議会での質問・討論(詳細)
2020年3月11日

■財政局【北谷まり】

◆北谷委員 北谷まりです。日本共産党を代表して質問いたします。
 まず、2020年度予算編成の考え方と地方自治体の責務について、暮らしを守る立場から質問いたします。
 まず、財政力指数とは何か、伺います。
◎松浦財政部長 よろしくお願いいたします。
 財政力指数につきましては、地方公共団体におきまして標準的な歳入で標準的な歳出を賄うことができるか、そういったことをあらわす指標でございまして、1.0以上の場合、賄えるという状況でございます。
◆北谷委員 過去3年間の本市の財政力指数と政令市での順位を伺います。
◎松浦財政部長 平成28年度、平成29年度、平成30年度、いずれも0.97となっております。また、平成30年の決算におきます政令市の順位では4番目となっております。
◆北谷委員 財政力が上位にもかかわらず、また、投資家には財政の健全性をアピールしておられるわけですけれども、財政運営は厳しいということ、また、それが見込まれるとしています。ですから、新たな劇場、旧上瀬谷通信施設などの大型開発の新規事業に多額の予算を計上することは、市民向け施策の展開に障害となることは明らかです。優先順位が間違っていると思いますが、伺います。(「そうだ」と呼ぶ者あり)
◎横山財政局長 厳しい財政状況の中にありましても、福祉、医療、教育、防災など、市民生活に不可欠なサービスを基礎自治体として確実に提供し続けるということが重要でございます。また、同時に、横浜の経済を支える市内の個人事業主や中小企業の成長発展への支援も必要でございます。そうした予算案として御提案申し上げておりますので、しっかりと対応してまいります。
◆北谷委員 最も重要なことは、生産年齢人口の減少を抑える施策ではないですか、伺います。
◎横山財政局長 ただいま申し上げましたように、さまざまな観点から委員御指摘の生産年齢人口をふやしていく、つまり市民の流入人口をふやしていくとか、そういったことも含めて魅力ある都市づくりということでさまざまな事業費を計上した予算でございますので、しっかりと対応してまいります。
◆北谷委員 定例記者会見で、市長は、好機を生かし、次世代につなぐ予算をキャッチフレーズにしたいと言われ、東京2020オリンピック・パラリンピックの開催などの大きなチャンスを最大限に生かすとして、横浜の活力を拡大することに力を入れる決意の後に、市民生活の安全安心をさせる施策に取り組むとしているわけですから、明らかに優先順位が違っています。ふるさと納税で、2019年度、予算上136億円が流出です。これは本市に税金を払うことの意義が実感されていないことのあらわれでもあり、市民向け施策の充実に向け、努力が足りないと思いますが、いかがでしょうか。
◎横山財政局長 ふるさと納税制度で流出額が大きいということでございますが、これは制度上、都市部の税収影響額が大きくなるのはやむを得ないのかと受けとめておりますが、影響額が年々ふえておりますのは、返礼品競争が過熱しまして、豪華な返礼品を取りそろえる自治体がふえまして、返礼品を目的とした寄附が増加したことによるものと見ております。委員御指摘の、他の自治体に納税したほうが有意義だ、横浜は魅力がないというようなことでは必ずしもないというふうに捉えております。
◆北谷委員 これは検証する必要があると思います。返礼品のせいにしないでいただきたいと思います。(「そうだ」「そうだ」と呼ぶ者あり)ふえているのは個人市民税ですから、市民を大切にするべきです。予算編成に当たって住民の福祉増進が地方自治体の責務であることをどう認識し、貫徹しているのか、伺います。
◎横山財政局長 市民の皆様の安心安全をお守りしていくことは基礎自治体の最も重要な役割でございます。また、必要な施策を着実に推進していくために市内経済を活性化し、財政基盤を強化していくことも重要でございます。政策面、財政面からの役割を発揮し、しっかりと取り組んでまいります。
◆北谷委員 地方自治の本来の目的である住民福祉の機関、住民自治の組織という地方自治体の本来の役割を果たすために、その原点に立ち戻った予算案とすべきです。事業見直しで111億円削減しました。国民健康保険繰入額31億円、これは見直し額としてトップです。そして、福祉施設民営化1億2600万円などは、市民の暮らし、市民サービスに直接影響があるものです。見直しと称して市民負担を強いること、民営化を加速させることへの見解を伺います。
◎横山財政局長 限られた経営資源の中で必要な施策を推進するため、徹底した市役所内部経費の削減や事務事業の効率化、適正化、外郭団体への財政支援等の見直しを実施したところでございます。見直しに当たりましては、時代の変化を踏まえながら、事業の必要性や有効性等について検証するとともに、市民負担の公平性という観点、最適な運営主体は何かという観点でも取り組んでおります。(私語する者あり)
◆北谷委員 市民負担の公平性など全然図られていないです。こういうやり方は市民の安心にはならないことを認識すべきです。昨年に続きまして、国民健康保険の繰り入れを削減しました。削減しなければ国民健康保険料の引き上げはしなくてもよかったはずです。それどころか引き下げもできたはずだと聞いています。繰入金の削減は、結果として財源確保のためと言わざるを得ません。見解を伺います。
◎横山財政局長 国民健康保険事業は、国費などの公費や被保険者の保険料等で医療費を賄う保険制度でございます。令和2年度の保険料は、昨年度と同様、1人当たり医療費の伸びをもとに算定したものでございます。これを超えて保険料が過重な負担とならないよう、法定外市費を繰り入れて本市では保険料の上限を抑制しております。財源確保を目的に市費を削減したということは当たらないと考えております。(「いや、そこが問題だよ」と呼ぶ者あり)
◆北谷委員 国民健康保険は社会保障ですから、そこをしっかりと認識していただきたいと思うのです。国民健康保険の収納率は平成30年度89.32%と市税と比べて低くなっています。滞納処分では約半数が執行停止です。高過ぎる保険料が原因で払いたくても払えない人が大変多いことは明らかです。市長も国民健康保険は他の健康保険と比べて高いことは認識しています。少なくとも現状維持して市民の暮らしを守ることを優先すべきと考えます。50億円の国民健康保険会計の積立金の一部を活用すればそのことは実現できます。国民健康保険会計の組みかえに向けてイニシアチブをとっていただけませんでしょうか。
◎横山財政局長 御指摘の積立金でございますけれども、横浜市国民健康保険財政調整基金、これは中長期的な国民健康保険財政の安定に資するために設置されたものでございます。先ほど申し上げましたとおり、保険料につきましては1人当たり医療費の伸びをもとに算定しておりまして、保険制度を持続可能なものとするため一定の御負担をお願いするものでございます。今年度の予算につきましても、健康福祉局と議論をしながら適切に対応しているところでございます。
◆北谷委員 財政上引き上げる必要はなかったはずですし、繰入金を削減する必要はなかったはずです。副市長、イニシアチブをとっていただけませんか。
◎渡辺副市長 国民健康保険制度につきましては、人口減少あるいは高齢化が進む中で将来的には非常に厳しくなるということが見込まれています。そういう中でもやはり市民の方にとって非常に大事な社会保障制度ですので、保険制度とはいえ、これを持続可能なものにしていかなければいけない。したがいまして、ある年は積立金が非常にたくさんあるのでそれを全部使ってしまって、そして、市民の方の保険料は抑えましょう。非常に厳しいときは、逆に市民の方の保険料をふやさなくてはいけない、こういうことではなかなか持続可能な形にはならない。したがいまして、その辺の先をしっかり見ながら、バランスをとりながら、一定程度の市民の御負担もしていただく。積立金も安定的に残していく。市費についてもしっかり繰り出しを行う。こういう形で運営していくのが望ましいと思って今運営しているところでございます。
◆北谷委員 持続可能な制度とするためには公費の投入が不可欠なのです。国の社会保障削減のやり方に追随するのではなく、市民生活を守る立場に立つべきであり、積立金は市民のために使うべきです。(「そうだ」と呼ぶ者あり)
 次に、納税困難者への対応と市税の滞納処分について伺います。
 内閣府が発表しました昨年10月から12月期のGDPの改定値は実質の経済成長率が2月発表の速報値より悪化しました。昨年10月から強行した消費税率10%への引き上げが家計も経済も直撃していることは明白です。新型コロナウイルスの感染拡大が経済を急激に悪化させており、日本経済は危険な局面を迎えています。特に中小企業、小規模事業者は大変な打撃を受け、そこで働く人からも不安の声が上がっていることが報道されていますが、それは市民の皆さんも同じです。収入が途絶えるなどして経済的困窮に直面し、納税が困難となった場合の制度について伺います。徴収猶予について説明をお願いします。
◎松井主税部長 徴収猶予につきましては、新たな督促や差し押さえ処分が猶予される制度でございまして、災害、疾病や事業の廃止など、地方税法に定める一定の要件に該当する事実があり、一度に納付することができないときは、納税者の方の申請によりまして、原則として1年以内の期間に限り、納税の猶予を認められる納税緩和措置となっております。
◆北谷委員 どういう方が対象なのか、もう一度伺います。
◎松井主税部長 今申し上げましたとおり、災害、疾病や事業の廃止など、地方税法に定める一定の要件に該当する方ということでございます。
◆北谷委員 では、換価の猶予について御説明をお願いします。
◎松井主税部長 換価の猶予につきましては、既に差し押さえを受けている財産を金銭にかえることを猶予する制度でございます。こちらにつきましても、一度に納付することにより事業の継続性や生活の維持を困難にするおそれがある方がいる場合に、原則として1年以内の期間に限り、納税の猶予が認められる納税緩和措置となっております。
◆北谷委員 どのように周知しているのか、伺います。
◎松井主税部長 猶予制度につきましては、区役所の税務課の窓口におきまして、制度概要や申請方法を記載したパンフレットや申請の手引書を備えまして、制度の周知に努めております。また、税の広報誌でございます「税の知識」や本市のホームページにも制度概要を掲載しております。なお、これまでも、納付が困難な事情がある方の場合につきましては、まず区役所へ御相談いただくよう納税通知書や督促状に記載しております。本制度につきましては、引き続き、対象となる方が制度を利用しやすいように周知に努めてまいりたいと考えております。
◎松井主税部長 こういう状況ですので、今まで以上に制度の周知、区役所での丁寧な対応が求められておりますけれども、どう考えておられるのか、伺います。
◎横山財政局長 猶予制度を必要とする納税者の方が各区の納税課に来庁された場合には、納税相談において、その生活状況を聞き取り、納税資力を確認しながら丁寧に対応しているところでございます。また、昨年の台風15号や19号などの大規模災害時には、各区からの催告書に猶予制度の案内チラシを同封するなど、猶予制度を必要とする納税者の方々に届くような案内を行っております。対象となる方が本制度を利用できるように、引き続き周知に努めてまいります。
◆北谷委員 景気への打撃はリーマンショックに匹敵し、日本経済は長期低迷するのではないかとの声が専門家から上がっているわけですから、減免制度も含めて丁寧に周知していただくこと、それから、窓口では相談者に寄り添った対応をしていただくことを改めて要望いたします。換価の猶予についてですが、窓口で相談した際、職員の方が御存じなかったとの声を聞いていますので、研修をしっかりしていただくことを要望いたします。
 それでは、市税の滞納処分について伺います。
 過去3年間の市税の滞納状況を伺います。
◎松井主税部長 過去3カ年の滞納額についてでございますが、決算数値で申し上げますと、平成28年度は58億5200万円、平成29年度は51億9900万円、平成30年度は54億7200万円となっております。また、過去3カ年の市税収納率につきましては、平成28年度は99.0%、平成29年度は99.2%、平成30年度も99.2%となっております。
◆北谷委員 滞納者数はいかがでしょうか。
◎松井主税部長 滞納者数につきましては、平成28年度は7万4154人、平成29年度は6万7953人、平成30年度は6万5877人となっております。
◆北谷委員 滞納が発生しますと督促状を送付し、それでも納付がなければ催告書が送付されるとのことですが、滞納処分とは何か、どのように進められるのか、伺います。
◎松井主税部長 一般的な御説明をさせていただきますと、納期限を経過後30日以内に法令に定められた督促状を送付しております。その後、自主的な納付を促すために納税の催告書などを送付しております。あわせて、財産調査等を進めた上で、納税相談を通じまして、納税資力の判断をいたしております。納税資力があるにもかかわらず自主的な納付が見込めない場合には差し押さえなどの滞納処分を行っておりますが、納税資力がないと判断した場合につきましては、滞納処分の執行停止など、納税緩和措置を行っております。
◆北谷委員 過去3年間の差し押さえ件数を伺います。
◎松井主税部長 過去3カ年の差し押さえ件数につきましては、平成28年度は4万5229件、平成29年度は4万7794件、平成30年度は4万6623件となっております。
◆北谷委員 差し押さえが禁止されているものは何か、伺います。
◎松井主税部長 法令の定めでございますが、納税者やその家族などの生活に欠くことができない衣服や家具、または、生活に必要な3カ月分の食料など、あるいは、給与のうち一定の額、年金等の社会保険給付のうち一定の額などが差押禁止財産として定められております。また、これらに加えまして、児童手当といったそれぞれの特別法で定められた差押禁止財産というものがございます。
◆北谷委員 給与の差し押さえはどういう手順で行われるのか、伺います。
◎松井主税部長 給与の差し押さえを行う場合につきましては、まず給与の支払い者に滞納している方の収入状況を確認いたします。この際に、法に定められました生活の維持等に必要な給与差押禁止額というものがございます。こちらを計算させていただいた上で、差し押さえが可能かどうかの判断をしているということでございます。差し押さえが可能であり、納税資力があり、自主納付いただけない場合には、差し押さえを執行しております。給与差し押さえの手続としましては、今申し上げました第三債務者である給与の支払い者に対しまして債権差押通知書を送付します。また、給与を差し押さえたときには、滞納者の方には差押調書謄本というものをあわせて送付しております。
◆北谷委員 憲法25条は、全て国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有すると定め、この趣旨から法律で差し押さえ禁止に関する規定が定められています。しかし、給与などが預金口座に振り込まれた後に差し押さえることで、差押禁止債権を定めた法の趣旨を潜脱する違法な差し押さえ処分が全国各地で行われ、重大な問題となっています。給与が振り込まれる銀行口座の差し押さえはどのような手順で進めるのか、伺います。
◎松井主税部長 基本的には、横浜市の場合につきましては、金融機関のほうに先に照会をとっておりまして、委員が今御指摘いただいているような、例えば給与が口座に振り込まれたときに明らかにその給与を狙っているようなとか、そういう場合には、横浜市の場合につきましては、先ほど申し上げました給与の差し押さえ禁止の計算をした上で、その控除分を除いて差し押さえ等をしておりますので、違法な差し押さえ等は行っておりません。
◆北谷委員 年金も同じですけれども、違法な差し押さえがあってはなりません。売掛金の差し押えはどういう手順で行われるのでしょうか。
◎松井主税部長 売掛金につきましては、法令上、売掛金自体が差押禁止財産ということではございませんけれども、やはり売掛金は事業者の方の事業の継続等に影響が及ぶ場合も考えられるため、先に滞納者の方の売掛金以外の財産状況、こちらを必ず調査しております。滞納者との納税折衝を踏まえた結果、非常に慎重に対応させていただいております。(「そこは違うよ」と呼ぶ者あり)差し押さえる場合につきましては、事前に催告を行わせていただきまして、それでも自主的な納付が見込まれない場合に売掛金の差し押さえを行っております。(「いや、いや」と呼ぶ者あり)差し押さえの手続につきましては、債権差押通知書を取引先に送付して行います。また、滞納者の方にもあわせまして差押調書謄本を送付しております。
◆北谷委員 私も相談を受けたことがあるんですけれども、売掛金の差し押さえというのは、業者にとっても本当に命取りになるものです。現在、新型コロナウイルス感染影響の拡大で飲食店からは客足が激減、介護ではデイサービスの利用者減、下請加工業者からは部材不足で受注に応じられない、こういう声が寄せられています。全国商工団体連合会は、国税庁に対して納税緩和制度活用の周知と柔軟適用、感染の影響が収束するまで滞納処分を行わないこと、納税相談への適切、懇切丁寧な対応を要請しています。本市においても業者の皆さんへの寄り添った対応を求めます。
 以前、納税困難者の困り事が行政の手助けによって解決し、生活再建されることが収納率向上に結びついている滋賀県野洲市の例を紹介しました。過去3年間、税務課から生活困窮者自立支援窓口への案内件数を伺います。
◎松井主税部長 過去3カ年の税務課から生活支援課に御案内した件数でございますが、平成28年度は555件、平成29年度は553件、平成30年度は1018件となっております。平成30年度に件数が増加した主な要因としましては、平成30年10月に生活困窮者自立支援法の一部改正によりまして、税務部門においても同制度の利用勧奨についての努力義務が定められたこと等がございます。また、区役所内で税務課と生活支援課が、もう3年間たちますので、こちらについての連携がとれてきたということもございまして、平成30年度に件数が倍増していると考えております。
◆北谷委員 生活困窮者を自立支援窓口へ案内して終わりではありません。滞納者のうち20万円未満の滞納者の割合が平成30年度は上がっています。払いたくても払えない人がふえていると考えます。生活に困って窓口で相談すること自体、ハードルが高く感じられるものです。対応を誤れば二度と区役所には行きたくないとなってしまいます。困っている市民は、みずから相談に来ない、来られないとの視点に立ち、滞納を市民からのSOSとして捉え、頼りがいのある行政、市民生活の安定こそが長期的な納付意欲の向上につながるという認識を持って、庁内連携のもと、丁寧に対応していただくことを求めますが、いかがでしょうか。
◎横山財政局長 区の税務課では、納税相談や財産調査を通じて納税資力を見きわめ、納税にお困りの方に対して丁寧に対応していくということでございまして、財政局としても、庁内連携を深め、支援を必要とする方に丁寧に対応するため、健康福祉局と連携をし、区税務課職員や区の生活支援課職員へのお互いの業務内容の研修及び両課職員への生活困窮者自立支援制度の事例研修を実施しておるところでございます。また、各課の連携を深めるため、独自の研修等を実施している区もあると聞いております。引き続きまして、福祉部門と税務部門の両方を持つ総合行政機関としての区の強みを生かしまして、お困りの方の支援を充実できるように財政局としても取り組んでまいります。
◆北谷委員 国税庁は、確定申告について、納税者本人が新型コロナウイルスに感染した場合など、4月16日までに申告できない場合の期間延長にも柔軟に対応するとしています。改めて、相談者の個々の事情に寄り添った丁寧な対応を求めて、終わります。


新着情報

過去記事一覧

PAGE TOP