岩崎委員 早速伺います。市営バス乗務員の変形労働時間制について伺います。
まず、変形労働時間制とは何か、及び導入目的と時期を伺います。
瀧澤総務部長 労働基準法では、労使協定または就業規則において必要事項を定め労働基準監督署に届け出ることで変形労働時間制を適用できることとしています。変形労働時間制とは、一定の単位期間を平均して1週間当たりの労働時間が法定労働時間を超えない範囲内において、特定の日または特定の週に法定労働時間を超えて労働させることができる制度でございます。交通局では1か月単位の変形労働時間制を採用しております。
また、変形労働時間制の導入の目的でございますが、変形労働時間制の導入以前に適用しておりました乗務時間制は一定の時間数、370分を乗務すれば、他の職種と同様に1日勤務したこととする考え方で、昭和35年から続いていた労働時間の管理方法でございました。しかし、労働時間と休憩時間との区別が曖昧になるということから労働基準監督署からも指摘を受けたため、日ごとの勤務時間をしっかり管理できる変形労働時間制を導入したものでございます。
また、導入の時期につきましては、労使合意の下、平成23年8月1日より変形労働時間制を適用しております。
岩崎委員 労働者にとって労働時間は基本的、決定的に重要です。変形労働時間制は今お話しありましたように使用者の都合で労働時間を長短できるもので、法定労働時間制をなし崩しに壊すことになります。変形労働時間制は安全運転が厳しく求められる乗務員の働き方として最悪の制度と言えます。速やかに廃止すべきとまず考えます。変形労働時間制について3つの営業所のベテラン乗務員3人に話を聞いてきました。終業から始業までの休息が8時間のときは実質四、五時間しか睡眠が取れない。業務中眠くてしようがない。仕事がきつく今後も続けていけるか不安だ。体がきついので休憩10分でも後部座席で横になるなどでした。仕事がきつい、いつも眠いというのが共通で、安全運転に影響が出ることが心配です。仕事量に対して人員が全く足りていません。
スライドを御覧いただきたいと思います。(資料を表示)事故発生数及び定年退職以外の事由による退職者数の推移です。制度導入後、事故が1.5倍から2倍に増えています。また、いわゆる早期退職者の増加傾向が見られます。
変形労働時間制との因果関係はどういうことか、伺います。
三村交通局長 まず、変形労働時間制を導入した前後で実際の乗務時間が増減したり、仕事量が変わったりしたものではございません。事故件数や退職者数に影響があったとは考えておりません。なお、事故につきましては平成25年度より取扱いを厳格にいたしまして、損害や負傷者が発生しなかった事故につきましても集計することといたしましたことから、それ以降の事故件数が増加しているということでございます。
岩崎委員 次のスライドを見てほしいと思います。これは乗務員数の推移です。路線数は大きく変わっていません。したがって、仕事の総量も大きな変わりはないと思います。一方、乗務員数はこの表には出ていませんが、平成10年、20年前は1710人いました。これがピークです。制度導入の前後、平成23年前後から現在まではおおむね1100人台で推移しています。乗務員がピーク時の1700人から1100人台へと3割も減っています。仕事量が変わらない中で人が減らされれば、仕事はきつく、睡眠不足でいつも眠くなる。現場は相当疲弊しています。乗務員はバス事業にとってかけがえのない宝のような存在です。生身の人間でロボットではありません。休息時間をしっかり確保し、ゆとりを持って仕事ができる環境をつくる必要があります。
そこで、事故の増加、乗務員の心身の疲労、このことと変形労働時間制導入との因果関係を改めて検証すべきだと思いますがどうか、伺います。
三村交通局長 岩崎委員が比較の対象でおっしゃっていただきました平成10年の状況でございますが、当時は市営バス在籍車両数で1000両を超える規模で、バスの営業所につきましても12の営業所があるという非常に大きなバス事業者でございました。その後、あり方検討委員会での御指摘なども受けまして、市からの任意の補助金を受けずに自主自立の経営を行うために、事業規模圧縮、具体的には民間事業者と並行していた路線を民間事業者に移譲するですとか、お客様の御利用の少なかった路線を一部廃止させていただくですとか、そういったような経営改善策を実施した結果、現在バスの車両数としてはおおむね800両で、バスの営業所も2つの営業所を廃止いたしまして10営業所。かつ残った10の営業所の中でも2つの営業所は管理の受委託で委託をして運行しております。ですので、こちらで御覧をいただいております平成23年1153人ですとか、1100人台の事業規模というのは、こちらに挙げておりますのは私ども交通局直営の職員数になりますので実質8営業所相当の規模ということでございます。こうした事業規模の圧縮、縮小がその意味での職員数の減ということとリンクをしてございますので、変形労働時間制の導入によって労働密度が過密になったとかいうことはないと考えております。(私語する者あり)
岩崎委員 事情をいろいろ説明されました。それは承知しています。ただ、1710人が1100人規模になっているという事実は認めますよね。因果関係について再検証を求めているのですけれどもお答えがありませんが、これはやるのですか、やらないのですか。
三村交通局長 先ほども御答弁申し上げましたとおり、実際の乗務時間の増減ですとか、仕事量の増減というのは変形労働時間制の前後で大きく変えたものではございませんので、事故件数ですとか職員数に影響があったものとは考えておりません。当面再検証も行う考えはございません。(私語する者あり)
岩崎委員 交通局は乗務員の労働時間に関わって労働基準監督署から10年前、平成22年8月4日に是正勧告、8月5日に指導票を交付されています。今回改めて指導票を交付されていますが、これは非常に重大だと思います。
受け止めを伺います。
三村交通局長 今回、今年の6月19日に鶴見労働基準監督署より交付を受けました指導票でございますが、改善を求められた内容は3つございます。所定労働時間は法定労働時間内に収まるように設定すること、1か月単位の変形労働時間制の起算日前には労働日を定めるだけでなく具体的な労働時間を定めること、労働者が予測可能な勤務体系に改めるなどの対策を講じること、こうした3点について改善を求められたものでございます。私ども交通局としましては、こうした改善を指示された3点に対しまして、所定労働時間は法定労働時間に収まるように設定するとともに、超過勤務時間の縮減と労働者間での平準化に努めていくということ。1か月単位の変形労働時間制の起算日前には労働日を定めるだけではなく、具体的な労働時間を定めてまいります。また、一部日勤の予備日の取扱いについては、労働組合と協議の結果、過半数労働組合の意向を踏まえ従前どおりの運用とすること。3点目に、労働者が事前に労働時間の予測が可能となるよう、具体的な勤務体系の掲示を行っていくということ。また、労働者の急な欠勤等でやむを得ず労働時間の前倒しを指示する場合におきましても、頻繁な労働時間の変更が生じないよう労働者間での平準化に取り組んでいく。こうした報告を行ったところでございます。
岩崎委員 質問に全く答えていないということですね。今答えてもらったのは次の質問への回答です。(私語する者あり)私が聞いているのは、労働基準監督署から再三にわたって労働時間に関して指導を受けている、改めてまた受けたということについてどう受け止めているのですかと。先ほど再検証もしないとお答えになりましたけれども、これは再検証しなければだめでしょう。どうですか。(「そうだ」と呼ぶ者あり)
三村交通局長 今回御指摘のありました変形労働時間制に限らず、職員の労働条件及び安全衛生の管理におきまして労働基準監督署から指摘を受けることのないよう、これまでどおり適切な労務管理に努めてまいりたいと考えております。(私語する者あり)
岩崎委員 これまでどおりだったらまた指導が来ますよ。(「そうだ」と呼ぶ者あり)今の回答は労働基準監督署に歯向かっているのと同じです。もう一回答えてください。(「そうだ」と呼ぶ者あり)
三村交通局長 指摘を受けました営業所は他の営業所に比べまして個人の都合による勤務変更が多いといったようなことが他の職員に超過勤務が偏る一因にもなっております。(「そこを直さないといけない」と呼ぶ者あり)そうした遅刻などが多く突発的な勤務変更が多くなっていることから、勤怠が良好でない職員に指導を行って、こうした勤務変更を行う場合にも一部の職員に偏ることがないように営業所内での平準化に取り組んでまいりたいと思っております。(私語する者あり)
岩崎委員 今の回答では納得できませんが、次の質問に行きます。
市営地下鉄の安全運行について伺います。
下飯田駅と同様の事故は過去にJRや近鉄線で発生していました。それを受けて、同業他社では信号連動の列車自動停止装置を設置していたところがあります。市営地下鉄にも設置されていたら事故を防げたのではないでしょうか。私は昨年の水道・交通常任委員会で、鉄道は安全第一の事業であり、事故防止は最先進の技術や装置を導入しておくべきと主張しました。議会の議論も経て自動停止装置が順次設置されていることは評価できます。
今後は安全最優先の立場で最新の知見、技術、装置を機を失せずに導入すべきと考えますが、伺います。
三村交通局長 信号と連動して列車を止めるシステムの導入につきましては、先ほども安西委員にも御答弁申し上げましたけれども、運転士がブレーキ操作をできない状態になっても列車を自動的に停止させる装置については令和4年度を目標に踊場駅引込線に導入を進めてまいりますし、それから脱線事故の横取り装置につきましても、装置がレール上にある場合には信号と連動して列車を進入させない仕組みは今年度中に導入してまいります。できるだけ早期に導入できるように、引き続き取組を進めてまいりたいと思っております。
岩崎委員 聞いているのは、最新の知見や技術を導入すべきだと言っているのですけれども、この点はどうなのですか。
三村交通局長 今回2つの、横取り装置を信号に連動させて進入できない仕組み、それからオーバーランに関して踊場駅引込線に運転士が操作できない状態になっても停止ができる仕組み、こちらは現時点での最新の知見を採用させていただいていると考えております。今後も地下鉄の安全な運行を確保していく上で、最新の知見を我々積極的に導入して、可能なものを導入していくというふうに考えてございます。
岩崎委員 積極的に導入していくというふうに聞きました。
では、あと質問が残っていますが、これで終わりにします。
議会での質問・討論(詳細)
2020年10月5日