行政による教育統制は権力による支配
横浜市会の常任委員会のひとつであるこども青少年・教育委員会で、「公立義務教育諸学校に勤務する教育公務員等の行為の制限に関する意見書」を国へ提出することがきまり、26日の本会議に提出されました。
この意見書は、自由社版の中学歴史教科書の採択をめぐり、教職員団体がこの教科書を批判し、採択撤回を求める署名活動を展開したことなどは、許容される妥当な職員団体の活動範囲を逸脱しているため、これらの行為を制限する立法措置を国に求めるものです。
本会議では、日本共産党と民主党が反対の討論、自民党が賛成の討論を行いました。日本共産党は白井正子議員が代表して発言しました。
白井議員は、「新しい歴史教科書をつくる会」主導で編集された自由社版教科書は、侵略戦争を賛美したものであり、検定合格とした政府の責任は重大だと指摘しました。
また、市教育委員会が教科書取扱審議会の答申を無視したこと、無記名投票したこと、事実を誤認した上で教員の副教材の選択を制限する警告・通知を職員団体や学校長に出したことについて、批判しました。
意見書で「教科書採択、不採択運動、撤回運動といった行為や教唆・扇動行為の制限に関する立法措置を講じるよう」国に要望することは、教員を監視し、行為を制限することになり、憲法で保障された表現の自由への不当な規制になりかねず、行政による教育統制は、権力による支配に当たると批判し、「横浜市議会が意見書採択となれば、全国から民主主義の感度が疑われ、笑いものの象徴となることは必至ですから、賢明な判断をしようではありませんか」と呼びかけました。
採決の結果、自民党、ヨコハマ会議、無所属クラブの一部、片桐議員が賛成しましたが、賛成37人、反対54人で、否決されました。
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