市は査察を重要視し人材育成と人員配置を整え、無料低額宿泊所も査察対象に
みわ議員:みわ智恵美です。日本共産党を代表し質問いたします。
(H)28年度の横浜市消防局年報を読ませていただきました。そこで横浜市における危険物製造所等の数や火災予防査察実施状況の数の多さに驚きました。福祉施設など査察対象となっている箇所が2万か所を越えており、消防局が行う横浜市民の安全安心への日頃からの取り組みに頭が下がる思いがいたしました。ここで消防局において査察を行う根拠とその意義について伺います。
坂野消防局長:消防法、石油コンビナート等災害防止法、火薬類取締法に基づいて職員が建物や危険物施設等の防火対象物に立ち入り、その構造・設備・管理の状況等について検査できることとされております。この査察を通して実態を把握し関係者に、火災予防上適切な指導を行い、利用者等の安全を確保するとともに、万一の出火に際しても被害を最小限に留めるものでございます。
みわ議員:今年度、この査察などに取り組む予防部において機構改革が行われたと伺っておりますが、その理由を伺います。
坂野消防局長:今年度の機構改革では、県から委譲された火薬類取締法に関する業務や危険物施設の許認可立入検査、事故発生時の対応を行うため保安課として体制を整えました。また建築物等の計画段階から竣工時の立入検査等の査察指導に至るまで一貫した安全対策指導を行うため指導課として体制を整えました。
みわ議員:対象の危険物施設を見ますと鶴見区は1331か所、中区は543か所ですが、私の住む港南区では47か所です。ここで消防局の職員配置を見ますと、鶴見区では毎日勤務者と隔日勤務者の合計が282人で、それなりに厚い人員配置かとも思いますが、桁はどうなのかとも感じました。また中区は合計で184人、港南区は155人です。中区は港南区の10倍以上の危険物施設数であるのに査察体制は大丈夫なのだろうか、どのように取り組むのかと思いました。実際の査察実施体制を伺います。
坂野消防局長:査察は予防部指導課特別査察隊と消防署で分担して実施しております。大規模な対象物の査察は、特別査察隊が実施し、それ以外の対象物については各区の防火対象物の数や管内情勢等を考慮して消防署に配置した査察の専門職員と消火救助等に従事する警防職員で実施しております。
みわ議員:いずれにしても、人材育成も大切だと感じます。2万件を超える査察対象物について査察の考え方について伺います。
坂野消防局長:査察は過去の火災の教訓から、本市では旅館・ホテル宿泊を伴う福祉施設は1年に1回以上、不特定の方が多数利用する飲食店や病院等は3年に1回以上、学校・事務所等は5年に1回以上を基本に実施しております。
みわ議員:秋田県の横手市で共同住宅火災がありました。多くの人命が奪われております。どうにかできなかったのか、自治体や消防はどうしていたのかとの思いを持ちました。横浜市では類似する共同住宅の査察はどのようにしているのか伺います。
坂野消防局長:横手市で発生した火災の建物は、その使用形態から一般的な共同住宅として扱っております。共同住宅の査察は定期的に実施していませんが、必要に応じて実施しているところでございます。
みわ議員:今お話ししていただきましたが無料低額宿泊所、これも共同住宅ととらえて旅館などのように査察の対象としていないということですが、特命査察を実施したと伺いました。その経緯を伺います。
坂野消防局長:横手市の火災では、生活支援等を必要とする複数の入居者が犠牲になられたとの報道を受けまして、本市にも生計困難者が無料又は低額な料金で入居できる、無料低額宿泊所があることから、こうした建物の火災予防を徹底するため特別に実施をいたしました。
みわ議員:今回行いました横浜市の無料低額宿泊所に対する特命査察の結果について伺います。
坂野消防局長:市内全ての無料低額宿泊所、43対象に査察を行った結果、32対象で消防設備や防火管理等の不備がありました。この内8対象については、既に是正されましたが、残りの24対象については継続して是正指導を行っています。
みわ議員:早急に特命査察が実施されたのは良かったと思いますが、実態は大変な状況であることがわかります。昨年の決算総合審査では別の施設ですが、未届けの有料老人ホーム22施設のうち15施設についての消防の立入検査の結果を報告していただきました。そこでも実施した中の半数以上、9施設に不備があったということでした。いずれにしても貧困の中で、高齢の一人暮らしの方々が生活されている場の安全が確保されていないのは、命の尊厳に関わる問題だと思っております。重大な状況だと思います。ここで副市長に伺いますが、今回、強制立ち入りとなり多くの不備が明らかとなった無料低額宿泊所は、国の法令では共同住宅であるとして対象外となっていますが、福祉的要素が多分にある施設です。自らが防火防災の取り組みがなかなかできない、また短期で移動してしまう方が多い場所です。そして横浜市は全国でも無料低額宿泊所が多い都市としての特徴があります。無料低額宿泊所は市として査察対象とすべきと考えますが伺います。
柏崎副市長:無料低額宿泊所につきましては、利用形態が共同住宅であることから、現在も必要に応じて査察は実施しているところでございます。今後は利用実態も十分確認した上で、査察の必要性を考慮しまして、定期的な査察計画の対象とすることも含めて検討して参りたいと思います。
みわ議員:建築法上の問題があったところがあるとも伺がっております。ぜひ今の検討を深めていただきたいと思います。査察は市民の安全と安心に欠かせない重要な任務です。人材育成と人員配置が重要です。今後もしっかり取り組んでいただくことを要望しまして次の質問にまいります。
消毒室の設置が無いことで、わざわざ他の署まで行く無駄な時間が、署員の無駄な労力と回りまわって市民の命を脅かすので全署への設置は急務
みわ議員:次に消防署所の消毒室の整備状況について伺います。
高坂副局長:(H)28年度はこれまで区内に消毒室が無かった港南区と栄区を含む三か所に整備し、消毒室22か所から25か所となりました。これによりまして未整備の区は泉区のみとなりました。
みわ議員:今後の整備方針について伺います。
坂野消防局長:各行政区に複数の消毒室の整備を目標に、順次拡大に努めてまいります。
みわ議員:よろしくお願いします。
先日港南消防署の夜間救急の実態調査をさせていただきました。港南消防署は新しくなり消毒室も整備されました。委員長、スライドの使用許可をよろしくお願いいたします。
こちらのスライドをご覧ください(スライド1)
映っているのは救急隊の出場を示しているランプで、午後8時56分の時点です。上から港南、芹が谷、野庭、港南台と4つの名前にライトが全部付いております。これは港南区内の救急隊が全て出場しているということを示しています。ここで区内からの救急要請が発信された場合は、近隣他区からの救急隊が駆けつけるとのことです。次のスライドご覧下さい(スライド2)
午後9時45分頃に署に帰着した救急隊が、1時間後の午後10時42分また出場するところです。東京の大学病院への転院搬送要請でした。この出場で署への帰着は午前1時40分でした。多摩川を超え、そして帰って来まして3時間かかりました。この後また午前3時39分出場で6時9分帰着、約20分後6時32分に出場、午前7時に朝食の準備ができましたが救急隊は帰っていませんでした。次のスライドをご覧下さい(スライド3)
午前7時49分の状況で、1枚目のスライドと同じように見えますが違います。区内救急全4隊が、またこの時間にも出場したという事態です。実は一番上の港南のランプ港南署です、ここのランプが一時署への帰路に着いたことを示す点灯となったのですが、点滅となりました。そしてまたすぐに点灯しました。これは救急車の内部が血液などで汚れた場合に、洗浄消毒などをする時間が必要で、その間、救急出場できないのでランプを点けているのだということでした。駐車場に降りてみると車内洗浄が終わったところでした。港南署には消毒室が設置されたので、先ほどご紹介いただきましたが、すぐに洗浄ができていました。しかし区内の3つの消防所には消毒室が無いので、そこに配置されている3隊の救急隊は消毒室を必要とする場合、その事態が生じれば港南消防署まで来て、消毒室を使用し、洗浄し自らの消防所に帰っていくということです。13時間もの夜間救急を体験させていただいて救急隊員が休む間もなく、食事もまともにとれず勤務する姿を目の当たりにしました。そして救急隊員の労働安全衛生がしっかりと実施されている勤務状況は何よりも市民のためとなるので、人員の配置と合わせて消毒室の整備が、救急隊員の無駄な労力を削減するためにも、急いで必要だと強く思いました。この点について改めて局長の所見を求めます。
坂野消防局長:救急隊の感染防止でございますが、洗浄や消毒などをすることは非常に重要でございまして、消毒室の整備・促進に努めているところでございます。今年度新たな取り組みとして市立病院の他、救命救急センターを有する医療機関などのご協力をいただきまして救急隊が医療機関の洗浄施設を借用できることとなりました。このような状況を踏まえまして引き続き安全な救急活動に向けた消毒室の整備、あるいは環境整備等に努めてまいります。
みわ議員:是非ともよろしくお願いいたします。病院等との協力連携もできたということで、少しは前進していると思います。ただ消毒室の整備には署所の建替えや増築も含むものが多く、大変予算も大きいと思います。副市長に伺いますが、この点について消毒室の整備は早急に進めていかなければならないのですが、予算もかかります。国にも要望を挙げるべき課題だと考えますが見解を伺います。
柏崎副市長:消毒室の必要性等について、先ほどまさに局長からご答弁した通りだと思っております。そのことは私も認識をしておりますので、そうした業務の特質性ということ、あるいは市民の安全安心、それから職員の安全安心ということにもつながるわけですのできちんとした機会をとらえて適切な環境整備に取り組んで参りたいと思います。
みわ議員:ぜひ国にもしっかりと求めていただきたいと思います。夜間救急の実態調査にご協力いただいて本当に有難うございました。当日は幸いにも消防隊の出場はありませんでした。署内では夕食後に消火活動を行った火災現場の振り返り学習、訓練、運動にと取り組まれており、全て市民の生命と財産を守るための、たゆまぬ努力がされていることを実感いたしました。すぐに出場要請があれば応えなければならないので、体力保持と言っても外でのランニングなどはできません。ランニングマシーンなどアスレチックのマシンの必要性も感じたところです。この点での整備については検討していただくことを要望いたしまして、次の質問に移ります。
市民には安心感、事業者にはイメージアップの適マークを劇場、映画館、百貨店にも設置を
みわ議員:消防法令に適合していると認められた施設等へ交付される適マーク制度について伺います。スライドをご覧ください(スライド4)
こちら青いマークですが、私も確か映画館・デパートなどで見た記憶があります。この以前の青い適マーク制度が廃止された理由について伺います。
坂本予防部長:(H)13年に発生した新宿区歌舞伎町の雑居ビル火災では、防火管理体制の不備が明らかになりました。この火災を教訓として、適切に防火管理が行われていることを示す、新たな表示制度が消防法に規定されたことに伴い、従来の適マーク制度は廃止されました。
みわ議員:次のスライドご覧ください(スライド5)
左側が銀マーク、右側が金マークです。この金の適マークが初めて横浜市で交付となったということで、記者発表の資料もいただきました。現在のこの適マークまた新たになっているということですが、改めて開始された経緯と制度の内容について伺います。
坂本予防部長:(H)24年に発生した広島県福山市のホテル火災を踏まえ、旧適マーク制度の仕組みが再評価され(H)25年の消防庁通知により新たな制度として運用が示され、本市では(H)26年からこの制度を開始しました、本市では旅館やホテルを対象としており、関係者からの申請により防火管理状況等が表示基準に満たしている者に交付しています。適マークの表示は2種類あり、初年度は銀色のマークを交付し、その後3年間適正な防火管理を継続した対象物に金のマークを交付しています。
みわ議員:以前の適マークは、私が見たように映画館やデパートにあったのですが、今度の適マークは旅館ホテルのみを対象としているということですが、その理由について伺います。
坂野消防局長:旅館ホテルはその地域の住民の方々に限らず、全国から不特定多数の方々が訪れ宿泊する施設であることから、特に宿泊者が建物の安全に関する情報を得られるよう交付対象としているところでございます。
みわ議員:市民にとってもやはり安心感を持つことができて、事業者にとってはイメージアップ。市民の安全について対応しているかどうかが問われる緊張感につながるので、劇場、映画館、百貨店なども適マークの対象交付とすべきと考えておりますけれども、見解伺います。
坂野消防局長:劇場、百貨店につきましては、営業時間や滞在時間が限られ宿泊を伴わないことから、現行の表示制度で対応できているものと認識をしていますが、今後旅館ホテルの交付状況はその効果などを見極め、拡大の必要性について検討していきたいと考えています。
みわ議員:ぜひとも検討して頂きたいと思います。