◆みわ委員 日本共産党のみわ智恵美です。党を代表し、質問いたします。
委員長、スライドの許可、お願いいたします。
○源波副委員長 どうぞ。
◆みわ委員 横浜能楽堂の取り組みについて伺います。
まず、子供を対象とした取り組みの狙いと事業について伺います。
◎清水文化芸術創造都市推進部長 子供のうちに古典芸能を体験することは、子供の感性を育むとともに、日本の伝統文化の理解を深めるという点からも非常に重要であると考えております。能楽堂における子供の事業もいろいろ進めているところでございます。
◆みわ委員 日本の文化を伝えていくには、何よりも本物を見るということが大切だと考えます。しかし、小中学校、特別支援学校で500校以上ある横浜で取り組みの回数が余りにも少ないと感じています。この取り組みの拡大は難しいのでしょうか。
◎清水文化芸術創造都市推進部長 こちらでございますが、平成28年度は定員を20名という枠でやっておりましたが、やはり応募者が多いということで、昨年度、5名ふやしまして25人という形でやらせていただいております。
◆みわ委員 ふえたのが5人ということで、子供たち全体の人数から考えるとまだまだだと本当に思います。私自身が子供のころには、学校に能、狂言師の方が講演に来られておりました。能、狂言師やおはやしにかかわる方の絶対数が現在少ないのでしょうか。
○源波副委員長 ただいま答弁整理中でございますので、しばらくお待ちください。
◎清水文化芸術創造都市推進部長 狂言師等の人数が足りないということではなくて、能楽堂でやる日程のやりくりが大変ということで、なかなか講演数がふえないということでございます。
◆みわ委員 やはり子供たちを対象とした事業の展開をふやすということは、能、狂言を楽しむ裾野の拡大、表現者の方々を支えていくことになると思います。指定管理者の自主事業だけではなく、市としての主催の取り組みもしていかなければならないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
◎清水文化芸術創造都市推進部長 現在、能楽堂は、指定管理者である横浜市芸術文化振興財団で運営しております。私どもとすれば、こちらの芸術文化振興財団にこういった講演をしてほしいという業務の基準を示しておりまして、それに基づいて指定管理者で企画、実施しておりますので、私どもがこれをやるということを全て義務づけることはなかなか難しい状況でございます。
◆みわ委員 市が義務づけるというよりは市が主催する事業をすることができると思います。横浜の未来を担う次世代育成の推進がさらに図られるようにお願いしたいと思います。この点について、伝統文化の点でも強めていただきたいと思います。
次に、横浜能楽堂でのバリアフリー能など障害者が気軽に楽しめる事業について、これまでの取り組みについて伺います。
◎清水文化芸術創造都市推進部長 点字パンフレットやタブレット端末など、障害のある方に能、狂言を楽しんでいただくためのさまざまなサポートを用意して実施しておりますバリアフリー能を実施しております。こちらは平成29年度は405名の入場がございました。また、こちらの能に参加していただいた方とは、毎年、公演後に意見交換の場を行っておりまして、その意見を参考に内容の充実を図っております。こうした活動が評価されまして、平成27年度に内閣府より、バリアフリー・ユニバーサルデザイン推進功労者の表彰を受けているところでございます。
◆みわ委員 横浜市は障害、人種、宗教、年齢、性別などさまざまな違いを超えてお互いを尊重し合い、支え合い、誰もが参加でき、楽しめる取り組みとして、これも本当に進められていると思います。全体として、クリエイティブ・インクルージョンの事業展開を市として進めておられますが、今後の事業展開をどのように考えていらっしゃるのか、伺います。
◎池戸文化観光局長 全ての文化施設においてクリエイティブ・インクルージョンの趣旨を踏まえた取り組みを実施しております。例えば、横浜みなとみらいホールでは、盲特別支援学校の生徒を対象にいたしましてオルガン体験のワークショップを開催しております。市民ギャラリーあざみ野では、平成29年度に特別支援学校等の子供たちによる造形活動を9校で実施しております。先ほどもちょっとお話がありましたけれども、市が指定管理者に示す業務の基準においてこういう事業の実施をしっかりと位置づけており、今後も引き続き文化施設においてさまざまな方が文化活動に参加できる機会を提供していきたいと思っております。
◆みわ委員 このような理念に賛同する市民が自主的に文化施設を利用する取り組みをした場合の支援の考え方について伺います。
◎池戸文化観光局長 私も旭区の区長をやっておりましたので、特に旭区はそうですけれども、区の障害者の団体の方などがいろいろインクルージブの取り組みをしたいということで福祉保健センターなどに御相談に来ることがあります。福祉団体を初め、さまざまな市民の皆様が、このインクルーシブな取り組みをぜひ文化施設、市民利用施設等でやりたいというお話をいただく機会が現場も含めてあります。地域における福祉団体が文化施設で行う文化活動については、私もそうでしたけれども、区役所がさまざまな形でかかわって支援をしております。また、区や局が共催となる場合は、その施設の利用料金が減免できるというような制度も活用させていただいています。
◆みわ委員 支えていただいているということで、共生社会実現を発展させていく道筋の大きな一つだと思いますので、よろしくお願いします。
ところで、能楽堂の調査をしていて大変気になったのが、案内表示のあり方についてです。(資料を表示)こちらのスライドは、京急日ノ出町方面、バス停戸部1丁目方面から能楽堂を目指したとき、能楽堂の道標サインがあります。次は、神奈川県の施設と一緒に能楽堂も表示してあります。さて、こちらは桜木町の駅方面から長い坂を上ってきたとき、登ってきて右手に曲がると能楽堂に行けるはずなのですが、何も表示サインがありません。こちらはそこにある鉄の棒で、赤い矢印で示しておりますが、何もサインがありません。こちらです。その裏を見ますと、このような地図があります。これはその地図をアップしました。小さく能楽堂の場所が示されています。これは文化観光局がつくられた表示でしょうか。
◎池戸文化観光局長 これは西区役所がおつくりになったまち歩きのサインと承知をしております。
◆みわ委員 そこで、仕方がないので、多分これでいいと思って、右に曲がってずんずん歩いていきますと、やっとこちらで能楽堂の道標サインに出会います。表示があったので、こちらは向こうに能楽堂が見えますが、一応安心して歩いて行くと能楽堂に到達するということです。なぜ能楽堂への案内サインが桜木町側から来たときにないのでしょうか。大勢の方がこちらの方面から来ると思います。いかがでしょうか。(「そうだ」と呼ぶ者あり)
◎池戸文化観光局長 経緯を伺いますと、今の看板の手前のところにマンションがあるのですが、そこを建てるときに、今は歩道が広く見えるのですけれども公開空地をとっておりまして、歩道と公開空地の部分が一体となって普通の人が歩けるようになっているのです。前はそこにサインが立っていたようなのですが、建設工事のときに撤去をしたと承知しております。
◆みわ委員 横浜の財産である能楽堂を大切にし過ぎて隠しているのではないかと思うほどで、能、狂言の公演がないときに能楽堂は閉まっているのでしょうか。
◎池戸文化観光局長 閉まっておりません。
◆みわ委員 ですから、誰でもこっちに行くと能楽堂があるというふうに、案内のサインの道標を早期に設置されるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
◎池戸文化観光局長 桜木町のほうから坂を上がっていくわけです。桜木町駅側から横浜能楽堂への徒歩ルートの上の紅葉坂のところです。委員が御指摘のように現在サインは設置をされておりませんが、今後、近隣にある県立音楽堂もそうですけれども、県の施設の改修工事がございまして、今ちょうどつい立てなどが立っていると思いますが、近道となるルートが整備される計画がございますので、案内サインの設置について神奈川県と調整を始めております。
◆みわ委員 神奈川県の工事はかなり時間がかかっています。県にお任せなどという形ではなく、自治体として能楽堂を持っていることは大変すばらしいことですので、誇るべき文化の拠点を市民にも横浜を訪問された皆さんにもわかりやすく知らしめるべく、道標サインを早急に設置することを求めます。
ちょっと時間がたってしまったので、済みません、初黄・日ノ出町地域再生まちづくりについてはパスをさせていただきまして、横浜の魅力と都市ブランドについて伺います。
横浜のブランド力とよく言われますが、これについて伺います。
◎池戸文化観光局長 横浜のブランド力ということですが、多くの人々から、知りたい、訪れてみたい、住んでみたいという好意的な感情を呼び起こす都市の総合的な魅力が都市のブランド力だと捉えています。具体的には、歴史的、文化的な資源、美しい自然や景観、企業の集積や良好な住環境など、ほかにはない強みを持ち、それが広く知られている都市がブランド力が高い都市として人を引きつけるのではないかと思っております。
◆みわ委員 今回の横浜市中期4か年計画2018~2021に歴史文化を生かした個性と魅力あるまちづくりの事業に文化観光局も参加されているということで、文化観光局は都市のデザイン、そういうブランド力を上げていく中に、歴史文化を背骨に入れていく役割があると考えています。私が横浜に転居してきて一番感動したのは、金沢文庫です。社会科の授業で学んだ鎌倉時代のあの北条氏が邸宅内につくった武家の文庫、まだちゃんとある、歴史上のものが現存していると感動し、幼い子供を連れていきました。その文化的価値を見失うことのなかった先人に感謝するばかりですが、このような感動を次の世代にも私たちは残すことができるのか今問われているように思います。ここ関内関外地域は、横浜の開国、開港のまちとして歴史を紡いできました。中でも、関内地区は横浜らしさの一丁目一番地と市は言ってきました。現在、都市整備局が中心となって、横浜市現市庁舎街区等活用事業に関するサウンディングが行われておりまして、文化観光局もコンセプトブックの作成にかかわっていると伺いました。
そこで、横浜のまちの顔と言える現市庁舎について伺います。現市庁舎建設の経緯をお示しください。
◎池戸文化観光局長 現市庁舎でございますけれども、これも開港100周年記念事業の一環として、村野藤吾氏の設計により昭和34年に竣工いたしました。関内駅周辺のまち並みを形成する建物であり、また、長く市民の皆様に親しまれている建物だと思っております。
◆みわ委員 今、文化庁が戦後に建造された貴重な建造物が次々と失われていく現状を鑑みて調査をしておりまして、近現代建造物緊急重点調査を行いまして、現市庁舎が最重点の一つに位置づけられました。どのような評価を得ていますでしょうか。
◎池戸文化観光局長 文化庁の調査でございますけれども、これは都市整備局から私どもに教えていただいておりますが、二次調査の対象となる対象をリストアップする際に7つの評価軸が設定されておりまして、その中で現市庁舎の建物は、地域性、継続性などの点でチェックがされているところでございます。
〔みわ委員「7つあるのです」と呼ぶ〕
◎池戸文化観光局長 失礼しました。7つの評価軸。その中で、地域のまち並みを形成して長い間皆様に親しまれている建物だと認識をしておりますので、今後、本市としても、戦後建築物の評価基準を年内に策定する予定と聞いております。現市庁舎については、その基準に沿って評価を行い、公募の際にエリアコンセプトブックの中で示していくと伺っております。
◆みわ委員 こちらのスライドをごらんください。焼け野原の中で、開港100周年記念ということで建てられました。横浜市が現市庁舎街区の活用に当たって、壊しての活用もあるとの方向が出されたときに、日本建築学会からは声明が出されておりました。戦後日本を代表するすぐれた近代建築というものです。現市庁舎の重み、まちの発展を見続けた横浜の歴史そのものだとの専門家の言葉がありましたが、文化観光局が経済観光局から分離、独立し、にぎわいを創出する中にも横浜の歴史文化をきちんと見据えた品格あるにぎわいと交流のまちづくりという横浜の都市ブランドを築く任務から判断されても、現庁舎の保存活用は横浜市のブランドとして欠かすことができないものではないかと考えますがどうか、伺います。
◎池戸文化観光局長 現庁舎の評価については今ここで私どもの評価軸がありませんのでわかりませんが、例えば歴史的建造物という部分で言えば、この関内地区について言いますと、例えば旧関東財務局横浜財務事務所をTHE BAYSにしている、それから旧第一銀行横浜支店をYCCヨコハマ創造都市センターにしているなど、活用しております。文化観光局としても、横浜のブランドスローガンに「あうたびに、あたらしい Find Your YOKOHAMA」を掲げておりまして、歴史的建造物を横浜の魅力として活用し文化芸術の創造性を生かして新しい魅力を生み出していくという意味で文化創造都市施策を進めておりますので、この点については今後とも進めていきたいと思っております。
◆みわ委員 被爆地広島にも、現市庁舎をつくった村野藤吾さんの作品である国の重要文化財、世界平和記念聖堂があります。私はよく知っているので、現市庁舎が同じ作家のものと知り、大変うれしく思いました。
副市長に伺います。文化庁は、近年の都市計画などの進展や生活様式の変化等により、社会的評価を受けることもなく消滅の危機にさらされている文化財建造物を後世に幅広く継承していくために文化財登録制度をつくりました。重要文化財制度を補完する登録有形文化財対象建造物に現市庁舎が余りにもぴったりで驚いております。こちらをごらんください。市庁舎が重要文化財などに指定されていくまち横浜にしていく責任が私たちの世代にあるのではないでしょうかどうか、伺います。
◎荒木田副市長 戦後の建築物につきまして文化庁がこれからどうしていくかという調査をしたものと認識しております。その調査結果を受けまして、横浜市でも年内に方針を出すというふうに都市整備局から伺っておりますので、その調査結果を尊重してまいりたいと思っております。
◆みわ委員 50億円かけて現市庁舎に耐震改修を行った意味はそこにあったのではないかと思うぐらいです。今回の質問をする中で、文化観光局に歴史文化の専門的知識分野の人員配置が必要だと改めて思いました。副市長、いかがでしょうか。
◎荒木田副市長 横浜市の歴史文化財に関しましては、私の所管しております教育委員会にも文化財の所管セクションがございまして、有形無形の文化財をしっかり保存していくという観点で仕事をしております。教育委員会も含めまして、全市できちんと取り組んでいくべき問題だと思っております。
◆みわ委員 品格ある歴史文化の薫るまち横浜の魅力アップに、現庁舎保存活用にぜひ働いていただくよう強く求めて、終わります。
議会での質問・討論(詳細)
2018年10月25日