コロナ受け、脆さ露呈し将来性なくなった
菅政権、IR基本方針変更
10月9日、菅政権はIRの制度設計の根幹になる「基本方針」案の変更を発表。しかし菅政権が、カジノを「成長戦略の目玉」とした安倍晋三前政権の路線を引き継ぎ、あくまでカジノ開設へ突き進もうとしていることは重大です。
10月26日の所信表明演説では、「IR」の文言は伏せられましたが、「我が国にとって海外の人との交流を行い、海外の成長を取り込んでいく必要性は、ポストコロナにおいても変わりはありません」とインバウンド依存の観光政策推進を強調。
「9カ月延期」
背景にカジノ事業者の苦境
「基本方針」案変更の中心は、IR誘致自治体が国に「区域整備計画」の認定を申請する期間を当初から9か月間延期とし、2021年10月~22年4月としたことです。
延期の背景には、日本に進出しようとしていた海外のカジノ企業が、新型コロナの影響で収益が落ち込み、財務状況が極度に悪化したことにあります。世界最大のカジノ企業である米ラスベガス・サンズは日本からの撤退を表明し、米ウィン・リゾーツは日本事務所を閉鎖しました。
カジノ産業の構造変化
世界のカジノ市場では大きな構造変化が起きています。世界では、カジノ再開後も客は戻らず、ソーシャルディスタンス(社会的距離)確保のための入場制限などで大きく落ち込んだ収益力が回復する見通しはありません。
カジノ業界は、地上型カジノからオンラインカジノ(インターネット上で仮想的に開帳する賭博)への転換を加速させています。
完全に時代遅れの3密ビジネス
IRの収益エンジンとなる巨大な地上型カジノに客を詰め込み、24時間365日、「3密」の空間で賭博漬けにするというビジネスモデルは、完全に時代遅れです。
安倍前政権はカジノ解禁法を強行成立させる際、地方経済活性化、雇用創出、税収増というIRの効用を盛んに宣伝しました。ギャンブル依存症、多重債務、利権をめぐる汚職・腐敗などの問題点を指摘されても、それを上まわる「公益」が社会に還元されると言い張りました。
その大前提は、日本にIRをつくればマカオやシンガポールなみに巨額の収益が得られるという想定でした。それが崩壊したいま、このままカジノを推進することほど無責任な態度はありません。きっぱり断念すべきです。
カジノ住民投票運動の成功を
横浜ではカジノの是非を問う住民投票の署名運動(11月4日まで)が進められています。市長は住民投票が行われれば「結果を尊重する」と表明しました。カジノNOの多数の声を示すことで、誘致断念に追い込む道が見えてきています。党市議団は署名運動の成功と住民投票条例の制定に向け力を尽くします。
記事元 しんぶん赤旗2020.10.23号より
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