子育て世代が暮らしやすくするための施策にこそ、予算の重点を
あらき議員:日本共産党を代表して令和2年度予算案について質問いたします。
市長は予算編成にあたり、令和の新しい時代を迎え、横浜の将来を見据えた予算編成とし、令和2年度は、ラグビーワールドカップ2019に続き、東京2020オリンピック・パラリンピックの開催、クルーズポートとしての飛躍、都市基盤施設のオープンなど成長の大きなチャンスが訪れます。一方、高齢化とともに人口減少が始まり、特に生産年齢人口の急速な減少が続き、財政需要の増大と税収減少が、中長期的には重くのしかかってきます。そこで予算案では、かつてないチャンスを生かし、その先につなげていくとともに、中長期的な課題にも向き合い、多岐にわたる施策を総合的に推進するとし、横浜の活力を新たに生み出し、拡大していくと言っています。
この活力を生み出す施策として、統合型リゾートIRの実現に向けて取り組みを進めるとしています。市長はIRを実現する理由に、生産年齢人口の減少による税収減を補うためとしていますが、それは、横浜市だけに限って起こる現象ではありません。生産年齢人口の減少を心配するのであれば、安心して子育てができる環境こそ優先して予算に盛り込むべきです。ところが依然として中学校給食の検討費もなく、中3までの小児医療助成制度は小学校4年生からは一部負担金を求め、少人数学級は国基準のままです。子育て世帯にお金の心配をせず安心して横浜で子育てができる環境整備こそ生産年齢人口の減少を抑える施策として最も重要だと考えますが、見解を伺います。
林市長:予算編成の考え方について、安心して子育てができる環境整備についてですが、子どもたちを取り巻く環境整備の重要性を一層高まっておりまして、令和2年度予算においてもしっかりと取り組みます。具体的には昨年10月から保育幼児教育の無償化を実施してるほか、保育所等の受入枠の拡大や保育教育の人材確保、質の向上などに取り組みます。また妊娠期からの相談体制の充実などを通して、将来にわたり安心して子どもを産み育てられる環境作りを進めます。
国保料の値上げとなる31億円の一般会計からの繰入金削減は止めるべき
あらき議員:安倍政権は社会保障のためと言って、昨年10月から消費税10%大増税を強行し、1月から開会した通常国会の施政方針演説で「全世代型社会保障」の名で75歳以上の医療費窓口負担を倍増することや、年金の給付削減を実施するとしています。このような安倍政権の方針が本市の社会保障制度にも影響し、それは国民健康保険料の値上げに顕著に表れています。具体的には、給与収入500万円で親2人、中学生1人、小学生1人の4人家族での新年度の国民健康保険料は年間50万140円にもなります。今年度との比較で年17,110円も上がります。市民生活の安心というならば、一般会計からの繰入額を今年度並みの75億9千万円にすれば、国民健康保険料の引き上げを止めることができるのに、新年度は繰入額を31億円も削減することで保険料の引き上げとなっています。安倍政権の社会保障削減のやり方に追随するのではなく、市民生活を守る立場に市長は立つべきですが、見解を伺います。
林市長:保険料の引き上げはすべきではないとのことですが、高齢化や医療の高度化の影響で医療費が増える中、保険料は一人当たり医療費の伸びを基に算定しました。これを超えた過重な負担とならないように約45億円の市費を繰入れ、保険料の上昇を抑制しております。
市民の皆様への影響を配慮しつつ、制度を持続可能なものにするため、加入者の皆様にも一定程度のご負担をお願いしております。
第二質問
あらき議員:新年度予算で、事業見直しによる削減効果額111億円の中で一番大きいのは、国民健康保険料の繰入額31億円です。この額は削減効果の3分の1を占めるという大きさです。そのほか公立保育所や福祉授産所の民間移管や委託化で2億円と、地方自治体が行うべき事業をやめることで、効果額を示しています。このようなやり方そのものが、市民の安心にはならないことを認識すべきですが、再度市長の見解を伺います。
林市長:あらき先生の本当に市民のみなさま、子ども達を思う心はいつもいつも感銘して伺っておりますけど、医療費が非常に今、大変上がっていることはご承知だと思います。ですから111億円の身を切る事業見直しをやった結果で、特にその中で医療費関係が多いじゃないかとおっしゃっておりますけど、これは全体のバランスを私は考えておりますので、これはご信頼いただきたいと。答えになっているでしょうか。全体のバランスが本当に全体を見直してやっていっているところでございますので、ご理解賜りたいと思います。
民間企業の儲け優先の開発事業から、市民の暮らし支える施策に転換を
あらき議員:市長の予算案は、政府の方針をそのまま踏襲したものが目白おしです。特に街づくりの点では、顕著に現れています。国からの補助金と連動して進める横浜駅きた西口鶴屋地区、東高島駅北地区、花博を誘致して基盤整備を進めるとしている旧上瀬谷通信施設などの市街地開発事業などには、100億円もの予算を組む一方で、市営住宅の新規建設はなく、図書館は各区1館にとどまり、区民文化センターの設置は南・保土ヶ谷など5区は整備予定もありません。高齢化が進む地域のバス路線の拡充などを要望している地域交通サポート事業は、国庫補助もなくわずか5460万円という少なさです。市長の街づくりの視点は、元々その地域で住み続けている人たちを大事にするより、国からの補助金を使って民間企業が儲けるための開発事業を優先しているとしか考えていないように思いますが、見解を伺います。
林市長:この事業は都市機能の更新や防災性の向上に加え、道路や公園、駅前広場など公共施設の整備改善を一体的に進めていく事業です。地域の皆様の生活利便性や安全性の向上に貢献するものでありまして、今後積極的に推進します。合わせて地域交通など身近な街づくりにもしっかりと取り組みます。
築50年の老朽化した学校の修繕費にお金が回っていないことを直視すべき
あらき議員:市長は、中期4か年計画期間中は、前半の2か年は赤字になるが後半の2か年を黒字にすることで,横浜方式プライマリーバランスを保つとしています。新年度はそれを受けて市債発行を今年度の1,792億円から新年度は1,267億円に削減しています。2020年の完成を目指して新市庁舎整備や横浜環状北西線、南本牧MC4の整備などを進めてきた結果、学校などの市民生活に直結する施設整備にしわ寄せが起きています。
私が見てきた南区の蒔田小学校は築50年経過し、壁には亀裂や剥れがあり、窓枠からは雨漏りしています。円形校舎の玄関引き戸の開け閉めはスムーズに動かず毎回苦労の連続です。また校舎の奥は崖地に面した部分があり、その金網フェンスは錆びて基礎のコンクリート部分は浮いてきています。子どもたちが力一杯この金網フェンスを押したら倒れてもおかしくありません。港南区にある日野中央高等特別支援学校は、約40年が経過し建て増しした校舎のつなぎ目の床がぼこぼこで、歩くと床が沈みます。実習用に作った温室はボイラーが劣化し壊れたままです。車いす用のトイレは押しボタンが作動しなくなったため、使えません。校舎の至るところで、雨漏りの跡が残っています。どちらの学校も、教育委員会にはずっと修繕の要望を出しているが予算が足りないので、部分的な修繕しかできてないと聞きました。新年度予算で学校施設の老朽化対策予算は44億円で前年度と変わりありません。昨年度だけでも1,500件以上の学校要望の修繕が横浜市立学校から出ています。このような劣悪な環境で児童生徒を学ばせることは市長の言う安心・安全な教育環境と言えるのでしょうか、見解を伺います。
林市長:安全安心な教育環境の確保は、大変重要な課題だと認識をしています。厳しい財政状況の中でも必要な修繕工事を着実に実施していくよう予算の確保に努めています。市立学校は500を超えて老朽化している学校が多く、今事例もいくつかお話しいただきましたが、修繕が追い付いてない側面も確かにあります。建て替えを含めた学校施設の改善もしっかり検討してまいります。
そもそも地方自治体は、国の下請け機関ではない
あらき議員:地方自治体は、そもそも国の下請け機関ではありません。補助金が出るからと言って、市民の暮らしに影響がでるような市街地再開発や学校などの公共施設の統廃合などはやみくもにすすめるのではなく、住民合意を前提にすべきです。高速道路・大水深バース・都心臨海部開発などの投資を優先する市長の予算編成方針は、安倍政権の成長戦略の地方自治体における忠実な実行者であるように思います。市長は地方自治の本来の目的である住民福祉の機関、住民自治の組織という地方自治体の本来の役割を果たすために、その原点に立ち戻った予算案にすべきと考えますが見解を伺います。
林市長:基礎自治体として市民の皆様の安全安心を守りし、子育て・教育・福祉といった市民生活に密着した施策を充実していくことは、最も大切な役割だと考えています。またこれらの施策をしっかり進めていくために基盤整備や企業誘致を図り、市内経済を活性化し、財政基盤を強化していくことも必要です。このように施策をバランス良く着実に進める予算案としています。
市民の声聞かずにカジノ誘致に突き進むな
あらき議員:次にIR誘致についてです。
カジノ誘致について、2017年の市長選挙の公約ではIR(統合型リゾート)の導入検討とし、依存症対策やIR 実施法案など、国の状況を見ながら、市として調査・研究を進め、市民の皆様、市議会の皆様の意見を踏まえたうえで方向性を決定とされていました。そして2年前の本会議では市民の意見を聞いてから決めると言っていた市長が、昨年8月22日にいきなりカジノ誘致を決めました。市長が誘致決定までに、市民や市議会の意見をどのように聞き決めたのか、この点を何度伺ってもいまだに私たち市民には納得のいく回答がされないまま、誘致のための準備が進んでいることに対し、市長のやり方は間違っていると改めて抗議します。わが党は、カジノそのものについては断固反対ですが、それ以前に、市長が昨年の補正予算で2億6千万円、さらにまた新年度も4億円の予算を提案し、市民意見を全く聞かずにカジノ誘致にひた走っていることから質問いたします。
IR事業者と取引している監査法人が関与する事業者選定に公平・公正性あるのか
あらき議員:昨年の補正予算でアドバイザリー契約をしたEY新日本有限責任監査法人とIR事業者との関係についてです。IR事業者であるウインリゾーツとメルコの2019年の年次報告書には、EYが監査をしたと載っています。このように特定の海外のIR事業者の監査法人となっているのがEY海外法人です。EYは、150を超える国と地域に約25万人の構成員を有し、世界のあらゆるマーケットで均一に高品質なサービスを提供する体制を整備しています。EY新日本有限責任監査法人は、全世界のEYのメンバーファームと互いに連携していると、ホームページに載っています。
市が選定したアドバイザリー事業者であるEY新日本有限責任監査法人が、今後、予算案にある市のIR事業者を選定していくための実施方針や募集要項の策定に関わることは、これらの事実から、透明性・公平性・公正性の点から担保できるといえるのか、その根拠について明解にお答えください。
林市長:委託先の監査法人についてですが、各国のEYグループ各法人は、法的に独立した組織でありまして、親会社、子会社という関係もなく互いの業務に関して情報共有しないことを確認しています。そのため他国のEYが特定のIR 事業者と繋がりがあったとしても EY 新日本有限責任監査法人から本市の検討状況等が、漏洩するといったことはありません。
またアドバイザリー業務にあたっては委託先に、本市の利益に反する行為の制限や守秘義務を課しています。このため本監査法人が IR に関連して民間事業者の支援を行う事はありません。
あらき議員:市長は21日現在までで、IRの説明会を12区で行ってきました。18区すべての説明会が終わらない段階で、新たに4億円もの予算を組み、さらに誘致を進めようとしている市長の姿勢は、市民の気持ちを逆なでしていると思いますが、見解を伺います。
林市長:本市では人口減少や超高齢社会の進展などの課題に対応し、将来に渡って市民の皆様の暮らしをお守りするために、IR実現に向けた取り組みを進めています。令和3年前半の市会に懸念事項などもしっかり対応した区域整備計画をおはかりするために、令和2年度予算で計上している各取り組みを進めてまいります。
パブコメでカジノ反対多数でも誘致やめないというのは本末転倒
あらき議員:市長は、19日の記者会見で3月から実施するIRに対する市の考え方をまとめた「横浜IRの方向性」素案へのパブリックコメントについて「反対が多ければ誘致をやめるということではない」と説明したとの新聞記事が載っています。パブリックコメントを求めても、その結果の市民意見も聞かないというのは本末転倒です。あらためて、この予算を撤回することを求めますが、その意思があるかがどうか伺います。
林市長:IR推進の予算についてですが、令和2年度は今年度行っている検討準備を踏まえ、民間事業者の公募選定や区域整備計画の作成に向け、国が示したスケジュールに沿って準備を進めていきます。また市民の皆さんが心配されている治安やギャンブル等依存症などの懸念事項についても必要経費を計上し、徹底した対策に向けて検討を進めていきます。
市民の皆様には事業の進捗に合わせ、本市の取り組みの状況を説明会や、広報よこはま特別号の配布など丁寧に説明していきます。市民説明会については、コロナウィルス対策のために今回の予定を延期させて頂きましたけれども、状況に応じてしっかりとまた再開をさせていただきます。
第二質問
あらき議員:IR事業者と特定な関係があるとは言っていない、独立した組織のEY新日本有限責任監査法人だとおっしゃいました。しかし、EY新日本有限監査法人は、全世界のEYのメンバーファームと互いに連携しているとホームページに載っています。このことからすれば、当然、アドバイスを受けているとみるのが普通です。そうでないと言える根拠があるなら、再度伺います。明確な根拠をしめさない状況で、IRを進めることは絶対に許されません。IR誘致の予算こそ、国民健康保険料の値上げを抑えることや、子どもたちの小児医療費の拡充などに使うことが本来の市長のやるべき仕事なのではないでしょうか。
林市長:それからEY監査法人についてですが、これはメンバーズカードのあるとかいうことではなくて、本当に実際的にこういう監査法人さんというのは、各国で独立した組織でありますので、今、先生としては疑念を持たれていると思いますけど、特定のIR事業者とつながって、それを情報交換するようなことはありませんし、本市もそういうことは、EY新日本有限責任監査法人とは話し合った上で、こういう委託先を決めていますので、そこのところは守秘義務を守るし、ご信頼いただきたいと。それから、IRに関するお話で、反対だというご意見は、それはもちろん、そういう考え方もありますし、推進してくださいという方もおりますし、賛否両論ある中で、私としては、市長としてですね、色んなご意見等も市民説明会もその過程の中で、沢山の反対のご意見もいただいていますし、色んなところで様々なご意見を伺いながら、今、進めているところでございます。
大都市の責務として、地球温暖化対策の強化を
あらき議員:次に地球温暖化対策についてです。
猛威を振るう風水害、熱波、多発する山火事など、国連のアントニオ・グテレス事務総長が「気候危機」と表明しているように、一刻も早い対応が迫られる状況に、人類は直面しています。ところが、昨年12月のCOP25(国連気候変動枠組み条約第25回締約国会議)で、日本政府は、地球温暖化対策に前向きとは言えない国に対してNGOが贈る「化石賞」を2度も受賞するという不名誉な事態となりました。それは石炭火力発電からの脱却の方向性を示さず22基もの新規計画を持っているからです。安倍政権が、石炭火力発電所の輸出を成長戦略と位置付けて推進していることも世界で大問題となっています。地球環境を壊し、世界の持続可能な発展を破壊する「成長戦略」などあり得ません。この点についての市長の認識を伺います。
林市長:石炭火力発電についてですが、エネルギー政策については経済性、環境面など様々な観点を考慮し、国で総合的に判断していくとだと私は考えています。国でも再生可能エネルギーの主力化が示される中、ゼロカーボン横浜を掲げる横浜市としても、再エネ転換を重要な柱として取り組みを進めて参ります。
あらき議員:本市におけるエネルギー政策は、原発や石炭火力に依存する国への追随をやめ、脱原発・脱炭素化を計画の基本に据え、市民が再生可能エネルギーに切り替えることが促進できるように、支援を強めることが必要です。横浜市は地球温暖化対策実行計画に2020年の温室効果ガス削減目標は22%と掲げています。またこの実行計画に2050年までには脱炭素化の実現とあります。現在、東北12市町村との再生エネルギー連携協定の具体化として市内企業15社が青森県横浜町の風力発電電力を受電しています。市の公共施設などで優先的に使用するように切り替え、市民にアピールすることが、2020年の温室効果ガス削減目標にとって必要な施策だと考えますがどうでしょうか。また、この再生エネルギーを各家庭でも契約をして使えるような仕組みを市として考え、さらに利用促進ができるようにすることが必要だと考えますがどうでしょうか。
林市長:令和2年度に本市焼却工場で作られるバイオマス由来の電気等を活用し、新市庁舎を再エネ100%とします。また東北の12市町村との連携に基づく再エネ電力を市民や事業者の皆様にも拡大していくことで普及を進めていきます。再エネを家庭でも利用しやすくする仕組みですが、2019年4月より開始した、横浜市低炭素電気普及促進計画書制度に基づき、今後市内に電気を供給している小売電気事業者の再エネの情報を市民の皆様に対して提供します。これにより家庭でも再エネの比率がより高い電気を選ぶことが可能になります。
あらき議員:長野県の白馬村では、「気候非常事態宣言」を出し、村民とともに積極的に気候変動の危機に向き合い、他自治体の取り組む模範となること、2050年における再生可能エネルギー自給率100%を目指すことなど5項目に渡り宣言しています。2月7日に神奈川県知事と鎌倉市長が3項目に渡って「気候非常事態宣言」をしています。横浜市もこの例にならい、「気候非常事態宣言」をし、市民とともに積極的に気候変動への取り組み姿勢を示すことを提案しますが、市長にその考えはあるか伺います。
林市長:近年の気候変動リスクは、これまでと異なり市民の生命を脅かす危機的な状況であるという認識のもと、平成30年10月に大都市で初めてとなる2050年までの脱炭素化を宣言し、都市の強靭化と合わせて温暖化対策を積極的に進めております。引き続き市民、事業者の皆様との危機感の共有もと、気候変動対策を進めてまいります。
平和・核兵器廃絶に寄与する横浜市の取り組みを
あらき議員:次に国際平和の推進について伺います。
今年1月3日、米軍がイラクの首都バクダッドの空港でイラン革命防衛隊の司令官を殺害するという無法な攻撃を引き起こしました。アメリカは国連安保理理事会常任理事国であり、本来「紛争の平和解決」という戦後国際社会の鉄則を最も守るべき立場にあります。そのアメリカが戦時でもないのに他国の領土で一国の幹部を武力で抹殺を図ることは許されるものではありません。この点での市長の認識を伺います。
林市長:国際平和の推進に関する条例についてご質問いただきました。今年1月の米軍の対応に関してですが、日本は直接の当事国ではなく、詳細な事実関係を十分に把握する立場にないというのが、政府の見解です。私としてもこの件については、考えを述べるのは差し控えさせていただきます。
あらき議員:このような中で、日本政府は2月3日に中東へ自衛隊を派兵しています。2月10日の衆議院予算委員会で、日本共産党は、海上自衛隊の掃海母艦ぶんごと掃海艇たかしまが昨年10月、オマーン湾からホルムズ海峡付近を航行中、イランの革命防衛隊とみられる船から追尾されていた事実を、明らかにし、自衛隊派兵が地域の軍事的緊張を高めるばかりか、自衛隊員を危険にさらすことになると指摘し、撤収を防衛相に求めました。このような危険な自衛隊派兵について、国際平和を推進する立場から市長はどう考えているのか伺います。
林市長:中東地域での自衛隊の情報収集活動についてですが、国の専権事項ですので、国において判断することだと考えます。
あらき議員:2020年の今年は、広島長崎の被爆75年、核不拡散条約発効50年の節目であり、第10回NPT再検討会議が4月27日から5月22日までニューヨークの国連本部で開催され、原水爆禁止世界大会もニューヨークで開催されます。市長は、被爆者国際署名にもサインして、核兵器廃絶の実現に向けて踏み出しました。しかし残念ながら日本政府は国連で2017年に122カ国の賛成によって採択された核兵器禁止条約には背を向けたままです。
日本政府の態度を改めさせるためには、市民の力が必要です。その後押しをするためにも、市民をニューヨークの国連本部で開催される原水爆禁止世界大会に派遣する考えはないか伺います。
林市長:原水爆禁止世界大会への市民派遣についてですが、本市からの派遣は考えておりませんが、横浜市国際平和の推進に関する条例をふまえて今後も引き続き、人類共通の願いである核兵器の無い世界の実現に向けた取り組みを進めていきます。
あらき議員:国際平和の観点から、隣国との友好関係を継続していくことは重要です。しかし、日本政府のこれまでの対応は、歴史的に起きた事実をゆがめ、それぞれの国々の人々との友好関係にまで亀裂を生じさせています。これでは、これから開催される2020東京オリンピック・パラリンピックにも影響を及ぼしかねません。横浜市としては、政府の対応がどうあろうと、友好関係を結んでいる韓国との都市間交流はこれまで通りということですが、引き続き、その関係を人材交流や文化交流などでお互いの理解をさらに広げていくように求めますが、市長の見解を伺います。
林市長:都市間交流についてですが、日韓両政府において解決すべき課題があっても、都市間交流は継続されるべきと考えています。あらき先生のお話の通りでございます。引き続き、韓国を含む海外諸都市との間で推進していきます。なお、韓国とは、今、ソウルと職員派遣も引き続き行っています。
ジェンダー平等社会に向けて、審議会委員などに女性の積極的な起用を
あらき議員:次に男女共同参画についてです。
第4次男女共同参画推進行動計画は2016年から2020年まで実施されています。今後新たな第5次計画を策定することになり予算が組まれています。
「男女平等」は引き続き達成すべき重要な課題ですが、法律や制度の上で一見「男女平等」となったように見える社会においても、女性の社会的地位は低いままであり、根深い差別が残っています。その大もとにあるのが、ジェンダー差別です。
ジェンダーとは、社会が構成員に対して押し付ける「女らしさ、男らしさ」「女性はこうあるべき、男性はこうあるべき」などの行動規範や役割分担などを指し、一般的には「社会的・文化的につくられた性差」と定義されていますが、それは決して自然にできたものではなく、人々の意識だけの問題でもありません。時々の支配階級が、人民を支配・抑圧するために、政治的につくり、歴史的に押し付けてきたものにほかなりません。
一人ひとりが大切にされ、誰もが自分らしく生きられる社会を目指すために、性差による差別のない社会・ジェンダー平等社会の実現を推進することを日本共産党は求めています。そこで、これから策定する行動計画にジェンダー平等社会の実現について盛り込むことを提案しますが、どうでしょうか。
林市長:次期、男女共同参画行動計画の作成についてご質問いただきました。
ジェンダー平等社会の実現を盛り込むことについてですが、現行計画においても、そのような視点に基づいて、働く女性の支援をはじめ、男女共同参画社会の実現に向けた取り組みを進めてきました。次期計画でも企業や社会において実績な男女格差はいまだに大きい状況や、ジェンダー平等をかかげるSDGSの視点を踏まえて、課題解決に向けた取り組みを一段と加速させていきたいと考えます。
私も昭和40年、1965年から働きにでておりますけど、本当に日本は、あらき先生がおっしゃたようにジェンダー平等社会は、なかなか進まないと思います。
女性活躍推進法が出来ておりますけども、私自身はそれほど大きく進んでいないのかなと。特に国会議員の人数とか、市会議員の人数もそうかもしれません。今、日本は2割ぐらいになりましたかね。本当に進んでないという実感があります。私も責任を持ってですね、この政策をちゃんとやっていきたいと考えております。
あらき議員:世界経済フォーラムが公表したグローバル・ジェンダー・ギャップ指数で、2019年、日本は153か国中121位となり、これまでで最低となっています。その背景には、財界・大企業が口では「男女平等」を言いながら、利益最優先の立場からジェンダー差別を利用しているからです。そのジェンダー差別をなくすために本市は取り組んでいるようですが、実際には育児や介護休暇の取得は女性職員が多いことから、男性職員の育児休暇や介護休暇の取得を増やすようにすること、幹部職員への女性の登用を増やすことはもちろん、審議会等の委員の男女同数をめざすなど、本市が率先して取り組む姿勢を行動計画に盛り込むことを提案しますが、見解を伺います。
林市長:横浜市が率先して取り組む姿勢を盛り込むことについてですが、現行計画についても、市役所における女性責任職の雇用促進、ワークライフバランスの推進などを盛り込み、取り組みを進めてまいりました。次期計画では、市役所の取り組みをより早く記載し、市内企業や市民の皆さまに対して、市役所が自ら率先して、取り組む姿勢をしっかりと示していきます。次期計画で新たに記載を予定している市役所の取り組みですが、多分、先生も大変ご関心が深いと思いますけど、男性職員の育児休業等取り組み促進を本当にしっかりやっていきます。
新型コロナウイルス対策の強化を
あらき議員:最後に新型コロナウイルス対策についてです。
新型コロナウイルスが広がり、その対策に政府が取り組んでいますが、日本共産党として、PCR検査態勢の抜本的拡充、治療態勢確立のための民間医療機関、自治体・大学等への支援、感染症に対応できる病床の確保―などを第2次補正予算に組むことも視野に入れた対応を、厚生労働省に要請しています。クルーズ船の乗客・乗員の不安に対し、しかるべき権限を持つ者が直接対応にあたる必要があることも求めているところです。
本市としても、市の主催する公会堂等での公共施設での講演等を延期することになりました。また今、対応する病院ではベッドの確保をはじめ外来患者の受け入れと医療従事者の安全の確保など、大きな負担が強いられています。飲食店や中小企業でも営業に深刻な影響が出てきています。
今後、市としても必要とされる検査体制の充実や治療体制確立をはじめ、影響を受ける病院や中小企業を支えるための予算を国に求めるべきだと思いますが見解を伺います。
林市長:新型コロナウイルス感染症対策についてご質問いただきました。
対策の充実等について国に要望すべきとのことですが、この間、市としても衛生研究所の検査体制を確立して、相談から外来受診するまでの体制を構築してきました。先日の市内での感染者が確認されるなど、状況は日々変化しておりまして、その対応に最善を尽くしてるところです。今後、今回の対応の振り返りと、検証が必要だと考えています。その中で、必要に応じて国への要望等も検討していきます。