基地被害に苦しむ沖縄県民の思いを逆なでするな
かわじ議員:日本共産党を代表し、上程された議第14号議案、「普天間飛行場及び代替施設に係る問題の解決促進を求める」国への意見書案について、反対の立場から討論します。
意見書案は、北朝鮮の弾道ミサイル発射や核実験、中国公船の領海侵犯等の問題にかかわり、日米安保体制を基軸とした防衛政策の推進を図るべく、沖縄県の基地強化が重要とし、普天間飛行場の被害除去と称して代替施設に係る問題解決を国に求めるとするものです。しかし、代替施設の場所の明記はないものの、沖縄県民が反対している辺野古基地を指していることは明らかであり、基地被害に苦しむ沖縄県民の思いを逆なでするものです。
日本が進むべき道は、平和的・外交的手段を貫くこと
意見書で危惧されている問題の、北朝鮮の弾道ミサイル発射や核実験は、北朝鮮自身が合意した「朝鮮半島の非核化」等を約束した「6か国協議」や国連決議に反するものであり、断じて許せるものではなく、また、中国による尖閣諸島領海への侵入はじめ、その激増と常態化は日中間の緊張が続く異常な事態であり、国連憲章や友好関係原則宣言などが定めた紛争の平和的解決の諸原則に反するもので許されるものではありません。しかし、こうした問題の解決を、日米安保を基にした、軍事対軍事で進めたなら一層緊張が強まり、平和に逆行するものです。求められるのは平和的・外交的手段のあらゆる追求です。
意見書案に関わって重要なことは、日本が進むべく平和への方向です。わが党は、北東アジアに存在する紛争と緊張を、平和的・外交的手段によって解決するための北東アジア平和協力構想を提案しています。その一つは、域内の平和のルールを定めた北東アジア規模の「友好協力条約」を締結すること。二つは、北朝鮮問題を「6カ国協議」で解決し、これを平和と安定の枠組みに発展させること。三つは、領土問題の外交的解決をめざし、紛争をエスカレートさせない行動規範を結ぶこと。そのためにも、四つとして、日本が過去に行った侵略戦争と植民地支配の反省は、不可欠の土台であることです。
沖縄で起こっていることは、「基地負担軽減」とは正反対のこと
現在、日米両政府・米軍はさらなる軍事体制の強化として、沖縄県名護市辺野古の新基地建設、東村高江のオスプレイ着陸帯建設、伊江島飛行場でのF35戦闘機着陸帯建設などを強行しています。
辺野古新基地建設は普天間基地の「移設」などという生易しいものではありません。1800メートルの滑走路を2本もち、強襲揚陸艦も接岸できる軍港をもち、耐用年数200年の最新鋭の巨大基地であり、キャンプ・シュワブや隣接する辺野古弾薬庫、キャンプ・ハンセンと一体運用され、基地機能を飛躍的に強化させるものです。
高江の基地強化でオスプレイの訓練はさらに激化し、伊江島の基地強化でF35は新たな訓練拠点をもつことになります。オスプレイとF35は海兵隊部隊とともに辺野古新基地で強襲揚陸艦に搭載されて、海外への出撃が狙われています。さらに、婦女暴行をはじめとした米兵犯罪は後を絶ちません。
こうした沖縄で起こっていることは、「基地負担軽減」とは正反対のことです。米軍は、辺野古、高江、伊江島などの基地建設・強化によって、沖縄の海兵隊基地を「戦略的出撃拠点」にし、世界への「殴り込み」の一大拠点として抜本的に強化・固定化しようとしているのです。
昨年12月、米海兵隊オスプレイが名護市の海岸に墜落しました。沖縄の米軍トップが「占領者意識」をむき出しにした暴言を吐き、日本の捜査機関が「原因究明」のカヤの外に置かれるなど、日本の植民地的実態が浮き彫りになり、沖縄でも全国でも怒りが広がりました。米軍の調査でも事故原因は特定されず、日本の捜査機関が独自の情報を何も持っていないにもかかわらず、日本政府は、オスプレイの訓練の再開について「理解」すると表明しました。沖縄県民や国民の安全より「日米同盟」を優先する恥ずべき態度です。
いま沖縄では、保守・革新の壁を乗り越え、新たな基地の再編強化反対・基地被害を許さない、市民・県民の大きな連帯の輪が広がっており、2014年の名護市長選挙、県知事選挙、総選挙や、昨年の参議院選挙では、新基地建設反対の審判が下されました。この民意を踏みつけにした、新基地建設・基地強化を強行することは、民主主義の国では絶対に許されないことです。昨年12月、最高裁は翁長沖縄知事の埋め立て承認取り消しをめぐる裁判で、県側の上告を退ける判決を言い渡しました。これはまさに県民を裏切った前知事の判断を優先させ、民主主義、地方自治を否定し、司法の公平性を自ら投げ捨てた不当判決というものです。
在日米軍基地は、海兵隊と空母打撃群の両面で、世界への「殴り込み」の一大根拠地として強化されようとしおり、海外の侵略戦争への出撃基地を日本に置き続けることを許していいのかどうかが問われています。海兵隊と空母打撃群の基地を国内に置くことを認めている国は、世界に日本以外にどこにもなく、国際的にも日本の地位にかかわる重大問題です。沖縄県議会が「米海兵隊の撤退」の要求決議をしたことは、問題の核心に迫る意義をもつものです。
同じ米軍基地を抱える都市として、被害軽減に心よせることこそ
横浜市会は、第二次世界大戦後米軍により、市の中心部や港湾施設などが摂取されて以来、市民共通の念願、市政の重要課題として、市内米軍施設の早期返還に取り組み、これまで多くの返還を実現してきました。2014年には深谷通信所に続き、2015年には上瀬谷通信施設の大規模返還が実現しました。しかし、市内にはまだ150haの米軍施設が存在し、市民生活への負担や街づくりの制約となっており、その解消を求め国に対し、毎年要望書を提出しています。今年も来る4月4日、全会派・超党派で要望行動が行われます。本市と同じように基地被害に苦しむ沖縄県の基地問題についても、基地被害をなくすことに、心を寄せるべきではないでしょうか。
そもそも、沖縄の普天間基地は、米軍が銃剣とブルトーザ.で強権的に住民を追い出し不当に設置したものであり、沖縄から出ていくことが、沖縄県民の願いに沿うものであり、問題解決です。わが党は、沖縄や本土の基地強化を許さない闘いと連帯し奮闘することを表明するものであり、意見書案に反対し、討論を終わります