議会での質問・討論(詳細)
2018年10月16日

■医療局(白井まさ子)2018.10.16

◆白井委員 日本共産党を代表して質問します。よろしくお願いします。
 2017年度の決算に当たり、市立病院経営評価委員会が行った平成29年度実施状況の振り返りを見ました。評価委員会の意見の中に、市民病院看護師の人材不足、離職率の改善について触れられていました。人材不足の状況はどうなのか、2016年度と2017年度を伺います。
◎高橋病院経営本部長 市民病院では、平成30年4月1日現在で699名の看護師が在籍しております。昨年4月と比較しますと8名減っておりますが、それ以前の2年間で48名増員し、3年間では差し引き40名の増員となっております。また、診療報酬上、最も手厚い入院基本料1の施設基準を満たす人員を確保できております。
◆白井委員 直近では減っているということなのですけれども、それでは、離職率の状況について2016年度と2017年度を伺います。
◎増住医療局長兼病院経営副本部長 市民病院看護師さんの離職率ですけれども、平成28年度は7.7%、平成29年度は9.5%と、いずれも日本看護協会が行った病院看護実態調査による平成28年度の全国平均であります10.9%を下回っております。
◆白井委員 独自目標を10%未満としていたものは超えているというところですね。職員満足度のうち、これからもこの病院で働き続けたいと回答した人が44%と低く、ABCの3段階評価のうちC評価となっています。この現状をどう捉えておられるのか、伺います。
◎増住医療局長兼病院経営副本部長 平成29年度に実施した職員満足度調査におきまして、今委員から御指摘ありました、この病院で働き続けたいとの意向がちょっと低かったことについては、我々本当に重く受けとめております。一方で、仕事にやりがいを感じている職員は7割程度いることから、引き続き職員の働きやすい環境づくりに取り組みまして、職員の離職防止に努めてまいります。
◆白井委員 2020年度の新病院開院に向けての準備が進んでいる中で、看護師の職員満足度が低い状況というのは心配なところです。問題ないのでしょうか。
◎増住医療局長兼病院経営副本部長 新病院の開院に向けまして、職場の意見も聞きながら、看護補助者の拡充とか、さまざまな面で職員の働きやすい環境づくりに取り組んでまいりたいと考えております。
◆白井委員 それでは、新病院の医療機能はどうなるのか、伺います。
◎増住医療局長兼病院経営副本部長 新病院は、これまでどおり高度急性期医療を中心として、救急や小児、周産期医療、がん医療などの政策的医療を提供してまいります。加えて、市民の健康危機管理、地域医療全体の質向上にも取り組んでまいります。
◆白井委員 それでは、新病院の病棟の配置はどのようになるのでしょうか。
◎増住医療局長兼病院経営副本部長 新病院の病棟配置は、一般病棟12病棟のほか、ICU、CCU、救命救急センター、感染症病棟、緩和ケア病棟、小児病棟を配置いたします。高度医療を提供する病床を現在よりもふやすとともに、重症者や感染症患者への対応がスムーズに行えるよう個室についても91床から220床と増床する予定でございます。
◆白井委員 現在の病棟のくくりを変えて、内科病棟や外科病棟という大くくりとなるという方向も現場からは聞いておりまして、それに伴ってふなれな業務にも配置となる不安を職員の方から聞いているのですけれども、これまで一日の勤務体制は三交代でしたが、現在、病棟ごとに二交代制を試行していると聞いています。その実施状況はどうなっているのか、伺います。
◎増住医療局長兼病院経営副本部長 現在18病棟ございまして、そのうち既に二交代制を導入している2病棟のほか、8病棟で二交代制の試行を実施しております。今後、試行実施の状況を踏まえまして、二交代制のメリット、デメリットを職場の意見などを聞きながら整理してまいります。
◆白井委員 夜勤について伺うのですけれども、8時間の三交代夜勤での休憩時間とは違って、16時間変則の二交代夜勤や13時間の二交代夜勤では長時間勤務となりますから、しっかりとした仮眠をとる必要があります。夜勤が3人体制の病棟の場合、仮眠をとる休憩時間を1人1時間30分とした場合では4時間30分の間2人体制となります。その間、看護の質が低下しますが、人員的に十分なのか、支障はないのか、伺います。
◎増住医療局長兼病院経営副本部長 今委員からお話しありました夜勤の人員体制につきましては、交代制にかかわらず、各病棟の入院患者数や重症度などを考慮して、医療安全管理上必要な人数を配置しております。職員の休憩時間取得の際も、現状では対応ができていると考えております。
◆白井委員 この二交代制勤務の実施は、新病院のスタート時にはどうする方向なのでしょうか。
◎増住医療局長兼病院経営副本部長 先ほどもお答えしましたけれども、今一部について二交代制の試行を実施しております。こうしたことを踏まえて、職場の意見も聞きながら、これからさらに原則二交代制という体制に移行したいと考えております。
◆白井委員 原則二交代制ということはあくまで基本ということで、三交代制を希望する人は可能ということでよろしいのか、確認します。
◎増住医療局長兼病院経営副本部長 職場の中にはさまざまな意見があると思いますから、そうした声をよく聞きながら、実際どのようにしていくか、対応を検討していきたいと考えております。
◆白井委員 私は以前、看護師として三交代の夜勤で働いておりましたけれども、夜勤明けの疲労感というのは、もう本当に大変なものでした。二交代制で勤務が長時間となると、より健康への影響が危惧され、労働能力の低下につながります。看護師の年休はきちんと取得できているのか、2016年度、2017年度の取得状況を伺います。
◎増住医療局長兼病院経営副本部長 平成28年度については1人当たりの年平均取得日数が9.3日、平成29年度については9.2日ということでございます。あわせて、夏季休暇の取得日数についても1人当たり4.7日という状況でございます。
◆白井委員 本市では、年休の取得率目標値を全員10日以上と定めていますから、それには届いていない現状もよくわかります。新病院のスタートに当たって、病棟の配置も変わる、そして勤務体制もともに変更がされるわけですから、看護業務が激変になると思います。激変緩和のために最低でも夜勤に看護師の加配をすることが必要だと思いますが、見解を伺います。
◎高橋病院経営本部長 十分に考慮していきたいと思います。
◆白井委員 しっかりと考慮して、配置をお願いしたいと思います。
 それでは、新病院には看護師の仮眠室の確保ができていないという不安の声を聞いているのですが、どうなっているのか、伺います。
◎増住医療局長兼病院経営副本部長 新病院におきましては、それぞれの病棟に仮眠ができる休憩スペースを確保する予定でございます。
◆白井委員 スペースといっても、お部屋で仕切った仮眠ができる環境整備をしっかりとお願いしたいと思います。
 次です。市民病院救急総合診療科医師の確保についてです。
 3月の予算特別委員会で救急総合診療科医師の超過勤務解消のために医師を増員しますと聞いておりましたけれども、その後、増員ができたのか、伺います。
◎増住医療局長兼病院経営副本部長 医師総数としては、残念ながら派遣先との調整の中で、昨年度と同じ6名でございます。ただ、内訳として、救急科の専門医については2名から3名にふやしたということで、現場で働く医師の負担感は多少なりとも軽減されたものと受けとめております。
◆白井委員 負担感は軽減されたということですが、超過勤務の実態は同様に続いているということなのでしょうか。
◎増住医療局長兼病院経営副本部長 今年度につきましては、8月までの実績ですが、1人当たり月平均85.9時間となっておりまして、昨年度1年間の平均時間89.9時間と比較すると、わずかではありますが、減少傾向にあります。
◆白井委員 減少したとはいっても、過労死ラインを超える現状ということですので、医師不足を放置したまま、過労死ラインを超える勤務状況がそのままということ、これでよしということでしょうか。
◎高橋病院経営本部長 去年もお答えしましたけれども、決していいとは思っておりません。やはり人員の確保、それに見合う我々にとっても経済的な裏づけ、診療報酬上の優遇とか、そういうことが必要だと思っています。
◆白井委員 それでは、プロジェクトで対策の方向をまとめると聞いておりましたけれども、その方向はもう出したのでしょうか。
◎増住医療局長兼病院経営副本部長 ことし4月に働き方改革を検討するプロジェクトを立ち上げて、これまで7回ほど開催しております。その中で挙がった具体的な取り組みとして、既に実施しているものとしましては院内会議の開催時間の変更、これは時間外の会議を時間内にするということです。それから、患者説明の時間内実施の徹底、出退勤管理のためのタイムレコーダーの導入、これらを既に実施しております。
◆白井委員 救急受け入れ水準を継続するには医師の増員しかないと思います。その間にも緊急に超過勤務の解消の何らかの対策が必要ですが、どう取り組むつもりなのか、伺います。
◎高橋病院経営本部長 まずは増員ですけれども、増員に関しましては、今、横浜市立大学と救急救命センターの新病院に向けての話し合いをかなりやっておりますけれども、その中で増員をお願いしております。医師の増員についてお願いしておりますけれども、さらに、その医師の働き方に関しましても、先ほど局長が答弁しましたようにさまざまな取り組みが今、国の方針として出ております。これを忠実に実施したいと思っております。
◆白井委員 増員の必要がありますが、その間にも何らかの対策をしっかりとっていただくよう、よろしくお願いいたします。
 次です。地域医療に携わる医師の確保についてです。
 市民病院の例を見れば、現状でも医師確保が困難な状況はよくわかりました。医療費と医師数を抑制しながら、医師の働き方を適正化していくという政府の方針のもとでは、横浜市内での医師確保は容易ではないと思います。さらに、団塊の世代が75歳以上となる2025年に向け、増加する医療需要の中でも、特に貧困と格差による健康被害への対応は、医療が福祉と連携することによって解決することが多くの場面で求められますから、業務がふえて、連携に手をとられて、本業が手薄になることが危惧されます。この解決のためには、抜本的な医師の増員が必要だと思います。本市として、医師確保、養成について医療政策を持つ必要があります。
 そこで、医師を養成する市立大学医学部の制度に注目いたしました。医学部全体の募集人員90名のうち、地域医療枠というのがあります。この制度の説明をお願いします。
◎増住医療局長兼病院経営副本部長 横浜市立大学医学部の定員は一学年90名ですが、そのうち25名分が地域医療枠、5名分が神奈川県指定診療科枠となっております。さらに説明させていただきますと、地域医療枠の医師は卒業後臨床研修を除く7年間、また、神奈川県指定診療科枠の医師は臨床研修を除く9年間、横浜市立大学の附属病院を初めとする市内、県内の医療機関において診療活動を行うという制度でございます。
◆白井委員 制度ができて以降、現在何年目で、どの段階に当たっているのでしょうか。
◎増住医療局長兼病院経営副本部長 地域医療枠は20年度に創設されました。また、神奈川県指定診療科枠は、1年おくれて平成21年度に創設されました。制度発足後10年たちまして、これまで地域医療枠等を卒業した医師については、現在、臨床研修医、後期研修医、専攻医として研修中の段階でございます。
◆白井委員 地域医療枠を卒業した医師の勤務先は県内とされていますけれども、勤務先を決定する仕組みはどうなっているのか、伺います。
◎増住医療局長兼病院経営副本部長 地域医療枠を卒業した医師が具体的にどの医療機関に勤務するかを指定する仕組みありませんけれども、先ほど触れましたように、後期研修以降の7年間については県内の医療機関に従事することが前提となっております。
◆白井委員 ということは、現行では市立大学の地域医療枠の卒業生が市内で診療につく仕組みはないということでいいのでしょうか。
◎増住医療局長兼病院経営副本部長 そのとおりでございます。もう少し触れさせていただきますと、市立大学医学部の地域医療枠を卒業した医師は県内の医療機関に従事することが前提となっておりますけれども、今御指摘あったように市内の医療機関に限定して勤務してもらうというような制度にはなっておりません。
◆白井委員 現在、こういったことに関連して神奈川県医療対策協議会で議論中と聞いていますが、どういった議論となっているのか、伺います。
◎増住医療局長兼病院経営副本部長 今お話ありました県地域医療支援センターでそうしたことについての議論を行っていると聞いておりまして、少し意見を取り上げますと、一つには、地域医療枠について、これまで県の中でも議論してきていないから、働きかけをしなくていいのかというような意見、地域医療支援センターが地域医療枠の医師を育てていく、積極的に関与するというスタンスが必要ではないかとか、あるいは地域医療支援センターの事業で地域医療枠の医学生を集める必要があるのではないかとか、こうした意見が出ていると聞いております。
◆白井委員 市立大学ですから、市立大学の新卒医師が市内勤務となるような政策を市として持つことが必要だと思います。例えば県内としている地域医療枠とは別に、一般の60名の中に市内枠をつくることも考えられると思うのですが、本市として何らかのインセンティブをつけた政策が必要と思いますが、どうでしょうか。
◎増住医療局長兼病院経営副本部長 インセンティブについては、何らか検討する必要はあるのではないかとは思っております。ただ、制度の制約がございまして、地域医療枠は神奈川県内の地域医療のために県と国の協議により認められた定員枠ということでございますので、そのインセンティブを考えた場合、それで市内に勤務する医師をどう誘導できるかについては、現行の制度では現状なかなか難しいと考えております。
◆白井委員 現行の制度ではなかなか難しいということなのですが、それはおいておいても、一般の60名の中で市内枠をということなら可能性もあると思いますので、検討をよろしくお願いします。
 別の点ですけれども、特に私の住む港北区では、クリニックのうち区外に住む医師が多くて、在宅医療を担う医師の確保が課題だと聞いております。全市的に在宅医療に携わる医師確保への対策が重要ですが、具体的にどう取り組んでいるのか、伺います。
◎増住医療局長兼病院経営副本部長 かねてからといいますか、ここ数年の動きでございますけれども、医師会と協働して、平成28年度から在宅医養成研修を実施しております。この中では、在宅医療を始めようと考えている医師を対象に、基礎的な知識を学ぶ座学研修と実際の在宅医療の現場を体験する同行訪問研修を行っております。また、休日、夜間帯のみとり対応というのがやはり非常にハードルが高いので、この部分を各区の医師会単位で医師がバックアップして、在宅医の負担を軽減するためのモデル事業を平成29年度から実施しております。
◆白井委員 重要ですので、よろしくお願いします。
 それとは異なるのですが、新卒医師の養成も重要だと思います。市立大学では後期研修のプログラムとして総合診療専門医研修コースというのがあります。ホームページを見ましたら、健康問題を生物学的、心理学的、社会学的の3つの側面から検討し、原因臓器に限定されない診断のもとに、最適な治療、ケアの選択、実行できる医師の育成として、目指す医師像として、市中にあっては見立てのしっかりした寄り添える家庭医としています。今後、家庭医もますます重要となってきます。ホームページでは、現在3人の後期研修医が研修中ということですけれども、研修先が現在は市外の病院になっています。後期研修3年間のうち、研修先の選択肢は今13病院ということですが、そのうち市内が6病院です。市立大学の養成コースですから、後期研修先をもっと市内病院可能としていけば後期研修の進路として市内で選択肢が広がるはずなのですけれども、医療局として、在宅医療に携わる医師を確保する政策を強化する一環として、市立大学と連携して総合診療専門医研修コースの研修先を市内にふやすことを検討してはどうか、伺います。
◎増住医療局長兼病院経営副本部長 今委員からお話がありました横浜市立大学内にある総合医療専門医研修コースですけれども、これは今年度から始まった新専門医制度で、新たにつくられた、新設された総合診療専門医の養成を目的としたプログラムでございます。ということは、本当にこれからの分野なのです。ついては、今現在、県下の医療機関を見渡しますと、例えば県立足柄上病院が総合診療に関する実績ではやはりぬきんでています。また、教育面でも充実しておりますので、当面はそのような病院を中心に研修を行うことが市内の在宅医療も含めた質の高い医療人材の確保にもつながると考えております。もちろん委員の御指摘のとおり、いずれ市内病院が実績を重ねて、市内研修病院がふえていくことについては我々も何らかかかわっていきたいですし、期待もしているところでございます。
◆白井委員 終わります。


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