水道管の耐震化をスピードアップせよ
河治議員:日本共産党を代表して質問をしてまいります。
最初に、水道管の更新・耐震化について伺います。
平成18年度から水道局が敷設する水道管はすべて耐震管を使用するとのことですが、どのようなものか、また、どのような効果があるのか、伺います。
斉藤水道局長:強度や粘り強さに富んだダグタイル製の鋳鉄でできた水道管で、地震のときにも抜け出さないような継ぎ手、離脱防止機能を持った水道管、いわゆる老朽化したものを更新するにあたって、長期的な利用と地震に強い、こういった特徴を持っております。
河治議員:中期計画では、「近年、大規模地震が頻発していること、国の指針としても水道施設の速やかな耐震化が求められ、スピードアップを図ります」と述べています。しかし、中期計画の老朽管更新延長は年間92キロから110キロ(メートル)とのことです。市内の水道管延長は約9000キロ(メートル)、中期計画の更新のペースでは、完了までに80年もかかる。この更新ペースで、はたして市民に安心できる水道水が保障できるのか、伺います。
斉藤水道局長:いまお話ありましたように、中期計画では3年目の23年度には年間の更新延長110キロとしたいというふうに考えております。このペースでやれば80年かかるということになりますが、更新に当たっては南関東地震が発生した場合に、震度7または液状化が想定される地域や、老衰発生割合が高い管を持っている地域、こういったところを優先的に更新耐震化をして、地震発生時の被害想定件数の減少や復旧に要する日数の短縮が図れるようにしていきたいというふうに考えております。
河治議員:いずれにしろ、長時間、時間がかかるわけで、先ほども話がありましたけれども、地域計画では、液状化が予想される地域の優先的整備を考慮した計画だと。被害想定数の減少ということも含めて、効率的・効果的に行うというふうなことですね。でも、そういうのであれば、市民が安心できるように、地震に遭遇したとき、そのことがいろんな点で不安にかられるわけでありますが、更新化の更なるスピードアップを図るべきだと思うのですが、いかがでどうでしょうか。
斉藤水道局長:先ほどご説明したのは、現在使用している新しいダグタイル製の耐震化については、耐用年数が80年程度ではないかというふうに考えておりまして、概ね年間110キロ更新していくと、将来にわたっていいローテーションで引き継ぐことができるんじゃないかというふうに考えています。
今後、逆に110キロメートルの更新をいかに着実に実施をしていくのか、こうしたことに局をあげて力を傾注して急がなければというふうに考えております。
河治議員:考え方が、地震に対してどう備えるかということではなく、全体の9000キロをどのようにして平準化したかたちの耐震化にするかというふうなかたちにしか受け取れないんですね。地震に対する安心という点ではどうなんでしょうか。スピードアップが求められるというふうに思いますが。
斉藤水道局長:私ども、未来に向けて安定した経営を行いながら、いかに市民に安心していただけるような水道を供給していくのかと、こういった観点で今後も経営計画を議論するなかで、いま申し上げたような考え方でやっていきたいと、やっていく必要があるというふうに考えているということでございます。
大幅人員削減で市民に安心安全の水を供給できるのか
河治議員:次に、人材確保と市民への還元についてです。
予算概況では127人の定年退職者の他に、106人の定数削減が示され、中期計画3か年で310人の削減をすると。水道事業でマンパワーがこれほど削減されて、安心できる水道事業に対して、市民は不安を覚えると思います。そこで、これまでの職員と事業体制に関してですが、平成18年から20年度までのなかで、技術職と技能職はどのような体制できたのか、またどうしてそうなったのか、推移と変化、その理由をお伺いいたします。
斉藤水道局長:責任職を除く人数で申し上げますと、技術職員は平成18年度が510人、19年度が579人、20年度が576人となっています。技能職員は、同じく18年度770人、19年度636人、20年度525人となっています。
技能職員が大きく減少しているのは、技術職員に比べ定年退職者数が多いこと、また局内転職制度によって技能職から技術職へ転職している職員がいるためでございます。
河治議員:技能職が技術職に転職されるとのことですけれども、技術の習得が保証されてこそ業務に責任が負えるものだというふうに思います。そこで、転職のプロセスは問題ないのか、伺います。
斉藤水道局長:たとえば、土木職への転職の例で申し上げますと、まず面接試験を行って選抜をいたします。その後に7週間の基礎研修を集中して受講してもらいます。翌年度に局が指定する国家資格、土木の場合たとえば2級土木施行管理技師という資格を取得をしてもらいます。それを取得した後、さらに3週間の実技研修を実施をいたします。
また、それぞれの研修ごとに、さらに教科ごとに行う効果測定で一定の研修成績を収めることも求めております。
このように、申し込みから約2年間かけて転職するというプロセスを用意しております。
河治議員:転職のための研修期間や学習期間というのは、現場の欠員になると思うんですけれども、その欠員に対する補助はあるのでしょうか。
斉藤水道局長:特に行っておりません。
河治議員:業務の安全のためにはそうしたものも考慮すべきだというふうに思うんですね。
平成12年に、磯子駅付近で起きた水道管事故というのは継ぎ手の腐食が原因だったとのことですが、水道管の保守・点検など、メンテナンスなども水道局のマンパワーと無関係ではないと思います。長期ビジョン10か年プランでは、平成17年約2100人の職員数を平成27年では約1400人までに減らすとしています。こんなに減らして、市民に安心できる水道サービスを保証できるのか、伺います。
斉藤水道局長:料金収入が減少していくなかで、老朽化した水道施設の更新など、私どもの役割をきちんと果たしていくためには、事業全体の総点検を行って、組織・機構の簡素化や委託化、こうしたことを行っていく必要があるというふうに考えております。
10か年プランでは、平成17年度の人件費比率が27%、これが27年度には18%にしようというふうな計画も持っております。
直営部分の多い経営体質からの転換をさらに進めて、効率的な執行体制が必要だということでございます。
合わせて、将来の水道事業を支えるためには、技術継承や研修の充実を図って、高い能力を持った職員を育成して、こうした職員による少数精鋭体制も築いていくというふうに考えております。
このような方針のなかで、ライフラインとして欠くことが出来ない水道事業を、今後とも横浜市が責任を持って、運営できるようにしていきたいと考えております。
河治議員:安心でおいしい水、つまり安心を保障する水道事業ということにおいては、やはり中心となる技術職員、技能職員の確保は不可欠だというふうに思います。職員の新規採用や補充を進め、体制強化を図るべきだと思うんですが、見解を伺います。
斉藤水道局長:事業運営に必要となる職員は、職種は問わず新規採用や市長部局との人事交流などによって確保の必要があると考えております。また、職員の経験等を考慮して、局の内部で人材育成を図るなど、計画的な体制が必要だというふうに考えております。
河治議員:話をきくと、職場の配置というのは少数精鋭で、効率的効率的、こうしたことが優先されているように思いますね。たとえば、鳥インフルエンザなど様々な非常事態の対応というのは、まさにマンパワーが重要だというふうに思うんですね。職員の削減は、非常事態の備えとして問題ないのか、伺います。
斉藤水道局長:職員の数だけではなくて、局全体のシステムの中で、市民サービスの維持・向上、さらには危機管理を行っていく必要があるということを考えておりまして、そういった体制については日常に注意を払っていきたいというふうに考えております。
84億円の累積資金で水道料金の値下げを
河治議員:最後になりますが、21年度の水道会計では37億円の純利益を見込み、年度末では84億円の累積資金を計上しています。今、経済不況の中で市民の生活は厳しく、収入の少ない世帯ほど大変です。公益企業としての水道局が、市民生活を支える。本当、少しでも市民の生活を応援する。こうした思いが大切だというふうに思います。
そうした点からいえば、累積資金87億円の一部でも水道料金の値下げなど、直接的な市民還元をすべきと思いますが、その意思があるのか伺います。
斉藤水道局長:高度経済成長期に建設した水道施設の老朽化を迎える中で、配水管や浄水場などの更新・耐震化を進めていく、これまで以上にスピードアップしていく必要があるというふうに考えております。
いま、ご指摘のあった累積資金については、こうした水道施設の更新・耐震化を進めて、さらには健全財政を維持しながら進めていくために必要な財源と考えております。この財源を大切にしながら、将来にわたって安全な水道水を安定してお届けしていきたいと考えております。
河治議員:終わります。