岩崎委員:委員長、スライドの使用許可をお願いします。
酒井副委員長:はい、どうぞ。
岩崎委員:水道料金値上げ計画について伺っていきます。
料金改定を実施する予定の来年7月には経済が元に戻る見込みがあると考えているのか、伺います。
大久保水道局長:新型コロナウイルス感染症は、これまでに経験したことのないものでございまして、現時点で来年7月の経済情勢がどのようになるかということについて判断することは難しいと考えております。
岩崎委員:それでは、値上げの根拠にしている人口減少に伴う料金収入減少、施設管路等の更新耐震化費用の増大など、これに関わる計画数値はコロナ禍の影響で大きく変わると考えられますが、当局の説明資料にはこのことが全く書かれていません、反映されていません。コロナ禍の影響の先行きが見通せない、計画指数も定まらない、この状態での値上げ計画は撤回し、事態が落ち着いた段階で改めて見直すべきと思いますが、どうでしょうか。
大久保水道局長:コロナ禍の影響を受けまして、今年度の料金収入につきましては、家事用の使用水量は増加している一方で業務用の使用水量の落ち込みが大きく、9月の検針まで前年度と比較しまして約7億円減少しております。この減収は続き、さらに経営環境は悪化していくと考えております。このため今年度予算におきましては、事業の見直しや行政内部経費の執行を留保するなどによりまして、収入減の影響を最小限に食いとどめるように取り組んでおります。コロナ禍におきまして市民の皆様の生活や経済の状況が大変厳しい状況にあるということは認識をしておりますが、一方で施設の更新や耐震化は待ったなしの状況でございまして、先送りしたとしてもその分将来の負担が大きくなると考えております。非常に難しく苦しい判断ではございますが、将来に向けて負担を先送りせず、着実に事業を進めていくということは水道局の責務であると考えております。
岩崎委員:では、副市長に聞きます。コロナ禍で市民生活がダメージを受けています。市民に寄り添う本市の姿勢を示すメッセージとして水道料金の減免を決断していただきたい。他都市で減免できていて本市ができないのは、これでは通用しません。総務省の通知は、コロナ禍の影響に対する財政支援策の財源に臨時給付金を充てることができるとしています。臨時交付金を活用して今からでも減免措置を講ずるべきと考えますが、伺います。
小林副市長:コロナ禍により市民の皆様の生活あるいは経済状況にも大きな影響を与えていることを踏まえまして、横浜市として補正予算を1次、2次、3次とこれまで計上してまいりました。感染拡大の防止、あるいは医療提供体制の確保とともに市民生活の確保、経済再生に向けた企業活動の支援に総合的に取り組みまして、委員が今御指摘いただいたような市民生活に何とか安全安心を取り戻していただきたいという対策を対応してございます。
岩崎委員:本市は過去の見直しで生活保護世帯などへの福祉減免措置を廃止しました。この際、福祉減免の復活を含め減免措置の拡充をすべきではないかと思いますが、伺います。
大久保水道局長:生活保護世帯への水道料金の減免制度につきましては、生活保護費の中に水道使用料が含まれていることから一般会計繰り出しの見直しが行われまして、平成17年度に廃止がされました。また、社会福祉施設の減免制度につきましても、介護報酬、措置費、支援費、診療報酬などに水道料金が含まれていることや他都市の状況を踏まえ、同様に一般会計繰り出しの見直しが行われまして、平成20年度に廃止となりました。福祉施策としての水道料金の減免制度は、本市全体の福祉行政の観点から判断されるものと考えておりますので、水道局独自の施策として実施することは困難でございます。
岩崎委員:副市長にもう一回聞きますけれども、今局長が答えられたように水道局で措置することはできないということなので、私もそう思うのです。減免は水道局だけでできなくて、当然一般会計が関わります。ですから、市長の立場でこれをどうするかということを考える必要があると思うのです。そういう点で、同じ質問ですけれども、答えてください。
小林副市長:生活保護世帯、あるいは社会福祉施設の減免制度の見直しに対する考え方は今局長が申し上げたとおりでございますけれども、減免措置については総体として横浜市として必要性があれば当然適切な対応をすべきだということだと思っております。ただ、今委員の御指摘のような具体的な内容につきましては、過去の経過で検討した結果として水道料金としては行わない、あるいは社会福祉施設の減免制度も一般会計繰り出しという観点、これも二重になるとか、別の場面で措置しているということからやらないということで、いずれも筋の通った考え方だというふうに私は思っています。引き続き、減免措置の必要性については社会経済の情勢の変化によって変わってくることもあるかと思いますが、基本的には生活する方々がお困りにならないように、あるいは、一般会計、一般財源を手当てすることにおいて相応の理由があれば当然やっていくことと考えています。
岩崎委員:ありがとうございます。コロナ禍の影響の先行きが不透明です。市民の暮らし、特に低所得層、コロナ解雇による失業者など弱者がつらい状態に今あります。これだけ悪い条件がそろっている中での値上げ計画というのは最悪の選択です。水道料金値上げ計画は一旦撤回し見直すべきだということを申し上げておきたいと思います。
水道事業の財政が厳しいのは当局の努力不足とかではありません。収支構造に問題があると考えます。収支構造の問題という点では、一つは独立採算制で縛られていることです。もう一つは、一般会計からの繰り出しが厳しく制限を受けていることです。
そこで、水道事業における独立採算制について伺います。
スライドを見てください。(資料を表示)9月9日の水道・交通委員会資料を元に作成した改定前、左側です。改定後の料金収入、右側です。この表です。当年度純損益、累積資金残額の推移のグラフを見ると、次期中期計画の最終年度には累積資金残額は1億円になってしまいます。今回の値上げで4年後の資金残高が124億円になります。一時的に財政危機をしのげる格好になります。しかし、その右の次の4年後はまた1億円に激減してしまいます。また足りなくなるわけです。これだと周期的、定期的に値上げが前提になってしまいます。そのような計画だというふうに思いますがどうか、伺います。
大久保水道局長:これまでも4年ごとの中期経営計画を策定する段階で、今委員がお示しをいただいたように財源となる料金収入の見通しや、その期間に必要な事業費を積算した上で財政収支を確認してまいりました。この期間に必要な事業費の中には、さらに次の計画期間4年間において必要な事業費も積立金として確保するということを前提に積算をしております。今後は、施設の更新、耐震化などの事業費の増大が見込まれますけれども、より一層の経費削減の取組、また施設の長寿命化、ダウンサイジングなどを行ってまいりまして、事業費の抑制を図りながら効果的な事業運営を図ってまいります。またその上で、今後も中期経営計画の策定時には財政収支をお示ししてまいりたいと考えております。
岩崎委員:まだ横浜市は値上げしていないのです。値上げをする前に、次の値上げがまた計画上は想定されているという計画を、市民はとてもではないが受け入れられません。何でこのようなことになるのか、値上げの繰り返しでしかいけないわけです。独立採算制が値上げを繰り返すことになる大きな要因だと考えています。独立採算制は市民所得などが右肩上がりの時代に通用した制度です。人口減少や市民所得の長期の低下など右肩下がりの時代には全く機能しない制度だと思います。独立採算制の在り方を見直してもらうこと、また法改正、これは法律で決めてしまっているので法改正が伴います。法改正を国に求めるべきだと思います。これは意見にとどめます。
次に、水道事業への公費投入について伺います。
2019年度決算の水道事業の施設等整備費に関わる国の補助金、それと本市一般会計繰出金の金額を伺います。また、これらの工事の合計額は施設等整備費の何%になるのか、伺います。
山岡経営部長:令和元年度決算の施設等整備費に係る国庫補助金は7000万円で、一般会計繰入金は6億1000万円、合計で6億8000万円でした。これは、施設等整備費330億円の約2%となっております。
岩崎委員:僅か2%しか入っていないと、あまりにもこれは少ないと言わざるを得ません。水道事業への公費投入額を大幅に増額するということが水道会計の危機を救う決め手になると私は思っています。
そこで、地方公営企業法第17条の3には「その他特別の理由により必要がある場合には、一般会計又は他の特別会計から地方公営企業の特別会計に補助をすることができる。」となっています。国の補助金増額は国に求めるしかありません。一方、本市一般会計からの繰り出しは総務省通知で繰り出し基準が示されているだけです。この基準は法定されたものではありません。ですから、市に裁量の余地があるのではないかと私は考えています。この点どうでしょうか。
大久保水道局長:地方公営企業法第17条の3、今委員がおっしゃっていただいたものにつきましては、災害復旧など臨時例外的なものに対する補助が定められているものでございます。この条文につきましては、今お話しいただきましたように総務省から運用上の基準が示されておりまして、本市でもこの基準に基づきまして繰出金を算出し、財政局と協議の上、繰入れを行っているところでございます。このため一般会計からの繰入れを増額するためには、国においてこの運用基準が緩和、拡充されることが必要であると考えております。そこで、水道施設の更新、耐震化というのは全国の水道事業体に共通する重要課題でございますので、大都市水道事業管理者会議、また日本水道協会及び地方公営企業連絡協議会などを通じて要請活動を行ってきているところでございます。
岩崎委員:水道事業の施設、管路等は全て公共インフラの一つです。通常、公共インフラの施設等整備費は一定の割合で公費が充てられています。性格が似ている他の公共施設の施設等整備費に占める公費の割合を比べてみました。公費の入れ方は事業ごとに違うようですが、ここでは、どれくらい入っているかということを大まかにつかむ意味で聞いていてください。道路はほぼ全額公費です。下水道は国の補助金割合がおおよそ4分の1強であります。このように一応調べて、聞いたところそういうことになっています。一方、先ほどお答えがありましたけれども、水道事業への公費投入率は2%しか入っていません。ほとんどないにこれは等しい、ゼロに等しいわけです。あまりにも公共施設の維持管理という点で扱いが不公平だというふうに私は思います。水道事業への公費の負担割合を大幅アップする努力が必要です。
そこで、これは通告なしで申し訳ないけれども、副市長、今一生懸命局で対応しようとしてお答えをいただきました。これは引き続き努力してほしいのだけれども、でもこれはやろうとしたらやはり一般会計なのです。だから、公費増額は水道局の努力だけでできないわけだから、市長がやはり国に働きかけるとか、一般会計の予算配分をどうするかとかというところで大きな視点で考えないとできないことだと思うのです。この点を伺っておきます。
小林副市長:今委員が比較していただいた道路とか下水はそのとおりだと思います。先ほども答弁したとおり、水道は一般会計の2%は事実でございますが、そもそもこれはもう委員に御説明するまでもなく、いわゆる公営企業をどう考えるかということだと思います。光熱水費、人間が生きていく上で必要な電気、ガス、水道をどうしていくかということが、現在の枠組みは公営企業で、一般会計としての繰入れはしっかりと基準をつくってその枠の中でやって、事業としてある意味お客様から収入を得て、その中で回していくという仕組みです。そこの境界あるいは基準を、ある意味世の中が変わるのだから一般会計でどんどんやればいいのだということには私は直接にはならないと思っています。
きちんとした財政規律のもとで一般会計もやらなければいけませんし、きちんとした事業を進めていく例えば水道事業としては、様々ここで御説明しているような考え方、あるいは今後の進め方でやっていく。その上で今回も料金については適正化をしていきたい、そのための説明努力は引き続ききちんとやらなければいけないと思っておりますけれども、一方で、局長が答弁申し上げたとおり耐震化とか更新化の長寿命化の問題については、やはり全国共通の水道事業者の問題だと思っています。だから、そのことについては様々国に要望もしていますし、市長としても政令指定都市市長会の共通要望として要望しておりますので、その部分については引き続き努力していきたいと思います。
岩崎委員:ぜひ努力を尽くしてほしいと思います。
近代水道の草分けの横浜水道局が、全国の水道事業体、自治体の先頭に立って独立採算制や繰り出し基準等の見直し、法改正等を国に強く求めていくように頑張ってほしいと思います。
時間です。私の持ち時間が迫っているので、もう一つ質問があるのだけれども、終わります。
ありがとうございます。
議会での質問・討論(詳細)
2020年10月9日