横浜にカジノはいらない!
横浜市のカジノ「誘致」宣言に対する日本共産党の見解
2016年12月16日
日本共産党横浜市会議員団
団 長 大 貫 憲 夫
渡辺巧教横浜副市長は今月、カジノ誘致に取り組む他の自治体と一緒に、カジノを中核とする統合型リゾート(IR)を推進する国際観光産業振興議員連盟(IR議連)の会合に出席し、今国会でカジノ解禁法案を確実に成立させるよう要請し、「観光客の増加と消費の喚起には、施設の整備は極めて有効だ」と訴えたと報道されています。(12月8日、NHK NEWS WEB)これは、カジノを含めたIR導入を検討するという従来の態度から、誘致に向けて一歩踏み込んだ行動です。
日本共産党は、一貫してカジノ導入に反対です。
カジノは賭博です。日本では、689年の持統天皇のすごろく禁止令以来、賭博は禁止されてきました。なぜ禁止されてきたのかといえば、賭博は何も生み出さず、人の不運のもとに成り立っているものだからです。最高裁判決でも、賭博は国民をなまけ者の浪費家にし、賭博に使うお金を得るために暴行や窃盗などの犯罪を引き起こし、モラルを乱す結果となるとしています。カジノ誘致に前のめりになる横浜市の今の姿は、道義的退廃の極みといえます。
日本共産党市会議員の「カジノ設置による懸念事項は何か」との質問に、政策局長が「ギャンブル依存症、青少年への影響、暴力団等の関与、マネー・ロンダリング、地域環境への影響」 (2013年度決算特別委員会) と答えているように、カジノによる悪影響は、横浜市も認めているところです。
林文子市長は今月9日の本会議で、IRは「将来の横浜の持続的な経済成長のために」必須であり、「今は、大きくカジノを含めたIR導入を視野に入れております」と答弁し、横浜経済の活性化、雇用の創出、横浜の財政基盤の強化などに「大変メリットがある」と述べています。
果たして、そうでしょうか。
IRは言葉のごとく「統合型」リゾートであるため、客は優待割引などを使って飲食・買い物・宿泊などを施設内で行います。現に、アメリカのアトランティック・シティでは、IR施設ができてから市内のホテルやレストランがつぶれ、空き店舗や空き地が増えたといいます。仮に、山下ふ頭にIRができたとしたら、周囲の関内や中華街、元町などは賑わうどころか、IRに客を奪われてしまう可能性が大いに懸念されます。
日本にはカジノについてノウハウを持つ事業者がいないため、海外業者に頼らざるを得ません。現に、在日米国商工会議所は海外業者の参入を求めています。ラスベガスのカジノ資本は5,000億円を日本に投じる用意があると公言しています。日本人から巻き上げたお金が事業者のもうけとなり、その多くが海外に流れてしまいます。
IRの客は、どこから来るのでしょうか。アジアにおけるカジノの「金づる」は中国の富裕層ですが、アジアのカジノ成功例といわれているマカオやシンガポールでさえ、近年、中国政府の腐敗取り締まり強化によって中国人VIPギャンブラーが減少し、カジノ収益が減少しています。そうなると、客の多くは日本人、神奈川県民、横浜市民となり、カジノの餌食になってしまいます。横浜市が2015年3月に発表したIR検討調査報告書でも、8割が日本人客と想定しています。
市長は、カジノは「IRの中で大体3%から多くて5%の面積を要する」だけだと言いますが、マカオ・シンガポール・ラスベガスに拠点をもつIR運営業者であるラスベガス・サンズ社では売上の7割以上がカジノによるもので、カジノがなければIRは成り立たないのです。
カジノは、運営事業者が必ずもうかる仕組みになっています。また、民間営利企業であるカジノ運営事業者は、収益をあげるために、いかに客をギャンブルにのめり込ませ、金を使わせるかに力を注ぎます。
カジノ賛成派は、カジノ収益の一部をギャンブル依存症対策に使うといいますが、ギャンブル依存症は患者が自覚するまでに数年かかり、また治療すれば治るというものではありません。いまでさえ、国民成人の4.8%536万人がギャンブル依存症であるといわれている日本でカジノを解禁すれば、いくら対策を講じても、ギャンブル依存症患者が増え、大きな社会的損失が生じることは明らかです。
そのほか、マネー・ロンダリングなどによる暴力団の関与、治安悪化による青少年への影響、24時間営業による地球環境の影響などが懸念されます。
横浜にカジノはいらない! これは多くの横浜市民の声です。横浜市の誇りであり財産である横浜港を、賭博場にしてはなりません。横浜市は、カジノを含むIR誘致活動は直ちにやめ、IR導入に向けた検討をやめるべきです。
カジノ解禁法は、ほんのわずかな審議時間で強行採決され、15日未明に成立しました。今後1年以内に実施法が整備されることになりますが、日本共産党は実施法を許さないたたかいに、全力を尽くします。