2021年1月21日
横浜市長 林 文子 様
日本共産党横浜市会議員団 団長 荒木 由美子
横浜市を含む1都3県(現在は11都府県)に緊急事態宣言が発令されました。菅政権のもとでの施策も一言でいえば無為無策で、感染拡大を収束させる方向とは逆行しています。菅政権が国民に対して語るべきものを全く持たずに文字通り「自助」のみを押し付け、そのためにこれ以上の感染拡大を止めるために国民が心ひとつになり切れない状況にあります。
いまの横浜市も市内の感染拡大が一向に止まらない状況です。そんな中、横浜市が市民の命と健康を守る立場で、感染拡大を止めるために何をなすべきなのかをはっきりと市民に示し、感染拡大を止めるための市民の力を引き出すことが必要です。具体的には、「人と人との接触機会を減らす」ために市民も事業者も協力して感染拡大を止めることに注力できるように市は何を為すべきなのかについて以下予算建てを要望します。
記
【医療対策】
1.新たな神奈川方式により、今までコロナ陽性者を受け入れたことのない医療機関でも受け入れなければならず、コロナ陽性者の受け入れのための支援対策をハード・ソフト両面で緊急に拡充すること。また、全ての入院施設をもつ医療機関でコロナ陽性者の入院を受け入れることを求めるわけですからそこに従事する医療従事者への定期的PCR検査を実施すること。
2. 感染拡大抑止の要となる「検査・保護・追跡」の抜本的拡充という感染症対策の科学的大原則にたった取り組みの強化が必要であることから、
①自宅療養者の管理を患者本人任せにせず従前どおり行うために、保健所・各区福祉保健センターの人員を大幅に増員し、追跡調査・積極的疫学調査・容態急変に備える体制を堅持すること。また届出が出された後の初動対応を遅滞なく行う体制をつくること。
②入院・宿泊施設・自宅療養の調整を県任せにせず、市としてもかかわりを持ち責任をもつ体制をつくること。また陽性者となり宿泊療養施設を希望する方全てが入所できるように受け入れ数を拡充すること。
③医療機関、高齢者施設等の入所者、職員に対し一斉・定期的なPCR検査を実施すること。また施設・事業所が独自に民間検査機関に依頼して定期的検査を行った場合の補助制度を創設すること。
④広島県広島市、栃木県那須塩原市のように、希望する市民などへ幅広くPCR検査を実施するよう国・県に求めること。また横浜市の自前の検査体制の強化をはかること。
3.爆発的な感染拡大を受けて、市独自に医療機関への財政的支援と医療従事者への負担軽減・支援策をとること。
【経済対策】
1.感染蔓延を防ぐには人と人との接触をできるだけ減らすしかなく、その公衆衛生上、必要な対策を事業所が実施して減収となった場合は、補償することが必要です。そのための予算を強く国に求めること。
2.国の制度である雇用調整助成金や休業支援金の活用推進を市としても広報を強めること。
3.事業規模に関わらず、全事業所に向けてアンケートを行うなど、業種ごとに困難な実態を市として把握して、事業継続のための施策を実施すること。
4.国の持続化給付金・家賃支援給付金は、支給要件が売上減少(50%以下等)とありますが、国の支援条件から漏れ落ちてしまった中小業者に対し、市の予算で一時金を給付すること。
5.経営小口資金融資(100万円、無条件、無担保無保証、超低金利)を創設し、他の制度融資よりも迅速な貸し付けを行うこと。
6.「新しい生活様式」対応支援事業補助金をさらに増額し、また支給までの時間短縮をすること。
7.市民利用施設の減収補填を十分に行い、職員、パート、アルバイトの方々の雇用を守ること。
8.文化施設・芸術関連の施設を守るため減収補填を行うこと。
9.宿泊施設・観光業者へ直接支援を行うこと。
10.市内の劇場、ライブハウス、ミニシアターなどへの直接支援を継続すること。
【保育・教育対策】
1.学校・保育所・放課後施設等、子どもの通う施設の関係者が陽性となり、休校、休園が頻発している。市立学校教職員では1月1日累計44人が1月20日累計72人と急増している。これまで人権尊重・個人情報保護の観点により施設名不公表とされているが、感染爆発が続く現時点においては、施設・保護者・地域の協力を得て発生時の対応をスムーズにするためにも、施設名を公表し、情報共有すること。
2.子どもに不利益となる、これ以上の休校や休園を回避するため、無症状者の中から感染源を探すためのPCR検査を、学校・保育園・放課後施設等、子どもが通う施設の職員を実施すること。
3.オンライン授業の速やかな実施を行える体制にすること。また自主的な不登校を選択する児童・生徒が評価などで不利益を被らないような処置をとること。
4.保育園の保護者が感染防止対策として登園自粛する場合に、保育料を減額すること。
5.放課後児童クラブが感染防止対策として自主的に閉所する場合に、補助金を減額しないこと。
6.放課後児童クラブにおいて、2021年度にコロナの影響で児童数が減少した場合も運営が継続できるように、2020年度と同額を交付する特別措置をとること。
【職員の健康対策】
1.職員の感染者が増えていることに対して、感染リスクの高い職種や多数の市民対応が必要な職種は定期的な検査を実施して、職員の命と健康を守ること。また文字通り「リモートワーク7割」を市自らが実践すること。
2.職員のコロナ陽性者の中で、特に割合の多い教職員について、どこで感染しているのか、どうすれば感染を防ぐことができるのかの分析を行い、所要の対策をはかること。
3.消防・救急職員について
①職員の感染防止徹底のため、仮眠室の個室化を急ぐこと。
②集団生活が基本となっていることから、浴室、トイレ、食堂等の共用施設の感染防止対策を徹底すること。
③全ての消防署所に消毒室の設置を急ぐこと。
【生活困窮者対策】
1.東京都のように、生活保護のネット申請を受け付けること。
2.コロナ禍の中、ためらわずに生活保護を申請できるよう、厚労省ホームページ同様、「生活保護の申請は国民の権利」であることを周知すること。ケースワーカーの増員を図ること。また、申請を待たずに、職権による保護の開始を積極的に進めること。
3.生活に困っている方が区役所に来た際に、食事がとれるように、お米などの食材を渡し、じっくりと安心して相談できるようにすること。
4.市民税・固定資産税・国民健康保険料などが収入減により支払いが困難になっている方に対し、延滞金や差し押さえを極力回避し、支払い猶予や減免制度などがあることを知らせ、丁寧な対応をすること。
以上の施策を実施するために、財政調整基金、横浜版GOTOの中止、IR推進費、国家戦略住宅整備、新たな劇場計画検討、MICE誘致関連、客船寄港促進、オリンピック・パラリンピック関連事業、都心部活性化再開発、旧上瀬谷通信施設地区整備、マイナンバー関連、高速道路整備、巨大ふ頭整備、道路建設事業団の債務早期返済計画の見直しなど、不急不要の事業を厳しく選別して財源をつくり、コロナ対策に振り向けることを求めます。
以上