マリンタワーの運営に、市のPDCAサイクルを
みわ議員:日本共産党のみわ智恵美です。質問します。
横浜マリンタワーのリストとゼットンによる運営事業について、横浜市のPDCA( Plan《計画》Do《実行》Check《評価》Act《改善》)はどのように行われているのかP,D,C,Aそれぞれについて具体的にお答えください。
雨宮観光MICE振興部長:運営事業者の間で提携した定期建物賃貸借契約に基づいて、毎年、運営計画書及び報告書の提出を求め、その内容を確認しています。また、運営事業者との定例ミーティングによって施設の管理状況等について確認及び協議を行っているところです。 PDCAはその中で十分検討させて頂いていると考えています。
みわ議員:では、PDCAの大本となるリストの提案した横浜マリンタワー再生事業の提案書にある、施設全体の運営計画における「企画・運営における具体的目標」が5点掲げられていましたが、述べてください。
雨宮観光MICE振興部長:全てを読み上げると時間がかかりますので、要旨を述べます。
1、広場に公園、広場的なランドスケープデザインを取り入れる。2、ライティングの手法を取り入れてランドスケープデザインによって新しい顔を作り上げる。3、FM横浜のサテライトスタジオを誘致し、宣伝広報活動に役立てるとともにイベント企画とも連動させて広場の賑わいをつくっていく。4、内部のレストランと連動したトワイライトウエディングを企画し、広場の華やかさをつくり上げる。5、サテライトスタジオの横にカフェバーを設置し、まちの回遊性を生み出す工夫をする。以上です。
みわ議員:横浜マリンタワー運営事業選定委員会は、只今の運営計画、これらの提案を出したリストに対して、観光交流機能としての展示情報センター、FMサテライトスタジオなど、これを高く評価しました。事業スキームの具体性が他社の倍の評価で20点、提案事業の波及効果についても、群を抜いて15点など、総合点は100点の満点を超えて120点の評点を出しました。結果、リストが優先交渉権者となりますが、しかし、選定を決定した委員会は答申を出したら直ちに解散します。ですから、提案書通りに実施されるようチェックをする役割が横浜市にあると考えますが、見解を伺います。只今のPDCAがその事業をチェックする内容になっているのか、見解を伺います。
中山局長:当時は、優先交渉権者を決定したあと、横浜市と優先交渉権者との間で事業の実施方法や運営方法に関して協議を行い、当初の募集要項等を踏まえた上で契約を締結しました。提案内容については概ね達成されています。
みわ議員:選定をした委員会はリストについて「広い視点に立ち堅実・明確な提案が評価された反面、展望台を含めた集客の方策については具体性に欠けるとの指摘」をしています。そして「より具体的なプロモーション計画の策定などのいくつかの要望」を上げています。さらに、今後の事業展開における横浜市とのパートナーシップに期待をかけています。
先ほど答弁されたPDCAサイクルではあまりにも選定委員会の出したこと、リストが出したものに対して、心もとないと考えますが、改めて見解を伺います。
中山局長:先ほど観光雨宮観光MICE振興部長が答えたように、毎月1回必ずリストとの話し合いをしまして、どこが良かったか悪かったかということをやっています。私は十分にやっていると考えています。
みわ議員:マリンタワーは、横浜市の財産であることから単純に商業施設としての運営ではないものとして、公益床、営業床、共用床とあります。公益床と営業床の違いはどうか伺います。また、決算年度マリンタワーの公益床では、どのような取り組みがされていますか。伺います。
中山局長:マリンタワーは、定期建物賃貸借契約により収益事業を行う営業床と公共公益的な用途に使用される公益床、その他の共用床から構成されています。まず、公益床については、横浜グッズを販売するマリンタワーショップを除いて、常設の物販店舗を設けないこと、及び飲食を伴う利用は行わないことを原則としています。また、公益床には、観光情報を案内する横浜シティガイドディスクや、横浜の歴史を紹介するイメージオブ横浜、文化交流拠点としてマリンタワーホールが設定されており、ミニコンサートやFMラジオの公開収録、キッズアート展、スタンプラリーなどのイベントにも利用されています。
みわ議員:今、紹介をしていただきましたけれど、公益床の利用状況が、本当に十分に生かされているのか、そうとは思えません。横浜マリンタワーが広く市民のための場であり、横浜のシンボルとしての観光地としての役割を担う場であることは大切な要素です。もっと、市民が利用しやすいように市の取り組みそのものが必要と考えますが、いかがですか。
中山局長:マリンタワーでは、運営事業者が地域交流や回遊性を高めるイベントなど様々な工夫に取り取組んでいて、民間ならではのアイデア、また経営ノウハウが発揮され、文化観光の拠点としての役割を果たしてと考えています。今後も市民の皆様による施設利用の機会が増えるよう、運営事業者と協力しプロモーションに力を入れていきたいと考えています。
みわ議員:報告を受けて、良いとか、どうというだけ、運営がきちんと安全にされているというのは、大前提のところだと思います。リスト自身が、この提案書出した時に市・事業者・内部協力会社の役割分担の中で、単なる賃貸借契約の関係にとどまることなく、運営内容の報告を行い、横浜市からの意見要望を取り入れていくこととしています。市として、今後のマリンタワー運営事業への関わりについて、先ほどもっとプロモーションを上げていくと言われましたけれども、関わりについて改めて見解を伺います。
中山局長:リストは、民間企業として十分な内装投資をし、そして、エレベーター等の運営も一緒に行っています。そして、我々と月一回のミーティングをしながら、どこが良かったのか悪かったのかということを話し合いながらやっているということを考えますと、私は十分にやっていると思います。ただ、もう少し市民利用を増やすためのプロモーションというのは、少しやるべきであろうと、私としては思っていますので、先ほどのような答弁をしました。
みわ議員:選定委員会が選んだ提案の内容、それとあまりにもギャップがあるような契約であってはならないと思います。次期マリンタワー運営事業者を選定する委員会条例が議決されました。次なる10年に向けて、これも選定委員会は選定したら直ちに解散してしまうので、選ばれた事業者の運営のチェック機能はありませんので、改めて市として取り組みの姿勢を再認識することを求めたいと思います。
強引に進めた新たなMICEと豪華ホテル建設は、将来に禍根を残す
みわ議員:引き続いて、みなとみらい21中央地区20街区のあらたなMICE施設整備事業の現在の進捗状況を伺います。
雨宮観光MICE振興部長:MICE施設は、8月1日から予定通り建築本体工事に着手しており、平成32年3月の竣工を目指し、着実に工事を進めています。また、民間収益施設のホテルは、9月中旬に建築本体工事に着手しているところです。
みわ議員:2020年開業に向けてすすめられているわけですが、このMICE整備事業は、災害発災時に緊急物資、医薬品などの受け入れ、避難者や復旧支援者などの輸送の拠点となる耐震強化岸壁として整備されたみなとみらいの2つの耐震岸壁からの、第一次緊急輸送道路である港湾2号線道路を、決算年度に廃道とし、進められています。
港湾2号線は、緊急輸送路として港湾1号線道路1本ではネットワークにならないことから、東日本大震災後に追加指定されました。それを廃止するというのは、防災の基本が投げ捨てられた事態です。
そもそもこのあらたなMICE施設事業の方針決済が行われた2014年には、市長はじめ35人もの決済がありますが、緊急輸送道路の所管である危機管理監の決済がありません。この事業を文化観光局が強引に推し進めるために、危機管理監を除いた決済とした見切り発車だったのではないでしょうか。伺います。
雨宮観光MICE振興部長:平成25年度の方針決裁は、あくまでもMICE事業の実施に関する方針決裁です。必要な範囲において横浜市事務決裁規程に基づいて適正に処理していると考えています。
みわ議員:緊急輸送路として指定したばかりの道路の廃道も含めた事業起案であります。危機管理監の頭越しで、これが推し進められたことは間違いない事実だと考えます。
ペデストリアンデッキを緊急輸送路である港湾2号線上にかけて既存のパシフィコ横浜とつなぐ構想もあったはずです。さらに、方針決済書には、「ホテル等の民間施設」の土地について、「原則として事業者へ適正価格にて貸付を行います」とありました。今回売却しました。何故売却に変更したのですか。
雨宮観光MICE振興部長:平成25年度に実施したサウンディングの結果から、ホテル事業は採算性が厳しく、土地費用の負担は厳しいことが想定されたため、原則貸付としました。しかし、その後事業者との質問回答などを通じて、土地売却の可能性があることが分かったため、幅広い提案を受け付けるために売却を選択肢に追加したところです。
みわ議員:事業者側の都合だったということがわかりますが、その要望を受けて建てるこのホテルは、一室50平米の広さを持つラグジュアリーホテルと伺っています。半分近くの部屋が会員制となっており、この提案を評価した理由を伺います。
雨宮観光MICE振興部長:市内には一室あたりの面積が50平米以上の部屋を主体としたホテルが少なく、お客様のニーズに十分応えられていない状況です。このため、ラグジュアリーホテルが整備されることによって、MICE利用者の選択肢が広がるとともに、国際会議などに参加するVIPへの対応の幅も広がると考えています。また、アフターコンベンションとして質の高いバンケット利用やMICE施設へのケータリングサービス提供などが可能となることから、ラグジェアリーホテルの計画を高く評価しました。
みわ議員:ホテルの部屋の半数は一般の会議利用者が使えない会員制のものです。かなりの広さなので、会議利用者、富裕層がということでしたけれど、一般の方は簡単に使えないものです。最近20街区のこのラグジュアリーホテル予定地の目の前にホテルが開業しましたが、2020年頃までにみなとみらい近辺でのホテルの開業予定はどうなっていますか。
雨宮観光MICE振興部長:今年すでに建設されたものを含めて、2020年までに約4000室のホテルが建設される見込みです。
みわ議員:多くのホテルが整備されると伺っています。相当の部屋数が増えることがわかります。パシフィコ横浜で国際会議などが行われる場合、旅行代理店や会議主催の事務局は、宿泊するホテルについてパシフィコ横浜にあるインターコンチネンタルホテルだけでなく、近隣のホテルを案内して利用者、参加者はそのリストからホテルを選ぶわけです。今回の20街区の施設整備に無理にホテル建設は、必要なかったのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
中山局長:現在のパシフィコ横浜、会議センター、展示ホールに加え、ホテル等が一体となって「オールインワン」の機能を有していることが利用者の方々から高く評価されており、その結果、国内トップクラスのMICE開催実績を誇っています。こうした実態をふまえ、新たなMICE施設を国内外にアピールするとともに、ホテルを含む機能を備えた施設とすることは大変重要です。また、MICE関係者からもラグジュアリーな部屋の増設というものを強く、ニーズがあると言われています。
みわ議員:横浜文化体育館の再整備では、民間のホテルが建つ土地は、貴重な角地で売却はしないことと決定しています。新たなMICE施設は、横浜市のものですが、20街区角地のこのホテル事業の部分は、事業者に売却するので、横浜市のものではなくなり、しかもホテルとして供し、他への売却などができない期間は20年でしかありません。もう横浜市の土地ではありませんから、20年後の次なる活用についての規制は限られています。「オールインワン」どころではなくなることも考えられます。
ホテルをつくらなければ、土地を売却しなければ、緊急輸送路の廃止も必要ありませんでした。民間からの言いなりで、緊急輸送道路を廃止して、土地も売却し、強引に進めることは、将来に禍根を残すものとなるのではないかとの強い懸念を申し上げて質問を終わります。