申し入れ等
2021年4月15日

横浜市社会福祉審議会での神奈川区生活支援課における生活保護申請に対する不適切な対応の検証にあたっての申し入れ

2021年4月15日

横浜市社会福祉審議会

委員長 荒木田 百合様

横浜市健康福祉局

局長  田中 博章様

日本共産党横浜市議団団長 荒木由美子

2021年2月22日、神奈川区生活支援課において、住まいのない女性の相談者が申請書を持参して生活保護の申請意思を表明したにもかかわらず、制度の誤った説明をして、申請を受け付けずに帰してしまうという重大な事案が発生しました。

2020年3月10付厚生労働省事務連絡で、「申請権が侵害されないことはもとより、侵害していると疑われるような行為も厳に慎むべきである」、9月11日付事務連絡で「無料低額宿泊所への入所に同意しなければ保護を申請することができない旨の説明をするといった対応は、申請権の侵害または侵害していると疑われる行為にあたるので、厳に慎むこと」とあります。神奈川区の対応は、まさに「申請権の侵害または侵害していると疑われる行為」そのものであると言わざるを得ません。問題は、国からの再三にわたる通知にもかかわらず、このような対応がなぜ行われていたのかということです。国の通知どおりに対応すれば、起こりえないことが発生したことの原因を根本から明らかにしなければ、再発防止策も実効性のあるものとはなりません。さらに、新型コロナウイルス感染拡大で経済が打撃を受けるなか雇用環境が一段と悪化し、これまで貧困とは縁がなかった市民も困窮へと追い込まれています。生活を支える支援が不十分な現状では、「誰でもためらわずに生活保護を利用」できるよう改善されることが求められます。3月26日、市長は横浜市社会福祉審議会に対して神奈川区の不適切な対応についての詳細調査、原因究明と再発防止の取り組みについて諮問されました。この視点にたち、審議が行われるよう以下の点を申し入れます。

1.厚労省は、2020年3月から2021年2月までに生活保護に関する事務連絡・通知を8回発信し、面接時の適切な対応も数度にわたって求めております。区生活支援課が厚労省のこの指摘を正面から受け止めていたら、今回の失態は防げていたはずです。神奈川区においては生活保護に関する国・市の通知、通達はどのように周知・徹底されていたのか、管理職の認識、運用実態を調査してください。

2.神奈川区における2020年4月~21年1月(10か月間)に窓口相談数2428件に対し、申請数は411件、相談数に対する申請率は16.9%と同期間中全市平均申請率29.2%の6割弱に留まり、18区のなかで最も低い申請率となっています。今回の事例にとどまらず、要件が整っていても申請に至らなかった事例が相当数あったと推察されます。3月19日の総合審査で日本共産党の質問に対し、「点検の結果、申請の意思がありながら受理しなかったものは確認できなかった」と局長が答弁しておられますが、改めて面接相談記録のチェック、対応された相談員への聞き取り、特にホームレス状態の方などの詳細な調査を実施し、申請権を侵害・侵害していると疑わるような行為の有無など実態を掌握してください。

3.この間に相談された方、申請された方に対して、窓口相談者の対応についてアンケートを実施してください。

4.この件は、録音が動かぬ証拠となって、発覚したものです。面接相談記録がどういうやり取りがあったかをキチンと記入されていたのか、点検してください。
当該面接担当者は、相談途中で、退席して、生活支援課職員と相談をしています。相談から戻り、申請しても住むところがない、所持金が上限を超えているとの2つの点から却下となる可能性が高いと説明をしています。この誤った説明は、個人的見解でされたものではなく、課ぐるみ、組織として行われたとの疑念は拭えません。相談相手は誰でどういう点がその場で確認されたのか調べて下さい。

5.住居のない場合は、寿地区の簡易宿泊所並びに「はまかぜ」への入居・入所を勧めていますが、この誤った条件付けは、横浜市の方針なのか、それとも神奈川区特有の方針なのかを明らかにして下さい。

6.神奈川区における面接担当者への研修はどのように行われていた(全市及び区独自)のか精査してください。

7.横浜市発行の「生活保護のしおり」の記述については、不当な扱いに対して市民の側から誰でも反論できるものが当然望まれます。しおりの記述に不備はなかったのか、この際点検してください(居所保護規定、持ち金額は最低生活費の半分以内等)。

以上


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