北谷議員:日本共産党を代表して、市第99号議案令和3年度横浜市一般会計補正予算(第8号)子育て世帯への臨時特別給付支給事業についてうかがいます。
政府は、12月15日、18歳以下の子どもへの10万円相当の給付について、現金とクーポンで5万円ずつ給付する方式を基本としつつ、10万円の現金一括給付と、現金5万円を先行分と追加分で2回給付する3方式を示しました。日本共産党は、臨時国会の開会前から、現金給付を求め、10日の市会一般質問では、「子育て支援のために迅速に出すことが目的であるならば、所得制限なく現金で支給することが最も速やかに事業目的にかなうものである」と指摘しました。多くの自治体が当初の政府方針に従い、年内に現金5万円、年明け以降にクーポン5万円分の支給に向けて走り始めていたところ、政府の方針は二転三転。なぜ、ここまで結論を長引かせたのか、混乱のおおもとに「何のための10万円か」が不明なことがあり、政府の責任は重大です。19日の毎日新聞朝刊には、県内33市町村の7割にあたる22市町村が年内に現金10万円を支給との記事が載りました。
子どもへの給付金の年内全額現金支給を表明された真意は
12月13日、山中市長は、衆議院予算委員会での「現金一括も選択肢に加えたい」との総理答弁を受けて、即座に「全額現金での給付の方向性を検討するよう関係部署に指示を出した」と記者団に述べ、同日午後には、「2回目の給付については、現金での支給」と市長コメントを発表しました。そして1日あけた15日には、現金で全額支給することを無条件に認めるとした国の指針を受け、市長は「現金10万円を一括で支給とする」とのコメントを発表。一連の市長の素早い対応が報道されたことで、多くの市民は安心したのではないでしょうか。いち早く「現金での支給」と態度表明されたことについての真意をうかがいます。
山中市長:市第99号議案についてご質問をいただきました。全額を現金給付とした理由ですが、これまで先行給付の現金5万円の年内の支給に向けて、事前の振り込み通知の発送等を進めてまいりました。そうした中、5万円相当のクーポン給付分を現金での給付も可能とすることや、10万円全額を現金一括で給付する場合の事務上の取り扱いが、国から示されました。クーポンの給付については、準備に相当の時間を要することが見込まれ、給付の目的である来年春の卒業や入学新学期に向けた支援として間に合わせることができない恐れがあることから、新たに示された給付の取り扱いを踏まえ、全額を現金で一括給付することとしました。
不公平をなくすために所得制限を撤廃すべき
北谷議員:今回の10万円給付は、扶養家族が配偶者と子ども二人の「モデル世帯」の場合、主たる生計者の年収960万円以上の世帯は対象外とし、所得制限を設けています。しかし、この基準が不公平との指摘もあり、複数の自治体が対象外となる世帯にも独自に支給する方針を示し、12月14日、国は「独自に財源を確保して給付することを止めるものでもない」と説明、地方自治体が所得制限をなくすことを容認しました。そこで、まず、国が所得制限を設けたことに対する市長の見解をうかがいます。次に、自治体が所得制限を撤廃することを国が容認したことについて、どう受け止めたのかうかがいます。
山中市長:所得制限に対する評価ですが、給付の実施にあたり国がさまざまな状況を考慮して定めたものであると考えております。国が地方自治体による所得制限撤廃を容認したことへの受け止めですが、今回の給付は自治事務として国の補助金交付要綱等の定めに則り、各市町村が行うものであり、自主財源による所得制限の撤廃は、市町村が実情に応じて事業を進める上での裁量の一つとして示されたものだと考えております。
現在本市としても少しでも早く対象となる皆様へ、給付金をお届けする準備を進めておりますが所得制限の撤廃により対象範囲を拡大した場合には、財源の確保などさまざまな問題が生じます。
困窮しているDV避難世帯に届かないことはあってはならない
北谷議員:給付は0歳から18歳の子どもの保護者に対するもので、申請をしなくても給付が受けられるのは、令和3年9月分の児童手当支給対象の児童で、支給の通知がすでに発送されています。令和3年10月以降令和4年3月までに生まれた、児童手当の支給対象児童も申請不要ですが、年齢が児童手当の支給対象でない高校生等は、申請が必要です。問題は、児童手当は世帯主に対して支給されることから、DVで避難している母子世帯には届かず、子どもと同居していない夫に支給される可能性が生じることです。昨年の特別定額給付金の支給でも、同様の課題がありました。
コロナ禍で困難に直面している親子、特に困窮度が深刻な、ひとり親やDV避難世帯に、給付が届かないということがあってはなりません。本市ホームページには、「DV被害により、対象児童とともに避難している方は、避難先で給付金を受け取ることができる場合があります」との記載はありますが、避難している対象者への配慮と情報発信について、どうしているのかうかがいます。
山中市長:DV避難者への配慮、及び情報発信の取り組みですが、本給付金の支給対象者は原則本年9月分の児童手当の受給者とされていますが、それ以後に配偶者からの暴力を理由に避難し、配偶者と生計を別にしているものについては、当該児童手当自給受給者への支給が決定する前であれば、配偶者からの暴力を理由に避難している方へ受給者を変更することができるとされております。そのため本市ホームページにおいて、DV被害により対象児童とともに避難している方は、給付金を受け取ることができる場合がある旨の周知を行っております。
実際に子育てしている同居の親に支給されるよう市独自の対策を
北谷議員:先日、党市議団に相談が寄せられました。相談者は、8月に夫のDVのため、子どもと避難し、9月に離婚が成立。10月から児童手当を受給できるようになりましたが、9月分を受給できていないので、対象ではないとなっています。「離婚直後で生活は厳しい。何とか受け取りたい」と、13日から区役所、市役所などに相談しましたが、とりあってもらえなかったということです。ところが、内閣府が11月26日に発出した事務連絡、「配偶者からの暴力を理由とした避難事例」で、要件を満たしていることが確認され、期日内の手続きに間に合ったため、給付を受け取れることになりました。相談者のようなケースは、まだまだあるのではないでしょうか。ネットには、給付を受けられないという、DV避難などの女性の声も見られます。子と同居していない親への支給停止に間に合わなかったとしても、子育て支援のための給付金であるわけですから、実際に子育てをしている同居の親に支給できるよう、市独自に支給する対策が必要と考えますが、見解をうかがいます。
山中市長:実際に子育てをしている同居親に支給ができるようし独自に対策を取るべきとのことですが、国の通知ではDVを理由に避難をしている旨の申し出が自治体に到達した時点で、既に配偶者に対して支給決定されている場合は申し出者への支給は行わず配偶者からの返還は求めないとされております。DV被害者への給付については様々なご意見があり、既にこうした問題があることを国に伝えております。今後の国の動向を見守ってまいります。
北谷議員:高校生世代の申請は年明け以降、始まると聞いております。それに合わせて、支給が受けられずに途方に暮れているDV避難者に対して、個々のケースに寄り添った、市独自の救済策を求めて終わります。