花博向けた新交通 シーサイドライン「参画せず」
2027年に旧米軍上瀬谷通信施設跡地の一部で開催される横浜国際園芸博覧会=花博。国際的なイベントに便乗した巨大な開発計画の無謀さが明るみになりました。
わずか2.6㌔に約700億円かける 新交通「上瀬谷ライン」
花博期間中に想定している参加者数は1500万人。この半分を輸送する手段として、相鉄線瀬谷駅から同跡地までの2.6キロをつなぐ新交通「上瀬谷ライン」計画が進められています。この路線の約7割は地下を通すため、整備費は約700億円となる見通しです。うち半額は事業者に負担を求め、残り半分を市・国が負担する計画です。横浜市は、2027年花博までに開業するために、年内に運行事業者を決め、年度中に運行事業者が国に許可(特許)申請するスケジュールを立てています。
シーサイドライン「参画を断る」
報道によると横浜市から運行事業を依頼されている横浜シーサイドライン(市の第三セクター)は18日、事業採算性が見通せないことから、事業に「参画すべきではない」とする有識者の上申書を「妥当」と結論づけ、事業参画を断る方針を正式に決め、11月中に市に回答します。市都市整備局の担当者は「回答を精査した上で今後の進め方を検討していく」とコメントしています。
そもそも無理がある計画
問題の大本にコロナ禍以前に市が策定した土地利用基本計画があります。計画は跡地の約半分を巨大テーマパークを核とした「観光・にぎわいゾーン」とし、年間1500万人の来場を見込んでいます。
「上瀬谷ライン」の安定的な運営には、花博後に東京ディズニ―ランド級の巨大テーマパークを誘致することが条件になります。しかしあてにしていた当初のテーマパーク海外事業者はすでに撤退しています。テーマパーク構想を市に持ち込んだ相鉄も早々に撤退しています。計画そのものの実現性は全く不透明です。
上瀬谷ラインの事業費は凍結を シャトルバスなど現実的な計画に
事業の将来性も見通せず、失敗すれば重い市民負担となる本事業は、抜本的な見直しを行う必要があります。まずは今年度の上瀬谷ラインの事業検討費予算8億円を凍結するよう求めます。そして花博への交通システムは、シャトルバス運行を主とする現実的な計画に改めるよう提案します。
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