あまりにも高い抽選倍率に応募を躊躇する市民の受け皿はどこにあるのか
白井議員:日本共産党を代表して質問します。宜しくお願いします。
スライドの使用の許可を委員長、お願い致します。
高齢者向けの住まい・施設についてです。市営住宅の全体の応募倍率についてなのですけれども、昨年10月募集では、行政区別では最も高倍率だったのは、私の住む港北区で2戸の募集に対し198の応募があって倍率は99倍でした。そして次は鶴見区で、4戸に対し240で60倍でした。入居資格があっても、抽選倍率があまりにも高いために応募を諦める方が大勢います。全体の内、特に高齢者については困窮度の高い高齢者の入居を支援するとして、高齢者世帯の当選率の優遇、そして入居時の収入基準の緩和をしており、次期の4月募集では、高齢者・単身者の募集枠を拡大すると聞いています。具体的に全市でどれだけ増やすのか、又これまでの応募者や当選者の状況など、その背景を伺います。
坂和 建築局長:過去5年間の応募状況をみますと、60歳以上の高齢者・単身者割合は増え続けまして、直近の29年の10月募集では、48.8%にまで、上昇をしております。このような高齢単身者のニーズに応えるため、市営住宅条例施行規則に定める応募可能な住宅の床面積基準を今年の4月募集より、40平米以下から60平米未満に見直します。これによりまして、高齢単身者が申込みを行える住宅を増やすこととしております。
白井議員:単身高齢者のニーズがあって、そのニーズに応えようとして応募可能な戸数を拡大する点は評価できます。是非、この応募のしおりに、表紙に大文字で書くなどで、高齢者にわかりやすく記述することを要望しておきます。
一方で、市営住宅の総数は増やさないという枠があるために、高齢者の居る世帯や子育て世帯など、この一般の世帯の倍率が上がることになってしわ寄せがきますから、市営住宅全体の戸数を増やすことが必要だと思うのです。
そこで、本市の高齢者向けの住宅の供給計画はどうなっているのかに注目をしました。
建築局がこれから策定する第3期高齢者居住安定確保計画の案では、横浜市内における高齢者に対する賃貸住宅および老人ホーム等の供給の目標を立てています。計画案の31頁ですが説明をお願いしたいと思います。
古木 住宅部長:スライドにありますが、高齢者人口に対する高齢者向け住宅の割合を2016年の3.2%から、2026年度には4.0%とすることを目標にしております。尚、ここに言う高齢者住宅とは、そこにありますが、有料老人ホーム・軽費老人ホーム・ケアハウス・シルバーハウジング・シニアりぶいん・サービス付き高齢者向け住宅・高齢者向け優良賃貸住宅・高齢者向け住宅(要配慮者専用賃貸住宅)の8つを対象としております。
白井議員:住まいと施設全体が含まれる計画だと思うのですけれども、施設の内、特別養護老人ホームや養護老人ホームが項目に含まれていませんけれども、どうしてなのでしょうか。
古木 住宅部長:本計画では、高齢者向け施設の内、主な施設の一つとして、特別養護老人ホームについて記載をしております。尚、特別養護老人ホームと養護老人ホームなどの施設につきましては、本計画の上位計画である第7期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画に位置付けております。
白井議員:7期の計画では、特別養護老人ホームは増やすことになっているのですけれども、養護老人ホームが増やすことになっていないのです。それで65歳以上で、家庭的・経済的理由で居宅養護が困難な方の施設で大事な施設ですので、是非ここにも含めて増やすという方向に持っていって頂きたいと思います。この目標をみて頂いて、増えるボリュームが大きいのは、この民間の①の有料老人ホームと⑥のサービス付き高齢者向け住宅だと思うのですけれども、目標数値を増やすということは、高齢者人口の自然増以上の割合で増やすということになって、定員数とか住戸数ともに大変な数が必要になると思います。8項目それぞれについて、供給の目標はあるのでしょうか。
坂和 建築局長:この8項目それぞれの住宅毎の供給目標は設定していません。尚、市営住宅は第5次住宅政策審議会から現在の供給量を維持しつつ、今後は高齢者世帯を中心に対応しながら、子育て世帯を誘導しミクストコミュニティ(UR賃貸住宅を活用した地域医療福祉拠点化という提言。国の施策でもある地域包括ケアシステムの一端を担う取り組み)を形成すると答申を頂いております。この答申を踏まえまして市営住宅再生の取り組みの中で、④でございますがシルバーハウジング、⑤のシニアりぶいん等の高齢者向け住宅の割合を多くするよう検討してまいります。又、民間が供給自治体となる⑥のサービス付き高齢者向け住宅、⑦の高齢者向け優良賃貸住宅、⑧の高齢者向け住宅確保要配慮者専用賃貸住宅は、今後も一定の供給水準が確保されていくものと考えております。
白井議員:④⑤、この市営住宅で割合増やすと言われたのですが、実数を増やすということですか?
坂和 建築局長:先程、申し上げましたが、第5次住宅政策審議会で現在の供給量は、維持すると枠組みの中で割合を増やす、増やしていくということでございます。
白井議員:市営住宅全体が増えないということなのですけれども、ではその建築局所管する民間の3項目の内で、本市が予算付けするのはどれなのでしょうか。
古木 住宅部長:そちらにあります⑦の高齢者向け優良賃貸住宅事業では、整備費補助と家賃減額補助を計上しております。又、新たな住宅セーフティーネット事業の内の⑧、高齢者向け住宅(要配慮者専用賃貸住宅)に対する家賃債務保障料補助及び、家賃減額補助に予算を計上しております。
白井議員:今、言われた⑧の新たな住宅セーフティーネットの事業の内、今年度からスタートしているのですけれども、2017年度(29年度)の計画と実績、2018年度(30年度)の予算措置戸数を伺います。
古木 住宅部長:登録住宅個数につきましては、29年度は500戸を目標としておりますが、実績は今日時点で2戸となっております。又、30年度の計画は、年間1,200戸としております。登録住宅の内、住宅確保要配慮者専用賃貸住宅については、家賃債務保証料補助及び、家賃減額補助とも130戸分の予算を計上しております。
白井議員:今年度、登録が2戸にとどまっているところをみると、大丈夫なのかと不安に思うのですけれども、予算措置達成のためにどうするのか、先程の委員のお答えにもありましたが改めて伺います。
坂和 建築局長:先ず、住宅のこの登録数、戸数を増やすための取り組みと致しまして、不動産関係団体への周知、或いは登録の働き掛けを行うほか、ホームページへの掲載や区役所行政サービスコーナーにもPRのチラシを配付をしております。又、平成30年度後半からは家賃債務保証料補助や家賃減額補助を開始する予定でありまして、オーナー側にとっても低額所得者を受け入れる上でのメリットになりますので、この点も重点的に PR していきたいと考えております。
補助があっても市営より家賃が高い民間に依拠するような計画は、確実性に欠けている
白井議員:市営住宅の抽選に漏れた方が、市営住宅相当の家賃で確実に民間物件に入れるかは、限定的だと思うのですが、どうなのでしょうか。
古木 住宅部長:法律に定めてます低額所得者は市営住宅階層と同じになっております。そういうことでして、登録住宅はオーナーが高齢者・障害者及び低額所得者などの入居を拒まない方の属性を選択することになっております。従いましてオーナーが低額所得者の入居を拒まないと選択した場合は、当然に低額所得者の入居を断ることはできなくなります。又、その登録住宅を先程説明させて頂きました家賃減額補助等を受ける住宅とした場合は低額所得者の入居が前提となっております。
白井議員:この新たな住宅セーフティーネット事業で、高齢を理由に断らない物件があって、家賃補助付きの物件があることで、貸し手と借り手の双方の不安が和らいだとしても、借り手が希望物件に入居できるかは、貸し手の判断次第だと思います。又、高齢者向け優良賃貸住宅は、この家賃補助があっても市営住宅より家賃が高い。こういった民間に依拠するようなこの計画では、確実性に欠けると思うのですけれども見解を伺います。
坂和 建築局長:高齢者向けの住まいにつきましては、市営住宅、或いは県営住宅・高齢者向け優良賃貸住宅のほか、住宅供給公社やUR都市機構などの公的賃貸住宅に加え、民間の賃貸住宅も活用していきたいと考えております。又、持ち家に暮らす高齢者の方も実は多くいらっしゃることから、例えば分譲マンションの共用部分の手すりやスロープの設置等、バリアフリーの整備への補助を行うなど多様な住まい方に応じた施策も進めていく必要があると考えております。
白井議員:しっかりと住宅のセーフティーネットを張って頂きたいと思うのですけれども、そのためには、その民間と市営とそれぞれを補強する必要があると思うのです。民間賃貸住宅も活用する、そして市営住宅も増やすということになれば、ネットが張れるということになると思うのですけれども、市営住宅増やさないで民間の賃貸住宅を活用して、それ実施するというのでは確実性に欠けると思うのです。市営住宅がこのセーフティーネットの根幹だと先程の答弁でもありましたように、確実にネットを張っておくためには、必要とされる分を、市として増やすということをしなければならないと思うのですが、どうでしょうか。
坂和 建築局長:若干、答弁が重なると思うのですが、市内には約11万戸の公営住宅や公的賃貸住宅が供給されています。又、ご親族との近接性とか病院など周辺施設の状況のほか、住戸タイプや家賃水準など選択の幅が非常に広い多くの民間賃貸住宅も立地しております。加えまして、新たな住宅セーフティーネット制度の取り組みを推進していくことにより、しっかりと対応していきたいと考えております。
単身高齢者が安心して生活できる住まいの確保は、公営住宅の拡充と国へ求めるべき
白井議員:今年1月に、札幌市内で体の不自由な高齢者が暮らす築40年以上の共同住宅で、11人が死亡した火災。これは低所得単身高齢者が安全に住むことができる住宅を、行政がどう用意をしていくかという、高齢者居住安定確保にあたっての行政責任を投げ掛けていると思います。
本市でも、無年金・低年金といった低所得で生活保護を利用する単身高齢者が増えている訳ですから、札幌火災が投げ掛けた問題をよそ事にはできないと思います。本市の第3期高齢者居住安定確保計画のこの目標において、行政が用意する市営住宅は増やさないということは、この計画と目標にこの視点が欠落していると思いますが、どうでしょうか。
坂和 建築局長:本計画では、市営住宅や県営住宅に加えまして、家賃補助付きの高齢者向け優良賃貸住宅を供給していることとしております。更に、先程申し上げましたように来年度から新たな住宅セーフティーネットによる家賃補助を行うことと予定しています。これらの施策により低額所得の方を含めた高齢者の住まいの受け皿づくりに向けて、取り組んで行くことが、今、必要かと考えております。
白井議員:札幌の共同住宅ですけれども、高齢や障害のために、一人暮らしが難しい人の住まいとしての役割を担っていたとされています。本市でも、生活保護の利用に際して入った、無料低額宿泊施設や簡易宿泊所での生活が長期にわたって、実質的な住宅となっている実態があります。当面の宿泊所が住宅になって終の棲家になっている訳です。直近の数字では、無料低額宿泊施設は43施設1427人、簡易宿泊所は121か所8371室、そしてそれに無届けの施設も入れれば1万人という規模です。先日の健康福祉局の審査で局長からの答弁ではアパートへ出たい人へは市が支援をしていくということでした。この第3期高齢者居住安定確保計画の第1章の計画の目的と位置づけのところには、住宅施策と福祉施策が一体となって、高齢者の居住の安定確保に向けた施策に取り組む必要があると、こう書いてありまして、その建築局と健康福祉局とが連携をしてやっていく、こういうことですから、こういった方の受け皿として、アパートだけでは無くって、生活支援の機能を付加した市営住宅での受け入れが必要となります。そのためにも、市営住宅の総数増やす必要があると思うのですが、どうなのでしょうか。
坂和 建築局長:市営住宅の総数につきましては、先程からお答え申し上げていますが、住まいや施設、健康福祉局との連携という視点から、ちょっとお答え申し上げますと、住まいや施設は高齢者が地域で生活を継続する上での基本となります。これは委員と同じ考えでございます。住まいや施設が安定することにより、健康づくりや地域参加・介護・医療サービスなど提供等の生産環境の向上をはかることができるという認識でおります。そのために、住宅施策と福祉施策が連携し、高齢者の住まいや住生活の安定と向上に向けて、しっかりと取り組んでいく必要があると強く感じております。
白井議員:それでは、副市長に伺いたいと思います。住宅セーフティーネットの根幹となる市営住宅を増やさない限り、セーフティーネットとして限界があると思うのです。市営住宅を必要分確保することこそが、一番の住宅セーフティーネットになると思いますがどうでしょうか。
平原 副市長:高齢者の居住の安定確保は、本市に重要な課題だというふうに考えてございます。そのため、公営住宅・公的賃貸住宅・民間賃貸住宅などの重層的な住宅セーフティーネットを構築してまいりたいというふうに考えてございます。市営住宅を増やすべきとのお言葉でございますけれども、市営住宅3万1,000戸、県営住宅は1万7000戸。又、住宅供給公社 ・UR 都市機構賃貸住宅を含めると、約11万戸の公的な賃貸住宅が供給されてございます。更に、市内にはさまざまな住戸タイプの民間賃貸住宅もございます。そのため、一定規模のストック数が確保されているというふうに考えてございます。
白井議員:重層的にすると仰るのですけれども、副市長に続けて伺います。このまま、不安定雇用が増大すれば、持ち家も家族も貯蓄も持たず、ずっと賃貸住宅で暮らす単身高齢者が拡大しますから、不安定雇用そのものを安定雇用に切り替えていく。そして又、そういった単身高齢者が安心して生活できる住まいの確保に、国が責任を持って公営住宅を増やしていく。これを国に求めるべきと思うのですが、副市長どうでしょうか。
平原 副市長:横浜市の考え方については、先程ご答弁させて頂きました。いずれにしましても、高齢者の居住、或いは低所得者の居住。これ大変重要な本市の重要な課題だというふうに考えてございます。そういった意味では、住まいや施設の供給・生活支援の提供等、住宅部門と福祉部門が連携して取り組んでいく必要があるというふうに考えてございます。国への要望につきましても、そういった中で連携して検討していきたいと思います。
白井議員:再度、副市長に伺うのですが、先程民間も活用していくということだったのですけれども、その民間賃貸住宅が余っているから、住宅セーフティーネットの構築は、民間住宅を活用するとして、公営住宅建設の費用は出さない。民間空き家対策と市営住宅建設抑制をセットで論じているのですけれども。その一方で、都市整備局の審査で明らかにしたように、民間住宅が余っていても、グローバル企業向けの高規格の住宅、新規建設どうしても必要だと言って、巨費が投じられるのですけれども、そこには民間空き家対策出てきていませんでした。市民向けの市営住宅だけ、その民間空き家対策論を持ち出して、抑制するっていうのは、あまりにも恣意的だと思うのですが、どうでしょうか。
平原 副市長:先程から、ご答弁申し上げましたとおり、公営住宅いろんな種類がございますけれども、一定の規模がございます。又、民間の方にもさまざまな住宅があるということで、単に空き家対策ということだけでは無くて、市内にはそういったストックはございますので、それぞれの分野の住宅を有効に活用していくことが重要かというふうに考えております。
白井議員:局長に伺いますけれども、国の方針とか市の住生活基本計画に固執する態度は放棄をして、市営住宅建設に転換する考えは無いのか、再度伺います。
坂和 建築局長:市営住宅のありかたということで、住宅政策審議会で約1年半掛けてさまざまな議論させて頂きました。その中でデータとかを整理しながら、今後10年とか20年先、市営住宅の供給量・全体の住宅・市内の住宅供給・住宅の戸数なども整理しながら調査しました。そういうこととそれの結論・結果は現在の数を維持しながらも高齢者にシフトさせて、又、ミクストコミュニティの観点から若い世代も呼び込むような市営住宅を整備していくということでございます。それを受けまして、先ずはトイレ、お風呂とか無い住宅から再生に取り組んで、大規模な住宅・団地などではさまざまな公共施設を入れて、街づくりと一体となって進めるという方針を出してきました。こういう中でしっかりと取り組んでいくことが重要だと考えております。