日本共産党を代表し、「市第101号議案 令和3年度横浜市一般会計予算」等の組み替え動議の趣旨説明を行います。
まず、組み替えを求める理由について述べます。2021年度予算案においては、住民の意向を問うことなく事業者決定まで進めるIRカジノ誘致手続き、コロナ後の都市のあり方が問われている中での巨大テーマパーク立地に向けて旧上瀬谷通信施設地区事業の本格化、有効利用される根拠と具体的データを示さないままの新劇場構想を推進する一方で、水道料金、介護保険料、国民健康保険料の値上げなど市民には新たな負担増を強いています。
中学校給食の実施は、デリバリー給食にとどまり、少人数学級は、小学校2年生までの国の水準のままで子育て支援策も不十分で、市営住宅新設の放棄など切実な市民要望には応えきれていません。特に看過できないのは、新型コロナ封じ込めのための無症状感染者を発見するためのPCR等検査に対して、その効果を否定し、実施を頑なに拒否し続けていることです。地方自治体の本来の役割「住民福祉の機関」 「住民自治の組織」としての役割を果たしているとは、到底言えない状況です。市長は、2021年度予算案を撤回し、これから述べる趣旨に沿って編成替えを行うことを求めます。それでは、組み替えの内容を述べます。コロナの影響から市民の命、健康、暮らしと営業を守るための対策に総額30億円を追加して投じます。
そして、教育の充実をはかるために、就学援助認定基準を2013年度基準に戻し対象者の拡大、低所得世帯むけの高校育英資金制度の創設、中学校給食の全員喫食方式導入に向けての調査・検討の実施35人以下学級を新小学3年生で実施をそれぞれ図ります。国民健康保険料は引き上げではなく、引き下げます。さらに市営住宅の直接建設に踏み出します。これらの施策・事業に充てる財源として、IR等検討費、議員の海外視察費及び費用弁償、新たな劇場計画検討費、旧上瀬谷通信施設地区事業費会計、旧上瀬谷通信施設地区新たな交通検討事業費、横浜市道路建設事業団への補助金の一部カットなどを行い、一般財源53億2000万円、市債4億3000万円を捻出します。
次に、国民健康保険事業費会計予算のうち、歳入の国民健康保険料を14億3000万円減額し、一般会計繰入金8億円と基金繰入額を6億3000万円それぞれ増額することにより、平均国民健康保険料を前年度より1000円引き下げます。
市街地開発事業費歳入歳出予算から旧上瀬谷通信施設地区事業費の半減額、民間の開発事業者に便宜を図る公共性のない補助金である東高島駅北地区事業費、横浜駅きた西口鶴屋地区事業費の全額を削除します。合わせて、港湾整備事業費歳入歳出予算から多くの市民が反対するカジノ誘致にむけての基盤整備となる山下ふ頭用地等事業費を全額削除します。
以上、2021年度の予算案の編成替えを求めます。
各議員におかれましては、ぜひご賛同いただけますよう心からお願いいたしまして、組み替え動議の趣旨説明を終わります。
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組み替え動議(別紙)
1 組み替えを求める理由
2021年度予算案においては、住民の意向を問うことなく事業者決定まで進めるIRカジノ誘致手続き、コロナ後の都市の在り方が問われているなかでの巨大テーマパーク立地に向けての旧上瀬谷通信施設地区事業の本格化、有効利用される根拠と具体的データを示さないままの新劇場構想の推進、その一方で、水道料金、介護保険料、国民健康保険料の値上げなど市民には新たな負担増を強いている。中学校給食の実施は、デリバリー給食にとどまり、少人数学級は小2までの国水準と子育て支援も十全でなく、市営住宅新設の放棄など切実な市民要望には応えきれていない。特に看過できないのは、コロナ封じ込めのための無症状感染者を発見・保護するPCR等検査に対して、その効果を否定し、実施を頑なに拒否していることである。地方自治体の本来の役割「住民福祉の機関」「住民自治の組織」を果たしているとは到底言えない。
市長は、2021年度予算案を撤回し、以下の趣旨に沿って、編成替えを行うことである。
2 組み替えの基本方針
IRカジノ誘致、不要・不急の大型公共事業などを凍結・中止し、その財源を新型コロナウイルス感染症封じ込め対策をはじめ、市民の命と暮らしを守り、教育を充実するための事業・施策に振り向ける。
また、国民健康保険事業費会計予算を組み替え、保険料を引き下げる。
3 組み替えの内容
以下の1)のとおり、不要不急の大型公共事業等の凍結・中止等で新たな財源を生み出し、2)のとおり、貧困対策の拡充と高齢者施策、教育の充実を図る。また、3)4)5)のとおり、特別会計、企業会計の予算を組み替え、国民健康保険料を引き下げ、開発私企業に便宜を図る公共性なき補助金交付とカジノ誘致のための条件整備事業は中止・休止する。
1)不要不急の大型公共事業等の見直し等で捻出する一般財源、市債
① IR等検討費全額カット 一般財源3.4億円
② 議員の海外視察費・費用弁償全額カット 一般財源0.4億円
③ 新たな劇場計画検討費の全額カット 一般財源0.3億円
④ 旧上瀬谷通信施設地区事業費会計への繰出金の半額カット 一般財源17.9億円÷2=8.9億円
⑤ 旧上瀬谷通信施設地区新たな交通検討事業費の全額カット 市債4.3億円 一般財源0.2億円
⑥ 横浜市道路建設事業団への補助金の一部カット 一般財源40億円
以上のとおり、捻出した一般財源53.2億円、市債4.3億円を以下の2)のとおり、振り向ける。
2)貧困対策の拡充、市民負担軽減と高齢者施策と教育の充実を図る。
(ア)コロナの影響から市民の命、健康、暮らし・営業を守るための対策拡充(PCR等検査体制拡充、医療機関支援、保健所体制の拡充、小規模事業者生業支援、市税・国保料等の減免など) 一般財源33億円
(イ)就学援助認定基準を2013年度基準に戻し、拡充
(認定者数増4000人) 一般財源2.6億円
(ウ)低所得世帯むけの高校育英資金制度の創設
(高校1年生年間12万円×1400人) 一般財源1.7億円
(エ)中学校給食の全員喫食方式に向けて、自校方式、親子方式どうすれば実現可能かの全中学校現地調査の実施
(7万円×145校)一般財源0.1億円
(オ)35人学級を新小学3年生で実施 一般財源7.8億円
(カ)国民健康保険料の引き下げにむけ国民健康保険事業費会計への繰入金増額 一般財源8億円
(キ)市営住宅の直接建設 市債4.3億円
3)国民健康保険事業費会計予算のうち、歳入の国民健康保険料を14.3億円減額、一般会計繰入金を8億円、基金繰入額を6.3億円それぞれ増額とする。これによって、平均国民健康保険料が前年度より1000円引き下げとなる。
4)市街地開発事業費歳入歳出予算から旧上瀬谷通信施設地区事業費8.9億円の減額、東高島駅北地区事業費14.7億円、横浜駅きた西口鶴屋地区事業費6.8億円の全額を削除する。
5)港湾整備事業費歳入歳出予算から山下ふ頭用地等事業費全額57.1億円を削除する。