宇佐美委員:日本共産党を代表し質問します。よろしくお願いいたします。
まず初めに、今年6月16日に中区の大さん橋に停泊していた飛鳥Ⅱから火災が発生してしまいました。この火災の概要をお聞かせください。
林警防部長:本年6月16日午後1時10分ごろ、横浜大さん橋に停泊中の客船飛鳥Ⅱの最上階にある作業室から出火し、部屋の内部約40平方メートルを焼損し、午後5時5分に鎮火したものです。なお、この火災による負傷者はありませんでした。
宇佐美委員:幸いにも負傷者がいなかったということですが、私は当日議員室におりまして、物すごいサイレンの音と、しばらくしてヘリコプターが何機も飛んでいるのを見まして、これはただごとではないという気がしてテレビをつけたところ、黒い煙がもくもくと立ち込めている映像が映し出されました。その現場がまたすぐ近くということで、サイレンの音とヘリコプターが何機も飛んでいたのが納得できたのですが、この火災に出場した消防隊はどういう部隊だったのか、伺います。
林警防部長:この災害には、船舶火災の出場計画に基づき、消防隊、特別救助隊、救急隊のほか、はしご消防隊や空気ボンベ搬送隊など合計28隊、109人が出場しております。
宇佐美委員:すごい人数の方が出ていますが、船舶火災の消火活動というのは陸上とは何か違う特殊なことはありますか、伺います。
松原消防局長:船舶内の活動では、複雑な区画や狭い通路により方向感覚を失いやすいこと、また、開口部が少ないため濃煙、熱気が充満しやすいことなどが上げられます。また、災害の状況によっては、乗客などの避難誘導や人命検索のほか、海上への危険物の流出に対する措置を行うなど、多様な対応が求められることになります。
宇佐美委員:見えないところで本当に苦労されているということがよく分かったのですが、今回の火災は海上ということでしたが、この場合の火災現場における他機関との連携というのは何かあったのか、伺います。
松原消防局長:今回の火災では、早期に指揮体制を確立しました。確立した上で、海上保安庁、警察、港湾局など関係機関と連携し、それぞれの役割に応じた活動を実施いたしました。具体的には、消火活動については消防と海上保安庁で実施し、海上の警戒活動を警察などの船舶により実施しています。また、東京湾消防相互応援協定によりまして川崎市消防局の消防艇も出場いたしました。
宇佐美委員:いろいろなところに助けていただいているということがよく分かりました。昨年の京急の事故もほうふつさせる暑さがあったと思うのですが、職員の皆さんは連日暑い日も寒い日も訓練と現場への出場を繰り返しておられるわけですが、職員の皆さんが現場で十分力を発揮するためには、やはり職場の執務環境の改善は急務だと考えることから、次は執務環境の改善について伺います。
先ほどの飛鳥Ⅱでの火災現場のような苛酷な現場で活動した職員の皆さんが心身ともに疲れを回復させて次の現場へと準備を整えるためには、各署所への仮眠室、休憩室の設置、執務室やトイレなど日々使う必要な設備の快適さの確保が不可欠です。新型コロナウイルス感染症の終息のめどが立たず、今現在、第2波の真っただ中であると言えると思いますが、その必要性は一層増しています。集団生活が基本となっている以上、執務環境改善はコロナ禍において本当に喫緊の課題です。2019年度に執務環境改善のために行った取組を伺います。
松原消防局長:消防署、消防出張所につきましては、和式トイレの洋式化、また、女性の浴室や仮眠室の改修、さらには事務所、仮眠室、食堂等のブラインドの交換などを実施いたしました。
宇佐美委員:いろいろな方法で改善をしている、トイレはまだ和式のところもあると伺っているので早期に改善していただきたいのですが、昨年度末から新型コロナウイルス感染症が拡大して、職員の皆さんのストレスもそろそろピークに達しているのではないかと想像できます。毎日新聞が全国の消防職員2204人にアンケートを行った結果、自分が感染するのではないかという不安を感じたという人が88%に上り、それらの結果を受けて、筑波大学名誉教授の松井さんは、強い不安やストレスの下で業務を続けた場合、離職の増加や燃え尽き症候群、鬱病になる可能性が考えられる、環境を改善する必要があると話しています。
そこで、2020年度に入り執務環境改善にどう取り組んだのか、伺います。
松原消防局長:昨年度に引き続きまして、消防署、消防出張所の女性の浴室や仮眠室の改修、ブラインドの交換を実施するとともに、老朽化しました空調機器を更新しています。さらに、仮眠室の区画化や故障や換気能力が低下している換気扇の改修などを実施しております。
宇佐美委員:1次補正予算を受けて、古い署所、先ほど仮眠室の区画化は行ったということですが、換気扇もつけるとか応急処置がされていますが、これで完全に感染リスクを抑えられたのか不安です。建て替えしたところから個室化が進んでいますが、感染リスクを減らしていくためには改築などを検討してはどうか、伺います。
松原消防局長:確かに委員がおっしゃるように、消防出張所、消防署につきましては、古いものですと昭和30年代、その以降、昭和50年代にかけて集中的に整備をされています。一方で庁舎、建物については市の基準としておおむね70年もたせるというような基準もございますので、この基準をにらみながらしっかりと計画を立てて対応していきたいと考えております。
宇佐美委員:女性などの対応には浴室を造られたりとかしていますけれども、リフォームとかも考えられるのではないかと思うのです。職員の皆さんはいついかなるときにも感染リスクを考えながら生活しているのではないかと想像できますが、少しでも感染リスクを減らし、職員の皆さんのストレス軽減のためにも消毒室を全署所に設置することもコロナ禍で求められていると思います。現在の消毒室の整備状況を伺います。
松原消防局長:今年度新たに市民病院に開所いたしました救急ワークステーション、さらには泉消防署の岡津消防出張所に消毒室を整備しまして、合わせて市内に29か所の消毒室整備となりました。この結果、課題であった行政区1か所以上ということでの消毒室の整備が完了いたしました。
宇佐美委員:消毒室の整備状況は1行政区に最低1か所ということですが、インフルエンザにも対応し、消毒のためによその署所に消毒のために借りに行くということを繰り返すのは効率的に悪く、職員の労力ももったいない気がします。一刻を争うときに消毒室を使うために設置している署所まで移動するとなると、増加する救急需要に対応し切れるのか心配です。副市長、全ての消防署、各署所に消毒室を整備するべきと考えますがどうか、伺います。
小林副市長:救急対応には今消毒室の未整備の部分が支障になるといったことはございません。ただし、救急隊配置で消毒室未整備の消防署所についてはできるだけ早く整備を進める必要があると私どもも認識しております。既存庁舎、敷地では必要な面積の確保はなかなか難しいといった課題もございますが、現在、最低限必要な面積や機能を改めて検討し直しまして、現場の救急隊員の声も聞きながら、整備可能な消毒室について検討してまいります。
宇佐美委員:ぜひ早急に設置を進めていただきたいと思います。
最後の質問に移ります。消防力の充実と救急体制の強化に移ります。
職員の皆さんが毎日大変な任務についているということが先ほど来から市民の皆さんにも伝わったのではないかと思うのですが、職員の皆さんがいるだけでは傷病者を運ぶことも火災現場に行き火を消し止めることもできませんので、当然消防車や救急車などの車両が必要となります。今現在の消防車と救急車の管理台数を伺います。
平中副局長兼総務部長:本年4月1日現在、非常用車両も含めて消防車は285台、救急車は100台です。
宇佐美委員:海もあり、崖もあり、狭い坂道や木造密集地も存在していることから、多種多様な災害に対応するために車両が多いという認識ですが、これらの車両の更新がままならない状況になっていると聞いています。更新基準年数を経過している車両台数は何台ありますか、伺います。
平中副局長兼総務部長:今年度末を基準としますと、更新基準年数を経過した車両は消防車が76台、救急車が1台になります。
宇佐美委員:大事にメンテナンスをしながら乗っているのかもしれませんけれども、お気に入りの愛車ならまだしも緊急車両ですから、いざというときに走らないというのでは困ります。更新のペースを早めていただきたいのですが、過去3か年の車両更新の推移を伺います。
平中副局長兼総務部長:平成29年度は消防車15台、救急車11台、平成30年度は消防車10台、救急車8台、令和元年度は消防車12台、救急車13台をそれぞれ更新いたしました。
宇佐美委員:そもそも基準を超過しているのですから新しい車両に更新しなければいけないので--失礼しました、大分前から更新ができずにいるということが分かります。基準を超えても更新できずにいる車両が70台以上あるということを聞いているのですが、いざというときに用をなさないということも考えられます。更新基準超過車両の維持管理方法を伺います。
松原消防局長:更新基準の超過車両にかかわらず、全車両に対しては常に安定した運行に向けまして日常的な点検をきめ細かく行っています。その中でも特に使用が苛酷な救急車につきましては、オイル類や点火プラグなどはメーカー推奨よりも早めに交換し、バッテリーは1年ごとに交換するなど故障予防のための整備をしっかりと実施をしています。
宇佐美委員:故障予防のためにもごい神経を使っているのですが、そもそもの基準を超過しているということですから新しい車両に更新しなければいけないと思うのですが、本来であれば基準に照らして更新するのが当然です。そうでなければこの基準がないことになると思うのです。更新基準を超過した車両について速やかに更新すべきと考えますがどうか、伺います。
松原消防局長:大変厳しい財政状況の中ではありますけれども、国の補助金などを活用しまして、老朽化や不具合の状況をしっかりと見極めながら順次更新をしてまいります。
宇佐美委員:消防局にとっては緊急車両はなくてはならないものです。その車両の更新が進まないことに対して副市長はどうお考えですか、伺います。
小林副市長:今局長が答弁したとおり、運用の実態には支障のないように日々の点検、修理に努めておりますけれども、基本的な今御指摘の更新の基準につきましては、できるだけそうしたことが達成できるように努力をしてまいりますけれども、全てを更新基準内に収めるということは実態上できておりませんので、そのあたりは、先ほど申し上げた運用において、市民から任された責任を果たしていきたいと思います。
宇佐美委員:厳しい財政状況になったのは無駄な大型開発をしているからで、市民の大事な税金を湯水のように使ってきたからにほかなりません。市民の命を守ることにこそ税金を使うのが当たり前の税金の使い方です。先ほどの執務室の環境改善や消毒室の全署所への整備などは、消防局への予算を大幅に増やせば解決できることがたくさんあります。今回は予算審査ではないのですが、改めて予算の決め方にも問題があると指摘し、改善を求めます。そして、早期に車両の更新を行うことを強く求めます。昨年度末から新型コロナウイルス感染症が拡大し、今も終息のめどが立たない中、インフルエンザが流行する時期も重なると言われています。そうなれば傷病者の搬送件数が増えることが予測できます。さらに、今後も新型の感染症への対応に備えることも必要です。救急救命体制をしっかり確保するよう団として市に要望しておりますが、救急救命士有資格者の増員を今から図るべきと考えますがどうか、伺います。
小林副市長:先ほども別の委員に御説明をいたしましたけれども、救急救命士は本市では今728人ございます。現在国の救急業務実施基準におきましては、救急救命士は1人以上配置しなければならないということになっています。本市ではこれをより確実に行うということで、救急救命士2名運用を念頭に置きまして、採用、それから内部養成を行ってございます。救急隊の運用を救急救命士2名ということでございますと、必要な救急救命士数は536名でございます。先ほど答弁申し上げたように、現在は有資格者は728名おりますので、十分に運用は可能と考えてございます。いずれにいたしましても、救急需要に適切に対応することは私どもの使命でございますので、今後とも救急隊の運用状況をしっかりと見極めながら、必要な救急救命士については確保してまいります。
宇佐美委員:今確保している人数が国の基準よりも超えているからいいのだというお答えですけれども、辞めてしまう方もおられるでしょうし、今後そのまま増え続ける、増えたままとどめていくということもなかなか難しいと思うのです。だからこそ、今から救命救急士の有資格者を増員することを求めていきますけれども、やはり高齢化もこれから進みますし、増える救急需要に備えることが必要と考えます。来年度は既に厳しい財政状況にあると言われています。予算審査ではないのは承知しておりますが、消防局の予算を減らすことを避けていただきたいと、市長の代わりにおられる副市長に要望します。
そして今、職員の皆さんは本当に疲弊していると容易に想像できます。職員の皆さんに敬意を表しますとともに感謝を申し上げ、質問を終わります。
議会での質問・討論(詳細)
2020年10月1日