議会での質問・討論(詳細)
2018年10月19日

■温暖化・環境創造局(かわじ民夫)

◆河治委員 日本共産党の河治民夫です。それでは、質問してまいります。
 最初は、再生可能エネルギーの導入促進についてです。
 近年、豪雨や台風など異常気象が頻発しています。ことしは西日本豪雨災害、台風21号などの被害、また、猛暑が猛威を振るいました。背景に、地球規模での気候変動は否定できません。2015年に採択されたパリ協定は、温室効果ガスの排出削減に向けて各国が目標達成に向けた取り組みを実施することなどを規定し、脱炭素社会に向けた転換点になるとも言われています。そして、主要国は省エネの徹底や再生可能エネルギーの大幅な導入を進めています。発電量に占める再生可能エネルギーの割合は、アメリカ・カリフォルニア州は2016年度の実績で40%、2030年度目標は50%、ドイツは実績で29%、2030年度目標が50%、中国は実績25%、2020年度目標は35%です。ところが、日本は実績で16%、2030年度までに22%から24%と大きく立ちおくれています。世界の流れは脱炭素、再生可能エネルギーですが、日本の再エネは大きく立ちおくれています。それは原発と石炭火力への固執があると思いますが、見解を伺います。
◎薬師寺温暖化対策統括本部長 国のエネルギー政策につきましては、経済性、環境面などさまざまな観点を考慮して、国において総合的に判断されることだと考えております。国において再生可能エネルギーの主力化が示される中、私どもも再生可能エネルギーの普及拡大を重要な柱として引き続き取り組んでまいります。
◆河治委員 改めて副市長にも見解を求めます。
◎小林副市長 SDGs未来都市として、環境モデル都市、環境未来都市とステップアップして、横浜市はさまざまな取り組みをしてきてございます。そうしたことは市民の皆様の御協力、御理解があってのことだと思いますので、まずは市民の皆様にそうした御理解をいただき、将来に向けた横浜市の責務として取り組んでいきたいと思っています。
◆河治委員 アメリカのトランプ大統領がパリ協定から離脱した中で、カリフォルニア州が高い再生可能エネルギーの目標を掲げていることは考え方として学ぶべきことだと思います。本市の温室効果ガスのうちCO2削減目標は、2030年は30%で、国の26%より高く設定していることは評価します。また、2050年を見据えて、温室効果ガス排出ゼロを目指す姿をあらわす言葉としてゼロカーボンヨコハマを用い、温室効果ガスの抑制策に省エネ対策や再生可能エネルギーの導入を掲げています。脱炭素社会を目指すわけですから、CO2を排出しないエネルギーをつくることが、つまり再生可能エネルギーは非常に重要な課題だと思います。
 そこで、本市の再生可能エネルギー導入についての基本的な考え方を伺います。
◎大倉企画調整部担当部長 先日、常任委員会で御審議いただきました横浜市地球温暖化対策実行計画の改定に際しましては、目指す姿としてゼロカーボンヨコハマを掲げ、将来像として再生可能エネルギーを主体として巧みに利用しているまちを設定いたしました。このため、市内のさまざまな施設で再生可能エネルギーが導入され、地産地消が進み、また、豊富な再生可能エネルギーのポテンシャルを有する地域における自治体、事業者との協力のもと、広域連携を進めるとともに、市内の市民、事業者の皆様が低炭素電力を選択し利用するまちづくりを進めたいと思っております。
◆河治委員 それでは、本市の再生可能エネルギーの目標と結果、そして、その評価はどうでしょうか。
◎大倉企画調整部担当部長 再生可能エネルギー全体については、2020年度までに43万キロワット、2030年度までに59万キロワットの導入量を目指しています。これまでの導入量については、2016年度の推計値で23万キロワットとなっています。現時点では目標には達していない状況にありますが、引き続き市民、事業者の皆様と取り組みを進めてまいりたいと思います。
◆河治委員 目標そのものの目指すところと比べると、現時点はどんな標高なのですか。
◎大倉企画調整部担当部長 先ほど申し上げましたとおり、現在、目標には達しておりませんので、引き続き市民、事業者の皆様と取り組みを進めてまいりたいと思っております。
◆河治委員 達していないというのは事実なのですけれども、もっと頑張らないといけないというふうなことを言ってほしかったです。(「先生も頑張りましょう」と呼ぶ者あり)ありがとうございます。
 本市の再生可能エネルギーは太陽光や風力、小水力、廃棄物、汚泥消化ガスなど、さまざまありますが、市民の身近な再生可能エネルギーは太陽光発電だと思います。太陽光発電の目標と結果、また、その評価についても伺います。
◎大倉企画調整部担当部長 太陽光発電につきましては、2020年度までに33万キロワット、2030年度までに49万キロワットの導入量を目安としております。これまでの導入量については、2016年度の推計値で13万キロワットとなっております。この太陽光発電についても、現時点では目標に達していない状況ではありますが、引き続き市民、事業者の皆様と取り組みを進めてまいります。(「同じことばっかりだ」と呼ぶ者あり)
◆河治委員 2011年度の横浜市地球温暖化対策実行計画における2020年度までの中期目標では、太陽光発電、それから太陽熱利用設備の普及では戸建て住宅の50%、集合住宅の30%に太陽光発電を導入としていますが、住宅地の太陽光発電の設備実績はどうなっているでしょうか。
◎大倉企画調整部担当部長 今手元にデータがございませんけれども、先ほど申し上げた13万キロワットのうちの大半が住宅用だと考えております。
◆河治委員 戸建て住宅の50%といったら、屋根から見て半分のうちが太陽光を積んでいるということです。そういうふうにはとても見えないのですが、どうですか。
◎薬師寺温暖化対策統括本部長 太陽光発電の導入量の全体を見ましても、目標にはとても達成していないという状況ですので、やはり実際に導入が進んでいないというのは私どもも認めざるを得ない事実だと認識しております。
◆河治委員 CO2削減目標の達成には市民に依拠した大きな力を一緒になってしていかなければならないと思うのですが、どうして市民と力を引き出してこの目標を達成していくのか、伺います。
◎薬師寺温暖化対策統括本部長 今回の実行計画の改定では、ゴールとしてゼロカーボンヨコハマを掲げ、その上で全体の目標として温室効果ガス排出量とエネルギー削減量を設定いたしました。さらに、正確に把握可能な管理指標を基本方針ごとに設定し、進捗管理を行ってまいります。これらについて、市民の皆様にわかりやすく伝え、脱炭素化を掲げる意義を共有し、さまざまな関係者の連携のもと、COOL CHOICE YOKOHAMAなどの20の重点施策を中心に取り組んでまいりたいと考えております。
◆河治委員 脱炭素社会を目指すわけですから、CO2を排出しない創エネ事業に市民の協力をもっと求めるべきだと思うのです。そのためには、やはりインセンティブをつくるべきだと思うのです。これまで太陽光促進のための施策があったと思いますが、どのような施策があったのか、伺います。(「黒岩知事」と呼ぶ者あり、その他私語する者あり)
◎大倉企画調整部担当部長 FIT制度導入前は個別住宅に対する補助制度などがありました。現時点では、いわゆるZEH、ゼロカーボン住宅に対する補助の一部として太陽光が認められている状況であります。
◆河治委員 導入のとき、横浜市自身が補助金を打ったのです。それが今どういうふうな状況になっているのか、伺います。(「黒岩知事」と呼ぶ者あり、笑声)
◎関川環境保全部長 横浜市では、環境に優しく、安全安心のまちづくりを進めていくというところで、当初、太陽光発電の補助制度を創設してきたところでございます。その後、FIT導入等を踏まえまして、価格的には随分下がってきたということから、太陽光発電の補助等の部分については、先ほど担当部長のほうから説明がありましたけれども、例えば横浜市ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスといったZEHに対する補助ということで集約をさせていただいているところでございます。
◆河治委員 目標を達成するには、本当に市民の力をもっと引き出していかなければいけないわけですし、ぜひそういったインセンティブも検討いただきたいと思います。それと同時に、市民の力を引き出すためには、市民にわかる情報の提供、目標などを事業ごとに示すべきだと思います。
 実行計画では再エネ導入についての目標などの管理指標が示されていますが、なかなか市民には理解しがたい表記です。2011年、平成23年の当時のように、個別事業目標等、記載を含めて表記すべきだと思いますが、どうでしょうか。
◎薬師寺温暖化対策統括本部長 再エネの項目に限らず、これまでの計画における個別事業の目標事業量は、正確に把握することが困難な指標が多かったため、今回の改定に際して、基本方針ごとに正確に把握のできるものを管理指標として設定いたしました。再エネに関する管理指標としては、市内の再生可能エネルギー設備導入量と電力の排出係数の2つを設定いたしました。これらの指標は毎年度把握し進捗管理を行う予定であり、市民の皆様にその数字の持つ意味も含めてわかりやすく御説明し、市民の皆様の再エネ導入や低炭素電力の選択といった行動につながるように取り組んでまいります。
◆河治委員 太陽光パネルなどは市民から見たら、ああ、いっぱい普及しているなとわかると思うのですけれども、計画からそういうふうなものが見えなくなったのです。どうしてですか。
◎薬師寺温暖化対策統括本部長 繰り返しになりますけれども、なかなか正確に把握することが困難なため、今回、方針ごとに管理指標を設定したということでございます。(「設置することで件数を数えられないわけないじゃない」と呼ぶ者あり)
◆河治委員 ぜひ私はそういうことを求めて、市民の目でも見える化によって広がっている、そういったことを、自分たちの事業が進んでいるということを共有しなければいけないのではないかと思います。各家庭が太陽光発電設備を導入する場合、家庭用蓄電池がセットで設置されれば、災害時など非常用電源にも代用できるし、導入促進の補助金制度があれば太陽光設備も普及につながると思います。今、建築局の事業だと思いますが、創エネルギーシステム、太陽光発電システムとリチウムイオンの蓄電システムがありますが、補助件数はわずか20件、余りにも少ないと思います。
 そこで、家庭用蓄電池の役割について本市の基本的な考え方を伺います。
◎奥野温暖化対策統括本部副本部長 家庭用蓄電池の役割でございますが、住宅用太陽光発電によるエネルギーの自家消費を促すこと、また、停電を伴う非常時の防災用電源として使用できることと考えております。太陽光発電設備とあわせて導入することで再生可能エネルギーの普及拡大、CO2排出量削減につながると考えております。
◆河治委員 本市は環境未来都市、そしてまた、ゼロカーボンヨコハマを目指しているわけですから、本当にそういった目標を掲げて進めていくことが大事だと思いますし、再生可能エネルギーをふやすさまざまな、いろいろな施策を市民と一緒になってやっていただきたいと要望します。
 次は、浸水対策についてです。
 温暖化の影響もあり、局地的豪雨や台風の影響で、市民生活や都市機能に影響する浸水被害が懸念されます。安心安全な市民生活にとって浸水対策への備えが一層強く求められていると思います。
 そこで、本市の50ミリ、そして60ミリ浸水対策の基本的な考え方について伺います。
◎遠藤下水道管路部長 よろしくお願いします。
 都市計画中央審議会や社会資本整備審議会の答申を踏まえまして、本市では、5年に一回の確率で発生する時間降雨量50ミリメートルを想定した整備を基本としております。また、資源や資産が集中していまして浸水による被害が大きい区域では、10年に一回の確率で発生します60ミリメートルを想定した整備を行っているところでございます。
◆河治委員 横浜市下水道事業中期経営計画2018では、50ミリ整備の対象区域が129地区、60ミリ整備の対象区域が41地区あるとしています。これまでの整備はどこまで達成したのか、伺います。
◎遠藤下水道管路部長 横浜市下水道事業中期経営計画2018で示している整備目標に関しまして、平成29年度末の整備状況でございますが、50ミリを目標とした地域に関しましては129地区のうち104地区81%、それから、60ミリを目標といたしました41地区に対しましては36地区88%の整備完了となってございます。
◆河治委員 2018年から4年間の計画に位置づけられ、整備される地区数や供用開始できる地区数はどれだけあるのか、伺います。
◎遠藤下水道管路部長 横浜市下水道事業中期経営計画2018の最終年度に当たります平成33年度末までに、時間降雨量50ミリの地区では栄区田谷、瀬谷区相沢などの15地区、60ミリの地区に関しましては南区大岡と港北区篠原の2地区が完成する予定でございます。
◆河治委員 それでは、過去に浸水被害があった地区のうち、横浜市下水道事業中期経営計画2018後も整備できないで残る地区は、50ミリ対象では10地区、60ミリ対象では供用開始にはならないが3地区が工事着手すると聞いています。その地区の詳細を述べてください。
◎遠藤下水道管路部長 横浜市下水道事業中期経営計画2018以降も残る泉区や瀬谷区三ツ境などの地区につきましては、現在設計をしているところもございますけれども、地域の土地利用状況等もありまして、そういった状況にならないところも出ております。加えまして、中区本牧、戸塚区戸塚につきましても設計検討等を進めているところでございまして、引き続き鋭意検討を進めていきたいと考えてございます。
◆河治委員 その残る地区の具体的な地域名を教えてもらえますか。
◎遠藤下水道管路部長 50ミリ対応の10地区でございますが、泉区では和泉地区が2地区と領家地区、瀬谷区におきましては三ツ境地区、橋戸地区、相沢地区、瀬谷地区で3地区、宮沢地区でございまして、合わせて10地区ございます。それから、60ミリ地区でございますが、先ほど申し上げましたように、中区本牧地区、戸塚区の戸塚地区、栄区の飯島地区の3地区になります。
◆河治委員 およそ5年に一度予測される50ミリ未整備地区が10地区、先ほど話されました泉区に3地区、瀬谷区に7地区、全て横浜西部地区に集中しているわけですが、なぜこの地域、地区が残るのか、伺います。
◎遠藤下水道管路部長 浸水被害が起きている地区に関しましては、さまざまな状況があろうかと思います。特に降雨に関しましては、同じ場所で降らないということもございまして、最近の動向等を見ると南部、西部のほうに発生しているということもございます。そういったことも踏まえる中で、早期に対応できるところももちろんやっていくわけでございますが、こういった形で残っているところに関しましても、引き続き地元の土木事務所等とも連携を重ねながら対応策を検討していきたいと思っております。
◆河治委員 それでは、この西部地区、未整備地区のところの浸水被害の状況はどうでしょうか。
◎遠藤下水道管路部長 主な浸水被害の状況でございますが、例えば瀬谷区三ツ境地区では、平成29年8月に床上床下浸水が10棟発生してございます。また、栄区飯島地区では、平成26年10月でございますけれども、床上床下浸水が14棟発生している状況です。
◆河治委員 この間、私の地元、旭区川井本町地区では浸水被害がたびたびありまして、これは帷子川の河川改修がおくれたということなのですが、私もこのことで何度もこの問題を取り上げさせていただきました。こうした中で、本格整備には至っていませんが、川井橋に雨水バイパス管が布設されました。それ以降、被害はないとのことで、よかったと思っております。
 この泉区、瀬谷区の未整備地区も、こうした何らかの対応が必要ではないでしょうか。未整備地区に対する応急処置も含めた検討状況はどうか、伺います。
◎野村環境創造局長 よろしくお願いします。
 委員御指摘のとおり、浸水被害が起きている地区についてどこまで対応できるか、我々も全力で取り組んでいるところでございます。具体的には、浸水被害が起きている地区の地形状況、あるいは、そこに入っている既設の下水管の布設状況、排水能力の調査を進めるとともに、既に水の流下能力として存在している既存の水路や、その水路を活用した即効性のある対応策の検討を進めております。同時に、なかなかすぐうまくいかない部分もございます。ひとえに地域の皆様にこういった状況を順次情報提供を行いながら整備を進めていくことが重要だと考えておりますし、そのとおりやっております。なお、整備する上で用地の確保が困難な場所など対応が難しい地区につきましては、冒頭お話ししましたとおり、周辺の皆様にその状況を説明しながら検討を進めてきているところでございます。
◆河治委員 ずっとこうしたことが、整備がおくれている。前に私が取り上げたとき、財政的な面でも大変なのだと言われたのですが、下水事業としての財政面ではどうなのでしょうか。
◎野村環境創造局長 汚水整備に限らず、雨水についても財政面はもちろん配慮する必要があります。ただ、私どもの環境創造局の目標であります市民の生命、財産を守る、その意味では大変重要な事業でございますので、これまで、そしてこれからも、雨水対策についてはしっかりと予算も確保しながら取り組んでまいりたいと考えております。
◆河治委員 ぜひよろしくお願いします。先ほども話されたのですけれども、特に公共事業においては、住民それぞれの利害関係ということで事業の進捗にも大きく左右されると思います。現場で苦労されている職員の皆さんには本当に敬意を表したいと思います。だからこそ、地域全体のまちづくりとして、区役所や町内会とも協力しながら地域住民の合意が得られるように進める。そして、このことが、こうした合意形成がより強いまちづくりになるのだと思いますが、局長の見解を伺います。
◎野村環境創造局長 委員御指摘いただきました。そのとおりだと思います。浸水対策を進める上で、事業用地の確保、あるいは工事期間中の周辺地域の交通、騒音振動などの配慮、計画段階から施工に至るまで、地域の皆様への丁寧な説明を積み重ねながら合意形成を図っていくことは大変重要であると認識しております。引き続き災害に強い安全安心な都市づくりを進めていくため、地域の皆様の御意見をしっかりいただきながら、私どもも情報提供しながら、土木事務所を初め、区局連携して取り組んでいきたいと考えております。
◆河治委員 終わります。


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