緑地所有者に緑を守る施策をどのように周知させるのか
河治議員:日本共産党を代表して質問いたします。
最初は、みどりアップ計画についてです。みどりアップ計画は、樹林地を守る施策、農地を守る施策、緑を増やす施策から構成されています。
まず、樹林地を守る取り組みですが、緑地指定することが施策実施の基本だというふうに思います。しかし、緑地指定には地権者の理解を得るために一定の時間がかかります。そこで、新税導入が行われても、直ちに緑の総量が増えるような効果が得られないのではないか、こんなふうに思いますが、どうでしょうか。
また、5年間の計画期間において、樹林地や農地は増えるのか減るのか、どのような推移が予想されるのか、伺います。
小松崎環境創造局長:そもそもこのみどりアップ計画は、緑の減少に歯止めをかけて、かつ長期的な増加を目指す、大変息の長い取り組みでございます。いま、先生ご指摘のような、直ちに総量が増えるということは、そもそも想定をしておりません。
新規拡充施策では、樹林地の保全指定を現在の2倍以上に拡大するとともに、約50ヘクタールの農地保全や、緑化地域制度による年間約40ヘクタールを想定して、緑地の確保など緑の総量を維持・向上させるさまざまな施策を展開をしてまいります。
すなわち、この5年間といいますのは、緑の減少傾向を反転をさせて、増加に転じるための重要なステップアップの期間というふうに考えておりますので、ぜひ各地域でも情報のご提供も含めまして、市会の先生方のご支援の方をよろしくお願い申し上げたいと思います。
河治議員:それで、5年間の緑地指定の指定目標が1119ヘクタールとしているんですけども、これまでなかなか進んでいなかったわけですね。目標達成の見通しはどうですか。そして、現在制度を理解している地権者はどれくらいの割合でおられるのか、伺います。
小松崎環境創造局長:まさにこれから私どもは土地所有者の方々に直接出向いて、さまざまな協力をお願いしていくわけでございますので、その中でなるたけこれは広い範囲での協力をいただこうということでございます。
それから、私どもも数字をお出しして、これから約1119ヘクタール、5か年間で緑の保全のための指定をしていくということで出しているわけでございますので、当然ながらその目標設定をクリアするということに向けて最大限の努力をしていきたいと思っています。
河治議員:改めて伺いますけれども、地権者すべてに制度内容の周知というのは、どれくらいで予定されておられますか。
小松崎環境創造局長:これから私ども、まずダイレクトメールを予定をいたします。それから、土地所有者の方々向けの説明会を開催をしていこうということで、年度があけましたらすぐでも動いていこうということでございます。
分割開発行為に有効性のある歯止めを
河治議員:「みどりアップ計画」のネーミングは、市民から見ると、緑が一気に増える、そういうふうな幻想を受けたという人もおります。毎年100ヘクタールずつ減少する緑が、これが直ちに歯止めがかかるというふうなことではない話が先ほどあったんですけれども、開発行為なんかにもやっぱり結局歯止めがかからないことが多々あるわけですが、みどりの総量は減少するということからすると、税まで新設して緑が減れば市民の期待を裏切ることにならないか、伺います。
小松崎環境創造局長:このみどりアップ計画は、新たな税をご負担いただく市民の期待に応えるために、長期的な緑の総量の維持・向上はもちろんのこと、毎年毎年その施策の効果を実感をしていただける成果を出していかなければいけないと考えているわけです。
具体的には、良好に手入れをされて安全になったものの姿、樹林地をより活用して自然を楽しむさまざまなプログラム、地産地消を享受できる共同直売所、農体験のできる市民利用型農園、さらには子どもが元気に遊ぶ園庭の芝生化と、こういったことなど、目に見えるかたちでの実績を積むことで、つぎのみどりアップ行動につながるようなよい循環の形成を目指していきたいと思っております。
河治議員:計画では市内の対象樹林地2830ヘクタールのうち、5年間の指定目標、それから担保済みの樹林地以外に残された樹林地881ヘクタールというふうに計算すると出るのですが、この部分についても、保全抜きには緑アップにつながらないというふうに思います。残された881ヘクタールの指定を進めていく上で、土地所有者の理解を得るために、どのように取り組むのか、伺います。
吉田横浜みどりアップ推進担当理事:まず、指定の拡大に向けて、これまで対応は大変困難だったんですが、相続等不測の事態の土地の買取に迅速に対応できるということや、指定した樹林地の手入れの一部を市が行うなど、新たな支援の実施、また、特別緑地保全地区の指定要件面積の引き下げなど、制度の拡充を図ってまいりたいと思います。
また、その上で土地所有者に対してはダイレクトメールや説明会の実施など、きめ細かな対応を心得て、指定拡大に努めてまいりたいと思います。
河治議員:市街地開発で、規制のがれのための分割的開発行為、こうしたことによって、失われる緑も多いというふうに思います。こうした問題に対して、緑の保全にどのように取り組んでいくのか、伺います。
吉田横浜みどりアップ推進担当理事:市街地の小規模な樹林地や斜面地の緑を保全するため、特別緑地保存地区の指定要件の引き下げを行ったり、新たな市民緑地制度を導入などをして、緑地保全制度の拡充を進めてまいります。
また、開発と緑の調和を図るため、景観法に基づく開発行為に関する新たな基準を現在まちづくり調整局で検討しているところでございます。
いずれにしましても、緑地保全については土地所有者の方々の同意が必要なので、さまざまな緑地保全制度について、ご理解とご協力を得ながら進めてまいりたいと思います。
河治議員:開発行為に関する点については、まちづくり調整局とも調整だということなんですが、副市長伺いますが、どのようなかたちですすんでいるんでしょうか。
阿部副市長:まちづくり調整局との調整の内容ということでありますけれども、開発と緑の調和を図るために、景観法に基づきます開発行為に関する新たな基準をどうするかという観点で、両局間で調整しているという状況でございます。
農地を守るためにも“食べていける”農業施策を
河治議員:つぎに、農地を守る取り組みですが、農業を続けていく解決策について、農地所有者に対して行ったアンケートでは、「農業で高収入が得られること」が大きな要件となっています。高収入を得る農業継続の要求は、これまでの取り組みと比較して、みどりアップ計画は、どこまで応えることができるのか、伺います。
吉田横浜みどりアップ推進担当理事:これまでも安定した農業経営ができるよう、農業基盤整備や農業の担い手支援、市内農産物の生産振興策などを進めてまいりました。みどりアップ計画新規拡充施策では、消費者と生産者の結びつきを強めることで、販路が拡大できるよう、地産地消を中心とする振興策を総合的に強化してまいります。
また、経営基盤を強化するための支援策を大幅に拡充するほか、農業用施設の税軽減措置なども合わせて講じることで、農家の所得向上と負担を軽減を図り、持続可能な農業を支援してまいります。
河治議員:横浜市は人口も多く、消費力の大きい街ですし、安心・安全な食糧を求める消費者と収入を得たいと願う農家の人が、有機的につながるということが重要だと思うんですね。農業が継続にも大きな力になると思います。そうした地産地消、直売所へのネットワーク的なそういうふうな支援も必要だと思うんですが、その面ではいかがでしょうか。
吉田横浜みどりアップ推進担当理事:みどりアップ計画においては、新たに市民が果実の積み取りなどができる収穫体験農園や、共同直売所の設置を支援するなど、地産地消のさらなる普及展開に努めてまいります。また、11月の地産地消月間のキャンペーンや、地域地産地消フォーラムの開催、開催推進のための人材育成講座などを行うほか、農協と共同して直売ネットワーク参加農家の拡大にも努めることにしております。これらにより、市民のニーズに応えられるように取り組んでまいりたいと思います。
みどりアップといいながら街路樹を伐採
河治議員:緑を増やす取り組みで、街路樹の維持管理も計画に盛り込まれているわけですけれども、街路樹の剪定頻度を高め、美観の向上や樹木の育成をするとしていますが。
しかし、中区の山元地域では道路改良工事に伴って街路樹が根元からばっさり伐採されると。地域の人が怒っていました。「みどりアップといいながら、緑を増やすどころか、守りもせずに伐採するとは何事だ。これで緑税とはもう納得いかない」と、こうした怒りの声でした。こうした街路樹の管理に問題があるからだと思うのですが、こうした問題に対してみどりアップ計画はどう対応するのか、伺います。
吉田横浜みどりアップ推進担当理事:まず、日常の管理というところでお話をさせていただきたいと思いますが、ご承知のように、街路樹は非常に限られた道路空間の中で、一定の樹形を保つ必要があるため、剪定等によって管理が大変必要なことだと思います。しかし、従来の剪定頻度では、伸びすぎが生じて、狭あい感による都市景観や樹性の悪化などが生じています。そのため、先ほど先生がおっしゃいましたように、平均5年に1回の剪定を3年に1回というように、新たに定めてやっていこうということと、山元町の件につきましては、ちょっと私存じ上げていないのですが、道路の中ではいろいろ周辺に住む方と、幅員を広げなきゃいけないようなことですとか、いろいろそうした状況があったなかで、やむを得ずやったものかなというふうにおもってございます。
河治議員:いろいろあると思うんですけれども、取り合えず、街路樹の管理でも環境創造局が道路局と連携し、横断的管理をすれば、伐採せずに移動することだって可能だったのかもしれませんし。
緑の十大拠点において、福祉施設建設に対する本市の補助はやめるというになったと聞いています。こうした各局の連携が重要だと思います。たとえば先ほどの開発行為も含めてですね、環境創造局や道路局、まちづくり調整局などが、緑についての横断的管理、これをどのように進めていくのか、阿部副市長に伺います。
阿部副市長:緑の保全創造、私ども横浜市としての重要課題というふうに思っておりますので、当然環境創造局のみならず、全庁的に取り組んでいきたいと思っております。ひとつはやはり、各局で緑の保全創造にたいしてしっかり問題意識をもっていただくということも大事だと思っておりまして、もう片方で関係区局でそれぞれまたがるような話とかありますので、そういうものを調整したり、あるいは今回税の話で申し上げると財政税制の議論をやりましたが、その他規制、誘導といった手法もありますので、そうしたさまざまな手法の有機的な組み合わせの中で、みどりアップ計画を全庁的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
河治議員:ぜひ実効あるものとしていただきたいと思います。
大規模事業者に対する総量削減義務はいつを目指すのか
つぎは、CO-DO(コード)30の取り組みについてです。
地球温暖化に対する取り組みの強化が緊急に求められています。温室効果ガスの削減においては、大量排出事業者の削減がとりわけ重要です。脱温暖化行動方針ロードマップでも、市内11万件事業者の経済活動にたいして、省エネ型を目指しています。
今定例会で、「横浜市生活環境の保全等に関する条例改正」案について、私は東京都の条例を例に、本市も温室効果ガスの排出規制、これを削減義務や削減未達成の措置命令を条例に盛り込むことを求めて質問したわけですけども、それに対して、市長は「東京都はこれまでの事業者指導において、個々の事業者排出特性を詳細に掌握してきたことを踏まえて、大規模事業者に対する総量削減義務と排出量取引制度の導入を行った」と、答弁されています。この答弁では、大量排出事業者個々の排出特性を掌握すれば総量削減義務と削減未達成の措置命令ができるというふうに受け取れるんですけれども、どうでしょうか。
柏崎地球温暖化対策事業本部長:先般の本会議で、生活環境保全等に関する条例の改正についてご議決をいただき、成立したところでございます。
その中で、提出対象者の拡大ですとか、表彰、評価制度の導入を行うなど、制度の強化を拡充するというふうにしたわけでございますが、今後この条例に基づきまして、事業者の温室効果ガス削減の取り組みを詳細に把握する、そうした中できめ細かな指導、助言を行い、さらなる削減取り組みを促していくことが、結果として総排出量の削減につながるというふうに考えております。
河治議員:ロードマップでは、排出削減の義務付けを視野に入れた検討を行っていきますとあるわけですけれども、事業本部は大量排事業者の排出特性をいつまでに掌握し、さらにいつ頃を目途にそうした削減義務、また措置命令を目指しているのか、伺います。
柏崎地球温暖化対策事業本部長:今回改正をいたしました条例は、22年の4月施行というふうにしております。最初の計画書の計画期間は3年間というふうに設定をしてまいるつもりでおりますので、その目標のなかでさまざまな削減に取り組んでいただくということになるわけでございます。そうした制度の運用の中で、結果が出てくる、あるいはその過程で達成状況、あるいは効果等について、私どもいろいろな情報を把握しながら、先ほど申し上げましたように、今回のその改正した計画書制度をステップとして、実績を積み重ねながら、ロードマップ原案にも記載してあるような観点で取り組みを進めてまいります。
河治議員:さらに東京都に習い、本市独自の排出量取引制度を導入する考えがあるのか、伺います。
柏崎地球温暖化対策事業本部長:ただいま申し上げましたように、今回はまず私ども改正をしていただきました条例について、きちっと施行していくことが大事だろうというふうに思っております。そういう意味で総量削減義務、それからそれに伴う排出量取引についてはロードマップ原案にも記載しているような観点で、今後視野に入れながら検討してまいるということでございます。
コード30の推進には、市民啓発、意識向上が重要
河治議員:ロードマップは、市民・事業者と連携し、協働して取り組むとしているんですけけども、昨年行われた「エコハマ省エネチャレンジプロジェクト」はどのような目的で取り組まれてきたのか、その結果どのような効果があったのか、またその属性別に有効な省エネ方法の提案が出来る可能性があるというふうに結果で書いてあるんですが、以上説明してください。
柏崎地球温暖化対策事業本部長:港南区にお住まいの方々を中心に取り組んでいただいたわけでございまして、省エネ行動を実際に実践することによりまして、CO2の量などを把握しながら、その実際の削減にどの程度寄与できたかということをご確認いただきながら、さらなる省エネ行動の継続・拡大につなげていくということを目的に、実施したものでございます。
成果としては、参加者の平均で15.4%のCO2排出を削減できたことや、あるいはなんとなく行ってきた取り組みが意識して行えるようになったというようなご感想をちょうだいしたところでございます。
また、世帯の属性によるという観点でいきますと、共同して事業を行いました東京大学の分析の結果によりますと、18歳以下のお子様がいる世帯あるいは高齢者の方がいらっしゃる世帯などが、比較的削減率が高い傾向がみられたということで、この点についてはもう少しきちっとした分析が必要かとは思いますが、そうした傾向を今後の取り組みに生かしていく必要があると思っております。
河治議員:コード30の推進には、市民啓発、意識向上も重要だというふうに思います。2009年度では、環境家計簿の取り組みの対象を1万世帯としているわけですけども、横浜市は170万世帯からあるわけで、あまりにも少なくないかなというふうに思うんですね。同時に、360万市民にどう啓発していくのか、伺います。
柏崎地球温暖化対策事業本部長:いまご紹介いただきました環境家計簿の取り組みですが、今年度は現在約4000世帯のご家庭で取り組みを進めていただいております。そういう意味で、この環境家計簿の取り組みは比較的簡単に行える省エネ行動の見える化というような観点での取り組みだろうと思っております。私どもとしては、その取り組みやすさや簡素化の工夫というようなことも一方でしていきながら、そこで取り組んでいただいた成果あるいはデータというようなものも、逆に市民のみなさまにきちっとフィードバックしていくことで、さらにその取り組みの広がり、裾野の広がりというようなものを生み出していければというふうに考えております。
河治議員:ロードマップは再生可能エネルギーの10倍化を目指していますし、08年度の太陽光発電補助事業というのはどのような成果があって評価されているのか、そして市民の関心・啓発のプロセスはどうするのか、伺います。
柏崎地球温暖化対策事業本部長:太陽光発電システムの住宅太陽光の関係の設置費補助につきましては、20年度の補助申請は当初予定しておりました400件を大きく上回る460件ほどの申請をちょうだいしております。補助を開始して以来、この件数は伸び続けておりまして、市民の方々の関心が高いというふうに考えております。そういう意味で今後は10倍化ということに取り組んでいくわけでございますけれども、その観点としてはやはり将来像、それに至る道のりというものをわかりやすく市民に提示することで、市民のみなさんと共通理解を深めながら取り組む、そういうことが市民啓発の大事な視点だろうというふうに思っております。
公平性に欠ける電気自動車普及の日産との連携
河治議員:質問は以上で終わりますが、別件で、今日の新聞、日経新聞なんですけども、「横浜市 電気自動車普及で日産と連携」「横浜市は電気自動車EVの市場拡大に向け日産自動車と協力する」こうしてでかでかと載ってあるんですね。
09年度予算案は、電気自動車普及に向けた充電設備の投資とか予定しているわけですけれども、日産自動車だけ突出したかたちで進めるというのはいかがかなと思うんですね。かねがね市長は、公平性、透明性を主張しておられるわけですが、こうしたやり方について、私は本当に懸念を表明します。
以上で終わります。