◆岩崎委員 スライドの使用を許可してください。
○坂本委員長 どうぞ、お使いください。
◆岩崎委員 横浜水道中期経営計画素案について伺っていきます。まず、日本共産党は、現行の料金体系、料金水準は立派に機能していると評価しています。したがって、料金改定や値上げは必要ないこと、また、水道事業が民営化に向かうのであれば断固反対です。まずこのことを表明して、質問に入ります。
水道事業の意義、目的から伺っていきますが、水道法第1条は憲法25条由来の条文と承知しています。水道法第1条に基づいて、水道事業の意義、目的を改めて伺います。
◎山隈水道局長 水道法の第1条には、この法律の目的といたしまして、「水道の布設及び管理を適正かつ合理的ならしめるとともに、水道の基盤を強化することによつて、清浄にして豊富低廉な水の供給を図り、もつて公衆衛生の向上と生活環境の改善とに寄与すること」、そういうふうに規定されておりまして、水道事業の意義、目的についてもまさにここに示されていると考えております。
◆岩崎委員 水を清浄、豊富、低廉に提供することが国と自治体の責務であると規定したこの第1条は、水道事業者にとって羅針盤です。素案では、この第1条が明確に記述されていません。計画策定の際、明確に羅針盤にふさわしい記述にすべきだと思いますが、伺います。
◎山隈水道局長 本市では、平成28年3月に策定いたしました横浜水道長期ビジョンで暮らしとまちの未来を支える横浜の水というフレーズを基本理念に掲げております。この基本理念は、水道法第1条の目的も踏まえ、安全で良質な水を安定してお届けすることを通じて横浜の未来を支えていくという意味を込めまして、目指すべき将来像として掲げているものです。しかし、水道法との関係については直接記載をしておりませんので、現在策定を進めている次期中期経営計画では、水道法第1条を引用してこの基本理念を説明することについても検討してみたいと思います。
◆岩崎委員 一番基本的なことなので、ちゃんと記述することを求めておきます。
次に、市民意見募集です。市民意見募集については、実施中であることや、その内容が市民によく周知されていませんでした。概要版リーフレットの発行はわずか2800部、配架の場所も少な過ぎます。戸塚区役所を例にとると、私、直接行ってきたのですけれども、2階の総合受付ではどこにあるかさえわかりませんでした。総務課のある9階に行って、やっと30部置いてありました。これでは市民は一般的には手に入りません。(「そうだ」と呼ぶ者あり)また、内容的には改定予定の水道料金の水準や実施時期など数値が示されていないので、よく理解できません。これでは、171万世帯374万人市民から真剣に意見を募集しようという水道局の本気度が全く伝わってきませんでした。でも、こういう中で意見は寄せられているようですから、大変貴重なものであります。
そこで、市民意見の募集状況及び意見の傾向、特徴を伺います。
◎山岡経営部長 市民意見の募集については現在集計中ですが、311通、約600件の御意見が寄せられています。寄せられた御意見の傾向としましては、水道料金の値上げや料金体系の見直しに反対する御意見が約230件、水道事業の民営化反対や公営での事業継続を望む御意見が約170件となっており、これらの御意見で全体の約7割を占めています。このほか、計画の推進や災害に強い水道の構築に期待する御意見、広報に関する御意見などをいただいています。
◆岩崎委員 寄せられた意見について、当局はどのように認識していますか。
◎山隈水道局長 料金の値上げなどに反対する御意見につきましては、これは料金改定という性質上、一定数の御意見をいただくことはやむを得ないと認識しております。また、民営化に反対するなどの御意見につきましては、公営企業として引き続き事業を運営することを計画上でもお示ししたつもりですが、それが伝わっておらず、これは大変残念に思っております。
◆岩崎委員 それでは、この貴重な市民意見は中期経営計画にどのように反映するのか、伺います。
◎山隈水道局長 現在、寄せられた御意見の一つ一つについて、計画原案に反映させるか否かについて整理を進めております。さまざまな御意見をいただいておりますので、できるだけ多く反映させたいと考えておりますが、反映に当たっては意見を寄せることができない将来の水道利用者のことも念頭に置きつつ判断をしてまいります。
◆岩崎委員 次に、料金体系、料金水準の見直しについて伺います。
(資料を表示)スライドをこれから使います。このスライド、2018年度決算の状況を示したスライドですが、水道事業の収支構造を伺います。
◎山岡経営部長 収益的収入としては、水道利用加入金や他会計繰入金などの収入もありますが、約8割は水道料金収入が占めています。また、収益的支出は、動力費や修繕費、委託料を含む物件費等と減価償却費等がそれぞれ約3割、企業団受水費が約2割を占めており、このほか人件費、支払い利息等となっています。収益的収支の差し引きから消費税の影響額を差し引いた結果が純利益となります。
◆岩崎委員 2018年度は、今お答えのあった利益の部分ですが、この表を見ると約90億円の黒字ということになります。この黒字の状況との関係で、過去10年間の純利益の推移を伺います。
◎山岡経営部長 過去10年間の純利益は、地方公営企業会計基準の見直しがあった平成26年度を除き、黒字を維持しています。しかし、平成28年度以降、老朽管更新等に伴う修繕費、減価償却費の増などにより純利益は年々減少しており、平成30年度は平成29年度に比べ30億円減の73億円でした。また、令和2年度予算の純利益は55億円にとどまる見込みであり、今後一段と厳しい経営状況になると考えています。
◆岩崎委員 純利益の減少傾向はあるようですけれども、それにしても水道事業として黒字を続けているという立派なものです。この財政基盤を支えてきた主役が、この表にあるように、現行の料金体系による料金収入が圧倒しているわけです。だから、これが主役となって今の財政基盤があるというふうに明らかになったと思います。ですから、現行料金体系は立派に機能しているわけです。なぜこの機能している体系を変える必要があるのか、どの点が不都合なのか、はっきり答えてください。
◎山隈水道局長 確かに現行料金体系のもとでこれまで黒字を維持してまいりましたが、それは最後に料金改定を行った平成13年度以降の料金収入の減少約90億円を、職員定数の削減を中心としたさまざまな経費削減努力によって補ってきたからでございます。今後は、災害対応や技術継承の観点から、これまでと同様に職員数の大幅な削減を中心とする経費削減で対応することは難しいと考えております。そうした状況の中でも、引き続き安定給水を続けていくとともに、将来に確実に水道事業を引き継いでいくためには、料金体系の変更を含む料金改定を行わざるを得ないと考えております。
◆岩崎委員 内容を詳しくはお答えできないのだろうと思うのですけれども、時間の関係もあってね。でも、その説明では全然理解できません。その900億円ほどの事業の総額で、その大半を占めているわけです。そして黒字がその1割強あるわけです。だから、こういうある意味優良な事業体ですよ。それが今言われたような説明では、全く理解できません。
そこで、理解できない一つの理由はこういうことです。逓増度の緩和ということが今回言われています。(資料を表示)それで、この表とこの表を見てほしいのですけれども、これは逓増率を緩和する3パターンをシミュレーションしているのです。口径20ミリ、今映っているのがそれです。これが家事用と見ていいと思います。口径100ミリのほうは業務用と見ていいと思います。これだと、この3パターン、どのパターンでも、家事用は全部、全世帯で値上げと言っていいほどの、右肩のちょこっとだけが外れるのですけれども、ほぼ全世帯で値上げです。業務用はどうなるかというと、一番左下のところで、ちょこっと逆転するだけです。ですから、ほぼ全企業で値下げになるという、これはそういうシミュレーションです。結局のところ、この2つの表を一緒に見れば、逓増度を勘案するということは、市民の料金値上げ分で企業の料金値下げ分を補うということになるのではないですか。この私の認識を否定できますか。
◎山隈水道局長 委員から御紹介がありましたグラフは、前回も御説明いたしましたけれども、今、横浜市の水道料金体系は非常に逓増度が高い構造になっておりますので、その逓増度を緩めたときにどういう影響が出るかということをシミュレーションする、ある意味わかりやすく先生方にお示しするために示したものでございまして、それはもう本当に検討する途中の資料でございますので、それをもってこうなる、ああなるということは、今の段階で申し上げるのは差し控えたいと思います。委員がおっしゃるその逓増度を緩めるということは、大口の利用者の負担を軽くして市民の負担を重くするといったようなお話ですが、現在、例えば8立方メートル1カ月に使われる御家庭では、1立方メートル当たり99円で使っていただいています。ただ、それが、今使えば使うほど単価が高くなる料金体系になっていますので、1000立方メートルを超える使用者になりますと、1トン当たり、1立方メートル当たり400円を超える金額で使っていただいています。こういうことが原因で、多量使用者が節水にお金を投資する、あるいは最近では地下水利用もふえてきたということがございます。こうなってまいりますと、水道事業としては非常にこの先ますます厳しくなってまいりますので、そこら辺の逓増度を若干緩和するということでございまして、大企業の負担を軽くするということではございません。(私語する者あり)
◆岩崎委員 今説明あった点は、一部の現象を説明されたと思います。言われたように、シミュレーションでわかりやすくした、皆さんによくわかってもらうようにと。だから、まさにわかりやすいのです。だから、今の局長の説明では、私の認識を絶対に否定できていませんよ。これは、いろいろややこしい説明がありましたけれども、逓増度の緩和というのは消費税と一緒です。消費税で庶民から集めた税収で大企業の減税に今は使っているのです。(「そうだ」と呼ぶ者あり)これは全くそれに当たります。だから、こんな逓増度の緩和は絶対やってはだめだということを申し添えておきます。
続けて行きます。現在の市民生活ですが、消費税の増税、実質賃金の連続目減り、税と社会保障費の負担をあらわす国民負担率が戦後最高の42.8%になりました。極めて深刻です。したがって、公共料金を値上げできる環境にはありません。当局の認識を伺います。
◎山隈水道局長 水道料金の値上げは、確かに市民の皆様に御負担をおかけするということになりますが、財源不足によって必要な投資を行えない状況が続きますと、漏水による断水が頻発したり、あるいは災害時にも長期間に御不便をおかけするということにもなりかねません。また、水道事業は、水源から蛇口まで多くの施設を抱えておりまして、これらの施設は、現在の利用者はもとより、将来の利用者の財産でもありまして、将来世代に確実に引き継いでいくためにも適切な維持管理と投資が必要です。そのための財源が経営努力を行った上でもなお不足する場合には、先送りすることなく料金改定を実施することが必要だと考えております。
◆岩崎委員 素案は、人口減少で料金収入が減る、一方、更新、耐震化の費用が増大する、こういう構造変化に対応するために料金体系の改定が必要としています。余りにもこれは我田引水の論理です。値上げやむなしの機運をつくり出すためのキャンペーンになっています。さきに収支構造を伺ったとおり、本市水道事業の財政状況は毎年黒字を出せるほど堅実なものです。また、料金体系は、その堅実な財政運営をしっかり支えています。どこから見ても値上げの条件などありません。
そこで、厳しい市民生活が続く中で、本市水道局の選択肢は何かといえば、現行水道料金体系、それから料金水準を維持して安定的に事業を運営できるように工夫、努力することではないのですか。(「そうだ」と呼ぶ者あり)更新、耐震化などは企業である限りとっくに経営計画に織り込み済みの話であるべきです。今さらこれが足りないと言ってもだめです。支出の削減、財源の確保の工夫、努力の余地がたくさんあると思うのですけれどもどうですか、伺います。
◎山隈水道局長 先ほども申し上げましたけれども、平成13年以降のこの20年間で90億円ぐらい料金収入が減っています。それを職員定数の削減を初めとしたさまざまな工夫、努力で、20年間頑張ってやってまいりました。この先、西谷浄水場の再整備、あるいは大口径管路の更新がいよいよ始まります。それは、委員は減価償却費で何とかなるのだろうというお考えかもしれませんが、減価償却費というのは、その施設をそのときにつくった金額でもう1回つくり直せれば、理論上はその中で再整備できることになりますが、付加価値もつけなければいけませんし、いろいろ物価も上がっています。そういう中で再投資していくには、減価償却費だけではどうにもできません。そういった意味で、料金の改定はどうしても必要な状況にあるというふうに考えています。
◆岩崎委員 市民意見の多くが値上げは困る、民営化するなということだったとさっきの話がありました。この声にぜひ応えてほしいと思います。本市水道局は、低廉、清浄、豊富に水を提供する責務を今立派に果たしていると思うのです。特に清浄で豊富な水の提供については全国に誇れる水準だと私は評価しています。市民生活が疲弊しているときですから、低廉な水の提供に全力を挙げて取り組むべきです。そのための工夫、努力をぜひしてほしいということを強く申し上げて、質問を終わります。
議会での質問・討論(詳細)
2020年3月5日