議会での質問・討論(詳細)
2009年3月6日

【2009年度予算特別委員会】「まちづくり調整局」 関美恵子

「派遣切り」の離職者への市営住宅斡旋をハローワークに丸投げするな

関議員:日本共産党を代表し、市営住宅に関って質問します。
 「派遣切り」によって、職や住まいを失い、路上にあふれた人たちへの対策が大きな社会問題になっています。3月末には失業者が15万とも30万ともいわれるもとで、労働組合等が横浜駅で行った街頭労働相談でも、離職者から住まいの相談が寄せられていることが、マスコミでも報道されています。本市は、ハローワークと連携し、離職退去者に市営住宅50戸分の一時使用を認める取り組みを行っているところです。
 そこで、ハローワークでの相談状況と、入居決定戸数、入居者数の直近の状況はどうなっているのか、局長に伺います。

相原まちづくり調整局長:昨年の秋以降の雇用情勢の悪化を踏まえまして、精力的にハローワークと協議をしてまいりました。その協議の中で、再就職などの雇用相談と住まいの斡旋をハローワーク窓口で一本化して行うことといたしました。本市はその結果を受けて、目的外使用による市営住宅の提供を決定しております。
 入居決定戸数および入居者数につきましては、用意した50戸のうち、3月4日現在、昨日でございますが、現在で28戸33名となっております。

関議員:入居決定戸数は、日々変更するほど後を絶たない状況と聞いていますが、一時使用の状況をどう見ているのか、また、今後の対応についてどうする考えなのか、見解を伺います。

相原まちづくり調整局長:離職・退職者に一定期間一時的な居住の場を確保するという当初の目的は十分果たしてきているというふうに考えております。
 今後の対応についてでございますが、今回活用している50戸の市営住宅以外には直ちに活用できる空き住戸はありませんけれども、雇用状況の推移を見据えながら、横浜市緊急経済対策本部において、全市的に検討していくものというふうに考えております。

関議員:一時使用の受付について報告をされているんですけれども、入居期間も6か月以内、更新も認めないとの考えが示されていますが、国土交通省の2008年12月18日付の通知は、離職者の新住所の確保状況を考慮しながらも、原則として1年を超えない期間を設定するとしています。大阪市は1年としていると聞いています。本市においても、延長を認めるべきだと思うのですが、伺います。

相原まちづくり調整局長:ご指摘いただきました国土交通省の通知では、公営住宅の目的外使用を行う前提として本来の公営住宅の入居の妨げとならない範囲で、目的外使用できるものとされております。今回、この目的外使用の対象としている住戸は21年4月に一般の入居者募集を行うことを予定していたもので、当選された方が10月以降に入居することになりますので、6か月を期限としたものでございます。

関議員:目的外使用では1年と認められているということです。実際に住んでいるわけですし、それからこの方たちが本当に6か月で新しい住居を見つけられるのか、そういった体制の方かというと、これは大変なかなか考えにくい側面もあるんじゃないかと思うんですね。そこで、住んでいる人をどうぞ出てくださいというようなことは、社会的にもやはりかなり問題があるんじゃないかと思うんですけれども、とにかく6か月で追い出すのでしょうか。

相原まちづくり調整局長:まずは現時点では入居の時にそういう条件で入っていただいておりますので、それを履行していただきたいというふうに考えております。

関議員:履行するつもりでもそれができない客観的な条件があった場合は、それでもやるんでしょうか。

相原まちづくり調整局長:先ほどご説明しましたとおり、現在お入りになっているところは10月以降は一般の方がお入りになりますので、そこのところには住めないということでございます。

関議員:ぜひ調整をお願いしたいと思うんですね。
 本市では、離職者の入居はハローワークで判断し、その判断によりその日のうちに鍵を渡すことになっていると聞いています。これでは、ハローワークへの丸なげ同様で、事業主体の判断により優先入居の取り扱いをするとした国の通知に反するのではないかと思いますが、伺います。

相原まちづくり調整局長:国の通知に示されている優先入居の取り扱いは、公営住宅の入居対象者に該当する離職退去者の場合に限られております。今回の取り扱いは、本来の市営住宅入居者対象者への優先入居ではなく、あくまでも目的外使用という取り扱いでございます。これに基づく目的外使用者の決定にあたりましては、国が求めている解雇等に関する客観的な資料による確認を、ハローワークとは事前に十分協議した上で、連携して取り組んでいるものでありまして、基準は本市が定めて決定しております。

関議員:事業主体の判断の基準なんですが、どういう内容をきめているのでしょうか。

相原まちづくり調整局長:国の通達等に基づいて判断をしております。

関議員:国の通達というのは、事業主体の判断をということをはっきり明記しているわけですから、その点ではやはり違うんじゃないかなと。やはりハローワークにお願いしちゃっているんじゃないかなというふうに思うんです。
 それと問題は、名古屋市の場合は市供給公社で解雇通知より受け付けると。相談もしているんです。判断もしているというふうに聞いているんですね。市としても、離職者の状況をきちんと把握し、それでこそ責任ある対応となるんじゃないかと思うのですけれども、その点でも受付の窓口、これは例えば市も供給公社なり、市におくべきだと思うんですけれども、どうでしょうか。

相原まちづくり調整局長:現在、市内全域をカバーしている方面別の6か所のハローワークの窓口で、市営住宅の斡旋を行っております。今回の取り組みは、あくまでも解雇等により住戸を失う方で、次に就労に向けて活動している方について、緊急支援を行うものですので、ハローワークとの連携、これは県内同様の取り扱いをしていることからも、不可欠でございます。
 また、離職者にとって、より身近な窓口で相談および斡旋を同時に受けることができるために、利便性が考えて高いというふうに考えておりますし、その該当している方からも好評を得ております。

関議員:ところで、ハローワークでの相談内容を、市は把握しておりますか。

相原まちづくり調整局長:住宅に関する情報は把握しております。

関議員:それは入れられる、入るかどうかという情報でしょう。その離職者の状況、相談内容そのものを把握していますか。

相原まちづくり調整局長:大変申し訳ないですけれども、住宅の斡旋のところをやっているわけでして、全体の相談についてはここで受けているわけではございません。

関議員:斡旋の判断がハローワークがやっているというところが非常に問題だというふうに思うんですね。その点ではどうですか。

相原まちづくり調整局長:先生、そうお思いでしょうけど、私はそうは思っておりませんので。

関議員:ちょっと意見が食い違うようですけれども、ぜひ受付を設けていただきたいというふうに強く要望しておきます。

住宅使用料は居住者へ還元されるシステムに

 つぎに、市営住宅管理費について伺います。新年度予算は約73億円。その財源内訳は、国費約8億円、家賃使用料が大半をしめるその他が約119億円、そして一般財源が約55億円、マイナスで計上されています。局の他の事業ではみられないマイナス計上は、どういう意味なのか、伺います。

相原まちづくり調整局長:市営住宅管理費は、歳出では市営住宅管理業務で54億7000万円、住宅の維持補修で17億1000万円、合計で71億9000万円の予算を計上しております。一方、歳入では国庫補助金が8億円、その他として市営住宅使用料収入が119億円、合計で127億円の予算を計上しております。従いまして、歳出と歳入の差額55億円が一般財源でマイナス計上されているということでございます。

関議員:住宅使用料が一般財源に振り替えられ、何に振り向けられているかわからないというようなことだと思うんですけれども、確認のため、そうでしょうか。

相原まちづくり調整局:本市の市営住宅に関する予算につきましては、一般会計であるために、市営住宅使用料も市税収入と同様に扱っております。

関議員:使用料は居住者へ還元すべきものだというふうに思います。住宅管理費は、定期の保守点検、住宅の補修の費用ですが、現状でも居住者の要望にはとても応え切れていません。にもかかわらず、住宅の補修は新年度削減されている始末です。一般財源にまわすくらいなら、住宅管理費を増額すべきと思うのですが、見解を伺います。

相原まちづくり調整局長:市営住宅に関する経費につきましては、用地取得や建設費、維持管理費や大規模な修繕費、さらにそれにかかわる職員人件費などがありまして、こうした経費を勘案して捉えるべきものというふうに考えております。なお、市営住宅管理費につきましては、昨年度を上回る予算を計上しております。

関議員:これは金田副市長に強く要望したいんですけれども、住宅使用料の収益が増えれば増えるほど、一般財源への組み入れが増えるというこの現在の一般財源にまわすというシステムですね、これ私どうも納得がいかないものと思っております。今後、行政運営局と調整し、改めるように強く要望をしておきます。

応募倍率20倍超を解消するために市営住宅の新規建設を

 次に、市営住宅の一時使用の期間を6か月に止めた理由でもきいているところでは、市営住宅の入居を望む人が多いことがあると思います。本市は、2005年度から直接建設を休止しています。ところで、市営住宅用地の市の保有状況は現在どうなっているのか、伺います。

相原まちづくり調整局長:未利用となっております市営住宅用地につきましては、市内4か所で、6.5ヘクタールとなっております。

関議員:6.5ヘクタールは630戸分の建設が可能といわれています。そこで、改めて市営住宅の直接建設を休止した理由を伺います。

相原まちづくり調整局長:平成14年に公的住宅供給のあり方検討委員会で検討を行った結果、今後の公営住宅の供給にあたりましては、新規の用地取得は行わず、新規供給は借り上げ方式を主体としにすること、取得済みの用地につきましては全庁的調整により利用計画を定めること、取得済み用地の事業化にあたってはPFI手法の導入と民間活力の活用を図ることと整理されたことから、直接建設を休止したものでございます。

関議員:民間活力を活用するというようなこともありましたけれども、その背景に、住宅総数が世帯総数をより多く上回っているという、そういう住宅状況もあったと。で、市営住宅はそれ以上必要はないというような理由もあったのではないかというふうに思うんですけれども。

市営住宅の応募倍率は、市営住宅が必要だということを示す結果になると思います。そこで、休止した2005年度と2008年度の比較で応募倍率はどうなっているのか、伺います。

相原まちづくり調整局長:借り上げ公営住宅の新規事業者募集を休止した17年度と比較いたしますと、17年度の応募倍率は16.3倍、20年度は20.4倍となっております。

関議員:民間市場に任せ、住宅の数は増えても、必要とされる住宅は供給されていないのではないでしょうか。そこで、休止を見直し、直接建設を再開する考えはないか、伺います。

相原まちづくり調整局長:市内の住宅戸数はすでに、先生もおっしゃいましたように、世帯数を上回っておりますので、人口減少社会の到来を見据えますと、既存ストックの有効活用をより重視した施策の展開が必要と考えております。今後も、非成長拡大の時代認識のもとに、厳しい財政状況を踏まえて行政運営を行っていく必要がありますので、現時点で休止を見直し、直接建設を再開する考えはございません。

人間にふさわしい住まいとして、負担できる安い住宅費に

関議員:それでは、07年度、強制立ち退きは全体で35件ですが、うち収入分位第1分位の人が23件、また滞納でも収入分位第1分位の人が滞納者全体の77.2%を占め、いずれも高い数値になっています。局長はこの状況をどのようにみているのか、伺います。

相原まちづくり調整局長:世帯全入居者数の部位別の比率から受けますとその通りになっているなというふうに思っております。

関議員:国連の方で「人間にふさわしい住まい」ということで、安全や、学校・医療施設が近い、適切な通勤圏内にあるとし、そして注目するのは、強制立ち退きやプライバシーの侵害がないこと、負担できる住宅費であることとしていることです。滞納者や強制退去者を出さない取り組みが重要ですが、どのような取り組みをしているのか、局長に伺います。
相原まちづくり調整局長:先生も十分ご承知のように、滞納6か月以内または滞納額20万円未満の初期滞納者に対しましては、文書、電話、訪問等によりまして、支払いを促しております。つぎに、滞納7か月または滞納額20万円以上の滞納者には、裁判所での和解・調停によりまして、滞納の分割納付を促し、強制執行による退去処分には至らないように納付指導をしております。
 また、解雇等により収入が激減している場合は、滞納を早期に解消して、その後減免の申請をするよう促しております。恒常的な生活保護基準に相当する場合は、区役所の生活保護担当と連携しながら、生活保護の申請をするよう働きかけております。さらに、多重債務者に対しましては、各種の公的な法律相談等を紹介しております。
 このように、滞納者に対しましてはその段階に応じて様々な対策を実施しているところでございます。

関議員:終わります。


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