◆北谷委員 日本共産党を代表して質問いたします。
初めに、横浜市国際戦略についてです。
2016年第1回定例会で、当市議団は、横浜市国際戦略は本市の直接的な経済成長のための経済戦略が中心となっており、今まで本市が歩んできた平和の取り組みが明らかに後景に追いやられていることを指摘し、国際平和の取り組みが後退することを危惧している。交流、友好、平和を高く掲げて、国際平和に貢献するという高い見地で見直すべきと主張しました。国際戦略推進本部会議の2017年度の実績を見ると、事態は懸念したとおりになっているようで、国際平和の議題は見当たりません。問題だと考えますが、いかがでしょうか。
◎赤岡国際局長 平成29年度に国際戦略推進本部会議を2回開催しておりますけれども、その中での議題は、国際関連事業の方向性、SDGsの理念を踏まえた国際貢献といった内容でございまして、それらの事業は、それぞれ先ほど来御議論のありましたような条例の趣旨に沿うような平和につながる議題であると考えてございます。
◆北谷委員 今お話がありました条例の制定によりということなのですけれども、条例の制定により、国際平和の取り組みが国際戦略の中に位置づけられたということでしょうか。であるならば、そのことを明記すべきと考えますが、いかがでしょうか。
◎赤岡国際局長 先ほども御答弁申し上げましたように、議論をしてまいりました国際戦略は、もとより国際平和の貢献というのが位置づけられていると考えてございまして、今回の条例の制定をもって内容を変えなければいけないということではないと考えてございます。
◆北谷委員 新たな横浜市中期4か年計画2018~2021に条例に基づく国際平和の施策は入っていません。本気度が問われていると思います。国際局が発行している横浜インターナショナルダイジェスト、(資料を提示)こちらですけれども、これの7月25日号にピースメッセンジャーの称号が国連から授与されていることが掲載されていますが、これだけでは不十分だと思います。ピースメッセンジャー都市であることを明示する看板を全ての海外事務所に設置すべきと考えますが、いかがでしょうか。
◎赤岡国際局長 国連からピースメッセンジャー都市の称号を受けていることは本市にとっても大変名誉なことであると考えてございます。一方で、海外事務所は、本市の代表事務所として、その目的として企業誘致、企業の支援とか、さまざまな業務を行っておりまして、その事業の目的や事業内容、あるいは現地の環境、お客様との関係等を踏まえまして、適切な掲示、PRに努めてまいりたいと考えてございます。
◆北谷委員 設置することがマイナスになるということなのでしょうか。
◎赤岡国際局長 決してそのようなことは考えてございませんけれども、事業の目的です。例えば横浜への進出の目的を持って来られたお客様に平和だけを第一にアピールするのはいかがなものかと。決してピースメッセンジャー都市であることを隠すとかそういうことは全く考えてございません。(私語する者あり)
◆北谷委員 であれば、やはり掲げていても何ら支障はないと思います。全会一致で条例が制定されたということもありますので、本市の国際平和推進に対する決意を目に見える形で示すべきです。
さて、国際局事業、2017年度はどうだったのか伺います。2017年度の国際平和推進事業の予算額、決算額、それぞれの内訳を教えてください。
◎小菅副局長兼国際政策部長 事業全体でございますけれども、予算が342万2000円、決算が654万6000円でございます。内訳ですが、ピースメッセンジャー都市国際協会、平和首長会議等に関するものが、予算13万5000円、決算17万4000円。平和啓発、パネル展示とか国際平和講演会に関するものが、予算106万円、決算225万7000円などとなっております。
◆北谷委員 予算額と決算額で、決算額が大幅にふえておりまして、予算編成時には予定していなかった国際平和講演会を実施されたということですけれども、その背景を教えてください。
◎赤岡国際局長 これも先ほど高橋委員にも御答弁申し上げましたけれども、核兵器廃絶に関する決議等の市会からの動き等も踏まえて、平成29年度は9年ぶりに講演会を開催したものでございます。
◆北谷委員 私は、これまでも局別審査、一般質問で国際平和推進施策の拡充を要望してきました。その中で緒方貞子さんによる国際平和講演会の取り組みを紹介し、国際平和講演会の復活を提案いたしました。そして、2018年2月3日に国際平和講演会が開催され、提案が形となったことをうれしく思い、参加させていただきました。「『核兵器のない世界の実現』に向けた市民社会の役割」をテーマにしたお話に大変感銘を受けました。この講演会の参加者は約100名ちょっとだったということなのですが、もっと多くの市民が参加し、理解を深められるよう、事業を推進していただきたいとの立場でさらに伺ってまいります。
2017年8月、長崎市で第9回平和首長会議総会が開かれ、本市が出席されたことを改めて評価したいと思います。横浜市会で可決されました核兵器のない世界の実現を強く求める決議では平和首長会議総会を契機として広島市や長崎市と連携しながらとありまして、広島市、長崎市主催の平和記念式典及び原水爆禁止世界大会に本市から市民代表を派遣することは大変有効だと考えますが、いかがでしょうか。
◎赤岡国際局長 今年度になりますけれども、広島市で開催されました平和祈念式典には職員を派遣してございます。しかしながら、市民代表を派遣することについては、現段階では考えてございません。
◆北谷委員 平和首長会議行動計画では、青少年「平和と交流」支援事業等の充実が挙げられています。ぜひ市民代表、若い世代が、広島市、長崎市と交流し、事業を進めていただくことを要望いたします。
行動計画で提起された事業についてどう対応したのか伺います。
◎赤岡国際局長 平成29年度は、パネル展を2回実施しましたほか、先ほど来お話に出ております国際平和講演会を開催するなど、行動計画に沿った取り組みをしてございます。
◆北谷委員 さらに拡充していただくことを求めたいと思います。
ヒバクシャ国際署名について、当市議団は、あらゆる機会を捉えて繰り返し市長に要請してきました。そして、昨日、市長は署名されました。副市長、局長はいかがでしょうか、それぞれお聞かせください。
◎赤岡国際局長 お話にございましたように、ヒバクシャ国際署名に昨日市長が署名をさせていただきました。それは横浜市の代表として、横浜市の公印を押して組織として署名をしたということでございまして、市長が署名したことをもって、副市長あるいは局長がという性格のものではないというふうに考えてございます。
◎渡辺副市長 国際局長が答弁したとおりでございます。
◆北谷委員 それでは、副市長、局長は賛同されないということでしょうか。
◎渡辺副市長 横浜市を代表して横浜市長が署名をしたという事実でございますので、私どもはその組織の一員として同じ立場で臨んでまいります。
◆北谷委員 署名した自治体の中には、市長みずから街頭で市民に訴えたり、市のホームページや広報で署名への協力、お願い、紹介がされたり、庁舎内に署名コーナーが設置されているところもあります。本市もこのように市民の先頭に立って署名活動を推進すべきと考えますが、いかがでしょうか。
◎赤岡国際局長 署名活動そのものは実施団体がやっているものでございますので、本市として署名活動そのものに参加するということは考えてございません。
◆北谷委員 行動計画には、ヒバクシャ国際署名と連携した核兵器禁止条約の早期締結を求める署名活動があります。市民の先頭に立って行うべきだと思います。
また、横浜市会では非核兵器平和都市宣言に関する決議をし、1992年にはアジア初の国際非核自治体会議を横浜市で開催しています。これに基づき非核平和都市宣言を行い、モニュメントを建立して市民に示すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
◎赤岡国際局長 核廃絶を願う取り組みにはいろいろなアプローチがあると思います。委員がおっしゃるような手法もあろうかと思いますけれども、現在、横浜市では、核実験の実施国に対する中止要請、抗議、パネル展の実施、あるいは国際平和講演会などの実施というような形で取り組んでいるところでございます。
◆北谷委員 市としての意思表示を示していただきたいと思います。
さらに、横浜市民は、横浜大空襲により多くの命が犠牲になったことを忘れず、国際平和と相互理解の推進に力を注いできました。横浜大空襲の日、5月29日を平和の日に設定し、反戦、平和の諸行事を実施し、過去の戦争の実態を伝えるとともに、現代の戦争やその国際背景についても学べる展示、研究、教育を発展させていくことが必要と考えますが、いかがでしょうか。
◎赤岡国際局長 委員がおっしゃる平和の日の設定予定というものはございませんけれども、引き続き、国際平和の推進に向けた施策を積極的に進めるほか、横浜大空襲の事実を後世に伝えるといったようなこともぜひ参考としてまいりたいと考えてございます。
◆北谷委員 平和の日を設定していただいて、先ほど申し上げたことを目的とした市民のための施設が必要だと考えます。川崎市には、平和都市の創造と恒久平和の実現に寄与するための川崎市平和館が設置されています。現市庁舎の跡地活用検討の際などに、このような国際平和のミュージアムをつくることを国際局が提起すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
◎赤岡国際局長 ミュージアム、博物館になりますと、博物館法によりまして教育委員会の所管に属することでございますけれども、私としては、横浜市都市発展記念館というものがございます。こちらが国際平和等に資するということを目的として開設、運営されているというふうに理解しております。
◆北谷委員 都市発展記念館だけでは不十分だと思います。先日の連合審査会で当市議団は、現市庁舎について保存、活用の考えを堅持すべきと述べたところです。歴史的価値、文化的価値のある現庁舎は市民の財産です。国際平和の推進に力を注いできた市民の思いを横浜の戦後復興を象徴する現市庁舎に横浜平和ミュージアムとして形に残していくことを提案するものです。国際局にイニシアチブを発揮していただきたい。さらに、国に核兵器禁止条約の署名、批准を求め、平和安全法制の廃止を求めることを要望いたします。
次に、多文化共生について伺います。
本題に入る前に、副市長に伺います。朝鮮半島をめぐって、対決から対話への歴史的な転換が起こり、非核化と平和に向けた合意が交わされました。この流れをどのように見ているのか伺います。
◎渡辺副市長 国際平和を脅かす要因が一つ一つなくなっていくということは全世界の人が望んでいることでありまして、日本政府の努力によって、こうした問題が一つ一つ解決に向かって進んでいくことを私も国民の一人として希求をしているところでございます。
◆北谷委員 このタイミングで朝鮮学校への補助金を凍結している教育委員会に対し国際局が解除を検討するよう促すことは理にかなっているのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
◎赤岡国際局長 委員からもお話がございましたように、朝鮮学校への補助金は教育委員会事務局が所管してございまして、教育委員会事務局において判断すべき事柄であると考えてございます。
◆北谷委員 ぜひ御検討いただきたいと思います。
横浜市多文化共生まちづくり指針では、外国人学校の支援、連携を挙げています。確認ですが、多文化共生の定義は何か、伺います。
◎赤岡国際局長 先ほども御答弁申し上げましたけれども、横浜市多文化共生まちづくり指針では、多様な文化的背景を持つ人々が地域社会の構成員としてともに生きていく地域づくりの推進ということを多文化共生の定義としてございます。
◆北谷委員 本市は、社会のさまざまなところで生じる外国人に対する差別の解消を目指すとともに、相互理解の促進やともに歩むまちづくりに努めていくと横浜市多文化共生まちづくり指針の基本目標に定めています。在日特権を許さない市民の会で、数々の人権侵害を起こした桜井誠氏が党首に座る日本第一党が10月14日を反移民デーと定め、多文化共生を掲げている鶴見区で行った街頭宣伝について局長はどのように感じられたのか、伺います。
◎赤岡国際局長 先ほど来、所管が違うというふうに御答弁申し上げて大変恐縮でございますけれども、ヘイトスピーチに関する市としての見解は市民局からお聞きしていただければと思いますが、私個人といたしましても、あるいは国際局長といたしましても、ヘイトスピーチは重大な人権侵害でありまして、決してあってはならないことであると考えてございます。
◆北谷委員 私もヘイトスピーチは人権侵害として決して認められないことだということを申し上げたいと思います。
市内在住外国人がふえる中、国際交流ラウンジのニーズが高まっています。国際交流ラウンジの運営、予算、役割は何か、伺います。
◎小菅副局長兼国際政策部長 運営と予算でございますが、各区で運営費を予算計上して運営しております。また、その一部を国際局が支援をしております。役割でございますけれども、外国人の市民の皆様が身近な場で情報提供や相談ができる、そういったような支援を通しまして外国人市民との共生を図ることでございます。
◆北谷委員 済みません、運営についてもお願いします。
◎小菅副局長兼国際政策部長 先ほど申し上げましたが、運営につきましては、各区で運営費を予算計上いたしまして、区が運営しております。
◆北谷委員 区が運営しているというのは、区の職員がそこにいるということなのでしょうか。
◎小菅副局長兼国際政策部長 運営の形態はさまざまでございまして、区で直営しているもの、また団体等に委託をしているものの2種類がございます。
◆北谷委員 区づくり推進費で運営しているということなのですけれども、国際局は国際交流ラウンジとどのようにかかわっているのか、伺います。
◎小菅副局長兼国際政策部長 国際交流ラウンジの運営、支援ということで、国際局から各区に対しましてコーディネーターの人件費の支援を行っております。また、昨年度からは、区局連携促進事業ということで、みなみ市民活動・多文化共生ラウンジの機能強化を支援しております。
◆北谷委員 コーディネーター支援費は幾ら配置しているのでしょうか。
◎小菅副局長兼国際政策部長 決算でございますが、735万円でございます。
◆北谷委員 各区では幾らですか。
◎小菅副局長兼国際政策部長 各区では、61万9000円ほどでございます。
◆北谷委員 コーディネーター支援費ということなのですが、それだけのかかわりでいいのでしょうか。南区の多文化共生ラウンジを強化するとして350万円を配置したのですが、これで何を実施したのかを把握しておられませんでした。局はラウンジの実態をつかんでおられないということだと思います。局長、国際交流ラウンジは市の事業でよろしいですか。
◎赤岡国際局長 委員がおっしゃるとおり、横浜市の事業というふうに考えてございます。
◆北谷委員 であるならば、もっと主体的にかかわるべきです。学校に派遣する通訳ボランティアについて、児童生徒に対する母語による初期・適応学習支援事業として教育委員会が1332万円予算化し、保護者対応のためには430万円予算化しています。通訳ボランティアに対する謝金はこれで支払われているとのことですが、通訳ボランティアを探し、コーディネートするのは区の国際交流ラウンジが行っています。しかし、全区にないため、例えば保土ケ谷区国際交流ラウンジでは、旭区、瀬谷区の学校から依頼された分の通訳ボランティア探しを行っています。市として必要な業務を善意に頼っているのが現状です。国際交流ラウンジを全区展開すべきと思いますが、見解を伺います。
◎赤岡国際局長 この事業の仕組みとして、国際交流ラウンジが設置されていない区については近隣の区が支援するということになってございまして、決して縦割りでよその区のお手伝いをしてはいけないということではございません。無償でやっているというか、業務としてやっていただいていると考えてございます。国際交流ラウンジの全区展開といいますか整備につきましては、各区の地域ニーズも踏まえながら、あるいはサービス提供体制、サービスを提供する方、活動される方がいないとラウンジをつくっても箱だけになってしまいます。そのようなことも勘案しながら、そして、先ほども藤崎委員に御答弁しましたように、施設の再整備、都市開発等のそういう環境も捉えながら整備を進めてまいります。
◆北谷委員 担う人がいないというのは、やはり予算が足りていないからだと思うのです。学校へのボランティア派遣期間が終わった日本語を母語としない小中学生に対し、国際交流ラウンジは学習の支援も行っています。善意に頼るのではなく、子供の貧困対策として行われている学習支援のように関係局と連携して予算措置を講ずるべきではないでしょうか、認識を伺います。
◎赤岡国際局長 外国人児童生徒に対する支援というものは教育委員会で予算措置をして実施しているわけでございますけれども、事はやはり教育委員会だけでおさまるような環境ではなくて、国際局も含めて、あるいは各区も参加しながら、いろいろ工夫をしながら事業を進めているところでございます。
◆北谷委員 その中で、本当に無料で善意に頼って事業が行われているという認識はお持ちでしょうか。
◎赤岡国際局長 先ほども御答弁しましたけれども、国際交流ラウンジの運営は区からの委託事業が基本でございます。その委託事業の中に、外国人市民の支援、通訳ボランティア派遣事業に関する通訳の派遣、アレンジみたいなことも入ってございまして、無料奉仕というようなことには当たらないと考えてございます。
◆北谷委員 その中身なのですけれども、外国人が非常に少なかった時代はそれで済んだと思うのです。言われているように、どんどんふえていっているわけです。その状況の中で、昔の外国人が少なかった時代のままの運営でいいのかということを聞いているのですが、いかがでしょうか。
◎赤岡国際局長 委員の御指摘もごもっともだと思っておりまして、私どもも、恐らく来年には10万人を超えるであろう外国人の増加、あるいは国における外国人材の受け入れといったような動きも踏まえながら制度を拡充してまいりたいと考えてございます。
◆北谷委員 ぜひラウンジの体制強化をお願いしたいと思います。
保土ケ谷区国際交流ラウンジでは、23人の職員がいるのですけれども、全員がパートです。職員を募集しても人が集まらない、待遇が悪過ぎて集まらない、ボランティアも集まらない、常に募集している、こういう状況なのです。実態をしっかりとつかんで、予算、体制ともに強化することを要望いたしまして、終わります。
議会での質問・討論(詳細)
2018年10月16日