岩崎委員:委員長、スライドの使用許可をお願いします。
花上委員長:どうぞ。
岩崎委員:では早速伺います。中外製薬研究所戸塚町開発計画について、防災対策の観点から伺っていきます。
まず、スライドを見てください。(資料を表示)状況確認からです。問題の柏尾川の昔と今です。台風のときのものです。開発現場の3年前の状態。現在こういう状態です。6年前の台風18号、午前10時頃。次に、戸塚駅から開発現場まで水の流れに沿って移動してみます。これが駅から出たところです。中間の戸塚小前です。現場、旧日立正門前です。これでどの地点も水ですから、水面はレベルは同じです。昨年3月、危機管理室長は整備水準が変わっていないとすれば同じように水が出る可能性は高いと思いますと答弁しました。大変重要な答弁だと思っています。大雨のたびに浸水被害を受ける地元は、盛土の計画を知った4年前から盛土が水をせき止め浸水が床まで上がると声を上げ、2288筆の署名を集め、市に対応を求めました。この答弁は地元の状況を当局が認識したものとして評価しています。
この答弁を分かりやすく説明してください。
宇都木危機管理室長:当時の答弁は、委員が周辺地域は50ミリを超す大雨が降れば台風18号と同じように浸水被害が出ることになりますという御質問に対しまして、平成26年の台風18号のときと同じ場所、同じ条件と仮定して整備水準が変わっていないとすれば同じような結果となる、そういった可能性が高いというふうにお答えしたものでございます。
岩崎委員:スライドを御覧ください。このスライドの斜線のところに間もなく盛土ができます。戸塚駅方面からの水がせき止められて、自然の法則どおり上流側の戸塚町地域に水がたまります。浸水被害増大が切迫しています。同じ審議で総務局長は危機管理室として一つ一つの事業についてきめ細かに点検することはなかなかできないという状況にある、こういう苦しい答弁をしました。これと同様の答弁が先日の建築局審査でありました。我が党のみわ委員の質問に建築局長は基準に適合するので許可したと。これは壊れたレコードのように繰り返したわけです。下水の同意基準は17年前のものです。大雨が激甚化している昨今、17年前の基準は通用しません。
副市長に伺います。本件開発許可に関わる建築局、下水部門など、関係部局に賞味期限切れの基準をこの先も使わせるのですか。危機管理室を含め防災関係の問題を扱う関係部局はこんなことをしたら気の毒ではないですか。基準を時代に合わせるべきです。改定の必要性を伺います。
平原副市長:基準につきましては、そのときそのときの状況で今までも変えてきているわけですけれども、ここしばらく変えてないという状況が続いています。特に雨水排水施設につきましては、我々まず整備水準を定めて、それに合わせてどこまで整備をすればいいかというふうなことで、公共側で雨水排水をどうするかということをきちんと決めてやってきております。その上で水準をどんどん上げてより安全なまちにしていこうということではございますけれども、一遍にできないというのもまた一方の事実でございます。そのときそのときの基準に沿って、開発事業についても基準に合わせた内容を確認した上で許可を下ろしているということでございます。
岩崎委員:17年も経過しているのにこれはその都度ですか。改定にはトップの判断が必要です。
改定を予定しているのかどうか、伺います。
平原副市長:今の段階では予定はしておりません。
岩崎委員:これは基準が合っていませんので改定を急いでください。
さらに副市長に伺います。歴代の副市長は地元の皆さんに安心していただけるように指導、要請に努めると何回も答弁しています。一方で、地元は大雨が降るたびに、今もこれからも浸水被害におびえています。副市長の安心答弁と地元のおびえている状況に大きな乖離があります。この乖離は、関係当局が災害発生の切迫を知っているのだけれども基準があるために開発を許可しなければならないという非常に困難なところへ追い込まれているわけです。
こういう状況にあるということについて認識されていますか、伺います。
平原副市長:先ほど委員のほうから駅前の浸水の状況を写真で見せていただきましたけれども、あれだけ大々的な浸水ということになりますと、私どものほうの公共施設側の、簡単に言えば下水道で、あるいは河川整備であれを受けなければいけないというのが根本的な話だと思います。そういうことで、先ほども言いましたように、その時々の水準を設定して整備を図ってきております。今の状況が現況の現場の状況というふうなことでございます。その上で、より安心していただけるためというふうなことで、先ほど写真にもございました旧日立の工場前のマンホール蓋から水があふれないように密閉式のマンホール蓋に替えたり、あるいは今後の話になりますけれども新たな雨水幹線の計画も今立てております。それから、ポンプ場の機能の強化、こんなものも検討しております。そういった意味で、我々公共の役割として、横浜市の役割として、市民の安全を守るために、時間はかかっておりますけれども順次力を入れているというところでございます。
岩崎委員:時間はかかるけれどもと言っても、私の実体験でも20年で2回も3回も浸水しているのです。公共が受け止めなければならないと言って今言ったようなことをやろうとしていますけれども、20年ぐらいかかるではないですか。この間どうするのですか。安全など守れないですよ。
次に伺いますが、企業立地促進条例で中外製薬に横浜市がお金を渡す、支援するということが決まっています。お金の内訳とその根拠、合計金額を伺います。
加賀谷危機管理部長:経済局に確認したところ、支援内容は投下資本額に対する助成金及び5年間の固定資産税、都市計画税の軽減、支援予定額は助成金と税軽減で合計35億6400万円、支援額の決定は開発が全て完了し投下資本額が確定した上で行われるとのことでした。
岩崎委員:こういう支援金のことについて地元はどう見るか。税金で支援した開発事業によって納税者である地元住民が苦しめられることになる。こんな理不尽はないというのが住民の見方です。
この見方についての認識を伺います。
〔岩崎委員「総務局がお金を出しているのではないの〕と呼ぶ〕
平原副市長:経済局の企業立地促進条例のことをおっしゃっているのだと思いますけれども、企業立地促進のために設けた制度、これにつきましてはいろいろな目的があってやっているわけです。雇用の確保ですとか、地元経済の活性化ですとか、そういった基準に適合した場合に企業立地促進条例を適用しておりますので、そういった意味で私どものほうはいろいろな助成を打っているということでございます。
岩崎委員:スライドを見てほしいのです。すみません、3番目と4番目を出してくれませんか。盛土工事はまだ始まっていません。これは3年前の状況です。先ほど見てもらったように現在こういう状態です。盛土工事は始まっていません。現状地盤高を維持すれば浸水被害増大はありません。盛土工事の手直しに35億円もかかりません。計画の手直しを事業者に指導するべきです。
副市長やってください。どうですか。
平原副市長:先ほども言いましたように私ども横浜市としては、トータルで浸水対策の施策を推進しております。そんな中で、開発につきましても我々の基準に適合した開発だということで許可を下ろしております。そういった意味で、横浜市からこの計画を変更しなさいと言うことはございません。事業者のほうで計画の変更があればそれは受け付けますけれども、横浜市のほうで許可したものについて、その計画の見直せというふうなことをやるつもりはございません。
岩崎委員:大変大事なことをお答えになりました。事業者の側から訂正するということがあれば受けるということでしたので、これはそういうふうに言わせてください。(笑声)
次に、開発に関わる2つの提案をしてきました。開発に関わる同意基準の改定と事業者に盛土計画の手直しを指導すること、この2つです。どちらも関係部局の判断ではできないことなのです。トップがその気になればやれます。実行してください。
これはどうですか。
平原副市長:それぞれの担当部署はそれぞれの担当部署が抱える基準に沿って対応しております。先ほど申し上げたとおり、私どもの事情によって計画を見直せということはやるつもりはございません。
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古谷委員:日本共産党、古谷靖彦です。どうぞよろしくお願いいたします。
デジタル化の推進について伺います。
最先端の技術を国民生活向上のためにしっかり生かすべきだと思いますし、市民生活がより豊かになるように活用するべきだと思います。しかし、残念ながら今国で進められているデジタル化の議論はとにかく形ばかりで、米中に追いつこうとするばかりで、目指す将来像、あるいは個人情報保護の議論については不十分なままです。
そこでまず伺いますが、本市の行政のデジタル化は何を目指して、どんな目的で行われるのか、市民にとって何のメリットがあるのでしょうか。
池戸総務局長:新型コロナウイルスの対応がきっかけでもありますけれども、社会全体のデジタル化が今求められております。市民の皆様に身近な基礎自治体である横浜市がデジタル化を推進することは私も重要だと考えております。本市では、行政手続のオンライン化で市民の皆様の利便性向上や、そして何よりも住民記録や税などの基幹系システムの標準化、共通化などによる業務の効率化を目的として、行政のデジタル化を推進していきたいと思います。市民目線での推進ということで基礎自治体として進めていきたいと思っております。
古谷委員:今マイナンバーカードの普及のために、健康保険証、運転免許証、銀行口座など、様々な個人情報がひもつけられようと進められています。そして、ビッグデータとして情報が集積され、それをAIで分析、活用しようという流れに、私は少なくとも個人情報とプライバシーを守る仕組みを組み入れるべきだと思います。EUでは、2018年に施行された一般データ保護規則を改めて、デジタル化に対応して個人情報保護の仕組みを抜本的に強化しました。企業が蓄積したデータを個人が消去させる権利、個人データの取扱いに関して異議を述べる権利、プロファイリングだけに基づいて重要な決定を下さない権利、こういうものを規定しています。アメリカでは今までも情報開示と情報の過誤の訂正を求める権利を個人に認めてまいりましたが、それに加えて、カリフォルニアではAIプロファイリングの結果も保護の対象にしたり、あるいはシアトルではアルゴリズムの透明性、公平性の確保の取組を進めています。デジタル化に対応した個人情報の保護の強化は今や世界の流れだと思います。
デジタル化を進めるに当たって本市は個人情報をどう守るのか、どんな議論が進められているのか、伺います。
池戸総務局長:今国において議論が進められております個人情報保護制度の見直しの動向を踏まえて、横浜市の個人情報保護条例の取扱いなどは今後市民局を中心に庁内で検討していくものと考えております。我々総務局としては、もちろん市が保有する個人情報等のデータを保護することが重要でございまして、情報セキュリティーの確保に万全を期していきたいと思っております。
古谷委員:どんな未来図を描いているかということをぜひ問いたいと思います。デジタル化の最先端だと菅政権がスーパーシティーのお手本にしているのが中国の杭州市です。杭州市はまち全体のデジタル化が世界で最も進んでいます。まちじゅうに監視カメラが張り巡らされて、当局は顔認証で個人を識別し、その個人データが即座に参照できると言われています。また、中国では信用スコアが人々の暮らしに浸透しており、AIが様々なデータからその人の信用度を分析して点数化するのが信用スコアで、これが学歴、職業、年収、預金などの資産や、消費を含めた様々な行動履歴がスコアに反映されます。ボランティアに参加すれば点数が上がり、交通違反やまちでのごみのポイ捨てをすれば減点される。スコアが高ければ金融機関から融資枠が広がり、様々な行政データが優先的に受けられるようになり、スコアが低ければ融資を拒否されたり、行政サービスから排除されることもあります。信用スコアは企業の採用や結婚相手を選ぶ際にも使用されていると聞いています。これは市民が望む横浜の未来の姿なのでしょうかというふうに私は思っています。
私はこんな監視社会にしてはならないと思いますが、横浜市も杭州市のようなまちを目指しているのかどうか、伺います。
池戸総務局長:委員が今御指摘をされた部分について杭州市の事例などは新聞等で知ってはおりますけれども、私たちが目指しているデジタル化の社会というのは、まず手続のオンライン化を含めて、市民の目線でサービスを少しでも簡単、容易、そして今で言えば役所に来なくても受けられる、同じ書類を何度も提出しなくてもいいと。こういう市民目線での部分が我々基礎自治体が目指すデジタル社会のまず第一歩だと思っています。国では、デジタル社会を「デジタルの活用により、一人ひとりのニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会」としております。横浜市は地方自治体として、国の方針に基づきながら、市民サービスの向上と業務の効率化を進めることでデジタル社会の実現を目指していきたいと思っております。
古谷委員:では改めて、デジタル化がいかに進もうと個人情報を含めた個人の尊厳をしっかり守られるべきだと思いますが、見解を伺います。
池戸総務局長:個人の尊厳は非常に当たり前のことであろうと思っております。個人情報については、本人の同意がないと今の個人情報保護条例の中では他の目的に使えないというような形になっておりますので、そこのところは今の法令の中でもしっかり守られていると思います。
古谷委員:今守られているのは当たり前なのです。今守られてなければ大変な問題だと思います。国が進めようとしている将来の流れ、未来像、こういうものについて、今端緒についているわけですから、そこまでしっかり市民に対して説明するべきだと私は思いますし、デジタル化が何を目指すのかということをしっかり説明する責任があると思います。
国が進めるからといって粛々と本市で具体化するというのは私はそれだけでは間違っていると思いますが、見解を伺います。
池戸総務局長:国が進めているデジタル化社会というのも、私が先ほど説明いたしました市民の生活をより豊かに幸せにするものという理念にきちんと立脚して進めているものだと思っています。私はスーパーシティー構想の細かいところまでは分かりませんし、他の国、杭州市などの情報は分かりませんけれども、その基本理念に立脚した上でデジタル化を進めていくというのが今の国のベースでもありますし、我々自治体の当然進めるべき方向と思っております。
古谷委員:今の議論の中で私は個人情報保護の議論が全く置き去りにされているというふうに改めて指摘をしておきます。本市がデジタル化を進めるに当たってデータの利活用を進める際に、自分の情報をしっかりコントロールする権利、情報の主体である個人の権利を確立することというのは後でやるのだというのではなくて先にやるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
池戸総務局長:今の御質問にきちんとお答えできるかどうか分かりません。市民局のほうで個人情報保護条例のほうを所管しておりますので。ただ、今委員がおっしゃったように、自分の個人情報をしっかり守っていくということと、あと我々の住基という中で究極の住民情報、それぞれ個々の情報を持っておりますので、これをしっかり守っていくということは先ほどの御質問の中でも申し上げましたけれども、我々の仕事の原点だと思っておりますし、その利用についてしっかりとルールを決めているのが横浜市の個人情報保護条例だというふうにも思っております。
古谷委員:今国で議論されている法案、個人情報の法については、緩められる方向で議論がされています。それに全国の条例が引きずられるということになろうかと思いますので、それについてはしっかり意見を言っていただきたいと思います。
以上です。