日本共産党を代表して討論します。
私たち日本共産党は、今議会に上程された26議案のうち11議案については賛成し、残りの15議案について反対します。以下、主な議案についてその反対理由を述べていきます。
新型コロナ対策費が一切組まれていない
第一点は、新型コロナウイルス対策についてです。本来であれば早急に本予算を組み替えて対策予算を計上することが必要です。今予算案ではコロナ対策については一切計上されず予備費で対応している現状。これでは全く不十分です。先の見えない今の状況で、市民生活を守る立場で抜本的な対策をとるためには、不要不急の事業は後回ししてでも新型コロナウイルス対策を前面に打ち出して予算を組み替えるべきです。
まず医療検査体制の拡充です。医師が診察して、検査のオーダーを出して、出てきた検査結果をもとに診断を下す、これが通常の医療行為です。この新型コロナウイルスについては医師が判断しても検査を受けられないことで、市民不安も広がっています。症状がはっきり出て重症化するまで検査を受けられないというのは間違いです。18区にある福祉保健センターもフル活用してでも抜本的に検査体制を拡充させる、そのことで感染状況を明らかにすることは疫学的にも必要です。またこんな中、市中の民間医療機関は苦境に立たされています。マスクや衛生材料不足で困難をきたしているほか、感染を回避しようと通常必要な医療まで回避し外来患者数が顕著に減っており医療機関は苦境に立たされており対応が必要です。公衆衛生の要である保健所業務も激増しており早急な体制拡充が必要です。まもなく新病院に移転する市民病院については、旧病院の建物を今後の感染拡大のために活用することもすぐ検討するべきです。
この影響は、子どもたちへの大きな悪影響を及ぼしています。学校という子どもたちを守る居場所を奪ってしまった一律休校措置は解除される方向のようですがどうやって安全を確保できるのかの心配が出てきます。また茨城県つくば市では実施しているように昼食準備に困っている家庭の状況に配慮して本市も給食の提供を行うべきです。休校措置で受けられなかった授業についてその学習権を取り戻す対応を求めます。学童や保育園の現場に行って現場の声をよく聞き取り、現場の疲弊を解消する補助金給付にとどまらない対応を行っていただきたい。中止している母子福祉事業について、今だからこそ子どもたちを守るために思いつく限りのすべてのことをやっていただきたい。また虐待対応について、休校措置などで子どもが家に追いやられているときだからこそ、危険性が増している状況だと容易に推測できます。子どもたちを守る体制を強めていただきたい。
新型コロナウイルスの影響を受けて市内経済を守るためにありとあらゆる施策を打つべきです。市内中小企業向けの特別経営相談窓口の相談件数は2月中は一日多くても10数件。しかし3月に入ってから一日100件を超える相談が連日続いています。相談が寄せられた居酒屋さんでは「融資は結局借金でしかなく、先の見通せない中で借りれない。そもそも昨秋の消費税増税で大打撃を受けていた上にこれではやっていけない」と痛切な声が寄せられました。融資だけでなく抜本的な給付型支援を中小企業だけではなくフリーランスの方も含めて幅広く対応する施策を国任せにせずに市として打つべきです。また企業活動の縮小の中で、働く方々の権利が侵害されつつあると感じています。リーマンショック時に「年越し派遣村」が有名になり派遣切りで仕事だけでなく住むところまで無くなってしまった方が続出したことを思い出します。そんなことを繰り返してはなりません。国と連携して派遣切りや内定取り消しをとめる実効ある施策をつくることを求めます。
今指摘したのことはやるべきことのほんの一端だと思います。こういう非常時こそ、公共の役割を発揮するときです。人員体制を増やし、改めて社会保障セーフティーネットの立て直したり、市民生活を防御する公共としてできうるすべての施策を実施するべきです。ましてや水道料金値上げなんてことは言語道断。国民健康保険料をはじめ少なくとも値上げはストップする。新たな劇場建設を検討している時期ではありません。白紙に戻すべきです。市民生活防御のためにありとあらゆる施策をいち早く打つことを求めます。
中学校給食をやるなら、子ども達のことを第一に考えた実施方法の検討を
次は、中学校給食についてです。来年度予算ではハマ弁継続の予算が計上されています。ハマ弁については、市教委あげて喫食率を上げようと躍起になっても、自らが定めた目標2割に遠く及ばず、7%程度しか子どもたちから選ばれていない厳然たる事実を直視するべきです。ハマ弁事業者と来年度までの契約なので、その後どうするかについて「令和3年度以降の中学校昼食の方向性について」が市教委から出されています。その中で、学校給食法に基づいた中学校給食を令和3年度春に実施する方針だと打ち出したことは、長年の市民運動の成果だと思いますが、内容については本当に求められている内容だとは到底言えません。せっかく中学校給食を他都市に何周も遅れて実施するのであれば、保護者や子どもたちのニーズをしっかりつかんでより良いものを実現させていくことは当然ではないでしょうか。
横浜市が実施を目指しているデリバリー型給食は、あちこちで実施されはしたものの、その後行き詰まり、自校や親子などに切り替えています。例えば大阪では、当初横浜と同じように家庭弁当が定着しているとして選択式のデリバリー方式を実施したが、その後保護者生徒に対して事業効果をはかるために給食に関する調査を実施。その際家庭弁当を持ってきていない生徒が給食を選択せずに、コンビニなどでの簡易な食事で昼食を済ませていることが判明し、さらに区民意見を教育行政へ反映させようと調査を行った結果、全員喫食を導入することにつながり、実施方式として自校や親子などを組み合わせた学校調理方式がとられるようになっています。ニーズを把握する、事業効果をはかるために調査をする、こんなことは当たり前のことです。本市で行ったような恣意的なアンケートで仮に給食という位置づけにハマ弁がなったとしても、また失敗を繰り返すことになるのではないでしょうか。
今後のあり方の中では、「最大30%まで」は提供できるようにするとのことです。また「学校給食法上の給食に位置付ける場合には希望するすべての生徒に提供する必要がある」とあります。しかし「希望するすべての生徒に提供する」と言いながら、一方では「30%とする」と上限を決めているのは全く矛盾した方針となっています。事業者のサウンディング調査でも、「選択式ではリスクが高い」と出されています。そもそも学校給食法にもとづく学校給食実施基準の一条には「学校給食は、これを実施する学校においては、当該学校に在学するすべての児童又は生徒に対し実施されるものとする」とありますから、学校給食法を実践するのであれば、選択式ではなく、個別のアレルギーへ配慮し、教員の多忙化にも配慮しながら全員喫食を目指すことが必要です。
私はこの学校給食法・学校給食実施基準にもとづく中学校給食を、生徒数の多い横浜で実践するとしたら、近い所で調理を行うという自校や親子などの学校で調理するやり方が一番現実的だし理想だし合理的だと思います。市教委の文章でも、自校と親子方式を組み合わせたやり方では今の条件のままでも半分強の76校で実現できると検証されています。スペースが問題であれば、さいたま市のように給食室を二階建てにするなどの工夫をすればさらに実施可能校が増えます。子どもたちのことを第一に考えて、子どもたちの声を聞いて、中学校給食の実施方法は決めるべきです。
市民の信を問うてないカジノ誘致は進めるな
最後に、IRカジノについてです。今回の予算案はまさに市として昨年12月に審議されたIRカジノを推進する補正予算に続いて、来年度の本予算として計上・提案されたもので、横浜市としてIRカジノ推進に乗り出そうとする意思を明確にした予算です。私たちは正々堂々、横浜にカジノはいらない、IRカジノの誘致方針の撤回を求め、IR推進費用は全額削除を求めます。
「IRについて、イコールカジノではない」と推進派は言い張っていますが、IR施設面積全体の最大3%のカジノがIR収益の8割をたたき出す。採算の取れない97%の面積の施設を3%の面積のカジノが支える仕組みがIRです。IR整備法では、カジノ収益の粗利(GGR)のうち3割を納付金として国と市に半分ずつ納付させます。つまり、横浜市がIRによって得られる収入の主なものは、文字通りカジノの負け金であることははっきりしています。人の不幸の上に税収を得ることを認めるわけにはいきません。
他の公営ギャンブルと決定的に違うのが、カジノの胴元が民間企業だということです。横浜市にカジノの粗利のうち15%が入るとしても、大半の収益は胴元の民間海外企業等に入ります。山下ふ頭という横浜市民の共有財産を使って民間カジノ企業が営業し、日本人特に横浜市民をホテルやショッピングモール、世界最高水準のエンターテインメントなどで囲い込みながらカジノ売り上げを上げていく。カジノが順調に売り上げを伸ばさないとIR全体では施設が持たなくなります。そうするといかにカジノの売り上げを極大化するためにどうするかの巧妙な仕掛けが必要となります。また、カジノ事業者はカジノ客に直接賭博の資金を貸し付ける「特定資金貸付業務」がIR実施法に規定されています。この業務は従来の貸金業法や銀行法で縛られないために消費者保護の考え方が適用されません。またカジノ事業者がお金を貸すにあたって様々な抜け道があるうえ、延滞した場合裁判所の命令で債権回収できることや、カジノ事業者が住宅ローンやクレジットカードの利用状況など顧客の信用情報を得られる仕組みなどもあります。これでも平原副市長は、市民に貸し付けは禁止だと嘘をつくのでしょうか。
横浜市で示されている増収の皮算用が820億円~1200億円と事業者が示していますが仮に1000億円の増収なら、大阪IRの試算に準じて算出するとカジノ収益全体は4870億円です。これはシンガポールのマリーナベイサンズ2個分の超巨大カジノという規模です。また4870億円のカジノ収益を上げるためには一日当たりに直せば13億3400万円。この収益を出すためにはいったいどれだけの人の生活を奪わなきゃならないのでしょうか。また毎日最大で11万人の訪問者がこのIRに押し寄せるという試算。どれだけバラ色の計算なんでしょうか。このバラ色の根拠を全く示さず信じてくれと言われても、誰が信じるでしょうか。アドバイザリー契約を結んでいるEYは、その海外法人がカジノ事業者の監査を行っている法人です。日本でのカジノ事業展開を進めたいカジノ事業者が、同じく日本でのカジノ事業を進めたい監査法人が結託して、市長は手玉に取られるだけではないでしょうか。
逆にギャンブル依存症や犯罪の発生などの負のコストについてはいまだに一切示されていません。これで丁寧な説明をと、分かってもらいたいと、いくら市長が言い続けてパブコメを実施しても、市民をバカにしているとしか思えません。港で働く港運協会のみなさんがカジノ誘致に反対していて、今回の議論の中で立ち退かなければ強権的に代執行することも検討していることが明らかになりました。まさに、反対する市民は排除するやり方は民主主義とは相いれません。
市長!そしてカジノ推進派の議員のみなさん。この場にいる皆さんは誰一人としてカジノ推進を公約に掲げた人はいません。そんなに、カジノを進めたいのであれば、市民の声を聞くのは当たり前のことではないでしょうか。市民の声が怖くない自信があるのであれば、市長を今すぐやめて選挙で市民に問えばいいじゃないですか。なぜやらないんですか。正々堂々、市民に問いかけましょう。以上討論を終えます。