議会での質問・討論(詳細)
2017年10月16日

■政策局(かわじ民夫)

次期計画に、地域交通サポート事業への財政支援を

かわじ議員: かわじ民夫です。日本共産党を代表して質問します。
最初は、横浜市の地域交通政策についてです。2013年に施行された交通基本法に基づく国の基本計画は「交通は国民の日常生活・社会生活の保障、活発な地域間交流・国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展を図るための社会的基盤であり、交通政策を推進するにあっては、交通の機能を将来にわたって十分に発展させ、国民等の交通に対するニーズを適切に満たしていくことが求められている」としています。
では、本市の現中期4か年計画における地域交通政策の方向性はどうか、伺います。

小林政策局長:基本政策の一つとして、市民に身近なきめ細かい交通機能等の充実を位置づけていて、超高齢社会に対応した住み続けられる住宅地の形成に向け、地域の移動手段を維持充実するための支援や政策を推進することとしています。

かわじ議員:中期計画では、「高齢化の進展に伴い、自家用車を運転できない高齢者等の移動手段について、公共交通の重要性が増大しており、自治体をはじめとして交通に関わる様々な主体が相互に協力し、地域が一体となって交通ネットワークを形成することが不可欠になっている」とあります。であるならば、様々な自治体・地域で事業化されている公共施設や病院等を結ぶコミュニティバス事業を本市にも導入すべきと思うがどうか、伺います。

小林政策局長:コミュニティバスは、地域交通の一つの方策であることは承知しています。導入にあたっては、いくつか課題もあると認識しています。超高齢者社会が進展する中、今後も地域交通サポート事業をはじめとした、様々な手法を活用することで地域交通の維持充実が図れるよう取組んでいきます。

かわじ議員:それでは、本市が財政的支援をしている生活交通バス路線維持支援事業は、どのような事業でしょうか。

政策担当部長:市内の生活交通として必要なバス路線を維持するため、事業者に補助金を交付し、市民の日常生活の利便性を確保する事業です。

かわじ議員: バス事業としては、採算が取れない路線について、地域住民の移動を保障するとして、民間バス5路線、横浜市交通局10路線の合計15路線に不採算分が支援されており、2016年度決算では、3億9400万円の補助金が支出されました。
それでは地域交通サポート事業について説明して下さい

政策担当部長:生活に密着した交通手段の導入に向け、その実現に至るまでの地域主体の活動を支援するものであり、行政からの財政支援に頼らない自立した運行を目指したものです。

かわじ議員:現在「地域まちづくりグループ」に登録することが求められていますが、そこには31のグルーブが登録され、本格運行しているのは12グループ(実証4グループ)で、残り15グループは、運行に至っていません。運行したいと取組できたものの、条件がそろわず中断しているそうです。その大きな要因に採算が取れない問題があると聞きます。
私の住む旭区では、連合自治会ごとに区役所等と取り組むタウンミーティングという地域要望懇談会が毎年行われます。だいぶ前になりますが、東希望が丘連合地区タウンミーティングで「地域のミニバス要求」が、取り上げられましたが実りませんでした。採算面で見通しが立たなかったようです。また現在、四季美台地域の「四季めぐり号」は本格運行していますが、採算面においては相当厳しい状況にあると聞きます。しかし交通事業者の地元タクシー会社が、「お世話になった地域の皆様への還元」だとして運行を続けていると聞いています。
高齢化の進行に伴い交通不便地域が広がっています。多くの地域で交通手段の確保に懸命に取り組んでいるものの、現在の「地域サポート事業」の仕組みでは、採算面で見通しが持てず断念しています。地域では何とかしたいと、一生懸命に取り組んでいるのです。不採算のバス路線への支援と同じように、地域交通サポート事業にも財政的支援をすべきと思うがどうか、伺います。

小林政策局長:地域交通サポート事業は、先生のご承知の通りだと思いますが、地域の主体的な取り組みを基本としていて、本格運行に向けた地域の活動への職員派遣や、活動費用の助成等を行うことで事業進めています。
かわじ議員:採算面が取れないということで、できてないわけですが、交通不便地域の交通手段への保障は、では、どのように考えているのか伺います。

小林政策局長:交通不便地域の保障ということですけれど、私ども、これまでも先生からご指摘いただいたような事業によって、地域交通の維持充実を図ってきているので、引続き、市内の状況を見極めながら、事業地域交通の充実に向けて進めていきます。

かわじ議員:財政支援が必要なんですよ。
この問、わが党は交通不便地域への移動支援等、繰り返し議会で取り上げてきました。現中期計画では「高齢化の進展に伴い、高齢者等の移動手段としての公共交通の重要性が増大しており、自治体をはじめとして交通に関わる様々な主体が相互に協力し、地域が一体となって交通ネットワークを形成することが不可欠になっている」とあります。
そこで、交通空白地域、交通不便地域の解消について、次期中期計画で具体化を図るべきと思いますが、どのように反映させるのか、伺います。

小林政策局長:高齢化の進展に伴って、買い物や病院など日常生活を支える移動手段の確保は、重要な課題であると認識しています。市民の皆様や民間事業者と連携した地域交通の維持充実に向けた取組み等について、引き続き検討を進めていきます。

かわじ議員:財政的な支援も、大きな問題だと思いますが、副市長にも伺います。

渡辺副市長:超高齢人口減少社会が進展する中で、地域交通の維持、充実については、大事な課題だと認識しています。今、とりわけ市内の郊外部において、いわれる地形上の山坂が多いという状況で、買い物や通院などに苦労されている高齢者の方もいらっしゃいます。こうした視点に立って、次期中期計画を策定する中で検討していきたいと考えています。

かわじ議員:進めていただきたいと思います。安心できるように。

国際園芸博覧会誘致計画は、過大な規模にならないように

かわじ議員:次は、上瀬谷通信施設跡地の国際園芸博覧会についてです。
2015年6月に米軍上瀬谷通信施設が日本に返還されました。横浜市は、跡地利用促進策として、2026年に開催される国際園芸博覧会を同施設跡地に誘致することを目指していますが、その経緯、目的と基本理念について伺います。

海道政策調整担当理事:国際園芸博覧会は、上瀬谷の知名度向上とともに、必要な基盤整備が促進され、新たな郊外部の活性化拠点の形成を図ることができると考えています。本年6月に有識者委員会を設置し、招致検討を進め自然共生や幸福感などの豊かさの質を深める社会への転換の観点から、基本理念などの審議をいただいているところです。

かわじ議員:旧上瀬谷跡地は、国有地や民有地等合計242ヘクタールの首都圏に残された広大な空間です。今後の、郊外部の街づくりにとっても大きな役割を持つ重要な地域です。
そこで、本市が取りまとめる横浜国際花博の基本構想は、どのように描いているのか、その概要を説明してください。

海道政策調整担当理事:基本構想案は、開催維持費やテーマ、事業展開、会場規模などについて、委員会における審議を元に地権者の皆様方を始め、市民、市会、関係機関などの皆様からご意見を伺い、取りまとめる予定です。

かわじ議員:スライド(①)をご覧ください。招致検討会の現況概念図です。

スライド1

第4回・花博招致検討委員会の「会場跡地の考え方」では、郊外部の活性化拠点を形成する土地利用の検討として、活力創造:産業振興、賑わいや交流を促進、会場の主要区域を都市公園とする、公園の検討の視点に「新たな発想に基づいてPPP/PFI等の公民連携を取り入れ、地域活力を創出、ガーデンシティーの一環として、市域のまちづくりで実践、国内外に波及」とあります。大規模開発であり、私は市の財政負担の肥大化を懸念しています。 
2006年に瀬谷区役所が、学識経験者や地元住民の意見を参考にして「米軍施設返還跡地利用指針」をまとめました。「農・緑・防災の大規模な野外活動空間」をテーマに設定し、4つの方向性を掲げています。こうしたことを基本に据え、緑や自然を望む市民の意見を十分に尊重し、本市に過大な財政負担を強いる「箱もの」を中心とした土地利用計画の策定は、すべきでないと思います。伺います。

海道政策調整担当理事:首都圏でも貴重で広大なエリアを有する上瀬谷の持つ魅力を活かして、都市的土地利用の推進や都市農業の振興といった観点から土地利用を検討しています。引き続き地権者の皆様をはじめ、市民の皆様の意見を踏まえながら新たな活性化拠点の形成に向けて検討を進めていきます。

かわじ議員:横浜国際花博は1990年開催の大阪花博を参考にすると聞きます。大阪花博は、1990年に日本初の国際園芸博として開催されました。大阪花博をネットで検索すると跡地は、「廃墟『国際庭園』外国人観光客から嘆きの声…花博から四半世紀“残念”な実態」とあります。跡地には今でも国や地域を代表する55の庭園が存在しているものの、ほとんどが放置され“廃墟化”の状態で、一部の建物は心無い来園者らに破壊され、倒壊などの恐れもあるとして立ち入り禁止の庭園もあり、草木は伸び放題、さびれたテーマパークのような状態になっている庭園もあるとのことです。維持管理費の予算計上が不十分なためです。公園の規模としてもその適否について検証が必要です。

横浜国際花博は、大阪花博の何を参考にするのですか、そして、開催後のまちづくりについて、どのようなことを参考にするのか、伺います。

海道政策調整担当理事:国内では参考としている博覧会は、1990年に大阪で開催された国際園芸博覧会もそうですが、2005年に愛知で開催された国際博覧会、それから海外でもオランダなどで国際博覧会が開催されていますので、そういったものを参考にしながら会場の跡地利用、あるいは周辺地域のまちづくりについて検討進めていきたいと考えています。

かわじ議員:具体的に述べてください。

海道政策調整担当理事:例えば、大阪の花博であれば、現在、若干ご指摘なところもあるかもしれませんが、新たな公園の活用について大阪市は検討してるという承知していますし、愛知の国際博覧会の跡地においても公園として現在も多くの方々が利用されていると承知しています。それから海外のオランダなどの博覧会では、その後、産業公園都市といった、新たな土地利用転換など進められていますので、そういったものを参考にしたいと考えています。

かわじ議員:2009年4月から半年間にわたって行われた横浜開港150記念イベント「開港Y150」の有料入場者数は、ベイサイド及びヒルサイドの合計で、約124万人、目標とした500万人の4分の1にもなりませんでした。その結果、最終的な収支では、約97億円が本市の負担となりました。本市、協会・事業者の責任分担も曖昧だったことなどから裁判沙汰にもなりました。
国際花博は、国が開催主体であり、Y150とは違いますが、こうした失敗は2度とあってはならないものと考えます。市は、入場者数を1000万人から1500万人を想定しています。交通利便性に恵まれていない郊外部でのスーパービッグイベントであり、会場へのアクセス確保として道路、輸送手段などに莫大な公費が投入されます。
そこで全体の計画を縮小し、コンパクトなものへと見直すべきと思うがどうか伺います。また、実施にあったては国、本市など開催関係者の責任分担を明確にさせるべきだと思いますが、伺います。

小林政策局長:本市で検討している花博については、上瀬谷の返還地域を、今後の郊外部の新たな活性化拠点としてやる、その一つのステップとして検討しています。目的はそうしたことをすることで知名度を上げたり、基盤整備を進めたり、あるいは横浜市としてのプレゼンテーションを、シティプロモーションを進めるといったことがあります。その規模については、今、委員会の方で学識経験者、有識者を含む委員会で検討していますので、そうした中で、検討を進めていきたいと思っています。また、過去の事例からその分野についてのご質問ですが、運営は、こうした国際博覧会については、横浜市とは別の博覧会運営組織が担い、責任分担をしっかりした上で進めて行きます。
また、運営財源としては、入場料収入などで賄うことが原則となります。こうしたことを含めて、私どもが構想案を国に提案した上で、国の方で検討して、開催を検討していくと。こういった流れです。そうした流れを踏まえてしっかり私も検討を進めていきたいと思います。

深谷基地跡地利用計画は、市民の意見が反映されるものに

かわじ議員:スライドをご覧ください(②)

スライド2

深谷基地跡地利用基本計画案についての市民意見の募集に2286通の応募あり、公園や墓地、道路計画や防災機能等の意見集約が報告されました。施設周辺の住民から「市民意見の募集は知らなかった」とか、「もう意見は受け付けないのか」等の声が聞かれます。そこで、9月8日意見募集の締め切り以降に出された意見にどんなものがあるか、伺います。

小林政策局長:市民意見は、締め切りまでに2286通いただいています。締め切り以降にいただいたご意見は、10数通ですが、公園、公園型墓苑、道路など締め切り前のものと同様な内容となっています。

かわじ議員: 新たな意見があれば、それも反映してほしいと思います。
この間、議会においても、各施設の基本計画・基本設計等、その都度丁寧な説明の機会を設けるとの事ですがぜひ実行してほしいと思います。
施設は、総面積77ヘクタールの広大な土地であり、各施設は段階的に整備すると聞きますが、どの様な順番で進めるのか、伺います。

青木基地担当理事:跡地内ですが、水道、下水などのインフラが整備のため、まずインフラ整備が必要と考えていますが、具体的なスケジュールについては、跡地利用基本計画策定後に検討していきたいと考えています。

かわじ議員:施設は、地域住民を中心に、これまでの経緯も踏まえて暫定利用されているわけですが、現在の暫定利用の考え方について伺います。そして、また、現況はどのように、どれくらい使われているのか伺います。

青木基地担当理事:現在ですが、通路及び区や自治会などの広場のほか、野球場やゲートボールなどのスポーツのできる場所として暫定利用しています。これは、周辺にお住まいになる皆様の市民生活上必要な施設や、返還前からの経緯を踏まえた上で、土地所有者である財務省と協議を行い、利用しているものです。

かわじ議員: 利用の考え方を述べてください。

基地担当理事:利用の考え方は、先ほど申し上げましたが、周辺にお住まいになる皆様の市民生活上必要な施設、これは通路や広場です。また、野球場やスポーツのできる場所というのは、返還前の経緯を踏まえて、そういう考え方で暫定利用しているわけです。

かわじ議員:長期にわたり周辺に迷惑かけた施設が返還されたものであり、使用したい市民も多いはずです。近隣だけでなく、横浜市民の財産として、利用を希望される人も多いと思います。そうした要望による新たな暫定利用も可能にすべきと思うが、伺います。

小林政策局長:暫定利用は、今、基地担当理事が説明した通りで現在やっていますが、今後、拡大をしていく、あるいはプラスの暫定利用して行くということについては、まずは、現在作成中の跡地利用基本計画が決まらなければなりません。その計画との整合性を図りながら、新たに行う暫定利用の用途や規模、期間を決めていく必要がありますので、地元の返還対策協議会のご意見を伺うとともに、区役所や財務省との調整の上、検討していく考えです。

かわじ議員:スポーツ施設などが不足しているわけですから、周辺住民のみならず370万市民が、有効に利用できるようにすべきであり、ぜひそうした要望に応えていただきたいと思います。


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