議会での質問・討論(詳細)
2018年10月24日

■健康福祉局(白井まさ子)

◆白井委員 日本共産党を代表して、順番を変えて質問をいたします。
 初めに、精神障害者手帳2級への医療費助成の拡大についてです。
 本市は2013年10月から、精神障害者手帳1級の方への通院の医療費助成制度があり、全科で医療費負担なく通院できます。神奈川県が重度障害者医療費助成を精神障害者1級の通院も対象としたことによるものですけれども、当時、県の助成がなくても、既に県内では8市4町が独自に医療費助成を実施していました。
 本市では、当時から1級の通院だけでなく入院も、また2級の通院、入院も対象としてほしいという要求がありながら、いまだに応えていないわけです。まず、本市の手帳1級交付者数と、そのうち助成している人数と事業費を伺います。
◎巻口生活福祉部長 平成30年3月末時点での精神障害者手帳の1級の交付者数は3457人で、そのうち医療費助成の対象者数は2032人となっております。精神障害者手帳1級の方への医療費助成額は約1億8000万円でございます。
◆白井委員 では、2級の交付者数と2級まで拡大した場合の推計の助成数、推計の事業費は幾らになるのでしょうか。
◎巻口生活福祉部長 精神障害者手帳の2級の交付者数は1万9313人となっております。対象拡大した場合の受給者数は、粗い推計ではございますが約1万1400人増加し、合計で約1万3400人となります。通院助成を2級の方まで拡大した場合の事業費の推計は約10億円の増額となります。
◆白井委員 県内で県の制度を超えて実施している市町村があります。その状況はどうなっているのか、伺います。
◎巻口生活福祉部長 県は2級の方への助成をしておりませんが、県内33市町村のうち入院助成を実施しているのは14市町で、うち2級まで拡大しているのが6市町となっております。通院助成を2級まで実施しているのは7市町でございます。
◆白井委員 なぜ本市では実施ができないのでしょうか、局長に伺います。
◎田中健康福祉局長 精神障害者の1級は身体障害者の1級から2級、知的障害者の最重度から重度に相当しております。限られた財源の中で拡充を図るため、障害の程度の重い方への助成を優先して助成しております。また、入院助成については、多額の費用を要することとなり、本市においては現時点で直ちに実施することは困難だと考えております。
◆白井委員 区役所窓口の職員から聞いていますのは、手帳を持つ方がふえている。高齢化もあって多くの方が糖尿病、高血圧、ぜんそく、腰痛なども抱えている。障害年金のみで家族と暮らす方は医療費負担を家族に気兼ねして、必要な通院をやめて、悪化してしまう。市内に転入してきた方は2級が対象となっていないことを知って困ってしまうということでした。安心して治療を継続できる手だてが必要です。
 事業費が大きいですから、副市長に伺いたいと思います。費用の負担なく受診できるように、重度障害者医療費助成の事業費を拡大して、精神障害者手帳2級へも、また1級、2級の入院へも拡大すべきですが、見解を伺います。
◎荒木田副市長 先ほど局長からも御答弁させていただきましたけれども、多額の財源が必要となりますので、現時点で直ちにということは困難であると考えております。
◆白井委員 本来は国が助成制度を持つべきですので、切実な要望に応えるように本市での努力はしっかりとお願いしたいと思います。
 続いて、社会福祉法人ハートフル記念会のファクタリング契約についてです。
 同法人では長年、労働争議が未解決のままになっています。ちょうど1年前の決算特別委員会で、この法人のより適正な運営がなされるよう取り上げたところです。今回新たな動きについて、より一層の改善を求めて取り上げます。法人本部への2017年度の実施監査が前年度に続き2018年3月2日に行われ、5月31日付で結果が出されています。
 指導監査結果通知書の会計における指摘事項を説明してください。
◎齊藤副局長兼総務部長 会計面では2点指摘をしております。その内容につきましては、まず計算書類の注記が定められた様式で作成されていなかったこと、もう一つは会計区分間の資金移動が限度額を超えて行われていたこと、この2点でございます。
◆白井委員 法人のメーンの事業というのは川崎市内での特別養護老人ホームや老人ホームなどで、介護保険会計から法人本部会計へ限度を超えた資金の流用があったということなのですけれども、流用した資金は戻すことが当然ですけれども、それを確認する必要があります。どのような方法で確認するのか、伺います。
◎齊藤副局長兼総務部長 今回の指摘事項につきましては、次回の指導監査の中でその改善状況を確認してまいります。
◆白井委員 公表されている決算報告書を見ますと、2016年度は1億円近い営業赤字で、2017年度は寄附があって収支はとんとんですけれども、経営状況は決して順調とは見えません。2018年4月から法人はファクタリング契約をしていると聞いております。このファクタリング契約をしていることを監査時に確認をしているのでしょうか。
◎齊藤副局長兼総務部長 いわゆるファクタリング契約のことについて今御質問いただきました。社会福祉法人の指導監査では、契約書や会計帳簿等、それから稟議書等によりまして、経理手続が適正に行われているかどうかを確認して、改善すべき事項があればその旨を指摘しております。この法人に行いました平成30年3月2日の指導監査におきましては、契約に関しての指摘事項というのはございませんでした。
◆白井委員 指摘はなかったということですが、そのものを確認したのかどうかを伺いたいと思います。確認している場合には、ファクタリング契約について説明をしていただきたいと思います。
◎齊藤副局長兼総務部長 法令等によりまして、法人がみずから公開すべきというような情報ですとか、あるいは指導監査の中で指摘をしたような事項、こういうものを除きまして、指導監査を通じて知り得た個々の契約内容等につきましては、この場ではお答えすることはできません。ただ、先ほど申し上げたように、契約に関する指摘事項、特に課題というものはないと認識しております。
◆白井委員 指摘はなかったということですけれども、契約内容、契約先はしっかりとする必要があります。それでは、契約は債権を譲渡するわけですから、理事会の決議が必要となります。
 契約は4月の実施ですから、3月の監査の実施のときには当然理事会の決議書というのが存在したはずですけれども、その決議書の確認はなされたのでしょうか。
◎齊藤副局長兼総務部長 監査の中では理事会の議事録ですとか稟議書、こういうもので各種契約に係る意思決定手続を確認しておりまして、改善すべき事項があればその旨を指摘しております。3月2日に行いました指導監査では、法人内部の意思決定手続に関する指摘事項というのはございませんでした。
◆白井委員 指摘がなかったので、あったら確認をしていたということなのですけれども、ファクタリング契約というのは通常2カ月先に受け取ることになる介護報酬を契約先から請求月内に早めに受け取ることができる契約です。資金繰りが容易になることはあっても、手数料も発生するために会計上は支出がふえることになりますから、収益を圧迫します。財務状況が良好な法人は選択しないと思いますが、どう見ておられるのでしょうか。
◎齊藤副局長兼総務部長 一般的に資金調達に係る手段として行われておりますいわゆるファクタリング契約につきましては、各法人の経営判断によって行われているという認識をしております。特に関係法令によって制限されているものではございません。収支への影響につきましては、個々の契約内容や、各法人が置かれている状況によって異なると考えております。
◆白井委員 収支増にもかかわらず契約を法人が選択したということは、資金繰りが困難となっているからではないかと危惧をするところです。しかも、その契約先というのは法人の理事長が以前代表を務めていた会社と法人関係者から聞いています。その会社の代表であったということは、私も政党支部の収支報告書で確認をしております。会計面から経営状況を監査する必要があると思いますが、どうでしょうか。
◎齊藤副局長兼総務部長 社会福祉法人の指導監査につきましては、社会福祉法関係法令、それから指導監査ガイドラインに基づいて行っています。法人の自主性とか自律性によって健全な経営が図られるよう、例えば個々の資金計画ということではなくて、理事会それから評議員会、そういうものの内部牽制の仕組み、あるいは手続が適正に機能しているかどうか、こういうことを確認しております。
◆白井委員 それでは局長に伺いたいと思います。法人の自主性とか自律性とか内部の検査ということではなく、サービス利用者に不利益が及ばないように、法人の安定運営のためにも、ファクタリング契約について適否の精査が必要だと思いますが、どうでしょうか。
◎田中健康福祉局長 今総務部長も答弁いたしましたように、社会福祉法人には、それぞれ法人の自主性、自律性に基づいて求められている高い公益性や、非営利性を確保した上で、福祉サービスの中心的な担い手として健全な経営をしていただくことが大前提でございます。そうした使命を法人が果たせるように、私どもとしては指導監査に当たっては、社会福祉法関係法令等に基づいて運営実態を確認した上で、改善すべき事項があれば指導を行っているところでございます。引き続き、適正な法人運営に向けて指導監査に取り組んでまいります。
◆白井委員 介護報酬が法人本部へ範囲を超えて流用されて、さらに手数料として法人から契約会社へ移動している。こういった資金移動は社会福祉事業としてあるべき姿ではないと思います。社会福祉事業の健全な発展が必要です。社会福祉事業を所管する公的機関は本市ですので、その立場から適正運営のために踏み込んだ指導を強く求めておきます。よろしくお願いいたします。
 次です。生活保護基準の見直しに伴う減額への補填についてです。
 この10月から生活保護基準が5年ぶりに見直され、生活扶助を3年かけて最大5%引き下げて、160億円減額するとしています。5年前の最大10%の引き下げのときは、本市では全世帯で受け取る保護費が下がりましたと聞いています。今回も受け取る保護費は全世帯で下がるのかどうか、どのように変わるのか、伺います。
◎巻口生活福祉部長 今回平成30年10月に生活扶助基準本体及び子供がいる世帯の児童養育加算、母子加算について見直しが行われております。世帯により増額される場合と減額される場合がありますが、減額された場合であっても影響が大きくならないよう、委員御指摘のとおり減額幅を見直し前の基準額からマイナス5%以内にとどめるとともに、3年かけて段階的に実施いたします。
 今回の下がった世帯でございますが、9月の受給世帯が5万3867世帯ございます。10月の基準が、これは全てが基準の見直しだけではなくて、例えば世帯の転出入ですとか入退院によっても個々の世帯の状況の変化がありますので、それによって増減いたしますが、全体の約78%に当たる4万2168世帯について10月に基準が下がっております。
◆白井委員 それでは、世帯数はどうなのでしょうか。
◎巻口生活福祉部長 今お答えさせていただきましたが、4万2168世帯が下がりました。
◆白井委員 減額世帯の割合というのは全国平均では67%と聞いておりますので、本市ではより影響が大きいということです。それで、今回の引き下げは一般低所得世帯と比較して保護世帯が高過ぎるとして引き下げるもので、5年前の引き下げに対する裁判の判決が出されていない段階での引き下げで抗議の声も上がっていて、国の決定が間違っていると思いますけれども、国の決定で局長としては独自の判断はできないにしても本市への影響を直視する必要があると思います。引き下がる世帯への影響をどう見ているのか、伺います。
◎田中健康福祉局長 今回の基準の見直しに当たっては、委員御指摘のように一般低所得世帯の消費実態との均衡を図るために、国のほうで社会保障審議会の生活保護基準部会における検証結果を踏まえて見直されたと認識しております。この検証は客観的データに基づき行われているとともに、今回は基準が下がる場合であっても、減額幅の上限を設けた上で段階的に実施するなど、配慮がなされていると考えております。
◆白井委員 そういう認識ではだめだと思うのです。私は特に、小学生がいる世帯から引き下げによる悲鳴を聞いているのです。
 そこで、小学生2人、40歳代夫婦、4人世帯のモデルケースでは保護費は幾ら下がるのか、伺います。
◎巻口生活福祉部長 40歳代の夫婦と小学生2人の世帯の生活扶助基準額につきましては、児童養育加算も含めまして平成30年9月までは19万8230円でしたが、平成30年10月以降は19万5260円となっております。2970円の減ということです。なお、このほかに教育扶助費と家賃を必要とする場合の住宅扶助費が支給されます。
◆白井委員 受け取りそのものが月3000円近く減るということは大変なことだと思います。また、生活扶助とは別の教育扶助についても変更があります。
 その中の学習支援費について、特に小学生の学習支援費はどのように変化になったのか、伺います。
◎巻口生活福祉部長 小学生の学習支援費につきましては、これまで毎月2630円を定額支給していましたが、平成30年10月以降はクラブ活動に費用がかかる場合に年額1万5700円を上限といたしまして実費支給することと見直しが行われました。
◆白井委員 学習支援費は半分に減るわけです。モデルの小学生2人の世帯で月3000円減ることになって、先ほど聞いた生活扶助で減った3000円と合わせれば6000円近くが減るわけです。このことは大きな痛手だと思いますけれども、本市では学習支援費支給対象者は小学生は何人でしょうか。
◎巻口生活福祉部長 平成29年7月の調査の数字になりますが、生活保護の教育扶助を受給している小学生は2751人になります。
◆白井委員 局長に伺います。月々減った1330円、年間にすると1万6000円ですから、人数分では4400万円になります。その分、市費で何らか補填することを検討していただきたいと思いますが、どうでしょうか。
◎田中健康福祉局長 学習支援費につきましては、クラブ活動にかかる費用の実態に合わせて、金額や支給時期の見直しが行われました。これによりまして、小学生につきましては減額された一方で、クラブ活動の費用負担が多くなる中学生及び高校生については増額されたところでございます。本市としては独自の補填を行うことは考えておりませんが、小学生のお子さんがいる世帯に対しては丁寧に説明していきたいと思います。
◆白井委員 ふえたところもおっしゃいましたけれども、小学生の世帯は減ることは特に配慮が必要で、補填が必要だと思います。安倍首相は消費税率は予定どおり来年10月から10%へ引き上げると表明していますが、消費税は低所得層ほど多く重く伸しかかる逆進性が強い過酷な税制ですから、本市の生活保護世帯の家計にもさらに追い打ちをかけることになります。
 国の悪政によって生活保護費削減の痛み、それから消費税増税の痛みが加えられようとしておりますので、それをカバーするための市費の補填、必要性を強調して、終わります。


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