議会での質問・討論(詳細)
2021年3月8日

■港湾局(河治民夫)3/8

河治委員:日本共産党の河治民夫です。党を代表し、質問いたします。

委員長、スライドの使用許可をお願いします。

高橋[の]委員長:はい、許可します。

河治委員:まず、山下ふ頭の再整備についてです。

一昨年、市長が市民の声も聞かずに山下ふ頭に誘致表明したIR統合型リゾート施設の公募が2月5日より始まりました。市民から様々な面で批判が相次いでいます。IR整備についての山下ふ頭に関わる基盤整備における公的負担は、最終的には事業者からの税収等で賄われるとのことでした。

そこで、山下ふ頭の再整備にこれまで幾ら投入されてきたのか、また、この事業の進捗がどこまで進んできたのか等、伺っていきたいと思います。山下ふ頭の再整備事業の総事業費は、これまでは見込額として移転補償費等、1期270億円、2期100億円、基盤整備費、1期120億円、総額490億円と聞いていましたが、現時点では幾らになりますか。そして、これまで投入されたお金は幾らか、移転補償費等、基盤整備分に分けてどうなるのか、伺います。また、今年度、2020年度末で支出するお金は幾らになるのか、伺います。

植松山下ふ頭再開発調整室長:山下ふ頭再開発事業の総事業費は、まず移転補償といたしまして約460億円です。基盤整備費は、IR設置運営事業者の提案によりますので、これには含まれておりません。2020年度末までの支出額は約270億円の見込みです。

河治委員:この山下ふ頭開発で基盤整備はどうなるのでしょうか。護岸整備などは本市が行うと聞いていますが、そのほかに本市が行う基盤整備は何か、また、どこまで責任を負うのか、その内容を伺います。

植松山下ふ頭再開発調整室長:本市が負担する基盤整備は埠頭内といいますか、IR区域内では、主に護岸構造物の地震対策及び液状化対策、耐震強化岸壁に接続する臨港道路の液状化対策です。

河治委員:見込みはおよそ幾らぐらいになるのですか。

植松山下ふ頭再開発調整室長:先ほど申し上げましたが、IR設置運営事業者の提案によりますので、現時点では把握しておりません。

河治委員:再整備事業は2015年から始まったものですが、事業の進捗状況はどうか伺います。そして、事業費は想定した金額と比較してどうだったのか、伺います。

植松山下ふ頭再開発調整室長:現在は移転補償を進めており、民間倉庫24棟のうち12棟について契約を締結したところでございます。必要な費用を総事業費、先ほど申し上げましたように460億円として見込んでおり、足りるものと考えております。

河治委員:当初の計画では、2020年オリンピックまでに一部供用するとしていましたが、現状は一体開発として2020年度後半に全体供用ということです。再整備において民間の倉庫移転も途上です。埠頭内には24棟の民間倉庫がありますが、移転契約を完了したのは12棟のみです。新年度は6棟の移転分を予算化とのことですが、当初計画より遅れているように感じています。

新年度の契約を6棟とした理由は何か伺います。

植松山下ふ頭再開発調整室長:今までの御説明をしている状況等を踏まえまして、契約できるよう引き続き倉庫事業者の皆様と丁寧に移転協議を進め、6棟の契約にこぎつけたいと考えております。

河治委員:当初計画で今年度、2020年度までの計画で、移転契約完了は当初計画では何棟の予定だったのですか。

植松山下ふ頭再開発調整室長:もちろん、もっと早くいろいろと進めたいと思っておりましたが、いろいろとお話をさせていただく中で、現在の予算立てとなっております。

河治委員:何棟まで見込んでいたのですか。

植松山下ふ頭再開発調整室長:特段に年度ごとの契約を見込んでいたものではございません。

河治委員:それでは、これまで完了した12棟の倉庫の移転費は幾ら費やされたのですか、その金額を伺います。

植松山下ふ頭再開発調整室長:12棟の倉庫の移転補償費については、これまで約200億円を執行しております。

河治委員:この中に、公共上屋処理費は幾ら費やしたのか、伺います。

植松山下ふ頭再開発調整室長:約1億円でございます。

河治委員:埠頭内には民有地0.5ヘクタール、全体の1.1%があると聞いていますが、再整備するにおいてこの民有地をどのようにしようとしているのか、伺います。また、これまでどのような話が進んできたのか、伺います。

植松山下ふ頭再開発調整室長:地権者と丁寧に移転協議を進めてきているところでございまして、横浜市としては取得していきたいと考えてございます。

河治委員:交渉内容を具体的に教えてください。

植松山下ふ頭再開発調整室長:まさに今やらせていただいているところでございますので、答弁は控えさせていただきます。

河治委員:これは話合いが成立しない場合は、再整備はどうなるのですか。

植松山下ふ頭再開発調整室長:再整備が進むように丁寧に御説明し、御理解いただきたいと考えております。

河治委員:埠頭内には港運会館があります。港運協会の前会長はカジノ誘致に命をかけて阻止すると言っておられています。その会館の敷地の使用許可は令和2年3月31日までだったと聞いています。その後、伸びたということなのですが、使用許可はどうなっているのか、伺います。

植松山下ふ頭再開発調整室長:港運会館の土地につきましては、継続的に使用許可をしております。

河治委員:今後の使用許可はいつまでですか。

植松山下ふ頭再開発調整室長:現在は令和3年3月31日まででございますが、現在更新手続中でございます。

河治委員:次に、山下ふ頭に関する港湾計画の変更についてです。昨年12月に港湾計画が一部改定されました。山下ふ頭に関しては、山下ふ頭2号岸壁の耐震強化と臨港道路の新設が計画に組み込まれました。

スライドを御覧ください。(資料を表示)横浜港を示したものです。赤い色の岸壁が耐震強化岸壁で6岸壁あります。オレンジ色は、港湾計画にある耐震強化岸壁として整備計画されているもので、大黒4号岸壁から8号岸壁まで5岸壁と新港8号岸壁の計6岸壁です。次のスライドは、港湾計画で変更された内容で、新港8号岸壁の耐震強化をやめ、新たに山下ふ頭2号岸壁を耐震強化にするとされました。次は、耐震強化する山下ふ頭2号岸壁から緊急輸送路の山下町第39号線を結ぶ4車線の臨港道路山下線を新設するというものです。

そこで、山下ふ頭の耐震強化岸壁及び新港ふ頭岸壁についての港湾計画一部変更の経緯を説明してください。

中野港湾局長:平成18年の港湾計画改定の際に、新港9号岸壁とともに、反対側の8号岸壁を耐震強化岸壁に位置づけました。令和2年、昨年の9月に国から8号岸壁を関東大震災復興岸壁として土木遺産に認定を受けました。8号岸壁の背後は客船ターミナルのバスの発着場所にも使用されております。こういったことから、8号岸壁を耐震強化岸壁に造り変えることが困難と判断をいたしました。また、耐震強化岸壁は分散して配置をしたほうが災害時にリスク回避もできることから、新港ふ頭と同様、背後に市街地を抱える山下ふ頭2号岸壁を耐震強化岸壁とする港湾計画の変更を12月に行いました。

河治委員:耐震強化岸壁についての推進で言えば、既に計画されている未整備の大黒4号岸壁から8号岸壁を優先すべきと思うのが、これが普通ではないでしょうか。それがIR事業者の募集直前に急遽、港湾計画を変更して山下ふ頭2号岸壁の耐震強化を優先する。そして、臨港交通施設整備も一緒に行うものです。これはIR事業に関わるものなのでしょうか。

中野港湾局長:これは緊急物資輸送用の耐震強化岸壁でありまして、もちろん大黒ふ頭にも位置づけはされておりますが、山下ふ頭のほうが市街地に近いということもございまして、今回、耐震強化岸壁の計画に位置づけたというものでございます。

河治委員:港湾計画は既にあるもので、大黒のほうが優先されるべき、これが普通に考えるのではないでしょうか。

中野港湾局長:もともと新港8号岸壁も耐震強化岸壁に位置づけられておりましたので、これの代替として山下ふ頭のほうを位置づけたというものでございます。

河治委員:だから、大黒のほうが既に強化岸壁の計画があったわけだから、順序で言ったらそっちが優先されるのではないですかと伺っているのですけれども、なぜそうならないのですか。

中野港湾局長:この山下ふ頭のほうに位置づけたということについては、今回例えばMICE施設が整備されますと、緊急物資の受入れに対しまして、それの保管場所として活用できるとか、あるいは山下ふ頭の再開発に大変多くの方がいらっしゃると思いますが、そういった際に船で避難をさせることもできるということで、これは再開発のタイミングを逃しますと、なかなか耐震強化岸壁の整備もできなくなりますから、山下ふ頭のほうを耐震強化岸壁に位置づけたということもございます。

河治委員:結局、私が聞く限りでは、IRの再整備を前提にしたようにしか思えません。山下ふ頭2号岸壁の耐震強化岸壁や臨港道路の再整備について、総事業費と本市の負担は幾らになるのか、伺います。

中野港湾局長:山下ふ頭2号岸壁につきましては、国有施設のため、耐震強化は国直轄事業で行うよう要望しております。また、臨港道路につきましては、原則としてIR設置運営事業者が整備を行い、液状化対策費用の一部を本市が負担することにしております。事業費につきましては、いずれも現段階では示されておりません。

河治委員:その液状化になるところを本市が整備するのですけれども、液状化対策をやるのですけれども、どれぐらいおおよそ見込まれるのですか。

中野港湾局長:まだ具体的な検討はしておりませんので、事業費については現在出ておりません。

河治委員:約47ヘクタールの一連の土地です。そこに臨港道路を整備することはIR事業者にとっては事業計画を立てるに当たって障害になると思うのですが、どうなのでしょうか。こうした内容は今年1月に策定された募集要項にはどこにも記されていません。どこにあるのでしょうか。

中野港湾局長:IRの実施方針では、港湾計画に基づき区域内の道路を整備するよう求めておりますが、線形等についてはよりよい計画に向けて既定計画の変更の提案を行うことができるとしておりまして、この開発事業の障害にはならないと考えておりまして、これは実施方針で定められたものでございます。

河治委員:スライドでは臨港道路は真っすぐ直線なのですが、事業者によっては、それをぐにゃぐにゃ曲げても大丈夫だということですか。

中野港湾局長:よりよい計画に向けて、その計画がいいということで判断をすれば、そちらを採用して整備を行う予定でございます。

河治委員:局別審査の事前説明では、募集要項作成時に事業条件書、こういうものがあり、そこに明記されているということでした。その事業条件書とはどのようなものなのか、どんなことが記されているのか、伺います。

中野港湾局長:この内容については、事業実施計画の中にその詳細な部分が補足をされているものでございますが、こちらについては他都市との競合関係にありますので公表はされておりません。

河治委員:なぜ明らかにできないのでしょうか。

平原副市長:IR事業につきましては、IRを整備したいという自治体が国に申請するわけでございますけれども、国のほうでは全国3か所と言われております。その中には横浜市の考え方がいろいろ入っているわけでございますけれども、都市間の競争という点では、当面の間は公表しないつもりでおります。ほかの都市においても公表はされておりません。

河治委員:これはいつ明らかになるのですか。

平原副市長:事業者選定をして、最終的には、国に申請するときには議会の承認が必要ですので、それまでの間の適切な時期に公表できるかどうかを含めて、時期を含めて検討したいと思います。

河治委員:この臨港整備道路は道路だけなのか、その下に水道とか下水道等の施設、共同溝、こういったものは計画にないのか、伺います。

中野港湾局長 現時点で水道、下水道の計画についてはございませんで、今後、IR事業者と区域整備計画を作成する中で決めていくという内容だと思っております。

河治委員:スライドを御覧ください。これは当初基本計画に示された山下ふ頭マスタープランです。先ほどの説明に戻りますが、1号岸壁や2号岸壁部分には人々を呼び込む特色あるにぎわい空間としていますが、港湾計画の改定版では2号岸壁が耐震強化されて大規模地震対策施設になります。明らかに山下ふ頭マスタープランとは異なる用途です。当初の基本計画は審議会での審議を積み上げられて策定されたものですが、この変更は審議会の議論を無視したことになるのではないでしょうか。

 そこで、山下ふ頭の開発基本計画の変更措置は取らないのか、伺います。

中野港湾局長:こちらの山下ふ頭マスタープランの図面でも、まさに客船ゾーンと書かれているところが今回の耐震強化をする岸壁でございます。こちらについては実施方針においても、山下ふ頭開発基本計画を上位計画として前提条件とされております。また、今回の耐震強化岸壁や臨港道路の変更についても、開発基本計画の中で高い防災・安全性を持つまちづくりという方針がございまして、こちらに沿ったものでございます。したがって、変更する必要はないと考えております。

河治委員:そうしますと、IR事業者から出てくるのも、この山下ふ頭マスタープランに沿った形に出てくると考えてよろしいですか。

平原副市長:今この計画、先ほど局長から言いましたように、実施方針の中でも上位計画と位置づけておりますので、これを踏まえた提案になると私どもは考えております。

河治委員:今、コロナ対策こそ最優先に取り組まなければならないときなのに、IRに向けての事業への力の入れ方というのは私は改めるべきだ、そのことを主張しておきます。

次は、働きやすい環境整備についてです。

この間、港湾施設において女性トイレの整備状況が改善されて、感謝の思いも私たちのところに届いております。よかったと本当に思っています。今、バス通勤の港湾労働者から、横浜駅から大黒ふ頭まで立って行くのがつらい、座っていけるよう何とかしてほしいとの要望が繰り返し寄せられています。

バス便の増設やバスに補助席を設けるなど対策を講じてほしいということですがどうか、伺います。

中野港湾局長:横浜駅から大黒ふ頭へのバス路線は到着するまで40分程度かかることから、朝の通勤時間帯では、始発の横浜駅で座席が埋まった時点で、次の便を待つ方が多いため、定員の半分程度で出発をしております。そのため、港湾事業者や埠頭で働く方々から増便の要望が、委員もおっしゃるとおり寄せられております。港湾局としましては、増便や座席の多い観光バスタイプの車両の導入等について、引き続き交通局に働きかけてまいります。

河治委員:やはり、働く人たちが本当によかった、安心できる職場だ、誇りが持てるような形で、私たちも聞いた要望についてはそれぞれお届けしたいと思いますし、港湾局の皆さんも、ぜひその立場から頑張ってほしいと思います。ぜひ、安心して働ける魅力ある職場にしてほしいと思います。

終わります。


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