コロナ対策本気度見えない予算は組み換えを
2021年1月29日
日本共産党横浜市会議員団
林文子市長は本日、2021年度横浜市予算案を発表しました。今何より優先すべきは新型コロナウイルスの感染防止の対策や市民生活が成り立つ経済対策です。しかし、感染拡大への対応策では、PCR検査の抜本的拡充、医療機関への減収補てんもなく、きわめて不十分です。加えて困難を増している市民生活と中小企業への支援も不足しており、カジノ誘致など反市民的施策も目白押しで市民に向き合った予算とは程遠いものです。
一方で、市民の運動と党市議団の論戦・提案が反映した暮らし、福祉の分野での前進もあります。主なものとして、事業者への市制度融資の融資枠を前年度比1.6倍の2300億円に。地域交通サポート事業の実施地区数の拡大。住宅セーフティネット事業の家賃減額補助を前年度480戸から700戸に。ホームドア設置がJR山手駅、大口駅、菊名駅、新横浜駅、長津田駅で実現。認可保育所定員の1512人増。小児医療費助成の所得制限撤廃(1.2歳児)。通学路安全対策費の1.4倍化、高校奨学金支給人員200人増の2000人。児童相談所の再整備推進と区役所対応体制の強化。障害者移動支援策でガソリン券交付。防災スピーカー設置(90か所)、がけ地現地調査の実施。保健所体制強化等。
しかし、コロナ感染対策に逆行する横浜版GoTo事業・MICE誘致事業、国民健康保険料・介護保険料の引き上げ、水道料金値上げ、デリバリー中学校給食のスタート、マイナンバーカードの普及押し付けなど市民要望に沿った施策とは到底言えず、そのまま受け入れることはできません。
IRカジノ誘致にむけて、新年度中に事業者選定、IR事業計画作成を進め、インフラ整備調査などに3.6億円をかけ、山下ふ頭のIR事業用地整備には58億円を投じます。事業者公募にあたって、横浜市は、山下ふ頭へのアクセス手段として幹線道路等の整備を市負担で行うと約束しており、一時も目は離せません。
選択制のデリバリー型中学校給食が4月から開始です。1食当たりの給食費は330円、就学援助制度の対象としています。
コロナ対策の最前線にたつ保健所は、18区保健所体制の元に戻す方向性は示していません。人員は、保健所本所に32人、支所に15人を増員します。
介護保険料の月額基準額は6500円と、前期より300円引き上げです。600円引き上げの当初案に対し、党市議団の提案に沿った介護保険会計の余剰金の全額取り崩しによる半減化です。
アフターコロナ、未来を創る強靭な都市づくりとして、高速道路244億円、新たなふ頭・新本牧ふ頭に281億円を計上。
巨大テーマパークを誘致する旧米軍上瀬谷通信施設地区開発事業に34億円、大企業を主とする誘致助成には26億円を充当し、対象地域も拡大します。上瀬谷テーマパークの事業主体では、有力視されていた米映画会社は進出断念と報じられ、計画を立案した相鉄は、本業の鉄道事業がコロナ禍で不振に喘いでいます。事業として成り立つか否か全く見通しのない中で、花博開催に便乗して当初計画通りの事業推進はあまりにも無責任すぎます。
市長肝いりのオペラ、バレエ上演の新劇場建設計画は、管理運営に関する調査等として3000万円を計上、検討委員会の建設必要との答申に沿って建設計画を策定しておらず、世論を気にしてか抑制的に見えます。
オリンピック関連には23億円を見込み、「安心・安全な大会運営、機運醸成を実施」と国の言い分を鵜呑みしています。
約43万人に交付される敬老パスのIC化を2022年9月までにはかります。利用実績の把握には効果的ですが、利用制限や負担増につながらないよう監視が必要です。
環境対策では、ゼロカーボンヨコハマの実現にむけ、再生エネルギーの地産地消事業、区役所再エネ使用率100%計画、小中学校再エネ設備導入など施策メニューを増やしています。しかし、国の原発を前提とするエネルギー政策に沿ったものであり、再エネ導入の飛躍的導入の意欲は見せていません。
菅政権の目玉政策であるデジタル化推進では、関連予算は233億円を計上し、優等生ぶりを誇っています。そして、個人情報の国家管理化となるマイナンバー普及事業費は90億円にも及び、2022年度末までに全市民に交付すると前のめりです。
日本共産党市議団は、予算案を徹底的にチェック、予算組み替え提案を行うとともに夏の市長選挙がカジノNOの市政実現の場となるべく市民と力合わせ奮闘するものです。
以上
団長 あらき由美子