議会での質問・討論(詳細)
2009年11月27日

【2009年第4回定例会】「議案関連質問」  関 美恵子

※実際には、質問と答弁がそれぞれ一括して行われましたが、わかりやすいように、対応する質疑と答弁を交互に記載しました。

関議員:私は、日本共産党を代表し、林市長、田村教育長、金田副市長に質問いたします。

市営住宅使用料などの滞納者から強権的に取り立てるな

 はじめに、市第51号議案 横浜市の私債権の管理に関する条例の制定です。本市の私債権は、市営住宅使用料など51債権が含まれ、総額は2008年度決算で約32億円です。そこで、条例を制定し、徴収手順の明確化・統一化を図るとともに、放棄による債権整理が出来るようにするものです。
 条例第4条は、市長等の責務として「適切かつ効率的な私債権の保全、取立て等に努めなければならない」としています。浜松市も条例化していますが、こうした条文はなく、東京都の「適切かつ効率的な債権の徴収等を行わなければならない」と比べても、督促・取立て等が強権的になされるのではないかと危惧されます。条例を根拠に義務的・強権的な取立て等を行うことはないと言い切れるのか伺います。
 東京都は、育英資金貸付金の債権回収を債権回収会社に委託し、電話での督促や戸別訪問による債権回収を行っていると聞いています。本市も、保育料の電話催告に限り民間に委託しているとのことですが、督促・催告は、納付相談以前の手続きとなっています。納付相談で初めて生活状況や資産調査が発生しますから、それ以前の督促・催告では、生活状況等への配慮は不可能です。まして、債権回収となると生活状況等お構い無しということで、市民生活やプライバシーを守る点からも問題です。債権回収会社や民間委託による私債権管理はあってはならないと考えますが、伺います。

林市長:ただいまのご質問にお答えいたします。
 市第51号議案についてご質問をいただきました。
 条例案第4条に基づいて、義務的・強権的な取立てを行うことはないかとのことですが、滞納者の中には資力があるにもかかわらず、支払いのない方がいる一方で、病気による生活の困窮や勤務先の突然の倒産等により、支払いが困難となっている方がいるなど、状況は様々です。このため、条例に基づいて、取り組みを進めるに当たって、滞納されている個々の生活状況等を十分に見極め、調査段階において一括して納付することは困難と判断される場合には、分割による納付や納付期限の相談にも応じるなど、きめ細かな対応を図っていきます。
 債権回収会社や民間委託による私債権管理はあってはならないとのことでございますが、民間事業者を活用した電話による納付案内や、専門知識、スキルを持った弁護士への委託等については、すでに一部で導入を図っており、今後とも進めていきます。なお、債権管理回収業に関する特別措置法による許可を受けた債権管理回収業者が貸付債権等の管理や回収業務として行っていますが、これについては、現時点では導入する予定はありません。

局名変更はあまりにも安易で無責任だったのではないか

関議員:次に、市第52号議案 横浜市事務分掌条例の一部改正についてです。
 2005年6年に行われた局再編成は、新しい行政運営の基本理念である「協働」「分権」「都市経営」の推進、行政サービスへの市民満足度向上のため、簡素で効率的・効果的な執行体制が目的で行われました。
 今年9月の検証結果は、効果があった項目、逆に課題とする項目が整理されたもので、局名変更に至る決め手とは考えられません。11月に示された職員意見の賛否に基づいて局名変更がなされたことがうかがえますが、現場主義の市長ならではと、頷くところです。
 局再編成の目的から職員に歓迎されて然るべきはずがたった3年で、職員の大多数が名称変更に賛成とは皮肉なことです。そこで伺いますが、市民や他市との関係で「業務を体現しわかりやすい」名称にするというのは重要なポイントで、充分検討されていれば今回の事態はなかったと思います。安易で無責任とのそしりは避けられませんが、副市長に伺います。
 また今回は名称変更のみで、所掌事務の見直しはないということであれば、前回の名称変更は必要なかったということであり、ひいては局再編成の目的そのものも問われますが、副市長の見解を伺います。
 2010年度以降、所掌事務の見直し等は行うようですが、環境創造局から下水道を切り離すことも考えられます。どのような見通しを考えているのか、市長に伺います。

金田副市長:市第52号について、ご質問をいただきました。
 局の名称についてですが、平成17・18年度の局再編を行った当時は、新しく設置した局の役割と理念を表すということに重きをおいて、十分議論し、名付けたものでございます。
 前回、局名を変更する必要はなかったということについてですが、当時は職員間で局の目指すべき方向性を共有することを期待して、変更したところであり、3・4年経ち、今回の検証をより市民の皆さんへのわかりにくさや職員の働きにくさという課題を重視し、変更することにしました。その検証で、是正すべきものは是正していくという考えも必要であると思っております。

林市長:22年度以降の機構改革をどのように行うかについてでございますが、今年の7月から9月にかけて、現在の組織機構の課題を整理したところ、都市経営局と行政運営調整局の役割分担や、環境創造局の管理スパン、一体的な文化行政の推進といった、様々な課題が把握されました。これらについて、22年度中に検討し、方向性を出していきたいと考えています。

市長は選挙中に「図書館に指定管理者制度はなじまない」といったが

関議員:次に、市第90号議案は、横浜市立図書館の指定管理者の指定で、教育長に伺います。
 横浜市立山内図書館の指定管理者に有隣堂グループを指定しようというものですが、図書館は社会教育施設として、指定管理者に移行後も当然専門性の高さや質のいいサービスが求められます。
 ところが、現行では正規職員13人が移行後は常勤11人に後退し、司書数においても現行11人で職員の69%。移行後は、明確になっているのは4名で、常勤の36%です。また、主任クラスは少なくとも3年以上必要といわれている経験年数も、現行では5年以下が16人中7人ですが、15年以上も7人で充実しています。一方、移行後は経験年数については具体的提示はなく、「経験を有する者」でよしとしており、これでは、専門性やサービスにおいて水準の低下が懸念されます。
 指定管理者に対し、常勤職員や司書の具体的な配置数、経験年数を提示すべきと考えますが、伺います。
 確かに移行後の司書数について、教育委員会は優先交渉者の提案書類に常勤の70%と書かれているといいますが、公表されておらず、確認できません。議案審査に必要な提案書類の公表を求めますが、伺います。
 予測指定管理料に、自主企画事業費が500万円計上され、著名人をよんだ講演会や文具等を販売する山内堂の開設等、新たな利用者創出への支援となっています。こうした支援は、自主企画事業費の削減で講演会開催も困難という区の図書館にも必要です。区の図書館の自主企画事業費を増額するとともに、15政令市で最低レベルの市民1人当たりの資料費も増額し、全体の底上げを図るべきですが、伺います。
 ところで市長に伺いますが、市長は選挙時の公開質問状で、「基本的には、図書館は指定管理者制度にはなじまないと考える」と回答されています。指定管理者選定作業中の話であり、それでも「なじまない」との回答だったわけで、それなのになぜ提案されるのか、選挙中の公約は果たすべきですが、伺います。

田村教育長:市第90号議案について、ご質問をいただきました。
 指定管理者についてより具体的な条件を提示すべきとのことでございますけれども、業務要求水準書で示した執行体制の水準は、指定管理者となった民間事業者がそのノウハウを発揮し、また創意工夫に基づく柔軟な提案を期待したものであることをご理解いただきたいと思います。
 優先交渉権者の提案書を公表すべきとのことですが、指定管理者の指定議案の議決後、指定管理者と協定を締結をいたしますが、その後公表していく予定でございます。
 自主企画事業費を増額すべきとのことですが、指定管理料の自主企画事業費は、指定管理者制度を導入する山内図書館の管理運営において、民間のノウハウやアイディアを活用するために計上したものでございます。
 資料費を増額すべきとのことでございますけども、人口規模の大きい本市においては、一人当たりで考えますと低くなりますが、平成20年度の資料費は約3億7000万円となっており、政令市の中で上位となっております。今後も図書館の効果的効率的な運営に努めてまいります。

林市長:市第90号議案について、ご質問いただきました。
 図書館への指定管理者導入についてですが、市と指定管理者のどちらがより効率的効果的に施設の設置目的を達成できるかという視点から、各施設の特性等を個別具体的に考慮して進めていくことが必要と考えます。
 図書館についても、このような考え方にたって、様々な検証を行いながら、適切な管理運営に努めていきたいと思います。

失業者対策に人も増やして力の入った積極的な取り組みを

関議員:最後に、市第94号議案 平成21年度横浜市一般会計補正予算についてです。
 緊急雇用創出事業臨時特例基金を活用した新規雇用の状況は、10月22日現在で、当初予算で819人に対し、雇用済み人数は518人で63%、9月補正では、324人に対し、わずか9人で3%で、余りにも低い執行状況です。わが党は、これまでも、募集をハローワークに委ね、民間の手上げ待ちというお役所仕事になっていると指摘し、取り組みの強化を求めてきました。経済不況は続いており、失業者増も予測される状況のもとで、担当部署を拡充するなど、力の入った積極的な取り組みを求めますが、見解を伺います。
 ホームレス同然になった失業者は、放置すれば生死にかかわる深刻な状況です。路上での相談から生活保護になり、救われたという話を多く聞いています。緊急雇用対策と生活保護の連携があれば、仕事の確保にも繫がります。失業者の立場で情報提供を行うなど連携を強めるべきですが、伺います。
 失業理由による保護開始件数は、昨年11月の101件が今年の10月は200件と倍増し、区の保護課の体制の強化も求められています。どのように強化していく考えなのか、伺います。

林市長:市第94号議案、福祉人材就業支援事業についてご質問をいただきました。
 担当部署の拡充についてですが、緊急雇用創出事業については、事業の推進にあたり、各区、局、事業本部を連携させて、円滑に業務を進めております。
 生活保護受給者への情報提供ですが、従来からケースワーカーや就労支援専門員が対象者の方の状況に応じ、きめ細やかな就労支援を行っています。このなかで、緊急雇用創出事業についても、情報を提供して、雇用につながった例もあります。生活保護からの自立のために、今後も積極的に情報提供に努めていきます。
 生活保護業務の体制強化についてですが、状況に応じた適切な相談・支援が行えるよう、各区の保護課にケースワーカーとして社会福祉の専門職員を配置しています。また、事務嘱託員や就労支援専門員を配置するなど、ケースワーカーとの役割分担をする工夫も行っています。とりわけ今年度は、申請件数や保護所帯数の増加に対応するため、7月には面接相談業務を担える臨時職員を各区に1名ずつ、さらには来年度の新採用予定職員のうち4名を11月1日付けで先行採用し、区に配置しました。今後も引き続き、体制の充実に努めていきます。

障害者の地域移行促進のためにもグループホーム職員の確保を

関議員:次に、障害者自立支援対策臨時特例基金による地域移行推進強化事業は、1人当たり5万円の経費助成を行い、地域移行の促進を図るものです。見通しはあるのか、伺います。
 地域移行の受け皿は、グループホームが殆どです。ところが、グループホームでは、職員の確保が困難になっています。グループホームの職員は「1週間の夜勤が、ひどい時は4日も5日もある。こうした状況を市に知ってほしい」と言っています。市として実態調査すべきですが、伺います。
 また、職員確保の困難性は、グループホームの安全やサービスの低下にも直結します。知的障害者グループホームでおこった綾瀬市の火災事件、厚木市の性的虐待事件は、そのいい例です。職員の雇用は、「民」「民」の問題とせず、地域移行を促進する観点からも職員確保の支援が必要ですが、伺います。
 移行時運営安定化事業は、6施設への助成費2,700万円の計上です。障害者自立支援法に変わり、施設収入が「日割り制」になり、移行前の収入より低下した施設に、2007年度から市独自で助成してきたものを、基金を活用し、行うものですが、時限的です。また、障害者の反対の声に押され、利用者の負担軽減も行われてはいますが、応益負担の原則は変わっていません。障害者自立支援法は廃止し、新しい法制度の確立を国に求めるべきですが、市長の見解を伺って質問を終わります。

林市長:市第94号議案の障害者自立支援特別対策事業について、ご質問いただきました。
 障害者の地域生活への移行促進の見通しですが、障害者が施設等を退所して、地域で生活することは、本市でも障害者プランの重点施策に掲げて取り組みを進めていきます。地域移行をするためには、ご本人やご家族が自ら地域生活を目指す強い気持ちを持っていただくことや、グループホームなどの受け皿作りを、施設を運営する事業者と協力しながら進めていくことが大切です。こうした環境を整えながら、今回の特別対策事業による事業を実施することで、この取り組みを促進し、引き続き地域生活への移行を着実に進めていきます。
 障害者グループホームの勤務状況の実態調査を進めるべきとのことですが、既に障害者プラン第2期を策定する際に、グループホーム利用者やそのご家族、職員等からのヒアリングで、関係団体との意見交換を行っています。そのなかで、職員の確保が難しいこと、職員体制が少人数で、外部研修に参加しにくいこと、夜勤時に職員が1人となり不安な気持ちを抱えていることなど、こうした厳しい実態をうかがっています。
 グループホームの安全とサービス水準の向上のためにも、職員確保の支援を進めるべきとのことですが、グループホームの職員も含めた福祉現場で働く人材の確保・育成や、グループホームの支援体制などはとても大事なことであり、現在検討している、将来にわたる安心施策でも推進する項目として掲げています。
 人材の確保については、10月に民間の障害福祉団体と共同して、人材確保のための合同就職フェアを開催しました。実際に就職につながったケースもあり、参加された事業者からは大変喜んでいただきました。
 また、少人数職場の職員が研修に参加しやすい仕組み作りや、グループホーム職員に入所施設にバックアップするような支援体制についても、関係団体と共同して検討しています。
 厚生労働大臣は、障害者自立支援法を廃止し、新たな障害者支援の制度をつくることを明言しています。先日11月18日の八都県市首脳会議の場で、障害者支援のための制度の見直しにあたっては、障害者や家族と直接に接している自治体が制度策定の議論に加わるべきであり、研究会を設けて制度のあり方を検討し、国に提言するべきであると、私から提案しました。今後も様々な場面を通じて、国への働きかけを行ってまいります。
 残りの質問については、副市長および教育長より答弁いたします。 


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