議会での質問・討論(詳細)
2017年10月13日

■国際局(北谷まり)

地球的規模の課題を市民と共有し、市民が参加できるよう取組の強化を

北谷議員:北谷まりです。日本共産党を代表して質問します。
質問の前に核兵器廃絶国際キャンペーン、ICANのノーベル平和賞受賞について伺います。
この受賞は、多くの横浜市民も歓迎しています。ICANは、2007年4月にオーストラリア、メルボルンに事務所を設けています。これに先立つ2006年9月に、核戦争防止国際医師会議の世界大会で、オーストラリア人医師のティルマン・ラフ氏が、核兵器禁止の条約づくりを提案しました。この大会に、平和市長会議の会長として訪れていた当時の秋葉忠利広島市長が協力を表明、平和市長会議が最初の賛同団体になったという経過が報道されています。北朝鮮情勢が緊迫する中、平和首長会議に加盟する横浜市として、この受賞についての所感を副市長に伺います。

渡辺副市長:よろしくお願いいたします。核兵器のない世界の実現は、人類共通の願いです。それを希求して、若い人が中心となって、ICANというNGOができて活発に活動されて、比較的短期間で、国連などの場で積極的な活動をされ、こうしたノーベル平和賞を受賞されたということは、心から敬意を表しますし、今後の活動も積極的に行われることをお祈りしています。

北谷議員: それでは、国際協力推進事業について伺います。
横浜市では、日本に本部を置く唯一の国連条約機関である、国際熱帯木材機関をはじめ、国連世界食糧計画日本事務所、国連食料農業機関駐日連絡事務所、アメリカ・カナダ大学連合日本研究センター、東京ドイツ文化センター横浜校などの国際機関、国際的な機関が、通称、パシフィコ横浜に隣接する、横浜国際協力センターを活動拠点にしています。これらの国際機関等に対して、本市は支援をしているとのことですが、支援内容は何か、伺います。

関山局長:国際協力センターに入居している国際機関に対しては、事務所スペースの無償提供や共益費、活動経費の一部を負担しています。また、入居期間と本市関連部局や市内国際関係団体間の連携を促進する他、各機関が開催するイベントの広報、PR支援などを行っています。

北谷議員:本市が、多彩な姉妹友好都市交流、環境、食糧、言語教育など、地球的規模の課題解決に向けた活動を行っている、このような国際機関の誘致・支援などの実績が認められ、国連から1987年にピースメッセンジャーの称号を受けたことや、国際機関が横浜にあるということ自体、市民にあまり知られていないと思いますが、どう広報しているのか、伺います。

関山局長:WFPのWALK THE WORLD、FAOの飢餓撲滅プロジェクトの他、国際機関へのチャリティーを目的とする市民イベントなどを後援するとともに、18区の区役所の他、市内小中学校に各イベントのお知らせ等の配布をしました。また、国際局のFacebookやホームページなどを通じて、各国際機関のイベントについて紹介をしています。

北谷議員:市民との接点をさらに作っていくことが必要だと思います。地球的規模の課題を市民と共有し、様々な取り組みに市民が参加できるよう、取り組みの強化を要望します。

非核兵器平和都市宣言決議をふまえた平和施策の実施を

北谷議員:次に国際平和についてうかがいます。まず、国際平和推進費の額と事業を伺います。

赤岡副局長:国際平和推進事業という括りでの決算額と思いますが、28年度は約86万円です。内容は、市民向けのイベントにおける平和啓発事業、あるいはピースメッセンジャー都市の国際協会の負担金等です。

北谷議員:党市議団として、2016年度の予算特別委員会で、啓発活動とピースメッセンジャー都市国際協会負担金の支出だけでは、国際平和推進施策として不十分であると、拡充を要望し、5月の一般質問では、1970年の平和都市宣言決議、1984年の非核兵器平和都市宣言決議に沿った取り組みの実施を求めました。提案として、日本非核宣言自治体協会への加盟、市の庁舎に非核平和都市宣言都市などのポールを建てるなどして、一目で市の姿勢を市民が認識できるようにすること、市民が参加する平和啓発事業や平和推進事業について、川崎市や藤沢市の例をあげ、積極的、多面的に展開すべきであると述べました。その後、この提案内容について、局内でどのように検討されたのか、伺います。

関山局長:本市では、これまであらゆる核実験を実施した国への抗議を行ってきました他、幅広い国際交流や協力に取り組むことこそが平和に繋がるとの考えのもと、様々な国際事業に取り組んできました。平和の取り組みに関しては、様々なご意見ご提案を頂いていますので、ご参考にさせていただきながら、今後も平和の実現に向けて取り組みを進めていきます。

北谷議員: ぜひ、実行に向けた検討をしていただくことを要望しておきます。

核兵器廃絶に向け、市としてできることはすぐに実行を

北谷議員:本市は、2016年11月に第6回平和首長会議国内加盟都市会議総会に出席をされました。このことは評価したいと思います。総会で決議された、ヒバクシャ国際署名の賛同・協力、「核兵器禁止条約」の早期実現に向けた日本政府に対する要請、市民の平和意識を醸成するための取り組みである、被爆樹木の苗木・種の配布事業、「平和の灯」の分火事業、青少年「平和と交流」支援事業などを、横浜市では、それぞれどう行っているのか、伺います。

関山局長:平和市長会議に関しては、国内1600以上、海外7400以上の都市が加盟をする非常に緩やかな組織であると認識をしています。規約には、都市が置かれている実情を尊重するとあって、会議の結果が加盟都市個々を拘束するものとはとらえていません。しかし、本市はそれを尊重しながら個別に対応をしています。

北谷議員:今年8月には、長崎市で第9回平和首長会議総会が開かれ、国際局の副局長が出席されたことを評価したいと思います。ここで策定された、2017年から2020年までの具体的な取り組みを定めた平和首長会議行動計画によると、本年7月、国連で採択された核兵器禁止条約について、平和首長会議が掲げる2020ビジョンの趣旨に完全に合致しているとして、条約の批准につなげていくことが今後の課題だと宣言しています。具体的には、核兵器禁止条約の早期締結、若い世代の意識啓発を目指す平和教育の実施、青少年「平和と交流」支援事業等の充実、「ヒバクシャ国際署名」と連携した「核兵器禁止条約」の早期締結を求める署名活動など、核兵器のない世界の実現に向けての取り組みが提起されました。これらに対し、市としてどう取り組むのか伺います。

関山局長:繰り返しになりますが、平和市長会議は規約には、都市の置かれている実情を尊重するとあって、会議の結果が加盟国、加盟都市個々を拘束するものとらえていませんが、本市はそれを尊重しながら個別に対応しています。例えば、総会で発表された長崎アピールには、人間の尊厳を奪う地球規模の問題の解決に尽力するという項目があり、飢餓が貧困、環境破壊などが例示されていますが、本市としては、SDGs(持続可能な開発目標)とも、関連の深いこれらの課題解決に向けて、国際機関等との連携を通じて取り組んでいます。

北谷議員:本市において、できることは沢山あると思いますので、すぐにでも実行していただくことを要望します。

平和を前面に打ち出した他国との自治体外交を

北谷議員:本市の海外事務所があるフランクフルト市、ムンバイ市は、平和首長会議加盟都市です。フランクフルト事務所、ムンバイ事務所は、横浜市と両市との間の、これまでの交流実績をふまえ、平和首長会議加盟都市としての交流もすべきであり、共同して行動計画に沿った取り組みを行うべきと考えますが、いかがでしょうか。

関山局長:海外事務所は、現地のネットワークを活かし、都市間交流の促進、本市の情報発信、相手都市の情報収集など、幅広い役割を担っています。平和首長会議の理念、規約等をふまえつつ、本市国際施策の発信や、両都市の人的交流支援と海外事務所の包括的な機能を果たす中で、国際平和に貢献して、現在もいるものと考えています。

北谷議員:本市パートナー都市である、台北市、ホーチミン市、ダナン市も平和首長会議加盟都市です。これらの都市とも連携し、行動計画に沿った取り組みをおこなうべきだと思います。
また、本市のパートナー都市である北京市は、本市と同じく、平和首長会議加盟都市であり、ピースメッセンジャー都市です。上海事務所を通じて自治体間の平和外交を展開すべきと考えますが、いかがでしょうか。

関山局長:北京とは、例えば港北の小机小学校と北京市の和平小学校のマーチングバンドの交流によって、相互理解が進んでいます。また、北京市の友好都市を対象にした会議に、平成25年より本市も参加をしていて、これも北京及び世界各国の都市との相互理解につながっているものと考えています。こうした活動を通じ、上海駐在員は、国際平和に寄与していると考えています。

北谷議員:国際コミュニケーションの常識だと思いますが、ただやっていることを見て相手が黙って理解してくれるということではないと思いますので、しっかりと打ち出して、海外事務所の体制の充実をはかって、しっかりと平和を前面に打ち出した自治体間の外交をすべきだと思います。
海外姉妹都市であるバンクーバーも、ピースメッセンジャー都市です。本市は、1995年、ポルトガルのリスボンで開かれたピースメッセンジャー都市国際協会総会に参加しています。また、横浜市と米国コネチカット州ニューヘブン市とで「フランスの核実験 再開声明に抗議する決議文」を共同提案しています。2007年、セルビアでピースメッセンジャー都市会議が開催されたときと、2010年キプロスで開催されたときには、フランクフルト事務所駐在員が出席しています。
このような海外での実績があるのですから、ピースメッセンジャー都市として、かつてのように、主体的に、海外都市と連携して平和への取り組みを行い、市民、世界に発信していくべきと考えますがが、いかがでしょうか。

関山局長:本市は昭和62年、多彩な姉妹友好都市交流等の実績が認められて、国際連合からピースメッセンジャー都市の称号を授与されました。それをふまえ、これまでも姉妹都市等との周年記念の場などにおきまして、世界の平和と安定に向けて連携して取り組んでいくことを共同で宣言するなど、国際社会に向けて発信するとともに、様々な交流事業や協力を通じて、それを実践していきます。今後も引き続き都市間連携等と通じて、世界の平和と安定に向けた取り組みを進めていきます。

他都市にならって、ヒバクシャ国際署名の推進を

北谷議員:ところで、先ほど申しましたけれども2017年のノーベル平和賞が、核兵器廃絶キャンペーンICANに授与されました。9月20日、国連で行われた核兵器禁止条約の署名式で、ICANの事務局長は「広島、長崎の被爆者代表をこの式にむかえることを光栄に思います。あなた方が被爆証言をおこなってきたこと、そしてあなた方すべてが、この条約実現に貢献したことに感謝します」と述べています。そして、国際世論を動かす大きな力となっているのが、ヒバクシャ国際署名です。10月5日、ニューヨークの国連本部で総計515万4866筆の署名が提出されました。10月10日現在、署名した自治体首長の数は、18の県知事を含め875市町村長です。これらの自治体には、市のホームページや広報で「ヒバクシャ国際署名」への協力のお願いや紹介が掲載されたり、庁舎内に署名コーナーが設置されているところもあります。本市も、このように、市民の先頭に立って署名活動を推進すべきと考えますが、いかがでしょうか。

関山局長:核兵器のない世界の実現に向けた取り組みとして、本市は、これまで一貫して核実験に対する抗議行ってきました。引き続きピースメッセンジャー都市として、核実験行ったあらゆる国に抗議していくと共に、国際平和をテーマとしたイベントや核兵器廃絶に向けた市民活動の支援などの取り組みを進めていきます。国際署名については、核兵器禁止条約の発効をめぐる今後の動向を見守っていきます。

北谷議員:見守っているだけでは、事態は進まないと思います。被爆地の長崎県知事、長崎市長は自ら街頭に出て、署名を訴えています。長崎市は、核兵器による攻撃から市民を守ることができないことを、身をもって体験しており、あらゆる手段を講じて核兵器の使用を阻止し、1日も早い核兵器の廃絶を実現することこそが、核兵器による攻撃から市民を守る方法であることを、誰よりも強く認識しているとしています。本市もこの認識に立つべきだと思いますが、いかがですか。

関山局長:核兵器のない世界の実現に向けては、本市もこれまでどおり、あらゆる核実験に対する抗議を行っていきます。

北谷議員:広島市も、核兵器攻撃による被害を避けるためには唯一、核兵器の廃絶しかないとの認識です。
国連の、中満泉 軍縮担当上級代表は、市民の運動の積み重ねが規範の普遍化に必ずつながると強調しています。市民社会の声が国際世論を形成していく。横浜市はその先頭にたち、ヒバクシャ国際署名の推進をはじめ、核兵器のない世界実現のため、具体的な取り組みを市民とともに進めるべきです。
2017年3月24日、本市会は、開港以来、世界の多様な文化や人々を受け入れてきた歴史と、「ピースメッセンジャー都市」の称号にかけて、市民の総意として、核兵器のない世界の実現を強く求めるものであると、決議しています。このことを踏まえ、国際局が核兵器廃絶をはじめとした国際平和と都市間交流、特にアジア諸国との交流に、主体的に役割を果たしていかれることを強く要望します。


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