2010年2月4日
日本共産党横浜市会議員団
団 長 大 貫 憲 夫
林文子市長は本日、2010年度横浜市予算案を発表しました。
一般会計は1兆3,604億円(前年度比0.8%減)で、特別会計と企業会計を合わせた総額は3兆998億円(同4.9%減)(純計2兆3,516億円、同1%減)です。市税収入は6,870億円と、前年度比で5.3%の減収となっています。
市民生活の大変さが増すばかりの中で、いま市政に求められているのは、市民のくらし、福祉、雇用を支援することです。それに応えた予算案となっているかどうかは、踏み込んだ吟味と検討をし、不十分なところや問題点については論戦を通じて改善と是正を求めていくつもりです。
以下、主な施策について概観します。
林市長の公約でもあった保育所待機児童解消に向けては、認可保育所整備による定員増1367人、横浜保育室定員増151人、市立保育所定員外入所枠増20人など、2,103人の受入増をはかっています。その他に、横浜保育室保育料軽減助成を月一律1万円から1~4万円に拡大、事業所内保育施設運営費助成の新たな実施を打ち出しています。しかし、整備は民間まかせであり、保育の数と質との両立が課題です。
放課後の留守家庭児童対策として、学童保育クラブを8か所、小学校施設に設置される放課後キッズクラブを24か所それぞれ増設します。学童クラブの施設修繕費への助成が、初めて2か所で行われます。キッズクラブの増設と引き換えの設置基準引き下げは、問題です。
教育分野では、いじめ、不登校などに対応する「児童支援専任教諭」を70の小学校に配置し、5年後には全校とし、就学奨励費は、対象経費にクラブ活動費、PTA会費を加え、5億円増の18億円を計上しています。要望の強い少人数学級と中学校給食の実施に踏み出すことを強く求めるものです。
高齢者福祉では、特別養護老人ホームの入所待ち者数は約5,000人という深刻な実態にあり、新規建設390床ではまったく不足です。在宅心身障害者手当廃止に代わる、親なき後のあんしん施策には19億円計上、名実とも将来にわたるあんしん施策かどうか精査が必要です。生活保護費1,084億円は、前年度比152億円、16%増としています。救急・産科医療では、二次救急拠点病院を7か所から20か所に拡大し、産科医師確保助成、周産期救急病院助成を新規に実施します。見送りされた県下最低水準の小児医療費助成制度は、子育て支援策として年齢引き上げなどの拡充が必要です。
みどり税を充当する「横浜みどりアップ計画」には22億円増の約95億円、地球温暖化対策予算は16億円ですが、前年水準でCO-DO30の目標達成にかなうかどうか疑問です。
深刻な失業・雇用情勢に対応した市独自の雇用創出対策が急務となっていますが、国の予算の範囲にとどまっています。中小企業支援では、国の補正予算もあり、融資制度事業の融資枠は拡大し、2,000億円としています。仕事確保策や自営業者への直接支援は見るべきものがなく、市独自の事業展開が必要です。MM21地区等への誘致企業への助成金は18億円です。
施設等整備費として1,670億円を計上し、前年度比17.8%減ですが、道路修繕や学校特別営繕費などの市民生活に密着した事業や市内業者向け事業は前年度並の予算です。
横浜駅周辺大改造、高速横浜環状道路整備、スーパー中枢港湾推進の3つの大型開発事業に、ほぼ前年度並みの総額152億円の巨費を投じます。また、新市庁舎建設計画と一体の関内・関外地区活性化推進事業では、中心部活性化の基本計画を策定します。事業費総額8,000億円といわれる横浜駅周辺大改造事業では、西口の再開発に関連するインフラ整備等の検討に入ります。今日の経済・財政状況に照らし、内容等の適否をチェックすることが議会に求められています。また、中田前市長が招致したAPEC開催には6億円を見込んでいます。
日本共産党市議団は、2月16日からスタートする予算議会において、不要不急の大型公共事業やムダを見直し、福祉、子育て、教育、経済・雇用対策など市民要望の強い政策実施の財源をつくる財政方針への転換を求め、全力をあげるものです。
以上