の大型公共事業を見直し、海外視察費などムダをなくし、福祉、子育て、教育、経済・雇用対策など市民要望のつよい政策実施のために全力をあげるものです。
以上