日本共産党のみわ智恵美です。党を代表し、討論を行います。
子どもの命と健康に格差を生み出す小児医療費一部負担金導入はやめるべき
はじめに、市第45号議案、横浜市小児の医療費助成制度に一部負担金を、県内では現時点で横浜市だけが導入することについてです。
この議案に対しては、49団体から、対象年齢引き上げを求め一部負担金導入に反対する請願第9号「小児医療費助成制度の無料化等について」が提出されました。
私たち日本共産党横浜市会議員団は、県内で最も遅れた横浜市の子どもの医療費助成制度について、年齢引き上げと所得制限の撤廃を一貫して求めてまいりました。今回の条例改正で、小学校6年生までの拡大には賛成ですが、一部負担金を導入することには反対です。「経済的な心配をせず、いつでも安心して医療にかかれることは、次の社会の担い手である子どもの健全な成長にとって、極めて重要」との請願はもっともで、採択すべきです。
市長は「将来にわたって持続可能な制度とするため」との答弁を繰り返されましたが、500円の一部負担がなければ持続可能な制度にならないという財政的根拠は、最後まで示されませんでした。それどころか、病気の子どもを「受益者」とみなす考え方で負担を迫っています。
重度心身障害の方やひとり親家庭の助成などにも、制度の持続可能のためとして一部負担金導入を広げることになるのではないかとの危惧があると、健康福祉局の委員会審査で質問をしましたが、局長は否定されませんでした。
格差と貧困が広がる中でのせっかくの医療費助成制度の拡充ですが、就学援助を受けている子どもの約7割は、一部負担金の免除はありません。無料制度に有料制を持ち込む重大な制度変更になるにもかかわらず、市民意見も聞かずに押し切るやり方は、余りにも乱暴です。
現在の助成制度での市の財政負担は小学校3年生までで91億4,100万円。仮に所得制限なしで中学校3年生まで拡大すると、必要な予算は約152億円です。横浜市の一般会計の1%です。一般会計の1%負担での実施は、さいたま市など他都市ですでに実行しています。一部負担金500円で産み出される財源は5億円です。しかも、今回明らかになった昨年度決算では、健康福祉局だけで不用額が58億円。
私たち日本共産党横浜市会議員団は、中学校3年生までの拡大を求めていますが、まずは小学校6年生までの助成を拡大し、一部負担金ゼロを維持する修正案を出しました。残念ながら常任委員会では否決されました。
親の経済的状況にかかわらず、全ての子どもが安心して医療を受けることのできる環境を、早くこの横浜で実行していきたいではありませんか。
個人情報漏えいの危険がある個人番号(マイナンバー)の運用拡大は危険
次に、市第39号議案、横浜市手数料条例の一部改正についてです。これは、個人番号カードを利用する各種証明書の交付申請の制度のうち、コンビニエンスストア等における住民票の写しなどの自動交付での証明書交付手数料を決めるものです。
私たち日本共産党は、マイナンバー制度に反対です。
イギリスでは、マイナンバーのような共通番号制度の法をつくりましたが、廃止しました。
マイナンバーカードは、個人が特定される写真とナンバーのついた一枚のカードに、個人情報が載っています。今後、国は、個人の所得、貯金、健康診断などの広範な個人情報を紐づけようとしています。いったん情報漏えいすると、あらゆる個人情報の漏えいにつながる危険性があります。
また、その管理は行政にとどまらず、民間事業者毎に保管・管理されます。悪質な企業による不正利用だけでなく倒産等に伴い適正な情報管理がなされなくなるなど、雇用先企業を通じた情報流出の危険も否定することはできません。
そして、完璧な情報管理などあり得ないことは、年金情報やクレジットカード情報など膨大な量の個人情報流出事件を私たちは何度も経験してきました。日本国民全員の情報を国家が一元管理することはとんでもないリスクです。
マイナンバー制度はプライバシー権などを侵害し、憲法に違反するとして国を相手どって、横浜地裁を含め全国で訴訟が進んでいます。コンビニエンスストアで、自分で機械操作をし住民票を取得した後カードを忘れて帰る危険性もあります。
情報が集積されており、個人が特定されている「マイナンバーカード」の盗難・紛失は、なりすましだけでなく、どこまで被害が拡大するか予想もつきません。このようなマイナンバー制度はやめるべきです。
そして今回、マイナンバーカード発行を誘導しようとする一方で、市民が活用している行政サービスコーナーなどの廃止の方針が出されています。カードを持っていない、機械操作が苦手、証明書の発行にあたって何が必要なのか相談したい、法令によって手数料が免除になっている方々などへのサービスは明らかに低下し、明確に利用できない方もあります。
身近な行政サービスは切り捨てていくやり方で、行政の行う事業としては問題で、認めることはできません。
運河を埋め立て、大資本に提供することに公益性はない
次は、市第52号議案、公有水面埋め立てに関する意見提出についてです。これは、横浜市が神奈川区の東高島駅北地区にある運河を埋め立てて新たなまちづくりをしようとするものです。
この地域の新たなまちづくりとしての再開発計画の中心は、JR貨株式会社と三井不動産レジデンシャル株式会社による、地上49階建、高さ18メートルの超高層マンション3棟、約2,000戸と言われる巨大プロジェクトです。運河や川を市の事業として埋め立て、結果として民間巨大資本に住宅用地として提供するもので、そこに公共性を認めることはできません。
そして最も問題なのは、横浜市が上位計画として2003年12月に、市民と行政の協働で作り上げた横浜市都市計画マスタープラン・神奈川区プランの土地利用方針をふまえずに全く別の計画をつくったことです。
市長は、神奈川区プランの一年後に、同プランの具体化として策定した東神奈川臨海部周辺地区再編整備計画を引合いに出し、「その中に東高島駅北地区土地区画整理事業が位置付けられているため事業を進めている」と答弁されました。しかし、神奈川区プランでは、東高島駅北地区について「工場や物流倉庫など操業環境の維持を図る。土地利用転換に際しては、計画的な整備を行い、新たな産業集積を促進する」との整備方針となっており、「住宅」の概念・記述はありません。
また、地区ごとのまちづくりの方向性について東高島駅北地区は、「地区や周辺の環境資源を生かすまちづくりを図る」となっています。貴重な水辺空間である運河を埋め立てることは環境資源を活かすのではなく、壊すことではありませんか。
上位計画である神奈川区プランにはない住宅、埋め立てを、東神奈川エリアにおける東神奈川臨海部周辺地区整備計画を策定して、書き込んだのです。
昨年5月11日、横浜市会には、神奈川区の神奈川1、2丁目・星野町・コットンハーバー町内会そして棉花町親和会他4団体のみなさんから「東高島駅北地区まちづくりについての陳情」が出されています。そこには「今回の区画整理地区近隣の私たちの町内会住民は、多くが木造住宅に居住されており、東南側である区画整理地区に185メートルの高層建物3棟が建設されると、日照・眺望・ビル風等において、現在の日常生活や居住建物においても多大な支障をきたします。都市計画で定められた用途地域である工業地域の絶対高さ制限の20メートルを厳守して住宅街を形成するよう強く陳情いたします」と表明されています。この住民の声を無視して強引に進めていいのでしょうか。市民と行政との協働を壊すやり方です。
東高島駅北地区の再整備計画は、全面的に撤回して、白紙からやり直すべきです。
地域住民の反対の声を無視し、強引に進める小学校統廃合に反対
次は、市第50号議案、横浜市学校条例の一部改正、横浜市立俣野小学校と深谷台小学校を統合し、統合後の学校名を横浜深谷台小学校とするものです。
教育委員会は、今回の統合のあり方について「地域の検討委員会の部会が12回行われ、地域、保護者、学校の代表が、自主的主体的に、非常に積極的に議論するところで、こういったかたちで決まってきた。委員会としても、保護者説明会を14回開催した。いろんなかたちで、いろんな機会をとらえて、みなさんと議論をしてきて、こういうかたちになった」と答弁されますが、保護者も地域住民も納得していないというのが実態ではないでしょうか。
俣野小学校の小規模校の課題解決は、深谷台小学校との統合を進める以外にはないといわれますが、昨年11月に保護者が行ったアンケートでは、子どもたちのより良い成長のために小規模校としての課題の解決の道は学校統合ではないとの回答が、保護者の77.9%となっています。
昨年、文部科学省から出された手引きの学校統合の適否に関する合意形成には、学校教育の直接の受益者である児童・生徒の保護者や将来の受益者である就学前の子どもの保護者の声を重視しつつ、十分な理解や協力を得ながら進めていくことが大切と、留意すべき点をあげています。
また、実際に地域の声の代表として、教育委員会が言う検討委員会の部会の委員をされた町内会長さんは、「部会は、意見が言える雰囲気もなく、当事者が物言えぬ場所となった。検討委員会に行こうと思うと涙が出て体が動かず、とうとう委員会には行けなくなり、委員を辞めた人まで出している。答申は教育委員会の自作自演である。子どもたちの様子や保護者の声を教育委員会で陳述させてもらおうと思っても、必要なしと切り捨てる。教育委員会に対する不信は極限に達している」と話されています。これに代表されるように、到底保護者・地域の声を重視したとはいえません。
教育委員会はしゃにむに適正規模化という言葉にあてはめ、今回の統合を進めようとしていますが、世界の学校規模は、1999年のユネスコ文化統計年鑑によりますと、フランス99人、フィンランド101人、オーストリア103人、1学年1学級で卒業までクラス替えがないのが一般的です。
俣野小学校では、保護者や地域の方が学校の行事などに積極的に参加して、すばらしい学校づくりを支えています。子どもたち・保護者・地域住民からは統合をやめてほしい、もっと慎重にとの声が出されてきました。
そして、すばらしい教育実践が子どもたちのために実行されている学校を、教育委員会が統合しようとするのはなぜなのか。私たち保護者の意見を直接聞いてほしい。統合を決めるならば、その意思決定の内容を知りたい。こう考えるのは当然で、教育委員会傍聴にも遠くから何度も何度もお母さんたちが参加されていました。
私も俣野小学校に行きましたが、学校がコミュニティーの核となっています。まさに、地域のともしびです。この地域のともしびを消し去っていいのかとの思いを強くもちました。この地域はどうなってしまうのか。通学路の安全の確保も本当に心配です。
すばらしい教育実践と地域が一体となった学校づくりがされている俣野小学校は、存続が選択されるべきです。市第50号議案は、子どもたち、保護者、住民の願いを遮り、最初から統合ありきで進められたもので、地域を傷つけ拙速な学校統合であり、認めることはできません。
以上で討論を終わります。